破壊された歯周組織を再生する外科治療で噛める喜びを実現【愛媛県伊予郡 中矢歯科医院】

中矢歯科医院
中矢歯科医院

歯が痛くなってから治療するというのではなく、近年は口の中にトラブルが起きる前に予防するのがスタンダードになりつつある。ただ、スウェーデンなど予防治療が進んでいる国に比べると、日本ではまだ1割程度の受診率と、かなり遅れをとっている。その予防治療でポイントになるのは歯周病の治療。歯周病は自覚症状がなく、そのままにしておくとさらに進んで歯を抜かざるを得ない状況にもなりかねないからだ。今回は愛媛県伊予郡の【中矢歯科医院】の中矢先生に、予防治療を受けることのメリットや、上手な歯科医のかかり方などについて解説していただいた。

 

Doctor’s Profile
中矢 賢史
医療法人 中矢歯科医院 院長兼理事長

平成16年日本歯科大学新潟歯学部卒業後、医療法人渡部会一箕歯科医院勤務を経て、平成19年医療法人渡部会ほっと歯科医院院長、平成22年医療法人渡部会一箕歯科医院副院長に。平成24年4月中矢歯科医院を開院、平成28年1月医療法人 中矢歯科医院を開設。
日本口腔インプラント学会所属、大阪口腔インプラント研究会所属、日本臨床歯周病学会所属ならびに臨床研修医指導員。

日常の歯磨きでは防げない汚れを定期的なクリーニングでピカピカに!

日本の成人のおよそ8割が歯周病、もしくは予備軍と聞きました。本当にそんなに多いのですか?

本当です。日本では成人の8割が歯周病にかかっているといわれています。歯周病は初期の場合サイレントキラーと呼ばれ、自覚症状がまったくありません。
多少進行しても痛みや、腫れがないため、歯科医で実際検査するまで気が付かないのです。虫歯治療がキッカケで歯周病が見つかる方も多くいらっしゃいます。大切な歯を1本でも多く残すためには、早期発見と治療が大切です。

日常の歯磨きでは防げない汚れを定期的なクリーニングでピカピカに!

自覚症状がないものをそのまま放っておくとどうなりますか?

歯周病の原因は口の中にいる細菌です。細菌が唾液の中のカルシウムなどと結び付いて硬い歯石に変わり、歯ぐきに炎症を起こします。この状態を「歯肉炎」といいます。
歯肉炎をそのままにしておくと、炎症が歯ぐきの内側へと広がり、骨が溶け出します。ここまでくると、硬いものが噛みにくくなったり、出っ歯になるなど不都合が生じ、最後には歯を失うリスクが出てきます。

自覚症状が出たときはもう手遅れなのでしょうか?

歯ぐきが腫れたり、ブラッシングのときに出血するという症状が出たときは、病状は悪化しています。ただ全体ではなく、その症状が一部分のときは、早い段階で治療すれば歯を失うリスクはなくなります。
大切なのは、気が付いたときにどういったケアをしていくかということ。大事な歯を守るためにも、早めの受診を心がけてください。

合併症も多いと聞きました。

歯周病は口の中だけの病気と思われがちですが、免疫力が落ちているときなどは全身にさまざまな悪影響を及ぼします。細菌が血液を通して全身へ移動してしまうと、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病など多くの病気の一因になります。また、妊娠中の早産や低体重児出産のリスクも増加します。

日常の歯磨きなどでは、歯周病は予防しきれないでしょうか?

丁寧に磨いたつもりでも、歯垢を完全に取り切るのは難しいものです。歯科医院でプロフェッショナルケアを行っている人と比べると、将来的に格段の差が出てきます。特に沈着した歯石はブラッシングでは取れません。歯科医院では超音波を使った専用のスケーラーで取っていきます。

歯周病は感染しますか?

はい、感染します。たとえばご両親がお子さんに食べ物を口移しした場合など、唾液を媒介して感染します。口の中には何億という菌がいます。歯ぐきからの血も歯周病菌にとっては大好物なので、どんどん増殖していきます。

日常の歯磨きでは防げない汚れを定期的なクリーニングでピカピカに!

歯周病菌はどんな環境を好むのでしょうか?

じめじめと暗い環境を好みます。ちょうど歯と歯ぐきのすき間の歯周ポケットは歯周病菌にとってうってつけの環境ですね。ぬくぬくと増殖していき、歯の周囲の歯槽骨が溶けてしまうことで歯周ポケットが徐々に深くなっていきます。
歯科医院でケアをして歯ぐきの炎症が治まれば、歯周ポケットも浅くなります。体調を崩したり、ストレスで疲労が蓄積するなど体の免疫機能が低下すると歯周病菌が暴れ出し、細菌の発する毒素により症状を悪化させることもありますので、注意しましょう。

いつまでも自分の歯で食べるためには、プロによるメンテナンスが必要

予防治療に対する認識について、先生はどのような印象をお持ちですか?

