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【雑誌「anan」連動企画 vol.02】最新ニキビ治療、保険適用で広がった可能性《皮膚科》

 更新日:2024/06/13
【雑誌「anan」連動企画 vol.02】最新ニキビ治療、保険適用で広がった可能性《皮膚科》

「Medical DOC」副編集長・佐藤あやが、気になる最新医療にQ&Aで迫る連載企画の第2回。今回のテーマは、治ったと思ってもまたぶり返す、しつこい大人ニキビ。実は保険治療で、ニキビ撲滅も可能に!? 皮膚科専門医の大島昇先生に、最新のニキビ治療についてお伺いしました。

※2022年2月22日発売の「anan」に掲載された記事「“メディカルケア”リサーチ」をMedical DOC用に再編集しています。

大島 昇先生

監修医師
大島 昇(渋谷駅前おおしま皮膚科 院長)

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日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。“患者さま目線のクリニック”をモットーに、保険診療から自由診療まで幅広く対応し、あらゆる皮膚トラブルに最適な治療を提案。確かな技術が必要な粉瘤手術やほくろ、アザなどのレーザー治療にも定評がある。

佐藤あやさん

佐藤あや(「Medical DOC」副編集長)

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モデル、リポーター。2021年8月から「Medical DOC」の副編集長としても活動を開始。最新の美容・医療・健康情報には常にアンテナを張っている。1児の母。Instagramは@faafa8

ニキビの原因は皮脂分泌の過剰や毛穴のつまり。種類も進行もさまざま

ニキビの原因は皮脂分泌の過剰や毛穴のつまり。種類も進行もさまざま

編集部佐藤あや

できては治り、また繰り返す大人ニキビの原因やメカニズムを教えてください。

大島 昇先生大島先生

大人ニキビの主な原因は、皮脂分泌が過剰になってしまうこと、もしくは化粧品や肌荒れなどを起因とした、毛穴のつまりであることが多いです。これはオイリー肌の方に限った話ではなく、乾燥肌の方でも同じ。乾燥すると肌を守ろうとして皮脂分泌が盛んになってしまうので、ニキビができやすくなります。また今なら、マスクによる肌荒れもニキビを誘発する原因となります。

編集部佐藤あや

そのほかにも何か理由はあるのでしょうか?

大島 昇先生大島先生

そのほか、ホルモンバランスの影響も考えられます。皮脂の分泌を促す男性ホルモンが活発になると、ニキビができやすい傾向があります。ただ、卵巣で男性ホルモンがたくさん作られてしまう多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病気でニキビができることもあるので要注意。月経不順が続く場合は、婦人科を受診することをおすすめします。

編集部佐藤あや

病気の可能性もあるとは驚きでした。やはりニキビは放置しておくのは良くないですよね?

大島 昇先生大島先生

ニキビはこれらの原因が複雑に絡み合ってできやすくなりますが、種類や進行もさまざまです。まず、皮脂腺の分泌が盛んになり、毛包漏斗部と呼ばれる毛穴の先の角化が亢進して閉塞する(=毛穴のつまり)と、中に皮脂がたまって、ニキビの初期段階である、〝白色面ぽう(コメド)〟と呼ばれる硬くプチッとした白ニキビが形成されます。さらに、毛穴につまった皮脂を好むアクネ菌が増殖して炎症を起こすと、赤ニキビへと進行します。これを放置していると、毛穴の壁が破壊されて膿がたまった膿疱や嚢腫が形成されます。その後、炎症がおさまったあと肌に凸凹したニキビ痕を残してしまうことも。

編集部佐藤あや

大人ニキビは、原因も段階もさまざま。悪化しないうちにケアしたいですね。

ピーリング系塗り薬が処方されるようになり、白ニキビから保険適用に

保険適用で広がった、最新ニキビ治療の可能性

編集部佐藤あや

皮膚科ではどんな治療が受けられて、どのニキビの段階で行くのが正解ですか?

