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ニキビ跡を消す方法を美容皮膚科医が解説 市販薬で色素沈着は治せる? 病院ではどんな治療がある?

 更新日:2023/03/02
ニキビ跡を消す方法を美容皮膚科医が解説 市販薬で色素沈着は治せる? 病院ではどんな治療がある?

「10代の頃にできてしまったニキビの跡がなかなか消えない」など、ニキビ跡に悩まされている人も多いのではないでしょうか。また、「現在ニキビができているけれど、跡を残さないためにはどうしたらいいのだろうか?」と考える人もいらっしゃるでしょう。今回は、ニキビ跡を残さないためにはどうすればいいのかについて、「私のクリニック目白」の平田先生に伺いました。

平田 雅子

監修医師
平田 雅子(私のクリニック目白)

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日本大学医学部卒業。その後、東京医科大学病院勤務医、東京医科大学八王子医療センター助手、都内皮膚科副院長を務める。2003年、東京都豊島区に「私のクリニック目白」を開院。「女性を健康で綺麗にするために」をモットーに掲げ、日々診療に努めている。医学博士。日本皮膚科学会認定専門医。日本医師会認定産業医。国際中医薬膳師。

なかなか消えないニキビ跡はなぜできるの? ニキビ跡の種類とそれぞれの原因を皮膚科医が解説

なかなか消えないニキビ跡はなぜできるの? ニキビ跡の種類とそれぞれの原因を皮膚科医が解説

編集部編集部

ニキビ跡がなかなか消えません。なぜでしょうか?

平田 雅子先生平田先生

ニキビそのものが治った後、肌に赤みや黒ずみ、色素沈着が残ったり、肌がでこぼこしてクレーター状になってしまったりした状態のことをニキビ跡と言います。多くの場合、適切なニキビケアがおこなわれなかったことが原因で残ってしまいます。

編集部編集部

ニキビ跡にも様々な種類があるのですか?

平田 雅子先生平田先生

はい。一般的に、ニキビ跡には大きく分けて3つあります。肌に赤みが残るタイプ」「肌に黒ずみが残る色素沈着タイプ」「肌に凹凸ができるクレータータイプ」です。そして、それぞれの原因は異なります。

編集部編集部

具体的に、どのような違いがあるのでしょうか?

平田 雅子先生平田先生

まず、赤みが残ってしまったタイプは「炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)」とも呼ばれ、最も多いケースです。多くの場合、ニキビは毛穴に老廃物や皮脂が詰まってしまい、それが原因となって炎症が起こることで発生します。その炎症が適切にケアされず、いつまでも炎症が続いてしまうと、ニキビが治った後でも赤みとして残ってしまうことがあります。また、炎症部位は毛細血管が開いてしまうので、それが皮膚から透けて見えるときにも、赤みタイプのニキビ跡になってしまいます。

編集部編集部

色素沈着タイプは?

平田 雅子先生平田先生

炎症によって肌がダメージを受けると、「メラノサイト」という物質が刺激を受け、メラニンを大量に作り出してしまいます。過剰なメラニンはシミの元になるため、ニキビが治ったあとでも茶色いシミが残ってしまい、色素沈着してしまうのです。

編集部編集部

最後、クレータータイプについてはいかがでしょうか?

平田 雅子先生平田先生

クレータータイプは、赤みや色素沈着よりもさらに重いニキビ跡です。皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの層で構成されていますが、真皮の深いところにできた炎症が強いニキビを放置したり、自分で潰すのを繰り返したりすると、ニキビ周辺の組織が壊れてしまいます。そして、その修復過程でコラーゲンが癒着して、クレーター状にでこぼこします。

ニキビ跡を消すための方法は? 市販薬でも治せる? 皮膚科医が治療法をご紹介

ニキビ跡を消すための方法は? 市販薬でも治せる? 皮膚科医が治療法をご紹介

編集部編集部

ニキビ跡は消すことができるのでしょうか?

平田 雅子先生平田先生

正しい処置をすれば、消すことは可能です。しかし、実際に来院される患者さんをみていると、もともとそれほどニキビができる体質ではないのに、1~2個のニキビをこじらせてしまっている人が多いように思います。その結果、ニキビ跡が残ってしまうのです。

編集部編集部

なぜ、こじらせてしまうのですか?

平田 雅子先生平田先生

原因は様々です。例えば、ニキビができるとこれまで以上に一生懸命洗顔をする人がいます。ところが、あまりにも洗顔の回数が多過ぎると、肌のバリアと言われる皮脂膜がなくなってしまいます。その結果、乾燥が進み、かえってニキビができやすくなってしまいます。

編集部編集部

誤ったケアが、余計にニキビをこじらせているのですね。

平田 雅子先生平田先生

はい。ニキビ用の塗り薬を患部だけでなく、顔全体に使ってしまったり、もともとニキビ肌ではないのにニキビ用の基礎化粧品を使用したりと、誤った行動がニキビを悪化させてしまいます。そうした習慣がニキビ跡を残してしまう原因となるのです。

編集部編集部

どうすればニキビ跡を残さずに治療することができるのでしょうか?

