眼瞼下垂手術のデメリットとは?手術を成功させるポイントも解説!
眼瞼下垂とは、生まれつきや加齢などが原因で上まぶたが垂れ下がり、視野が狭くなったり、目が小さくなってしまう症状です。悪化すると、日常生活に障害が生じるだけでなく、顔の見た目も変わってしまうため治療や手術を検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そのような方に向けて、眼瞼下垂の手術におけるデメリットやメリットについて解説していきます。眼瞼下垂の手術を成功させるためのポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
柳 靖雄(医師)
目次 -INDEX-
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂の疑いを持つ人も、これから治療を始める人も、まずは眼瞼下垂について正しい知識を身につけることが大切です。本章では、眼瞼下垂の症状や原因について基本的な知識をおさらいします。
眼瞼下垂の症状
眼瞼下垂とは、挙筋腱膜やミュラー筋といったまぶたを上げる筋肉が緩んでしまい、結果としてまぶたが下がってしまう症状です。通常自然に開け閉めしているまぶたが上げにくくなってしまうため、悪化してしまうと物が見えづらくなるなど日常生活にも支障があります。
眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂の主な原因は、加齢やコンタクトレンズ装用者であること、生活習慣病などが挙げられます。以下では、それぞれの詳しい説明をします。
・加齢
加齢は眼瞼下垂の最も一般的な原因です。加齢とともにまぶたを上げる筋肉の働きが弱まることが原因とされるケースが多いです。毎年1歳年を取るごとに、眼瞼下垂になる確率が約5%上昇するとされています。
40歳以上の人の眼瞼下垂の発生率は約13.5%、70歳以上になると、約3分の1の人が眼瞼下垂になるといわれています。
・コンタクトレンズ装用者
コンタクトレンズを使用する人は、まぶたに触れる機会が多く、眼瞼下垂になりやすいです。具体的には、ソフトコンタクトレンズ使用者で23〜57%、ハードコンタクトレンズ使用者で26〜69%が眼瞼下垂になるとされています。
・生活習慣病
高血圧や糖尿病など、動脈硬化を引き起こす生活習慣病によって眼瞼下垂が引き起こされることもあると言われています。
眼瞼下垂手術とは
眼瞼下垂の手術には、皮膚を切開しない埋没法と、メスを使ってまぶたを切開する方法があります。一般的に眼瞼下垂の症状が軽度~中程度の方は、比較的負担の少ない埋没法で治療ができます。
埋没法:切開しない手術
埋没法は上まぶたの裏側から特殊な糸を用いて、上眼瞼挙筋群(挙筋腱膜とミュラー筋)を引き締め、目の開き具合を改善する手術方法です。
この方法は傷跡が残らず、腫れや内出血も少ないため、ダウンタイムが短いという利点があります。
埋没法は、眼瞼下垂の症状が軽度から中程度の場合に適用可能です。ちなみに軽度とは、上まぶたが瞳孔より上の位置にある状態、中度とは上まぶたが瞳孔の中心より上の位置にある場合をさします。
その他の方法:切開する手術
眼瞼下垂には内服薬や注射は効きにくいため、埋没法以外で治療する場合は手術が必要です。なかでも機能的に支障がある(ものが見えづらい、まぶたが開けづらいなど)場合は保険が適用されます。
手術法は大きく3つに分けられます。まぶたを上げるための筋肉は挙筋腱膜(きょきんけんまく)とミュラー筋で、それらにどうアプローチするかによって選ぶ術式が変わってきます。
・ミュラー筋タッキング
ミュラー筋タッキングでは、ミュラー筋を挙筋腱膜との間だけ剥離して結膜を付けます。そしてその状態で瞼板に縫い付ける術式です。