大人の方で28本すべての歯が健康という方は珍しいですよね。1本や2本だったら、歯が抜けても大丈夫と思っている方も多いようです。
それぞれの歯には咀嚼、モノを噛み砕く、すりつぶすなど機能があります。その歯が何かの原因で失われたときは、ほかの歯にダメージがきます。また、よく噛むことは全身の健康にもつながります。一生涯自分の歯で噛んで、健康寿命を延ばすという意味でも、予防や早期治療は大切なことだと思います。特に奥歯(大臼歯)は見た目も大きいですが、物をかみ砕くのに非常に重要です。50Kgの強い力で物をかみ砕くことができます。それが歯周病や虫歯でなくなれば、他の歯で代わりをしなくてはなりませんが、前歯はかみ砕くほどの力はありませんので、過度の負担を強いられることになります。仮に今奥歯がない状態であれば治療により奥歯を作ることも予防治療の概念にとって重要なことであると考えております。
また、歯ぎしりや、くいしばり、TCH(歯列接触癖)など歯や歯周組織に悪影響を及ぼすような習癖がないかどうかを確認し、うまく習癖と向き合い力のコントロールをしていくことが大事です。唾液の量も予防治療にとって重要なキーポイントです。ドライマウス(口腔内乾燥)になっていれば、唾液がでるように唾液腺のマッサージなどを指導していくように当院では歯科衛生士と共に取り組んでいます。
かむ(咀嚼)という行為は、脳によい刺激を与えております。いつまでも自分の歯で食べるということは、認知症予防にも効果的です。認知症予防対策の一つとして、若い時からご自身の歯の健康管理と向き合い、歯医者さんとうまく付き合っていくことをおすすめしております。

いつまでも自分の歯で食べるためには、プロによるメンテナンスが必要

予防治療の意識を高めるためにはどうしたらよいとお考えですか?

家族の方から「口が臭いよ」と言われて、ショックを受けて来院するという方がいます。そういったキッカケを大切にしていただければと思います。歯磨きをして歯ぐきから出血した、最近歯と歯のすき間が大きくなった気がするなど、どんな小さなことでも、気になることがあればご来院ください。

中矢歯科医院では主にどのようなことを予防治療で行っていますか?

まずは歯垢や歯石のつき具合、歯ぐきの状態を確認します。エックス線審査により、肉眼で確認できないところまでチェックし、口の中の情報を正確に判断してます。
次に、歯磨きで取り除くことができない歯石をスケーラーと呼ばれる特殊な器具を使って除去します。さらに、スケーリングでは取り切れなかった歯の根っこの深い部分の歯石をルートプレーニングと呼ばれる処置で取り除きます。これらの基本治療で初期の歯周病は改善しますが、歯周ポケットが深く、基本治療で治らない場合は歯ぐきを切開して、隠れているプラークや歯石を取り除くフラップ手術を行っています。
フラップ手術により、歯周ポケットが浅くなるので、ブラッシングしやすい環境になるのが大きな利点です。また、フラップ手術の際に、失われた歯の周囲骨など歯周組織を再生する薬剤を使用することもあります。当院では失われた骨や歯周組織を再生するリグロス(保険適用)を積極的に取り入れています。リグロスは日本のメーカーが開発・販売している薬剤で、今歯周組織再生療法の分野において一番注目されています。歯周組織が再生されると、元の健康な歯と歯周組織の状態に戻りますので、いつまでも健康な自分の歯で食事をしたいという希望をかなえてくれます。積極的に歯周病の治療を行い、健康な状態になれば、後は歯を失わない健康な歯と歯周組織を維持していくことが予防治療において重要ではないでしょうか。

歯科医で定期的にチェックを受けるとき、どのぐらいの頻度で通うといいですか?

健康な人なら3カ月に一度、歯周病を患っている患者さんは症状によって1カ月~2カ月に一度継続的に通ってもらっています。歯周病はよくなったら終わりではなく、そこからがスタート。健康な状態を維持していくことが大切です。

中矢歯科が行っている独自のメンテナンスはありますか?

勉強熱心な歯科衛生士が揃っているので、一人ひとりの患者さんに合ったブラッシング指導も徹底しています。ただ指導するだけではなく、イラストやアニメーションを使って、患者さん自身に日ごろのケアの大切さを気付いてもらうよう心掛けています。
また、唾液が豊富にでるように唾液腺マッサージなどを積極的に指導しております。唾液の抗菌作用は非常に優れており、虫歯菌や歯周病菌を撃退する効果や口臭を抑える効果、しいては味覚にも大きく関わっています。試しに舌の先端部をティッシュなどで拭いて乾燥してから塩を少し振りかけてみてください。何も味を感じないかと思いますが、そこに唾液を混ぜ合わせると途端に塩味が感じられるはずです。美味しいと感じるには唾液の存在が不可欠です。また、物を飲み込む嚥下作用にも唾液は不可欠です。ゴクンと物を飲みこむことができるのは、唾液があるからできることなんです。

いつまでも自分の歯で食べるためには、プロによるメンテナンスが必要

年齢によって予防の仕方は違いますか?