平田 雅子先生平田先生

まず、できるだけ早く正しい対処をすることが大切です。ニキビ跡は、一度できてしまうと自然治癒することはほとんどありません。とくに、クレーター状になってしまうと治療に時間がかかってしまいます。まずは市販の塗り薬を使ってみたり、普段以上に丁寧に保湿したりして、2週間セルフケアを続けてみてください。2週間続けても改善しない場合には、皮膚科や美容皮膚科など専門医の診察を受けることをおすすめします。

編集部編集部

市販薬でも治すことができるのですか?

平田 雅子先生平田先生

その人の体質によっても異なりますが、正しく薬を選択すれば改善することもあります。

編集部編集部

具体的に、どのような薬が有効ですか?

平田 雅子先生平田先生

例えば、赤みタイプや色素沈着タイプのニキビ跡は、「ビタミンC」が有効です。ビタミンCにはメラニンの生成を抑制し、すでに沈着してしまった色素を薄くしてくれる働きがあります。そのため、化粧品や美容液などを使う場合は、ビタミンCが配合されたものを選ぶのがいいでしょう。また、「ハイドロキノン」も色素沈着を改善するのに有効とされています。ただ、乾燥肌の人には刺激になることもありますので、医師と相談のうえ使用しましょう。

編集部編集部

クレータータイプは市販薬で治すことができますか?

平田 雅子先生平田先生

肌がでこぼこしているケースだと、市販薬で治すのは困難かもしれません。その場合には皮膚科や美容皮膚科などで、レーザーを使った治療などが必要になります。ただし、繰り返しにはなりますが、まずは2週間セルフケアを続けてみて、それでも改善しない場合に医師の診察を受けることをおすすめします。2週間続けてみて効果がない場合は、その方法は自分には合っていないということですから、早めに専門医の診察を受けましょう。

「できてしまったニキビ跡を消す」+「新しいニキビ跡を作らない」ために、日常生活で気をつけたいこと

「できてしまったニキビ跡を消す」+「新しいニキビ跡を作らない」ために、日常生活で気をつけたいこと

編集部編集部

ニキビ跡を消すことに加えて、新しいニキビを作らないために、生活習慣で気をつけるべき点を教えてください。

平田 雅子先生平田先生

まずは「食事」を見直してみましょう。ニキビ跡を改善するのに役立つ栄養素は、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eです。ビタミンAは肌のターンオーバーを整える働きがあり、ビタミンB1は肌のバリア機能を高める作用があります。また、ビタミンB2は「美肌ビタミン」とも呼ばれており、肌の材料となるタンパク質や脂質の代謝に関わっています。ビタミンB6も肌の代謝に深く関わっているので、肌に欠かせない成分です。ビタミンEは、肌荒れの解消に効果があるとされています。これらのビタミンを食事でしっかり補うとともに、必要に応じてサプリメントを併用するといいでしょう。

編集部編集部

食事以外に、気をつけるべきことはありますか?

平田 雅子先生平田先生

基本的なことですが、「保湿」と「紫外線対策」もしっかりおこないましょう。また、ストレス、運動不足、睡眠不足、便秘などは肌のターンオーバーを乱す原因となります。健康な肌へ生まれ変わるのを阻害してしまいますから、心身ともに健康的な生活を送ることも大切です。

編集部編集部

ニキビができてしまった場合には、どうすればいいのですか?

平田 雅子先生平田先生

膿が溜まっているような重いニキビの場合には患部を冷やしましょう。しかし、すでに膿が破裂してしまったような場合には、患部を温めることでニキビ跡になりにくくなります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

平田 雅子先生平田先生

なかには、食事が原因でニキビができるという人もいらっしゃいます。とくに、口周りにニキビができやすい人は、体質に合わない食べ物を摂っている可能性があります。一例を挙げると、小麦がニキビの原因になりやすい人は意外と多いですね。朝食にパンを食べる程度なら反応しないけれど、昼食や夕食にもパスタやうどんなど小麦が使われている食事を摂っていると、自分の許容量を超え、アレルギー反応としてニキビが生じる場合もあります。もし、肌の手入れを頑張ってもニキビができるという場合には、食生活を振り返ってみてください。小麦を摂りすぎているなと感じたら、2週間程度やめてみることをおすすめします。また、医療機関などでおこなっているアレルギー検査もニキビの原因を突き止めるのに役立つかもしれません。

編集部まとめ

ニキビができると肌の状態が悪くなるだけでなく、精神的にも落ち込んでしまいますよね。とくに、ニキビ跡になってしまったらなおさらメンタルのダメージも大きくなります。ニキビができたら跡にならないよう、丁寧なケアをおこなうようにしましょう。もし、セルフケアを2週間続けても治らなければ、早めに医師の診察を受けてくださいね。

医院情報

私のクリニック目白

私のクリニック目白
所在地 〒171-0031 東京都豊島区目白1-4-1 JR東日本ホテルメッツ目白1階
アクセス JR「目白駅」 徒歩1分
診療科目 皮膚科、美容皮膚科、内科、アレルギー科、心療内科

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