手術時間は両眼で約30分と、他の術式と比べて短いことがメリットです。デメリットは左右差が出やすく、再発の可能性が高いことです。
・挙筋腱膜前転術
挙筋腱膜を周囲の組織から完全に剥離し、瞼板に縫い付ける術式が挙筋腱膜前転術です。
手術時間は両眼で約50~60分。再発が少なく、術後の腫れも少ないというメリットがあります。ただし、重症の眼瞼下垂には対応できません。
・挙筋短縮術
挙筋短縮術では、挙筋腱膜とミュラー筋の両方を周囲から剥離し、瞼板に縫い付けます。
手術時間は両眼で約60分で、重症の眼瞼下垂でも対応可能。デメリットは他の術式と比べて、術後の腫れが強くなる傾向があることです。
眼瞼下垂手術のデメリット
眼瞼下垂手術についてご理解いただけたでしょうか。眼瞼下垂の場合、早めに手術をすることが推奨されています。治療に踏み切るためにも、デメリットや術後のリスクも気になりますよね。眼瞼下垂手術にもデメリットはあります。事前に知っておくことでリスクへの備えにも繋がるので、確認しておきましょう。
眼瞼下垂手術のデメリットについて
先述したように、眼瞼下垂には切開しない埋没法と、切開する手術があります。眼瞼下垂の進行度によってどちらの方法を取るのかは患者さんによって異なります。しかし、いずれにしても目というとても繊細な箇所への治療となりますので、デメリットがあるのが特徴です。以下で、デメリットを解説します。
・ドライアイになることがある
眼瞼下垂術後はまぶたが開きやすくなるため、ドライアイになりやすくなります。もともとドライアイだった人は、さらに症状が重くなってしまうこともあります。この症状は、術後1ヶ月ほどで落ち着くことが多いです。経過観察をして1ヶ月以上も落ち着かない場合や、ドライアイの症状が重い場合はかかりつけ医に相談しましょう。
・まぶたが閉じにくくなる
眼瞼下垂術を受けたことで、まぶたが閉じにくくなることがあります。特に術後1ヶ月間は閉じにくさを感じることが多く、寝ている間半目になってしまうケースもあります。ほとんどの場合、術後1ヶ月を過ぎると、自然に閉じられるようになりますが、まぶたを強く固定しすぎてしまっているとその後も閉じにくい状態が続きます。明らかに過剰強制の場合は修正手術が必要になるため、早めに医師に相談しましょう。
・視界がぼやける
特に乱視が強い方の場合、眼瞼下垂術を受けることで、手元が見えにくくなったり、視界がぼやけるように感じる場合があります。これは、手術の結果、角膜の形状が変化することによって起こる症状です。ただし、これは一時的な症状なので、半年から1年ほどで回復します。
眼瞼下垂手術のデメリットだけでなくメリットも理解しよう
眼瞼下垂手術のデメリットの多くは、術後に自然と改善されるものが多いです。そのような理由から前向きに手術を受ける患者さんも多いです。それだけでなく、眼瞼下垂の方に手術が推奨されているのは、デメリットよりも確かに大きなメリットが存在するからです。
眼瞼下垂手術のメリットについて
実際に以下のような眼瞼下垂手術のメリットがあります。
見やすさの改善や目からくる身体的負担の改善だけでなく、美容観点でもメリットがあることが嬉しいポイントではないでしょうか。
眼瞼下垂手術をおすすめするケース
「眼瞼下垂の診断を受けているけれど、手術をするか迷っている…」という方もいらっしゃるかと思います。手術のメリットは先述のとおりですが、以下の項目に当てはまる方は眼瞼下垂の悩みから解放される期待が大きく、手術をお勧めしています。ぜひ手術を検討する際の指標としてご参考ください。
眼瞼下垂手術後の過ごし方について
手術をしたからといって、すぐに普段の生活に戻ることは危険です。術後の過ごし方が良くないと、ダウンタイムが長引いたり、理想通りの仕上がりにならなかったりする場合があるため注意しましょう。
眼瞼下垂手術後の注意点
