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化膿したニキビ、どうやって治したらいい?

 更新日:2023/03/27

思春期の若者から大人まで、多くの人が悩まされているニキビ。放っておいて治ることもあれば、悪化して化膿してしまうこともあります。「化膿したニキビはどう治せばいいのか」「薬局の薬で治せるのか」などの疑問に、大西皮フ科形成外科医院・院長の大西先生が答えてくれました。

大西 勝

監修医師
大西 勝(医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院 滋賀大津石山院 院長)

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香川医科大学(現・香川大学医学部)卒業。京都大学医学部附属病院形成外科、大阪赤十字病院形成外科などを経て、1997年に大西皮フ科形成外科医院・滋賀大津石山院を開院。その後、2012年に京都四条烏丸院を開院。日本形成外科学会認定専門医、日本臨床皮膚外科学会認定医、日本臨床抗老化医学会認定医など、多数の資格を有する。

化膿したニキビの治し方は?

化膿したニキビの治し方は?

編集部編集部

まず、ニキビの化膿とはどのような状態を言うのですか?

大西 勝大西先生

ニキビが炎症を起こして赤くなった状態で「赤ニキビ」とも呼ばれています。症状がさらに進行して、膿が溜まって黄色く見えるようになると「黄ニキビ」とも呼ばれますね。

編集部編集部

化膿したニキビの治療法について教えてください。

大西 勝大西先生

化膿したニキビは、市販の塗り薬はなかなか治りません。ニキビ自体はもともと「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という立派な皮膚疾患です。化膿が進むとニキビ跡が傷跡として残ってしまうため、皮膚科の受診をおすすめします。

編集部編集部

皮膚科ではどのように治すのでしょうか?

大西 勝大西先生

まず、保険治療としては飲み薬と塗り薬があります。塗り薬のアダパレンや過酸化ベンゾイルを中心に、補助的に抗生物質を内服します。また、漢方の内服薬もあります。塗り薬には出来てしまったニキビに塗るもの、ニキビが出来るのを予防するものがあります。保険外治療としてはケミカルピーリングやレーザー治療、トレチノイン治療などがあります。

編集部編集部

市販の塗り薬でも治すことはできるのでしょうか?

大西 勝大西先生

塗り薬に関しては、薬局や通販での入手も可能です。ただ、塗り薬にもさまざまな種類があります。皮膚科を受診する方が選択肢も豊富で、症状や肌質に適したものを処方してもらえます。このため、基本的に皮膚科を受診していただく方がいいでしょう。飲み薬は、もちろん皮膚科を受診しなければ入手できません。ニキビの飲み薬を通販などで買うのは危険なので、くれぐれも控えてください。

編集部編集部

抗生物質以外の、通常のニキビ向けの市販薬はどうですか?

大西 勝大西先生

化膿する前の初期のニキビには有効です。しかし、化膿し始めたら抗生物質の入っていない市販薬は効きません。

編集部編集部

化膿したニキビは、潰してはいけないのでしょうか?

大西 勝大西先生

膿が溜まっている場合、潰した方がいいこともあります。しかし、自己流で潰したり触ったりするのはお勧めできません。傷跡が広がり、くぼみ(クレーター)になってしまうこともあります。このため、自分では触らず、やはり皮膚科を受診していただくのがいいでしょう。

編集部編集部

自然に潰れてしまったらどうすればいいでしょう?

大西 勝大西先生

この場合はできるだけ清潔に保ち、抗生剤を塗るようにしてください。洗顔と塗り薬が重要です。

保険適用での治療法

保険適用での治療法

編集部編集部

皮膚科の治療では、どのような内服抗生剤を処方するのでしょう?

大西 勝大西先生

ミノマイシン」「ルリッド」が代表的です。どちらも、細菌の繁殖をストップさせます。細菌が繁殖するには、タンパク質の合成が必要です。その合成を邪魔することで、繁殖をストップさせる仕組みですね。

編集部編集部

外用薬では、どのような抗生剤を処方するのでしょう?

大西 勝大西先生

ダラシンT」「アクアチム」「ゼビアックス」などが代表的です。それぞれにゲル・クリーム・ローションなどのタイプがあります。タイプまで含めていうと、ダラシンTゲル、アクアチムクリーム、ゼビアックスローションなどが特にメジャーなものです。

編集部編集部

抗生剤には、リスクやデメリットはないのでしょうか?

大西 勝大西先生

長期間使い続けていると効かなくなる」のがデメリットです。このため、内服期間は1~3カ月にとどめるのが理想です。しかし、症状を抑えることも大事ですので、最終的には医師と相談しながら決める必要があります。

編集部編集部

ニキビ治療で漢方薬を処方することはありますか?

大西 勝大西先生

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」という漢方薬は、非常に有効です。この漢方薬は保険適用で処方が可能です。同じ十味敗毒湯でも、メーカーによって成分がやや異なるため、当院ではより効果が期待できるメーカーのものをおすすめしています。

保険適用外での治療法

保険適用外での治療法

編集部編集部

保険外治療では、どのような選択肢があるでしょう?

大西 勝大西先生

主にケミカルピーリング、レーザー、トレチノイン外用、イソトレチノイン内服治療、低用量ピルなどがあります。ケミカルピーリングとは、グリコール酸や乳酸などの酸を用いて、皮膚表面の古い角質を除去する治療です。ニキビの場合、毛穴の出口に詰まった角質を剥がすことで、中に詰まっていた皮脂や膿を排出しやすくします。

編集部編集部

イソトレチノイン内服治療とは、どのようなものでしょう?

大西 勝大西先生

「ビタミンA誘導体」でできた内服薬を飲む治療です。重症なニキビの治療に効果がありますが、副作用が大きいため、適用は慎重にします。

編集部編集部

低用量ピルについても教えてください。

大西 勝大西先生

ホルモンの分泌を調整する、女性専用のニキビ治療薬です。女性の場合、ホルモンの乱れでニキビが悪化していることがあります。その場合に、ピルが有効です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

大西 勝大西先生

病院でおこなえるニキビ治療は、数年前までは非常に選択肢が少ないものでした。たとえばイオウの外用薬やアクアチムクリームなど、限られた選択肢しかなかったのです。しかし、ここ数年で急激に、保険適用の非常にいい薬が増えました。このため、化膿したニキビは自己流で治療せずに、クリニックを受診していただけたらと思います。あるいは、これまで一生懸命通院していて、保険治療に限界を感じている方や、「ニキビは治ったものの、色素沈着やクレーターなどのニキビ跡が気になる」という方もおられるかと思います。このような方々の場合、保険外治療で良い選択肢が多くあるため、それらの治療を受けることも、検討していただくとよいかと思います。

編集部まとめ

初期ニキビは薬局などの薬で治せても、化膿したニキビを自力で治すことは難しいものです。悪化してニキビ跡が残るリスクを避けるためにも、できるだけ皮膚科を受診するようにしましょう。今は保険診療でも優れた治療の選択肢が多くあり、保険外治療まで含めれば非常に多くの治療法があります。ニキビの原因や自身の肌の状態を正しく知るためにも、まず一度皮膚科に相談してみるといいでしょう。

医院情報

医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院 滋賀大津石山院

医療法人 大美会 大西皮フ科形成外科医院 滋賀大津石山院
所在地 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 JR石山駅前近江鉄道ビル3F
アクセス 東海道本線(琵琶湖線)「石山駅」南口 徒歩1分
診療科目 皮膚科、形成外科、美容皮膚科、美容外科

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