変わってきます。年齢とともに歯ぐきがやせてくるだけでなく、体の機能が衰え、細菌などの外敵から体を守ろうとする防御力も弱くなります。20代、30代の若い人に比べると、高齢の人は歯周病になりやすく、その病状は進行しやすいといえるでしょう。唾液の量にも関係しています。よくかんで食べましょう。というのは、一つには食べるのに必要な筋肉を鍛えるという意味もありますが、よくかむことで唾液腺が刺激され唾液がよくでるようになります。
患者様の意識の高まりによって、8020運動(80歳で20本以上の歯を残しましょう)の達成者が激増しています。非常に良い事ですが、歯周病の罹患率はそれに伴い増加しています。ただ、口の中の歯周病菌の量を低く抑えることで、歯周病のリスクは減らせます。定期的なメンテナンスがより重要になりますね。たとえ歯医者に通えなくなっても、訪問歯科治療などでお口のケアを常にしてもらうことが大事です。

怖くない治療で理想の口腔内環境をめざす

院内のシステムで特徴的な機材・機器がありましたら教えてください。

院内に手術室を設置し、インプラントやフラップ手術などを行っています。治療に際して、歯牙や金属を削った場合に生じる、切削粉塵が飛散しないよう、口腔外バキューム(フリーアーム)で吸引しています。手術室には空気中にある埃(ほこり)をゼロにするクリーンエリアを設置しています。

衛生管理はどうお考えですか?

開院当初から衛生管理は徹底しています。医院コンセプトの一つとして『衛生管理を徹底し、安心・安全な歯科医療を行う』を掲げています。。130℃の高温高圧により、細菌を死滅させるオートクレーブを導入し、オートクレーブにかけられないプラスチックなどの機器はガス滅菌器を使用しています。このオートクレーブにもこだわりがありまして、医科の外科手術に使用される器具の滅菌基準をクリアしたクラスBオートクレーブ滅菌器(Lisa)を導入しております。通常のオートクレーブは水道水を加熱しただけですが、Lisaは精製水を使用し、真空と蒸気の注入を交互に行う(パルス真空)ことにより芽胞菌も含めたすべての菌を死滅させることができます。フラップ手術やインプラント手術を多く手掛ける当院ならではのこだわりと言えるでしょう。

怖くない治療で理想の口腔内環境をめざす

精神鎮静法といったことを行っているそうですが、これはなんでしょうか?

「子どものときに歯を抜いて痛い思いをした」とか、「歯科医に怒られた記憶がトラウマになっていて、歯医者に来るとドキドキして治療が受けられない」といった患者さんが大勢いらっしゃいます。このような歯科治療が嫌いな方に試していただきたいのが笑気吸入鎮静法(保険適用)です。鼻から酸素と一緒に笑気ガスを吸うだけなので比較的手軽ですし、吸入することによって恐怖心や不安がなくなり、ゆったりした気分で治療が受けられます。ほとんど副作用がなく、体にガスも残らない安全な方法です。
静脈内鎮静法はインプラント手術のときは必ず行っています。緊張や不安を取り除き、リラックス効果も高いので、半分眠っているような状態で治療を終えることができます。それでも治療中に意識は残っていて、必要な会話も可能です。

子どもに対する予防治療としてはどんなことを行いますか?

お子さんが嫌がるときは、無理な治療は行っていません。子どもの虫歯は子どもではなく、ご両親の責任です。糸ようじやフロスは毎日するなど、仕上げ磨きのポイントをご両親に説明するようにしています。
私にも3歳の子がいるのですが、年齢の違いで磨き方も全然違ってきます。ブラッシング指導には、自分自身の経験を踏まえたお話もさせてもらっています。

怖くない治療で理想の口腔内環境をめざす

最後に読者へのメッセージがあればお願いします。

予防治療はまず、患者さん本人が気付いたところからがスタート。継続して通い続ければ、必ず歯の健康寿命が延びます。
食事を美味しく食べるには、自分の歯が一番。自分の歯ならしっか噛めますが、入れ歯ではおよそ半分以下の力しか出ません。ぜひ定期的に来院していただき、プロフェッショナルケアを受けてスッキリと帰っていただければと思います。

編集部まとめ

歯周病になったとき、基本治療以外に歯ぐきを切開するフラップ手術や歯周組織を再生できるリグロス治療ができる手術室が完備されているというのは、患者さんにとって安心感があるのではないでしょうか。「誰もが通いやすい医院にしたい」と語る中矢院長。歯医者が怖くて行く気にならないと思われている方にも、笑気吸入鎮静法という手段があります。「患者さんが頑張っていることにスポットをあてて、励ますようにしています」という中矢先生と一緒なら、毎日のブラッシングや定期的なメンテナンスも頑張れそうです。

医院情報

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所在地 〒791-3152
愛媛県伊予郡松前町大字永田298番地13
アクセス 伊予鉄郡中線 古泉駅 車で4分
診療内容 歯科一般 歯周病 歯科口腔外科 インプラント治療 他