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糖尿病予防のための食生活 専門医お勧めのメニューや食べ方「糖尿病になりにくい生活習慣」とは

公開日:2022/10/04  更新日:2022/09/30
糖尿病予防のための食生活 専門医がお勧めする食事メニューや食べ方「糖尿病になりにくい生活習慣」を教えて!

糖尿病を普段の食事で予防していこうという考え方が定着しつつあります。加えて運動などの生活習慣をはじめとした「なりにくい生活」も問われそうです。そこで、糖尿病予防の新常識について、Medical DOC編集部が内科医の名和先生(名和内科クリニック)を取材しました。

名和 知久礼

監修医師
名和 知久礼(名和内科クリニック)

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信州大学医学部卒業。東京医科歯科大学大学院修了。糖尿病を中心とした内科診療経験を積んだ後の2021年、東京都品川区に「名和内科クリニック」開院。医療の原点に戻り、地域の皆様に必要とされる医院をめざしている。医学博士。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本肥満学会の各会員。

糖尿病を予防するための食事の献立はどうしたらいい? おすすめの食べ物・メニューの考え方を教えて

糖尿病を予防するための食事の献立はどうしたらいい? おすすめの食べ物・メニューの考え方を教えて

編集部編集部

糖尿病対策として、レシピ本やメニュー本が人気のようです。

名和 知久礼先生名和先生

今回のテーマは「糖尿病になる前の予防」です。糖尿病にかかったときの対策ではありません。ですが、食事についていえば、糖尿病対策が予防も兼ねる印象ですね。レシピ本などの内容を「糖尿食」「健康食」などと呼びますが、総じて「栄養バランスに優れたメニュー」となっています。その背景にあるのは、「好きなものだけ食べる偏食」や「食べすぎ」、ことに「夕飯主体の食生活」です。こうした要因が糖尿病リスクを押しあげます。つまり、メニュー本は予防として成り立つということです。

編集部編集部

なるほど。ちなみに厚生労働省は糖尿病予防に対し、どのような警鐘を鳴らしているのでしょう?

名和 知久礼先生名和先生

目立つのは、食事内容より「運動の推進」を呼びかけていることです。目標値として、日常生活におけるウォーキングの歩数を男性で「約9200歩」、女性で「約8300歩」としています。また、肥満の方に関しては、もちろん肥満の解消を促しています。ただ、同じ歩数でも、歩き方のような個人差は出るでしょう。それに、運動だけで全てを解決できるわけでもないですよね。やはり、運動と食事の“両輪”がカギになります。

編集部編集部

食事内容に関して、減塩や炭水化物制限の話も良く聞きます。

名和 知久礼先生名和先生

「糖尿病に一番悪い食べ物は何ですか」という質問を良く受けますが、糖尿病に良い食品も悪い食品もありません。そうではなく、炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラルなどをバランス良くとることが重要です。そのうえで、1ついえるとしたら「塩分過多」でしょうか。日本人は現状、1日でおおむね3gの塩分を“過剰摂取”しています。塩分過多は糖尿病に限らず、全身の動脈硬化を引き起こす「万病の元」です。加えて味の濃いおかずは、主食の量を増やしかねません。

編集部編集部

栄養バランスとなると、素人には敷居が高く感じますが?

名和 知久礼先生名和先生

そうですよね。「食品交換表」などを検索して自己努力されてもいいのですが、“自分に都合の良いように解釈した我流”が心配です。遠回りにならないよう、やはり、いつでもなんでも相談できる「かかりつけ医」をもちましょう。それに「食品交換表」は、食べる時間のことまで教えてくれません。例えば、深夜に食べてそのまま寝ると、就寝中の胃酸過多が招くさまざまな病気を生じさせやすくなります。レシピだけでは解決しない糖尿病リスクもあるということですよね。レシピ本でおおまかな方向性を学び、「かかりつけ医」と一緒に、個人個人に合った食習慣が考えられればベストでしょう。

糖尿病を予防するための食事の量や食べる時間、食べ方など食生活のポイント

糖尿病を予防するための食事の量や食べる時間、食べ方など食生活のポイント

編集部編集部

レシピ以外の、食べ方のような工夫も必要と言うことでした。

名和 知久礼先生名和先生

はい。食習慣に関連して最近、注目されてきたのが「ベジタブルファースト」です。食物繊維の多い野菜を先に食べると、その後に食べた糖質の吸収が緩やかになります。また、先に野菜で「胃の中の体積の一部を埋めてくれる」効果にも期待できます。つまり、食べ過ぎ防止ですね。

編集部編集部

その食べ過ぎについてですが、太らなければ「適正な量」と考えていいでしょうか?

