「痛みに対する治療の目的によって受診先が変わる」、ペインクリニックと整形外科との違いについて

公開日:2021/12/05  更新日:2021/12/03

腰が痛い、膝が痛くて歩けない……。そんなとき、整形外科への受診を考える人が多いかと思います。しかし実は、「ペインクリニック」という選択肢もあるのをご存知でしょうか。ペインクリニックとは文字通り、「痛み」を扱うクリニックですが、腰痛や膝痛など運動器の痛みも対象になります。では一体、ペインクリニックと整形外科の違いは何なのでしょうか。「はるみクリニック」の中山先生に教えていただきました。

中山晴美

監修医師
中山 晴美(はるみクリニック 院長)

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筑波大学医学専門学群(現・医学群医学類)卒業。筑波大学大学院博士課程修了。その後、筑波大学附属病院麻酔科や筑波大学附属病院の関連病院で勤務。2006年、埼玉県八潮市に「はるみクリニック」を開院。誰もが若さと元気を叶えられるよう、ペインクリニック以外にも予防医療や漢方医療、美容診療など多方面から患者さんをサポートしている。医学博士。日本麻酔科学会専門医、日本ペインクリニック学会認定医。日本レーザー医学会会員。

ペインクリニックでは、どんな治療が受けられる?

ペインクリニックでは、どんな治療が受けられる?

編集部編集部

ペインクリニックって、どんな治療をしてもらえるのかイマイチわかりません。

中山晴美中山先生

簡単に言うと、「痛みの治療」を専門にする診療科がペインクリニックです。身体の痛みの原因を診断して、薬物療法や神経ブロック療法などで痛みを取り除いたり軽減したりする治療をおこないます。一般に、麻酔科出身の医師が担当していますが、必要に応じて理学療法士や作業療法士、臨床心理士などとも連携しながら、適切な治療を進めていきます。

編集部編集部

痛みには、様々な種類があると思います。ペインクリニックでは、どのような痛みを診てくれるのでしょうか?

中山晴美中山先生

痛みに関するお悩みは何でも受けています。例えば、頭痛や神経痛、肩こり、手足のしびれなどが挙げられますね。また、ぎっくり腰のような急性の痛みから、膝の痛みや腰痛など慢性的な痛みまで治療対象です。

編集部編集部

幅広いのですね。具体的には、どのような治療をおこなうのですか?

中山晴美中山先生

ペインクリニックでの治療は、大きく3つに分けることができます。1つ目が「内服薬による治療」で、鎮痛薬や向精神薬、漢方薬などを服用していただき、痛みの緩和を目指します。2つ目は、神経や神経周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす「神経ブロック療法」です。最後が、理学療法士などが指導し、運動によって機能の改善回復を目指す「リハビリテーション」です。

ペインクリニックと整形外科の使い分け

ペインクリニックと整形外科の使い分け

編集部編集部

腰痛や肩こりが出たときは整形外科に受診するイメージが強かったです。

中山晴美中山先生

そうかもしれませんね。しかし実際のところ、ペインクリニックにも一般的な腰痛や肩こり、膝の痛みなどで通院される人は大勢いらっしゃいます。

編集部編集部

どのように、整形外科とペインクリニックを使い分ければいいのでしょうか?

中山晴美中山先生

整形外科とペインクリニックでは、治療の目的が異なるということを覚えてもらいたいです。通常、整形外科は筋肉や骨、関節などの領域を対象に、リハビリテーションや手術によって機能面の回復を目的としています。一方、ペインクリニックは全身の痛みを対象とし、痛みによる苦痛を取り除くことを目的にしています。

編集部編集部

つまり、「身体機能を回復したいなら整形外科」、「痛みを取り除きたいならペインクリニック」といった感じですか?

中山晴美中山先生

おおむね合っていると思います。また、「症状が手術に適応するかどうか」もどちらを受診するかの目安になり得ます。椎間板ヘルニアになってしまったケースを例に挙げて説明します。整形外科とペインクリニックのどちらを受診しても治療対象となります。そこで、痛みが主症状であり手術適応がない場合はペインクリニック、手術適応の場合は整形外科といったように判断することが可能です。

編集部編集部

治療の目的に応じて、受診先を選んだ方がいいということですね。

中山晴美中山先生

もちろん、整形外科でも希望すれば痛み止めを処方してくれるでしょうし、ペインクリニックでもリハビリテーションをおこなって運動機能を回復させようとする場合もあります。ただし、治療の目的が「機能回復」なのか「痛みの除去・軽減」なのかによって、どちらの科目を受診するか決めた方が、より適切な治療を受けることができます。

痛みと上手に付き合う方法とは?

痛みと上手に付き合う方法とは?

編集部編集部

これまでペインクリニックを受診したことがなく、あまり馴染みがありませんでした。

中山晴美中山先生

ケガや病気など、痛みの原因がわかっていれば該当する診療科を受診することができますが、原因がわからない痛みに悩んでいる人も多いでしょう。そんなときこそ、ぜひペインクリニックへ相談しにきていただきたいと思います。

編集部編集部

これまで「痛みは我慢するもの」というイメージがありました。

中山晴美中山先生

痛みを我慢していると仕事や日常生活にも影響が出てしまいますし、さらに症状を悪化させてしまうこともあります。痛みは、生活の質を低下させる大きな要因です。また、痛みの原因としては病気や筋肉、神経、さらにはストレスなどの心理的要因もあり、原因によって対処法も異なります。痛みを軽減するため、そして日常生活をもっと楽しく過ごすためにも、ペインクリニックを上手に活用していただきたいですね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中山晴美中山先生

ペインクリニックというと、「麻酔で痛みを取るだけ」と思われがちですが、痛みを取るだけではなく、「治りやすい身体にする」こともペインクリニックの役割だと思っています。痛みを取り除くことで血流がよくなって患部の修復が早く進みますし、麻酔は交感神経のバランスの調整役も担っています。痛みの相談はもちろんのこと、「回復力を高める」お手伝いもさせてください。

編集部まとめ

「身体機能を回復したいなら整形外科」、「痛みを取り除きたいならペインクリニック」と、治療目的によって受診先を選ぶのがいいとのことでした。ペインクリニックは医院数が比較的少なく、あまり馴染みがないかもしれませんが、上手に活用することで生活の質を高めることにつながります。また、「治りやすい身体にする」という観点は初耳でした。何かしらの痛みを抱えてながらも放置している人は、ぜひ一度ペインクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

はるみクリニック

はるみクリニック
所在地 〒340-0822 埼玉県八潮市大瀬1-1-3 フレスポ八潮2F
アクセス つくばエクスプレス線「八潮駅」 徒歩1分
診療科目 ペインクリニック、整形外科