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肩こりや腰痛などの痛み、「痛みの一時的な緩和が目的なら整骨院」「痛みだけでなく根本解決なら整形外科」

公開日:2022/01/14

肩こりや腰痛などの“体の動きに関する不具合”を解決したい場合、受診先に「整骨院」が浮かぶのではないでしょうか。その一方で、いわゆる病気とは思えない場合には医療機関である「整形外科」を受診しないのではないでしょうか。また、交通事故処理を謳う整骨院の広告も多々、散見されるようです。そこで、「戸越銀座なかむら整形外科」の中村先生に、整骨院と整形外科の役割分担について伺ってみました。

中村正則先生

監修医師
中村 正則(戸越銀座なかむら整形外科 院長)

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昭和大学医学部卒業。2018年に昭和大学医学部整形外科学講座教授を退職後、東京都品川区に「戸越銀座なかむら整形外科」を開院。基幹病院と連携するとともに、患者さん一人ひとりに合った治療法を提案している。医学博士。難病指定医。日本整形外科学会専門医・認定スポーツ医・認定リウマチ医、日本リウマチ学会認定専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医。

整形外科と整骨院の大きな違いとは?

整形外科と整骨院の大きな違いとは?

編集部編集部

骨折や肩こりなどで受診するとき、整形外科と整骨院で迷うことがあります。

中村正則先生中村先生

まず、整骨院には「医師がいない」ということを知っておいてください。例えば、交通事故などに際して家庭裁判所や自動車保険の保険会社から「診断書」の提出を求められた場合、診断書の発行は医師にしかできない行為なので、整骨院では発行できません。また、医師にかかっていないと、事故後の後遺症診断もできなくなってしまいます。

編集部編集部

整骨院に施術記録が残っていても、後遺症の判断基準にはならないのでしょうか?

中村正則先生中村先生

そういうことですね。「事故後の体の状態はこうでした」という事実を“医師が”記録に残しておけば、後遺症と事故を紐づける医学的な証拠になり得ます。こうした記録が残っていないと、「本当に事故の後遺症なのか、最近になって腰を痛めたのではないか」などという疑いをもたれてしまいかねません。そして、その否定もできないわけです。また、後遺症診断も医師にしかできない行為です。

編集部編集部

交通事故の手続き面で大きな違いがあるということですね。もっと、治療や診察に関わる話だと思っていました。

中村正則先生中村先生

もちろん、X線や超音波検査のような「原因を特定する診断行為」は、医師のいる整形外科でしかできません。原因がわかってはじめて「治す」ことができるわけですから、原因の特定は重要です。そして、その後の治療も医師にしかできない医療行為です。

編集部編集部

マッサージや鍼灸(しんきゅう)は、治療に該当しないということですか?

中村正則先生中村先生

はい。そもそも治療とは、病気やけがを治すための医療行為のことを指します。そのため、治療や薬の処方ができるのは“医師”に限られるのです。一方、整骨院に在籍しているのは“柔道整復師”という資格者で、医師ではありません。柔道整復師法では、柔道整復師の業務範囲は「外傷による捻挫や打撲に対する施術と骨折・脱臼の応急処置」とされています。

整骨院へ行った方がいい場合は?

整骨院へ行った方がいい場合は?

編集部編集部

今までの流れだと、整骨院に行く機会があまりなさそうです。

中村正則先生中村先生

そんなことはないと思います。整形外科という医療機関の盲点は、「異常がみられず診断に至れないと、医療プロトコルへ入れない」ということです。例えば、「原因不明の腰痛」ということになると、原則として医療行為しかしてはいけないことになっているため、打つ手は限られます。

編集部編集部

つまり、医療行為が及ばない範囲を整骨院は担っているということですか?

中村正則先生中村先生

そういうことです。整骨院での手技や鍼灸などで痛みが緩和することもあります。そのため、医療機関で「原因不明」と言われた場合の受け皿として、整骨院を活用してもいいのではないでしょうか。ただし、目安として2~3週間が経過しても症状が改善しない場合は、再度整形外科を受診してください。原因不明と言われた初診時と状況が変わっているかもしれないですからね。いずれにしても、整骨院への長期通院は推奨できません。月に一度くらいは、医師の診察を受けることを推奨します。

編集部編集部

「薬に頼りたくない」場合は整骨院ですか?

中村正則先生中村先生

そうとも限りません。医療機関では、薬以外の治療法も多々あります。頻度からしたら、医療機関で「原因がわからないので、薬で様子を見ましょう」と言われたときにどうするかですね。長期にわたる薬物療法を拒否して、整骨院での施術に切り替えるのは自由です。一方、診断がついていて、その必要性から薬を処方した場合などは、むやみに否定していただきたくないですね。前述したように、再度診断してもらうことが大切となります。

整形外科へ行った方がいい場合は?

整形外科へ行った方がいい場合は?

編集部編集部

体の痛みについて、自分で「怖い病気に気づいていない」可能性もありそうです。

中村正則先生中村先生

はい。例えば、腰痛といっても単に筋肉の痛みだけでなく、脊椎の疾患や股関節が原因のこともあります。また、腎臓などの疾患が腰痛を起こすこともあります。内臓疾患は整形外科の専門外ですが、少なくとも医師であれば、その可能性を疑います。必要に応じて内科や婦人科、泌尿器科などをご紹介できるでしょう。

編集部編集部

ちなみに、形成外科と整形外科の違いについても教えてください。

中村正則先生中村先生

形成外科は、「やけどや外傷などの身体表面に生じた見た目の良くない状態を“綺麗に”治す」医療機関です。対する整形外科は、「運動器の不調を治す」医療機関です。体の表面で目に見えている箇所なら形成外科、筋肉や骨、関節といった体の内部のことは整形外科になります。どちらか悩む場合、いずれかに電話すれば、ふさわしい受診先を教えてくれると思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中村正則先生中村先生

肩こりや腰痛の受診先で悩まれたら、整形外科を受診しておけば間違いないと思います。仮に保険会社から整骨院と指定してきたとしても、医師が診たらまた違う話になるかもしれません。総じて、「医師にしかできないこと」が確実にありますので、それらの抜け漏れに注意してください。

編集部まとめ

整骨院は痛みの緩和を、整形外科は治すことそのものを手がけているということでした。また、医師の診断記録が「医学的な事実」として保険などの手続きに添えられるという点も覚えておいた方がよさそうです。さらに、役割分担とは違った視点で差異を付け加えるとすれば、「整骨院で保険が使えるのは、急性期の症状だけ」ということです。この事実から、もともと整骨院は慢性疾患や長期通院を前提にしていないことがうかがえます。

医院情報

戸越銀座なかむら整形外科

戸越銀座なかむら整形外科
所在地 〒142-0051 東京都品川区平塚2-15-15 2F
アクセス 東急池上線「戸越銀座駅」 徒歩2分
都営浅草線「戸越駅」 徒歩4分
診療科目 整形外科、リハビリテーション科、泌尿器科