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“ワクチンの普及”と“集団免疫の獲得”、新型コロナウイルス終息に向けての戦略は一体どっち?

 更新日:2023/03/27
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全都道府県で緊急事態宣言が解除され、1か月近くが経過しました。少しずつ終息に向かいつつある新型コロナウイルス感染症ですが、まだ世界ではワクチンの開発はされていません。ワクチンができていないのに、感染者数が減っているのは、集団免疫を獲得してきたということなのでしょうか。日本の新型コロナウイルス感染症終息に向けての戦略について、日本感染症学会専門医の國島先生に伺いました。

國島 広之

監修医師
國島 広之(聖マリアンナ医科大学 感染症学講座、日本感染症学会感染症専門医・指導医)

編集部編集部

新型コロナウイルスの抗体獲得するためには、「ワクチンの普及」か「自然感染による集団免疫の獲得」の2択になると思いますが、両者について教えてください。

國島 広之國島先生

「ワクチンの普及」により、抗体獲得が一定の割合以上である場合に、ヒトからヒトへの伝播が防止され、感染症の流行拡大が期待されることです。また、「自然感染による集団免疫の獲得」は、罹患による抗体獲得が一定の割合以上である場合に、ヒトからヒトへの伝播が防止され、感染症の流行拡大が期待されることです。なお、新型コロナウイルス感染症に対する抗体保有者における発症防止効果が不明ですので、ワクチンの有効性ならびに集団免疫の獲得、影響は分かりません。

編集部編集部

現状の日本は、「ワクチンの普及」か「自然感染による集団免疫の獲得」、どちらの戦略になりそうですか?

國島 広之國島先生

現在のところ日本では、新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチンの開発ならびに普及を目指しています。新型コロナウイルス感染症は重症例がみられますので、自然感染による集団免疫の獲得のためには、多くの死亡例を含む重症者の発生が余儀なくされると考えます。

編集部編集部

國島先生のお考えでは、ワクチンの普及はいつごろになると思われますか?

國島 広之國島先生

現在、ワクチンは開発途上であり、有効性ならびに安全性は不明なことから、しばらく先になると考えます。

編集部編集部

日本の現状の感染ペースでは、集団免疫の獲得まで大体どれくらいかかる見込みですか?

國島 広之國島先生

現在のところ、日本における抗体保有者は少ないと考えられますので、今後も現状の感染ペースでは自然感染により大多数の方が抗体を保有する状況にはない可能性が高いと考えます。

編集部編集部

スウェーデンのような戦略について、國島先生はどう思いますか?

國島 広之國島先生

スウェーデンの国としての詳しい対策は存じ上げませんが、欧州のなかでは、いわゆる厳格なロックダウンは行われていないのかもしれません。それぞれの国の施策とその影響・効果については今後、科学的に検証されていくものと考えます。

編集部編集部

ニューヨークでは25%が抗体もっていたとされていますが、その数字では集団免疫とは言えないのでしょうか? また、“集団免疫を獲得した”と言える割合がありましたら教えてください。

國島 広之國島先生

新型コロナウイルス感染症に対する抗体保有者における発症防止効果が不明ですので、25%の方が抗体を保有していることによる集団免疫の獲得、影響については分かりません。

編集部編集部

新型コロナウイルスを終息させるために我々にできることはありますか?

國島 広之國島先生

手指衛生の励行マスク着用、いわゆる3密「密集・ 密閉・密接」を避ける、「新しい生活様式」などにより感染者数の急増をさせずに、ワクチン開発ならびに接種を期待することはできるかもしれません。

この記事の監修医師