術後は、以下の注意点を守って生活をしましょう。術後の過ごし方でダウンタイムの期間も変わってきます。
・手術後すぐは患部を冷やす
術後から3日~5日は、患部が炎症を起こして腫れている状態です。その期間、しっかりと炎症箇所を冷やすことで、炎症反応を抑え、腫れによる痛みや内出血などの症状を緩和する効果が期待できます。
・できるだけ患部を触らない
術後は、アイメイクは控え、コンタクトから眼鏡にするなど、なるべく患部を触らないようにしましょう。また、目を擦ったりマッサージするなど、強い刺激を加えないように注意しましょう。
・手術当日の入浴を控える
手術当日は入浴を控えた方が良いです。入浴をして体の血行が促進され、はれや内出血などの症状が悪化する恐れがあります。湯船に浸からず、シャワーで済ませるのがおすすめです。また同様の理由で、サウナは腫れや内出血が落ち着くまで控えるようにしましょう。
・激しい運動を控える
激しい運動も血行を促進させる要因です。また、運動中のアクシデントで施術箇所が開いてしまうリスクも高まります。術後1週間ほどは、激しい運動を控えましょう。
眼瞼下垂手術のデメリットを踏まえた成功させるためのポイント
眼瞼下垂手術を成功させるためには、眼瞼下垂手術のデメリットやリスクを理解するだけでなく、以下のようなポイントがあります。
本記事の最後に、眼瞼下垂手術を成功させるためのポイントをまとめて紹介します。
・事前にリスクやダウンタイムを理解する
デメリットの章で解説したように、ドライアイや視界がぼやけるなどのリスクが考えられます。それ以外に、ダウンタイム中の痛みや腫れは1週間程度続きます。先述した術後の注意点に気をつけることでダウンタイム中の症状を最小限に抑えることができます。
また、術後はまぶたの上に黒色の糸がつきます。抜糸後、しばらくは傷跡が残りますが術後1ヶ月で自然な状態になり、術後3ヶ月で一見してもわからない状態にまで落ち着きます。
・事前にカウンセリングをしっかり受ける
眼瞼下垂手術に限らず、他の手術にも共通する話ではありますが、事前に医師のカウンセリングをしっかりと受けることが重要です。眼瞼下垂の原因や進行度、どのように治療を進め、術後どのように仕上がるのか、双方でしっかりと共有をし、ご自身の中で納得した状態で手術を受けるようにしましょう。わからないことや、この先の不安について感じることがあれば必ず相談するようにしましょう。
・経験と実績が豊富な信頼できるクリニックを選ぶ
眼瞼下垂手術は医師の技量や経験と知識が必要となる治療方法です。医師の処置が適切でないと、仕上がりのイメージ通りにできなかったり、ダウンタイムが長引くなどのリスクが生じやすくなります。ご自身の理想や目的に見合った、信頼できるクリニックを比較検討して選ぶことをおすすめします。
編集部まとめ
いかがでしたでしょうか。眼瞼下垂手術をすると、ドライアイになるリスクや、まぶたが閉じにくくなったり、視界がぼやけるデメリットがあります。ですが、これらの症状のほとんどが術後に自然と落ち着くことが多いです。このようなデメリットへの理解も深まり、手術のメリットがより魅力的に感じられた方も多いのではないでしょうか。本記事によって、少しでも眼瞼下垂手術への不安や迷いが取り除かれたら嬉しく思います。
参考文献
- 眼瞼下垂の保険診療から修正術まで【公式】立花クリニック《大阪》眼瞼下垂症例4000件以上
- 眼瞼下垂の切る手術と切らない手術のメリット・デメリットを美容外科医が解説共立美容外科【公式コラム】|美容整形、美容医療専門クリニック
- 眼瞼下垂術のデメリットって?後悔しないために気を付けたいポイントもご紹介|美容外科なら赤坂見附駅徒歩0分 – イートップクリニック
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