審美治療の種類とは?それぞれの特徴と費用の相場【狭山市 いながき歯科クリニック】
そこで今回は、審美治療に詳しい歯科医師【いながき歯科クリニック 稲垣 大悟先生】に、次のようなテーマでお話をお伺いしました。
医療法人耕新会 いながき歯科クリニック 院長
2002年に新潟大学歯学部を卒業後、同大学の加齢歯科学講座へ入局し歯学博士号を取得。その後、医療法人社団歯友会赤羽歯科池袋診療所や、医療法人尚寿会大生病院などで、入れ歯をはじめとした審美性を追求した歯科治療の経験を積む。2015年からは、いながき歯科クリニックを開院し、2018年には医療法人化。いながき歯科クリニックでは、都心と同様レベル治療やクリニック環境を整え、少しでも地域の方々に恩返しができるような治療を心がけている。
審美治療の種類と特徴をチェック!
歯並びや歯の色などの見た目と機能性を改善させて、心と身体の両方を健康に導く効果が期待できる「審美治療」。
こうした審美治療を受けるメリットについて、いながき歯科クリニックの稲垣先生は、以下のようにおっしゃっています。
このように審美治療は、見た目の美しさだけでなく、虫歯や歯周病などの予防にもつながることから歯にコンプレックスを感じている方にはぜひ注目いただきたい治療といえるでしょう。とはいえ、審美治療のメリットや特徴は、治療それぞれによって異なります。
そこで審美治療の種類と特徴について、詳しくみていきましょう。
目次 -INDEX-
ホワイトニング(歯を白くする)
歯の表面に薬剤を塗り、歯を白くする方法です。ホワイトニングには、大きくわけて次の2種類があります。
オフィスホワイトニング | ホームホワイトニング | |
---|---|---|
施術 | 歯科医院 | ご自宅でセルフケア |
特徴 | 短期間で歯を白くできる | 自宅で継続的に行う必要がある |
このような方におすすめ | できるだけ早く白くしたい方 | 自己管理できる方 |
上記のように、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングで異なる特徴を持つため、自分に合った方を選ぶことが大切です。例えば、結婚式やパーティなどのイベント前に歯を白くしたい場合は、オフィスホワイトニングを選ぶといいでしょう。
[歯並びを整える]矯正・被せもの
歯並びをきれいにする方法には、「矯正」と「被せもの」があります。矯正治療は主に以下の2種類です。
ブラケット矯正
歯にブラケットというボタンのような装置を取りつけ、ワイヤーを通すことで歯に力をかけて動かします。また、唇側に矯正装置をつける「表側矯正」と、舌側につける「舌側(裏側)矯正」の2つがあります。一般的には表側矯正を行うケースが多いとされていますが、目立ちにくいという審美的理由から舌側(裏側)矯正を行うケースも近年では珍しくはありません。
マウスピース型矯正装置
透明のマウスピースを決められた時間だけ装着して歯を動かす方法です。マウスピースを装着すると、歯に軽い力がかかり、押された側の骨がわずかに溶ける可能性が考えられます。
一方、マウスピースに押されることで生じた歯と骨の隙間を埋めるために、新しい骨と歯根膜が作られます。このようなメカニズムを利用し、歯を動かしていくのです。そのため段階に応じて、適切なマウスピースに交換していく必要があるといえます。
被せもの
「被せもの」は、天然の歯に人工の歯を被せて、歯の形を整えることで、結果的に歯並びを改善する治療法です。使用する人工の歯は、セラミッククラウンやラミネートベニアなどさまざまで、それぞれメリットとデメリットがあります。また、歯並びを整えるだけではなく、歯の形を整える効果も期待できるでしょう。
[歯の形を整える]詰めもの・歯を削る
歯の形を整える方法には、以下のような種類があります。
ダイレクトボンディング
コンポレットレジン樹脂を歯に接着させて、形を整える方法
ポーセレンインレー
歯の一部に人工材料を詰めて形を整える方法
カンタリング
歯の表面を覆うエナメル質を削り、歯の形を整える方法