大島 昇先生大島先生

ニキビができても、市販薬やセルフケアでどうにかしようとしたり、炎症を起こした赤ニキビになってからようやく皮膚科を受診される方も多いと思いますが、初期段階の白ニキビのうちに皮膚科へ行くことをおすすめします。そうすることで、ニキビ痕が残るリスクを減らし、そもそもニキビができにくい根本治療を目指せるのです。

編集部佐藤あや

たしかに、初期段階で「皮膚科に行こう」と考える人は少ないかもしれませんね。実際のメリットは大きいだけに、嬉しいアドバイスです。

大島 昇先生大島先生

ここ数年で皮膚科でのニキビ治療も大きく変化しました。昔は、赤ニキビの段階にならないと保険治療の適用にはならなかったし、抗生物質を投与して炎症を抑えたら、治療終了という方針でした。しかし現在は、初期の白ニキビから保険治療が受けられるようになり、いわゆるピーリング作用のある塗り薬が処方されるように。今できているニキビを治療するだけでなく、ニキビができにくい肌に近づくことが期待できます。

編集部佐藤あや

ニキビの治療薬にはどのようなものがあるのですか?

大島 昇先生大島先生

白色面ぽう改善薬には、アダパレンと過酸化ベンゾイルの2種類があり、海外では昔から使われてきた実績のある薬です。アダパレンは、毛穴のつまりをレチノイド様作用で改善してくれます。過酸化ベンゾイルは、抗生物質ではありませんが、アクネ菌に対する殺菌作用があり、かつケミカルピーリングのように角質を剥がしてくれる効果もあります。

編集部佐藤あや

治療薬を使う上での注意点などがあれば、教えてください。

大島 昇先生大島先生

どちらも白色面ぽう治療に効果がありますが、最初は皮剥けや赤み、乾燥、かゆみなどが出やすいという副作用も。この段階で、自己判断で脱落してしまう人もいるのですが、1か月くらい使えばおさまる人もいます。ただやはり継続困難な人もいるのが実情です。いちど脱落した人も保湿剤を併用、短時間で洗い流す、少量から始めるなどちょっとしたコツでうまく使えることも。ですので、ぜひ皮膚科で相談していただければと思います。ただし、進行してクレーターになったニキビ痕は、ピーリングやレーザーといった自費治療が必要になることも。そういった治療でもキレイな肌に戻すのは大変です。ですので、初期段階のうちに治療するのがいいですね。

編集部佐藤あや

保険治療がこんなに進んでいるなんて驚きでした。これからは白ニキビができたらすぐに、皮膚科に行こうと思います。

1回の治療では難しいことも多く、長期戦でしっかり治療を

保険治療でニキビのできにくい肌が目指せるのは嬉しいですね!

編集部佐藤あや

大人ニキビを早く根治させるためには、どのくらいの期間通院すればいいですか?

大島 昇先生大島先生

そもそもニキビは慢性疾患。表面に見えるニキビがなくなっても、周囲にはまだ目に見えない、微小面ぽうと呼ばれるニキビ予備軍が潜んでいます。ですので、ニキビを完全に治すためには、半年から1年くらい、面ぽう治療を続けることが大切。

編集部佐藤あや

症状などによっても違ってきそうですね。

大島 昇先生大島先生

急性期と呼ばれる、赤ニキビの炎症がひどい最初の3か月は、2週に一回程度受診していただいて、白色面ぽう改善薬や抗生物質などを併用して炎症を最短で抑えます。その後は、1〜2か月に一回ペースで受診していただき、ピーリング系の白色面ぽう改善薬で、ニキビができにくい肌質を目指すのが、今のニキビ治療のスタンダードです。

編集部佐藤あや

最後に、ニキビで悩む方へ向けて、先生からメッセージをお願いします。

大島 昇先生大島先生

たかがニキビと思わずに、繰り返す大人ニキビで悩んでいる人は、いちど皮膚科を受診してください。今は保険治療で、ニキビができにくい肌質を目指せる根本ケアができるようになりました。そのためには、皮膚科の医師が作ったニキビ治療のガイドラインにのっとって治療してくれる、皮膚科専門医がいる病院へ行きましょう。

編集部佐藤あや

ニキビって1週間くらいで治ると思っていました。適切な最新ニキビ治療をしてくれる皮膚科探しのためにも、私たちMedical DOCも活用してくださいね。

写真・土佐麻理子
ヘア&メイク・樋口明奈(佐藤さん)
取材、文・岡井美絹子

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