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眼瞼下垂は信頼できる医師に早めの相談を。「我慢する期間」を短くし、これからの健康とQOLを守る【大阪府堺市中区 ひふみるクリニック】

 公開日:2025/09/30

眼瞼下垂は信頼できる医師に早めの相談を。「我慢する期間」を短くし、これからの健康とQOLを守る
眼瞼下垂は信頼できる医師に早めの相談を。「我慢する期間」を短くし、これからの健康とQOLを守る

眼瞼下垂は、主に加齢を原因として発症するまぶたの病気。まぶたを持ち上げる筋肉が弱くなり、まぶたの皮膚がたるんでくることで瞳孔が隠れ、視野が狭くなってくる。治療では原則手術が必要だが、条件を満たせば保険が適用される。となると、どんな条件で保険適用となるのかが気になるところ。また、手術の痛みや手術後の腫れの程度はどうなのか、安心して手術を受けるためにはどうすればいいのだろうか。大阪府堺市中区新家町のひふみるクリニックは日帰りでの眼瞼下垂手術を行っており、その症例数も多い。同院の中林洋平院長に詳しく話を伺った。

Doctor’s Profile
中林 洋平(なかばやし・ようへい)
医療法人まぶたラボ ひふみるクリニック院長

2008年、山形大学医学部卒業。山形大学医学部附属病院の初期臨床研修医を経て、大阪大学形成外科 入局。大阪警察病院形成再建外科・美容外科、大阪厚生年金病院形成外科での勤務後、2014年からJCHO大阪病院形成外科で医長を務める。2021年6月ひふみるクリニック開院。日本形成外科学会形成外科専門医。形成外科・皮膚科・美容外科・美容皮膚科に対応し、家族を診る気持ちで診療にあたる。同クリニックが2024年の1年間に行った眼瞼下垂手術は1,231件。

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病気と診断されれば眼瞼下垂手術は保険が適用される

眼瞼下垂でお悩みの方はよくいらっしゃいますか?

眼瞼下垂という病気がだんだん知られてきたこともあり、よくご相談いただきます。ただ、眼瞼下垂かもしれないと思いながら、受診に至らないケースも多いようです。

病気と診断されれば眼瞼下垂手術は保険が適用される

近年はメディアなどでも眼瞼下垂について紹介されています。なかなか受診に至らない理由には何がありますか?

ひとつは誤った思い込みです。美容外科の二重手術などと混同されているのか、「眼瞼下垂の手術は自費診療だと思っていた」という方が少なくありません。眼瞼下垂と診断され、手術適応となった場合には治療費に保険が適用されます。

どのような場合に手術に保険が適用されるのでしょうか?

問診、診察、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋の筋力テストなどを行い、医師が総合的に診断します。初診の日に診断が可能であり、その日には手術の予約を取って帰られる患者さんが大半です。もちろん、一度持ち帰っていただき、考えてくださっても構いません。

眼瞼下垂はまぶたが下がり、視野が狭くなる病気と聞きました。視野には具体的にどんな変化がありますか?

視野の上方が狭くなることで、「信号が見えにくい」「階段を上がるときに上の方が見えにくい」といった声が聞かれます。また人と話すとき、視野の中心で見ようと顎を突き出してしまうといったケースもあります。

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ほかにも「まぶたが重い」「目を開きづらい」「眠そうに見える」といった症状があります。また、おでこの筋肉を使ってまぶたを上げる癖がつくため、おでこの横ジワの原因になったり、肩こりや頭痛の原因になったりということもあります。

加齢が主な原因とのことなので、やはり眼瞼下垂は中高年の方に起こりやすいのでしょうか?

加齢性の眼瞼下垂は、40歳くらいから右肩上がりに増え始めます。ただ、ハードコンタクトレンズの長期装用、目を擦る癖、アイメイク・メイク落としによるまぶたへの刺激なども眼瞼下垂の原因となります。そのため、40歳以下でも眼瞼下垂と診断されることがあります。

まぶたが下がると見た目が気になりますが、手術で見た目もよくなりますか?

