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腰痛治療「セルゲル法」の一連の流れを医師が解説 従来の腰痛治療とはどう違うのか

 更新日:2023/02/22
腰痛治療「セルゲル法」の一連の流れを解説 従来の腰痛治療とはどう違うのか

現代社会において、腰痛で悩まされている人は非常に多いようです。今回は、腰痛の先進治療の1つである「セルゲル法」について、どういった治療で従来の治療とはどのように違うのかなどを、医師の簑輪忠明先生(ILC国際腰痛クリニック東京 院長)に解説していただきました。

簑輪 忠明

監修医師
簑輪 忠明(ILC国際腰痛クリニック東京)

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日本医科大学医学部卒業。その後、日本医科大学付属病院、博慈会記念総合病院、江東病院などに勤務。2022年、東京都港区に位置する「ILC国際腰痛クリニック東京」の院長に就任。一人ひとりの悩みに寄り添った丁寧な診察と、世界の先進腰痛治療技術を駆使した治療を提供する。日本医師会認定産業医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。日本腰痛学会、日本内視鏡外科学会の各会員。

腰痛の治療法の種類について

腰痛の治療法の種類について

編集部編集部

まず、腰痛の原因について教えてください。

簑輪 忠明先生簑輪先生

「筋肉の張り」などからくるものを除くと、腰痛の原因としては「椎間板」が原因となっているものが多いとされています。椎間板は、背骨の間でクッションの役割をしているのですが、例えば椎間板が何らかの要因で老化・変性して、クッション性がなくなると「椎間板変性症」になります。また、クッションが破れて中身が飛び出した状態が「椎間板ヘルニア」です。

編集部編集部

腰痛には、どのような治療法がありますか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

まず、痛み止めなどの内服薬や神経ブロック注射などの薬物療法、運動療法や温熱療法などのリハビリテーションが選択されます。それでも症状が改善しなければ手術療法となります。

編集部編集部

それぞれ、どのような特徴がありますか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

薬物療法は、効果は持続しませんが即効性があります。一方、運動療法は結果が出るまで時間がかかることが多いため、継続できない人も多くいらっしゃいます。また、手術療法は効果が期待できますが、入院治療が必要となります。手術をしても結果が得られなかったり、かえって悪化してしまったりするケースも考えられます。

編集部編集部

ちゃんと治すためには、手術するしかないのでしょうか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

痛みを改善するためには、老化・損傷した椎間板にアプローチすることが大切です。上述の治療法では、手術療法だけが椎間板にダイレクトにアプローチする方法ですね。しかし、「手術が怖い」「仕事や家庭の事情で入院は難しい」「手術をしたけど結果が出なかった」という人もいらっしゃるでしょう。そういった人には「セルゲル法」という治療法もあります。

セルゲル法とは? 従来の腰痛治療との違いは?

セルゲル法とは? 従来の腰痛治療との違いは?

編集部編集部

「セルゲル法」とは何ですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

一言で言えば、老化した椎間板を修復させる治療法です。欧州を中心に世界54カ国以上で導入されている先進的な腰痛治療法で、実際に高い治療効果が報告されています。

編集部編集部

どういった治療なのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

別名「椎間板修復インプラントゲル治療」とも呼ばれており、老化・損傷した椎間板に特殊なゲルを注入する治療法です。このゲルは、椎間板の損傷した部分に入り込み、一生残ります。そのため、効果が持続し、基本的に再発することはありません。その後、ゲルによって椎間板が修復されるだけでなく、椎間板自体が自身の再生能力によって元の正常な機能を回復していきます。

編集部編集部

従来の腰痛治療と比べて、どのようなメリットがありますか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

もっとも大きなメリットは、「椎間板自体が修復されて、再発しない」という点です。ほかにも、「局所麻酔でおこなうため、身体への負担が小さい」「細い針でゲルを注入するため、治療跡が極小で回復が早い」「日帰り治療が可能」などのメリットもあります。

編集部編集部

逆に、デメリットや注意点などはありますか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

保険が適用されず自費診療になる」「治療後1~2週間は症状が一時的に悪化する可能性がある」などは、注意していただきたい点です。

編集部編集部

なぜ、セルゲル法は保険適用外なのですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

保険適用として承認されるためには、「多くの人に対して、安全で効果がある」というデータを示す必要があるからです。現状、セルゲル法は日本において当院のみでしか対応していないこともあり、実績となる症例数がまだ少ないのです。しかし、安全で効果の高い治療法なので、今後多くの医療機関で対応できるようになることを願っています。

セルゲル法の治療の流れ

セルゲル法の治療の流れ

編集部編集部

セルゲル法の治療の流れを教えてください。

簑輪 忠明先生簑輪先生

まずは、椎間板の状態を把握するために、MRIやX線の撮影をします。こちらは、別の医療機関で撮影した画像を持ち込んでいただいてもかまいません。画像をみながら診察をして、それを踏まえて治療という流れになります。

編集部編集部

治療時間はどのくらいですか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

個人の状態によって異なりますが、局所麻酔をおこなって1カ所あたり10~15分ほどの治療となります。また、ゲルを注入する場所が多ければ、かかる時間も若干増えます。

編集部編集部

治療後は、どういった流れになるのでしょうか?

簑輪 忠明先生簑輪先生

回復室で約1時間~1時間30分ほど安静にしていただきます。その後、医師の診察を受けていただき、ご帰宅となります。約1カ月はスポーツなどを控えていただいていますが、軽動作などであれば翌日から可能です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

簑輪 忠明先生簑輪先生

セルゲル法はほかの腰痛治療と比べて、日帰りで簡便に受けることができます。また、先述したとおり、最も大きなメリットとしては「椎間板自体を修復し、再発しない」という点が挙げられます。国内ではまだ聞き馴染みがないかもしれませんが、諸外国では一般的におこなわれている実績のある治療法です。日本でも受けることができますので、腰痛に悩んでいる人はセルゲル法を検討してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

腰痛の原因や従来の腰痛治療、さらに最新の治療法である「セルゲル法」について解説していただきました。また、治療前後の具体的な流れも解説していただき、実際にセルゲル法を検討している人は、より具体的なイメージを持つことができたのではないでしょうか。ぜひ、参考にしてみてください。

医院情報

ILC国際腰痛クリニック東京

ILC国際腰痛クリニック東京
所在地 〒108-0075 東京都港区港南1丁目8−15 Wビル1F
アクセス JR「品川駅」 徒歩7分
診療科目 整形外科

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