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「椎間板ヘルニア」手術後再発の原因 繰り返す前兆・対処法を医師が解説

 更新日:2023/05/19
椎間板ヘルニア手術後再発の原因 繰り返す前兆・対処法は?【医師が解説】

椎間板ヘルニアは、自然治癒するケースから手術が必要なケースまで、様々な経過をたどります。さらに、手術をしてもよくならない、むしろ手術後に悪化してしまうケースなどもあり、個人差の大きい疾患と言えるでしょう。今回は椎間板ヘルニアの再発や治療法について、「ILC国際腰痛クリニック東京」の簑輪先生にお話を伺いました。

簑輪 忠明

監修医師
簑輪 忠明(ILC国際腰痛クリニック東京)

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日本医科大学医学部卒業。その後、日本医科大学付属病院、博慈会記念総合病院、江東病院などに勤務。2022年、東京都港区に位置する「ILC国際腰痛クリニック東京」の院長に就任。一人ひとりの悩みに寄り添った丁寧な診察と、世界の先進腰痛治療技術を駆使した治療を提供する。日本医師会認定産業医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。日本腰痛学会、日本内視鏡外科学会の各会員。

椎間板ヘルニアは手術後に再発することも……再発の前兆・ヘルニアを繰り返す原因を医師が解説

椎間板ヘルニアは手術後に再発することも……再発の前兆・ヘルニアを繰り返す原因を医師が解説

編集部編集部

まず、「椎間板ヘルニア」について教えてください。

簑輪 忠明先生簑輪先生

背骨、つまり「椎骨」同士の間でクッションの役割をしている「椎間板」という軟部組織があります。その椎間板が何らかの要因で老化・変性したために、破れて中身が飛び出した状態となるのが「椎間板ヘルニア」です。

編集部編集部

どのような治療法があるのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

一般的な治療法として、鎮痛剤や神経ブロック注射などの薬物療法、運動療法や温熱療法などのリハビリテーションなどがあります。それでも症状が改善しない場合には手術療法が選択されます。

編集部編集部

手術療法のメリットやデメリットを教えてください。

簑輪 忠明先生簑輪先生

薬物療法やリハビリテーションと比べると、大きな効果が期待できるという点がメリットとして挙げられます。一方でデメリットは、入院や術後のリハビリテーションが必要なので時間を要するという点、人によっては手術をしても効果が感じにくかったり症状がかえって悪化してしまったりする場合があるという点です。

編集部編集部

手術をしてもよくならないことがあるのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

そうですね。さらに別のパターンとしては、手術直後はよくても、しばらくすると再発してしまうこともあります。

腰の椎間板ヘルニア再発の対処法を医師が解説 自然治癒する? 再手術が必要?

腰の椎間板ヘルニア再発の対処法を医師が解説 自然治癒する? 再手術が必要?

編集部編集部

椎間板ヘルニアの再発について、もう少し詳しく教えてください。

簑輪 忠明先生簑輪先生

椎間板ヘルニアが再発してしまう原因は様々です。手術をしても体の使い方が今まで通りであれば、椎間板が再度はみ出してしまうケースが多いと言われています。ただし術後、手術をしたところに癒着や瘢痕(はんこん)ができてしまい、椎間板に負担がかかって似たような症状が出ることもあります。

編集部編集部

やはり、手術前と似たような症状が出るのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

椎間板がはみ出して触れている神経が同じ部分であれば、理論上は似たような症状が出ます。しかし、MRIなどの画像上では再発しているのに、症状がないケースも数多く報告されています。

編集部編集部

再発した場合、どのように対処したらいいのでしょうか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

やはり初回と同様、薬やリハビリテーションでも症状が改善しなければ、再び手術が検討されます。

編集部編集部

再手術となる確率や術後の症状改善は、初回と比べてどうなのでしょうか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

再手術となる確率は年齢や術式などでも異なりますが、術後1年で0.5~4.0%、術後5年で1.5~8.5%と報告されています。再手術の術後の臨床成績は、初回と変わらないという報告と、初回と比べて劣るという報告があり、こちらも個人差などが大きい印象です。

椎間板ヘルニアを繰り返さない! 手術後に再発しないための予防法

椎間板ヘルニアを繰り返さない! 手術後に再発しないための予防法

編集部編集部

椎間板ヘルニアを再発しないための予防法はあるのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

手術前と同じような身体や筋肉の使い方をしていると、再発しやすいと思います。そのため、姿勢や筋肉のアンバランスがある人や筋力自体が弱い人などは、必要に応じて筋トレやストレッチなどをすると、再発・再手術の予防になるでしょう。

編集部編集部

ほかには何かありますか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

とくに腰椎椎間板ヘルニアの場合は、「座る姿勢」を意識していただけたらと思います。いわゆる「猫背」のように腰を丸めて、尾てい骨が椅子の座面についてしまうような座り方は、腰椎に負担がかかってしまいます。腰椎が曲がっていると椎間板に強い圧がかかって、ヘルニアが再発しやすくなります。普段から背骨が自然に伸びるような座り方を心がけましょう。

編集部編集部

それでも、症状が出てしまった場合はどうしたらいいでしょうか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

まずは、手術をした医療機関で診てもらうことをおすすめします。画像検査で再発の所見がみられなければ、筋疲労など別の要因かもしれませんし、再発の所見があれば状態に応じて再手術が必要かどうかなど、主治医の見解も話してくれると思います。個人的には、「再手術が必要」と言われた場合、必ずしも同じ医療機関でおこなわなくてもいいと思っています。手術の方法なども様々なものがありますし、「他院で結果が出なかった症例もぜひ相談してください」と謳っている医療機関もありますので、相談してみるのもいいのではないでしょうか。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

簑輪 忠明先生簑輪先生

椎間板ヘルニアの手術自体は、狭い範囲の切開ではみ出た椎間板を取り除くことのできる優れた手法だと思います。しかしながら、手術をしても症状が改善しないケースや逆に悪化してしまうケース、そして一時的によくなっても再発してしまうケースなどで、長く不調に苦しんでいる人も少なくありません。実際、私自身もその1人です。「仕方がない」「忙しい」と放置していると、椎間板がどんどん潰れて生活の質も下がってしまいます。対策は早いに越したことはないので、まずは腰痛を専門としている医療機関を受診し、相談してみることをおすすめします。

編集部まとめ

椎間板ヘルニアの手術とその再発について、整形外科医にお話を伺いました。手術を受ければ根本治療できるイメージがあるのですが、意外と再発も多いとのことでした。まずは、手術をした医療機関で相談して、場合によっては「他院で結果が出なかった症例も相談してください」という医療機関を受診してみるのもいいかもしれませんね。

医院情報

ILC国際腰痛クリニック東京

ILC国際腰痛クリニック東京
所在地 〒108-0075 東京都港区港南1丁目8−15 Wビル1F
アクセス JR「品川駅」 徒歩7分
診療科目 整形外科

この記事の監修医師