あくまで二次的な効果ですが、目元が若々しくなったと、審美面でも喜んでくださいます。ただ、保険診療として行う眼瞼下垂手術は、あくまで機能的な回復を目指すものであり、美容目的の場合は自費診療となります。

では、保険の眼瞼下垂手術の術式について教えてください

緩んだ挙筋腱膜を一旦瞼板から切り離し、適切に目を開ける位置で腱膜・瞼板を縫い合わせる「挙筋前転法」、眉の下の皮膚を切除し縫い縮める「眉毛下皮膚切除術」が主な術式となります。当院ではほかに重度の眼瞼下垂に適した「挙筋短縮術」、眼瞼挙筋の力が著しく低い眼瞼下垂に適した「前頭筋吊り上げ術」にも対応しています。

病気と診断されれば眼瞼下垂手術は保険が適用される

保険診療として眼瞼下垂の手術を受けようと思うと、どんなタイミングで相談すればよいでしょうか?

保険・自費の判断は、受診していただくまでわかりません。ただ、当たり前のことですが、受診したからといって必ず手術を受けなければならないわけではありません。タイミングを見計らうというよりも、症状が気になるのであれば、一度ご相談いただければと思います。

医師と患者さんの工夫次第で痛み・腫れは軽減できる

医師と患者さんの工夫次第で痛み・腫れは軽減できる

手術までの流れを教えてください。初診の日は何をしますか?

問診、診察、診断を行います。保険診療として手術ができるか、このときにお伝えします。内容にご理解・ご同意いただいたら、手術の日時のご予約です。手術前日はお酒を飲み過ぎたり、日焼けをし過ぎたりといったことを避ければ、普段通りに過ごせます。

手術当日はどういった流れになりますか?

体調確認、洗顔・メイク落としの後、医師が仕上がりについての説明・確認を行います。その後、麻酔をかけ、手術です。手術中は生体モニターで常に血圧・心電図・酸素飽和度などを測定し、万が一の異常を速やかに対応できるよう努めています。

手術ですからやはり痛みが心配です。痛みに対するケアには何がありますか?

点眼麻酔と目のまわりの注射麻酔が基本です笑気麻酔や麻酔テープの併用、事前にまぶたを冷やしたり、痛み止めを飲んでいただいたりすることもあります。特に笑気麻酔は、ほとんどの方が希望されます。不安や緊張、痛みを感じにくくなる笑気ガスを鼻から吸っていただきますが、小児歯科などでも使用される、安全性の高い麻酔法です。
ただ、麻酔は効けば効くほどよいというものではありません。手術中の目の開き方のチェックが難しくなったり、麻酔液の液体としての作用によってむくんだりすることがあるためです。

メリット・デメリットを比較しながら麻酔の方法を選択することが大切ですね。手術後は腫れてしまいますか?

個人差はありますが、基本的に腫れると思ってください。ただ、手術後の腫れもさまざまな工夫によって軽減が可能です。当院でも、飲酒や入浴の制限などの基本的な対策に加え、まぶたを冷やしたり、水・塩分の摂り過ぎを控えたり、姿勢に気をつけたりといった工夫についてアドバイスをしています。

姿勢に気をつけるというのはどういったことでしょうか?

ほかの手術でも同じことがいえますが、患部が心臓より低い位置にあると、腫れの原因となります。「安静にしないといけない」と昼間から横になって休んでしまうと、腫れやすくなります。夜、寝るときも頭を高くしたり、ソファで座った状態で寝たりすると、翌朝の腫れ方がずいぶん違ってきます。

貴院は手術にレーザーメスを使用されているそうですが、これも腫れの軽減に役立ちますか?

レーザーメスを使った手術のほうが、腫れの引きが早いように感じます。切開と同時に止血もできるので、手術時間の短縮にも貢献してくれます。当院の場合、手術(切開~縫合)にかかるのが30~40分、院内の滞在時間は1時間半程度です。

医師と患者さんの工夫次第で痛み・腫れは軽減できる

クリニック選びの際は、手術前・手術後のケアも大切な要素

クリニック選びの際は、手術前・手術後のケアも大切な要素

日帰り手術は仕事などへの影響が少ないという点がメリットかと思います。仕事に復帰できるのはいつ頃になりますか?

