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「50代男性の40%が肥満」という事実 日本人の“中年太り”増加の理由・深刻な疾患リスクとは

 公開日:2024/09/11

厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査で、成人男性の肥満者が過去10年で増加傾向にあることが分かりました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省が公表した内容とは?

厚生労働省が公表した内容を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

国民健康・栄養調査は厚生労働省が継続的に実施しているもので、今回は2910世帯を対象におこなった調査結果を公表しています。

調査によると、20歳以上の男性のうち、BMIが25以上の肥満状態にある人は31.7%に上ったことが明らかになりました。前回の調査がおこなわれたのは2019年で、この時期と比べると1.3ポイント減っているものの、10年前の2012年と比べると2.6ポイント増え、増加傾向にあると言えます。男性の年代別にみると、肥満の人の割合が最も高いのは50代で40.1%、次に60代で33.8%、40代で33.7%という結果でした。なお、20歳以上の女性の肥満の割合は21%で、この10年間で大きな変化はみられませんでした。

また、1日に歩いた平均歩数は、男性が6465歩と10年前と比べて9%減っていました。一方で女性は、5820歩と10年前より7%減っています。さらに、野菜摂取量や喫煙率などは、男女とも10年間で減少傾向がみられました。2022年の喫煙率は男女合わせて14.8%で、性別ごとにみると男性が24.8%、女性が6.2%と過去最低となりました。

調査結果についての受け止めは?

厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査の結果への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

20歳以上の男性の肥満、とりわけ40~50代の男性の肥満の割合が特に高くなっています。この年代は多くの人が責任のある地位にあり、時間的余裕もなく「肥満を改善しなければならない」と自覚していても、なかなか行動へ移せないでいると考えられます。そのため、個人の努力だけではなく、国や自治体を含めた社会全体での取り組みが必要です。

肥満によるデメリットは?

今回の調査で、肥満状態の男性が過去10年間で増加傾向にあることが改めて浮き彫りになりましたが、肥満による健康へのデメリットを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

肥満は全身に悪影響を及ぼす深刻な健康問題であり、糖尿病、心血管疾患、がん、運動器疾患、腎臓病などのリスクを高めます。「日本人の肥満患者において、1年間で初期体重の5%以上の減少があれば、血圧、脂質、血糖などの改善が期待でき、心血管疾患リスクの減少につながる」という報告があります。適度な運動と適切な食事療法により、理想的な体重を維持することが重要です。

まとめ

厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査で、成人男性の肥満者が過去10年で増加傾向にあることが分かりました。肥満は心臓病などの血管の病気や糖尿病、がんなどのリスクを高めるので、肥満の方は食生活や運動習慣、生活環境などの改善にぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修医師