名和 知久礼先生名和先生

適正体重に近い方であれば、量としては「現状維持」でいいと思います。もし肥満傾向にあるなら、「BMI」という指数などを参考にして食事量を調整しましょう。BMIは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められ、「22」が標準体重とされています。もっとも、身長と体重しか考慮していない指数ですから、栄養バランスは反映されません。あくまでバランスのとれている食事が前提です。

編集部編集部

最後は食事の「回数」です。とくに朝食の必要性を耳にするのですが。

名和 知久礼先生名和先生

食事の回数を考えるとき、インスリンというホルモンの理解が欠かせません。「食事の後に、どうやってエネルギーがとりこまれるか」を考えてみましょう。エネルギーの元となるのは「糖分」です。そして、血中の糖分を各臓器に取り込ませているのが「インスリン」というホルモンになります。このインスリンに1度に負担をかけないとしたら、食事の回数は分散させるべきでしょう。そこで、抜きがちな朝食が問われるわけです。

編集部編集部

なるほど。1日の中の「分散」という意味でも、朝・昼・夕の3回、規則正しく食べることが問われるのですね。

名和 知久礼先生名和先生

朝食を食べない方は多いですが、通勤も運動療法の一部と考えますので、朝食を食べることは大切です。また、インスリンの分泌や“時間による効き時”は人によって異なります。加えて、お仕事などの事情により、1日3食を守るために夜食してしまったら本末転倒です。ですから、「その方に合った食事のあり方」は、医師と食後血糖の変化を追いながら決めていきましょう。インスリンに負担をかけすぎると、すい臓の疲労により血糖のコントロールが難しくなってきます。これが糖尿病です。

編集部編集部

妊婦の食事についてはどうでしょう、厳しい体重管理を促されますが?

名和 知久礼先生名和先生

母胎と胎児双方の健康状態に関わりますので、厳しく管理させてください。妊娠直前も含めた早い段階での高血糖は、胎児の奇形や流産を誘導しやすいとされています。他方で妊娠後期になってくると、高血糖による巨大児や妊娠中毒症のリスクもあります。ですから、妊婦さんの体重と血糖管理は必須です。

糖尿病を予防するためには食事以外に運動が必要 ウォーキングが良いと聞くけどほかには?

糖尿病を予防するためには食事以外に運動が必要 ウォーキングが良いと聞くけどほかには?

編集部編集部

順番が後先になりましたが、厚生労働省は「ウォーキング推し」をしているのでしたね。

名和 知久礼先生名和先生

糖尿病対策として私たちが推奨しているのは「水泳」ですね。全身運動ですし、浮力によって膝の負担が軽減され、なおかつ、息を止めている間に心肺機能も高められます。ただし、水泳は場所が問われますので、手軽に取り組むとしたらウォーキングなのでしょう。なお、運動で問われる観点は「カロリー消費」です。動作の少ないストレッチ運動などは、カロリー消費量が少ないことにご注意ください。筋肉を動かしたほうが血糖コントロールには有効です。

編集部編集部

「有酸素運動がイイ」という話も聞きます。

名和 知久礼先生名和先生

糖尿病対策としての運動なら、「有酸素+筋トレ+バランス力」の3本柱が欠かせません。筋力があれば効果的に運動できますし、バランス感覚の喪失は転倒につながります。やはり、きちんとした指導の下に運動療法をおこないたいですよね。ですが、糖尿病の“予防”という観点であれば「継続が第一」です。もちろん「有酸素+筋トレ+バランス力」の3本柱が鍛えられればベストですね。

編集部編集部

しかし、セルフで取り組んでも、なかなか「効果」がわからないと思います。

名和 知久礼先生名和先生

各自の取り組みを評価してくれる「外部の人」が求められますよね。加えて数値管理による「見える化」がモチベーションになるでしょう。ぜひ、外部のトレーナーや医師と一緒に取り組みましょう。健康診断などで血糖値に異常がみられ「予備軍」と診断されれば、れっきとした治療対象者です。

編集部編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあれば。

名和 知久礼先生名和先生

糖尿病のインジケーターとして、ぜひ「体重」に注目してください。肥満を除く普通体型の方でも、20歳時の体重に比べて“5kg”以上増えている場合、糖尿病リスクが通常の倍以上あるといわれています。BMIは、一律に「身長と体重」しかみていませんので、個人差が反映できません。ですから、その方の「20歳時を基準とする」考え方もふまえ、みなさんの“適正体重”を明らかにしてみませんか。そして、糖尿病にならないうちに戻していきましょう。

編集部まとめ

糖尿病予防ができる“特定の食品”はないということでした。「口に入る物全ての栄養バランス」が求められます。また、ベストな食事の回数やタイミングには、個人差が含まれるということです。結局のところ、糖尿病予防策の根本は「体重のコントロール」なのですね。BMIはその目安ですが、個人を反映する「適正体重」という指標があることを知っておきましょう。

医院情報

名和内科クリニック

名和内科クリニック
所在地 〒140-0014 東京都品川区大井1-23-7 大井町駅前三井ビル2F
アクセス JR京浜東北線・りんかい線・東急大井町線「大井町駅」より徒歩3分
診療科目 内科、糖尿病内科