当院の場合、手術翌日の朝に診察を受け、そのまま出社するという方も3割くらいいらっしゃいます。また、3日以内に全体の6割くらいの方が仕事を再開されます。残りの約1割が、「腫れを見られたくない」と余裕を持って1週間ほどお休みを取る方になります。

腫れを隠す方法などはありますか?

眼鏡・マスクの着用が簡単です。また、傷口を避ければ、手術翌日からコンシーラーを使用できます。ただし、アイメイクは約1カ月の間控えていただくようお願いしています。

手術後の生活で何らかの制限が必要な期間についてはどうでしょうか?

首下のシャワーは当日から、洗髪・洗顔は翌日から、入浴は約1週間後の抜糸以降から、コンタクトレンズの装用は1カ月後から、それぞれ再開可能です。洗髪の制限が気になる方には、手術当日、お風呂に入ってからお越しになることをおすすめしています。

手術前・手術後も細やかなケアをされているのですね

私は日常的に手術をしていますが、やはり患者さんにとっては特別なイベントで、期待とともに怖さ不安の気持ちがあることを医師は忘れてはならないと思っています。そういった患者さんの気持ちを感じ取ったり、声をいただいたりすることは、また次のよりよい治療へとつながるはずです。

合併症予防のためにも、手術後に幾度か通院が必要になるかと思います。そのときどういった診療を行いますか?

抜糸後は、1カ月後・3カ月後・6カ月後を目安にご来院いただきます。当院では、単に経過を観察するだけでなく、気になることや心配なことについてお聞きしたり、説明やアドバイスをしたりと、双方向のコミュニケーションを取ることを大切にしています。そこで「見えやすくなった」「鏡を見るのが楽しい」といった感想をいただけるのも、私の喜びであり、大きなやりがいです。
同僚の方、ご友人、ご家族などに当院をすすめてくださる患者さんも多く、大変ありがたく思っています。患者さんにとっての大切な人をご紹介くださっているわけですから、私もいつも、自分の家族を診るつもりで診療にあたっています。

貴院での眼瞼下垂の手術費用について教えてください

保険が適用されれば、全国どの医療機関でも金額は一律です。3割負担の場合、手術費用、短期滞在手術基本料など含めた治療費の総額は両眼で5~6万円が目安となります。使用する薬剤、麻酔などによって多少の前後があります。

クリニック選びの際は、手術前・手術後のケアも大切な要素

自費診療になった場合の費用についてはいかがでしょうか?

当院の場合、両眼であれば、挙筋前転法が税込55万円、重瞼線皮膚切除が税込33万円というのが基本的なメニューと金額となります。オプションとして重瞼(二重)作成をする場合は、プラス税込11万円がかかります。美容外科としてより細やかなデザイン、自由度の高い治療ができます。

最後に読者の方にメッセージをお願いします

眼瞼下垂は、目で人や物・景色を見る、鏡で自分を見るということにストレスを生んでしまう病気です。5年手術が遅れれば、5年間我慢をするということになります。私はその期間が少しでも短くあってほしいと願っています。「眼瞼下垂かも」と感じる症状があれば、信頼できる医師に一度相談してみてください。

編集部まとめ

眼瞼下垂手術を検討するなかで、どうしても「保険が適用されるのか」ということが気になります。しかし、その判定は受診するまで出ることはありません。痛み・腫れについてもさまざまな工夫によって軽減が可能とのことなので、眼瞼下垂でお悩みの方はまず相談してみてはいかがでしょう。手術の技術や安全性はもちろんですが、事前の説明を丁寧に、アフターケアをしっかりしてくれるかどうかも、満足できる治療のためのクリニック選びの基準となりそうです。

医療法人まぶたラボ ひふみるクリニック

医院名

医療法人まぶたラボ ひふみるクリニック

診療内容

眼瞼下垂手術 形成外科 美容外科 など

所在地

大阪府堺市中区新家町589-10

アクセス

南海高野線「初芝」駅より車で5分

この記事の監修医師