[歯茎をきれいにしたい]歯周病治療
歯周病の1つ「歯周炎」。歯茎が赤紫色になるのがその症状の一つとなることから、外見的に気にする方もいらっしゃることでしょう。
そこで歯周病治療の必要性について、稲垣先生から以下のようなご意見もいただきました。
つまり、歯周病治療は、歯茎の色の改善を目指すことだけでなく、歯の働きを正常に導くためにも審美治療と一体して必要になる治療といえますよね。ただし、歯周病治療の基本はブラッシング(歯みがき)のため、治療を受ければすぐに改善するわけではありません。まずは毎日の歯みがきから、歯茎の健康を心がけましょう。
[よく噛めるようにしたい]入れ歯やインプラント
虫歯や歯周病、ケガなどで歯を失った場合、よく噛めなくなることで食生活に支障をきたす恐れがあります。歯の機能を補い、よく噛めるようにする治療法は、次のとおりです。
入れ歯
クラスプというバネで入れ歯を引っ掛ける「部分入れ歯」と、全ての歯を補う「総入れ歯」があります。
アタッチメント義歯
連結装置が付属した人工の歯を残った歯に被せ、部分入れ歯とつなげることで、バネを使わずに歯を補えます。
ブリッジ
歯を失った部分と、その両隣に被せる形で作られた人工の歯を装着する治療法です。橋のように人工の歯を装着するため、ブリッジと呼ばれています。
インプラント
顎の骨に人工の土台を埋め込み、その上に人工の歯をアバットメントでつなげる治療法です。歯の土台を安定させることが可能なため、天然の歯に近い噛み心地が期待できます。
【審美治療の費用相場】歯科医院で大きく異なる!
審美治療は、基本的に自費診療のため、歯科医院によって料金が異なります。相場から、あまりにもかけ離れた料金の場合は注意が必要です。では料金が高ければ、それだけ優れた歯科医院といえるのでしょうか?
審美治療における歯科医院ごとの料金の違いについて、稲垣先生は次のようにおっしゃっています。
また、いながき歯科クリニックでは、地域柄、自費診療になじみがない方が多いため、料金にこだわらず、地域への貢献を目的に治療を行っています。具体的には契約している技工所からジルコニアを低価格で購入できるように、数量を多く発注するなどの取り組みで、料金を抑えることができるよう取り組んでいます。
このように料金の差は、必ずしも技術に比例しているわけではありません。治療開始前にしっかりと不明点を確認し、納得のいく治療内容の説明をしてくれる歯科医院を選ぶよう心がけましょう。そしてここではそのヒントとして、審美治療の種類ごとに料金の相場をご紹介します。
※以下の数値はいずれも、相場価格になります。詳しくは検討されている歯科医院にてご確認ください。
ホワイトニング
ホワイトニングは、定期的に受ける可能性がある治療法のため、1回あたりの料金を検討材料として確認しておくことが大切です。
オフィスホワイトニング:約2万~3万円
ホームホワイトニング:約1.5万~2.5万円
またクリニックによってホワイトニングの料金が異なるものの、これが技術の差につながるとは限りません。つまり、費用面に左右されるのではなく、説明や対応面で信頼できるクリニックを選択することが重要といえるのではないでしょうか。
矯正・被せもの
矯正治療の料金は、他の審美治療と比べても歯科医院によって大きく異なる治療法です。また種類によっても異なることから、治療内容を念入りに確認する必要があります。
表側矯正:約70万~80万円
舌側(裏側)矯正:約80万~110万円
マウスピース型矯正装置:約70万~120万円
また被せものの料金は素材で異なりますが、1本あたり約6万~13万円が目安となる相場価格といえるでしょう。
詰めもの・歯を削る
ダイレクトボンディング:約1万~5万円
ポーセレンインレー:約3万~6万円
カンタリング:約1万~3万円
なお、カンタリングに関しては、削る量や難易度で料金が異なるため、相場よりも高かったり安かったりと価格の差を感じる場合があります。
入れ歯やインプラントなど
入れ歯とブリッジに関しては、条件を満たした場合に限り保険が適用できます。
保険適用の対象条件
