ニキビ治療は皮膚科と美容皮膚科どっちを受診したらいい? 医師が違いと特徴を解説
「ニキビを病院で治療してもらおう」と思ったとき、皮膚科と美容皮膚科のどちらに行けばいいのか悩んだことがある人もいるでしょう。一体、両者の治療内容や費用には、どのような違いがあるのでしょうか。今回は「ニキビ治療における皮膚科と美容皮膚科の違いと特徴」について、美容皮膚科医の山屋雅美先生(美容皮膚科タカミクリニック 副院長)に解説していただきました。
監修医師:
山屋 雅美(美容皮膚科タカミクリニック)
目次 -INDEX-
肌の悩みで知っておきたい皮膚科と美容皮膚科の違いを医師が解説
編集部
「皮膚科」と「美容皮膚科」には、どのような違いがあるのですか?
山屋先生
「一般皮膚科」は、基本的に保険が適用される皮膚疾患に対する対処的な治療を施す標榜科です。皮膚「疾患」に対する治療なので、外用薬や内服薬などで疾患の治癒を目指しますが、予防領域の治療はおこないません。また、保険枠の中では提供される薬が限定されているため、どの病院でも処方される薬はだいたい同じものになってしまいます。
編集部
もう一方の「美容皮膚科」についてはいかがでしょうか?
山屋先生
「美容皮膚科」では、保険枠に限定されない美容医療や、そのクリニックでしかおこなっていないオリジナルの施術など、様々な美肌治療を受けることができます。皮膚疾患の治療だけにとどまらず、さらに綺麗な肌を目指すための美容的な視点や患者さんのライフスタイルにも配慮した医療を提供することが可能です。
編集部
診療内容が異なるということでしょうか?
山屋先生
そうですね。シミ治療を例に挙げて考えてみましょう。シミには様々な種類があり、それらを見極めるためには豊富な臨床経験が必要となるため、医師であれば誰でもおこなえるというわけではありません。美容皮膚科であれば、シミの種類を見極めて症状に合わせた適切な処置を施すことが可能です。さらに、シミを取るだけではなく、顔全体のスキントーンをアップするといった、さらに上質な美肌をつくる提案まで可能です。
編集部
なるほど。トラブルの改善だけではないということですね。
山屋先生
はい。本当の意味で肌を美しくしたいのであれば、美容皮膚科への受診がおすすめです。ニキビやシミを改善したいという人から、エイジングやキメの乱れ、くすみなど複合的な悩みを持つ人まで、様々な肌の悩みに応えてくれるはずです。
皮膚科と美容皮膚科で受けられるニキビ治療を比較 治療方法はどんな違いがある?
編集部
ニキビ治療がしたいです。「ニキビ」は「疾患」になりますか?
山屋先生
はい。「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という診断名の「皮膚疾患」なので、一般皮膚科でも治療が可能です。
編集部
具体的に、どのような治療をするのですか?
山屋先生
一般皮膚科では、保険が適用される範囲内でお薬を処方することが多いですね。例えば、「赤ニキビ」のように炎症を起こしている場合は、ニキビの原因となるアクネ菌を殺菌する抗生物質の塗り薬や飲み薬を処方します。そのほかにも、症状に応じて、毛穴の詰まりを取る塗り薬やビタミン剤などが処方されます。
編集部
美容皮膚科でニキビを治す場合は?
山屋先生
先ほどもお伝えしたように、美容皮膚科のゴールは「疾患の治療」ではなく「さらに上質な美肌」です。そのため、今あるニキビを治すだけでなく、ニキビ跡を残さない、さらにはニキビを繰り返さない肌質へと根本から改善することを目指しています。
編集部
なるほど。どのような治療が受けられるのでしょうか?
山屋先生
例えば当院の場合、角質ケアをするためのピーリング薬や植物由来女性ホルモン様成分、ビタミンC誘導体を配合したニキビ治療用ローションなどの独自で開発している「オリジナル治療薬」、レーザー治療や光治療などの「院内施術」、美容皮膚科医が診察した上で処方するクレンジングや化粧水などの「院内処方コスメ」を組み合わせた治療をおこなっています。
ニキビ・ニキビ跡ができたら皮膚科と美容皮膚科どっちを受診するのがいい?
編集部
ニキビやニキビ跡ができたら、どちらを受診するのがいいですか?
山屋先生
今あるニキビを治したい、炎症を抑えたい、ということが目的でしたら一般皮膚科が望ましいでしょう。しかし、ニキビができないようにしたい、さらなる美肌を目指したい、という目的があれば美容皮膚科の受診をおすすめします。なお、「ニキビ跡」は医療保険の適用外なので、基本的に一般皮膚科では対応していません。
編集部
なぜ、ニキビ跡は医療保険の適用外なのですか?
山屋先生
いわゆる「皮膚疾患」ではないからです。「ニキビ跡」とは、すでに治ったニキビの場所に残ったクレーターや色素沈着などを指します。クレーターなどの肌の凸凹を滑らかにしたり、色素沈着を薄くしたりすることは、「疾患の治療」ではなく美容目的にあたるので保険適用外となります。
編集部
費用面はどうですか?
山屋先生
一般皮膚科の場合、処方される薬の種類や数にもよりますが、保険が3割負担だと、診察・検査・処方料・薬代などを合わせて2000~3000円程度でしょう。美容皮膚科の場合は、治療内容が多岐にわたるので一概には述べられませんが、自費診療となるので一般皮膚科よりは高額になる場合がほとんどです。まずは一般皮膚科で相談してみて、さらに良い結果をご希望であれば美容皮膚科というように使い分けるのもアリだと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山屋先生
美容皮膚科医としては、ニキビやニキビ跡も皮膚の病気の一種と捉えています。ニキビやニキビ跡、さらにはシミ・しわまで肌の悩みに対して総合的にアドバイスさせていただいています。ニキビを繰り返さない健康で上質な肌質を目指したい人は、ぜひ気楽に美容皮膚科へご相談いただければと思います。
編集部まとめ
皮膚科と美容皮膚科の違いについて、ニキビ治療を中心にお話を伺いました。疾患を治すなら皮膚科、さらに健康で上質な美肌を目指すなら美容皮膚科と、必要に応じて使い分けるのがよさそうです。
医院情報
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山3-18-20 松本ビル3F・4F・5F |
アクセス | 東京メトロ「表参道駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科、美容皮膚科 |