「膀胱がん」を疑う症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?
症状は血尿・頻尿・排尿時の痛み・残尿感・切迫した尿意・尿が出にくい・わき腹の痛み・背中の痛み・足のむくみなどがあります。
主に60歳以上の人に多く見られます。女性より男性の発症リスクが高いです。喫煙者や、化学物質や毒物にふれる職業の人もリスクが高いです。
治療には、手術・放射線療法・化学療法などがあり、病気の進行具合や患者の体調などによって選択されます。
進行すると膀胱の壁を浸潤し、他の組織にも広がる可能性があります。早期発見と早期治療が重要です。症状・リスク・治療法について説明いたします。
監修医師:
磯野 誠(医師)
2006年防衛医科大学校卒業、 2013年防衛医科大学校医学研究科、 2015年Heinrich Heine大学泌尿器科学講座(ドイツ連邦共和国)留学、 2023年 所沢いそのクリニック開院
目次 -INDEX-
膀胱がんという病気
膀胱がんとはどのような病気ですか?
膀胱がんでみられる症状や原因を知りたいです。
- 血尿
- 頻尿
- 排尿時の痛み
- 残尿感
- 切迫した尿意
- 尿が出にくい
- わき腹の痛み
- 背中の痛み
- 足のむくみ
血尿は痛みをともなわず、出たり出なかったりすることが多いです。顕微鏡でないと確認できない血尿もあります。そのため放置して進行してしまうことがあります。血尿が出たら早めに受診してください。原因としては喫煙・職場などで特定の化学物質にふれることだと報告されています。
膀胱がんになりやすい人はどんな人なのでしょうか?
膀胱がんは若い人でもなりますか?
膀胱がんのリスクや検査
膀胱がんが進行するリスクを教えてください。
- 膀胱壁を貫通し、膀胱の外側の脂肪組織や隣接する臓器に転移するリスク
- リンパ液や血液に乗って、リンパ節・肺・肝臓・骨などに転移するリスク
進行すると治療が難しくなるため、早期発見と早期治療が重要です。
膀胱がんは早期だと症状がないと聞いたのですが…
膀胱がんを疑う症状が知りたいです。
膀胱がんの診断ではどんな検査を行いますか?
- 尿検査:尿に含まれる血液・がん細胞・腫瘍マーカーを調べる検査です。
- 超音波(エコー)検査:体に超音波をあて、画像でがんの位置や形を調べます。その場で、痛み無しで行える検査です。
- 膀胱鏡(内視鏡)検査:膀胱へ尿道から内視鏡を入れ、がんを調べます。
- CT検査:X線で体の断面の精密な画像を作成します。がんの形・転移をしらべる検査です。
- MRI検査:磁気を利用して体の断面の精密な画像を作成します。がんと正常な組織の区別が明確にわかります。
- 骨シンチグラフィ:放射性物質を静脈から注射して、骨へのがんの転移を調べる検査です。
- TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術):尿道から内視鏡を入れ、がんを電気メスで切除します。切除したがん組織を顕微鏡で調べる検査です。
膀胱がんの治療法や予後
膀胱がんの治療法が知りたいです。
- TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術):膀胱壁の深くまで及んでいないがんは、膀胱内に内視鏡を入れ電気メスで切除します。
- 膀胱内注入療法:がんの再発や進展を予防するため、TURBTの後で膀胱内に抗がん剤やBCGを注入する治療法です。
- 膀胱全摘除術:転移がなく膀胱壁の中まで及んでいるがんは膀胱を取り除く手術を行い、尿を体の外に出す経路も作ります。
- 放射線治療:放射線を当ててがんを縮小させます。膀胱を温存したい場合や手術が難しい場合に行う治療法です。
- 薬物療法:がんの成長を遅らせる薬物(抗がん剤)を使います。進行して切除できないがん、転移・再発したがんに対して行います。吐き気・白血球減少・脱毛などの副作用があります。
膀胱がんは再発しますか?また再発した際にみられる症状も教えてください。
- 血尿
- 頻尿
- 排尿時の痛み
- 残尿感
- 切迫した尿意
- 尿が出にくい
- わき腹の痛み
- 背中の痛み
- 足のむくみ
治療後は定期的な経過観察が重要です。検査の頻度はがんの進行度や治療法によって異なります。また規則正しい生活・禁煙・節度のある飲酒・バランスの取れた食事・適度な運動を心がけることが大切です。
膀胱がんの治療後の過ごし方で注意することはありますか?
経過観察:再発の可能性があるため、定期的な検査・受診が必要です。
生活習慣の改善:体力の回復とがんの再発リスクをおさえるために必要です。
医師への相談:治療後の気になる症状はすぐ担当医師に相談してください。
心のケア:がんの治療は体だけでなく心理的負担が大きいです。家族・担当医に自分の気持ちを率直に伝えましょう。不安なことがあれば、ソーシャルワーカーや、がん相談支援センターなどの相談窓口に相談するのもいいでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
放っているとがんが広がり、転移するリスクが高いので、早期発見・早期治療が大切です。
60歳以上の人・男性・喫煙する人・化学物質や毒物に触れる職業の人はなるリスクが高く、さらに高齢になるほどリスクは高まります。
早期では無症状のことも多いので、リスクの高い人は定期健診を受けましょう。
参考文献