入れ歯:必要最低限の機能性と耐久性のもの
ブリッジ:前歯にレジン前総冠、小臼歯より奥の歯には金銀パラジウムを使用したもの
ただし保険適用の治療に相場は存在しないため、今回は自費診療の素材を使用した場合の料金相場をご紹介します。
自費治療の相場価格
入れ歯:約20万~40万円
ブリッジ:約5万~12万円
アタッチメント義歯:約8万~10万円
インプラント:約30万~80万円
自費診療の素材は、保険診療の素材と比べて審美性や機能性、耐久性などに優れていることが特徴です。ただし、保険診療の素材と比べて料金が高いため、予算も踏まえて検討することをおすすめします。
ここで気になるのが、審美治療の費用を抑える方法ではないでしょうか。支払う費用が安くなるわけではありませんが、医療費控除の対象になる治療であれば、所得税の優遇を受けられます。国税庁のホームページでは、金やポーセレンなどの素材を使用する場合は、医療費控除の対象になると記載されています(※)。その他の審美治療は医療費控除の対象にならないため注意しましょう。
そして何より注意すべき点は、歯科医院を料金で選ばないこと。その理由について、稲垣先生は以下のようなご意見をくださいました。
審美治療を受ける際には、素材や料金などの確認も大切ですが、信頼できる歯科医院を選ぶことがより大切であることがわかりました。理想的な歯並びを実現でき、トラブルに適切に対処できる歯科医院を選ぶことが納得できる審美治療につながるでしょう。
【審美治療のデメリット】受ける前にしっかり検討を!
見た目と機能性を改善できる審美治療には、メリットだけではなくデメリットもあります。治療を受ける前に、デメリットを踏まえて慎重に検討しましょう。審美治療のデメリットとして考えられるものは、次のとおりです。
自費診療のため保険診療よりも料金が高い
審美治療は基本的に自費診療のため、保険適用の治療と比べてコストがかかります。一度に大きな金銭的な負担がかかることを避けたい場合は、デンタルローンやクレジットカードの分割払いを利用しましょう。
矯正器具によっては見た目が問題となる
表側矯正では、矯正装置が目立つため、人前で食事をしたり笑ったりすることに抵抗を感じる可能性があります。その点舌側(裏側)矯正やマウスピース型矯正装置であれば、表側矯正よりも目立ちにくいといえます。
矯正器具で口の中が傷つく場合がある
矯正装置が口の中の粘膜を傷つけてしまう場合があります。痛みが気になって、生活に支障をきたすことも考えられるでしょう。
生活に制限がかかる場合がある
ホワイトニング後24時間は、歯を覆うタンパク質の被膜が剥がれているため、着色しやすい状態となっています。そのため、ワインやカレー、しょうゆ、みそ、ソース、ケチャップ、コーヒーを避けなければなりません。
また、ホームホワイトニングは、薬剤をつけたマウスピースを決められた時間だけ装着しなければ効果を得られないため、1日のスケジュールに支障をきたす可能性があります。
何回か通う必要がある
審美治療の種類で異なりますが、何回か通院しなければならない場合があります。忙しい中から、何回も通院することにストレスを感じる方もいらっしゃるでしょう。
また、インプラント治療の場合は、何回か通う必要があるうえに、1~2回の手術が必要なため、さらに負担がかかります。
このように解決策はそれぞれにあるものの、多少なりともデメリットは存在します。そこでこれらのデメリットを抑えるために、患者側でできることについて稲垣先生のご意見を伺いました。
この点をカバーするためにも、本当に必要な箇所だけ自費診療の審美治療を選び、他は保険の範囲で治療することをおすすめします。
また、いながき歯科クリニックでは、料金面、施術面とあらゆる角度から、患者さまにご満足いただけるように、わかりやすい説明に重点を置き、双方の同意をもって治療を進めております。
こうした信頼関係を築くことも、デメリットをカバーする秘訣といえるのではないでしょうか。患者としては、説明がわかりやすく、不安や疑問を解消してくれる歯科医院を選びたいところでしょう。