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【この時期注意】「ヒートショックになりやすい人」の特徴はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/12/28
「ヒートショックになりやすい人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

ヒートショックになりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医がヒートショックになりやすい人の特徴・症状・発症しやすい状況下・対処法・対策などを解説します。

小鷹 悠二

監修医師
小鷹 悠二(おだかクリニック)

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福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月 宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月 東北大学病院循環器内科・同大学院 医員 / 2017/4月~2018/5月 仙台オープン病院 循環器内科医長 / 2018/5月~ おだかクリニック 副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。 また、医師業務以外の副業も積極的に行っており、ビザスクなどを通して企業の医療アドバイザー業も副業として行っており、年間70社以上の会社にアドバイザーとして助言を行うなどしている。 ライティングも行っており、m3.comや、Ubie病気のQ&A(https://ubie.app/byoki_qa/doctors/yn8ueqd6kjn)などにて定期的に執筆活動を行っている。

「ヒートショック」とは?

ヒートショックとは、急激な気温の変化によって血圧が変動をすることで、心臓や血管の働きに障害が起こり、心筋梗塞や不整脈などの心臓の病気や、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患などの病気を引き起こす、健康障害のことを示します。これまでの報告では、年間14000人がヒートショックに関連した病気で死亡しているとするデータもあります。
特に冬場の入浴時に起こりやすいため、注意が必要です。
暖かい居間から、暖房が十分効いていない風呂場へ移動し、脱衣することで体温が急激に低下します。急な体温の低下は血圧を急上昇させます。さらに、その後暖かい風呂に入ると体温が急上昇し、血圧が急に低下します。
このような血圧の急激な変化が、心臓や血管、脳に負担をかけることで、心筋梗塞や脳卒中などの病気を発症しやすくします。

ヒートショックになりやすい人の特徴

ヒートショックを起こしやすい人の特徴としては以下のようなものがあります。

高齢者

加齢や生活習慣病によって動脈硬化が進行しているため、血圧変動による血流変化が非常に生じやすくなっています。また、温痛覚も鈍いため、風呂が暑くても感じにくい、室温の変化にも鈍感になるなど、環境変化にもうまく対応できなくなっています。

生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)がある方

生活習慣病があると、動脈硬化が進行しやすくなるため、急激な血圧変化によって血流の変化が生じやすくなります。それにより、脳や心臓の血流障害が生じると、脳梗塞や心筋梗塞などを生じやすくなります。

心臓病や脳卒中の病歴がある方

心不全や不整脈、心臓弁膜症、狭心症や心筋梗塞後、脳卒中後の方など、心臓や脳の病気があり、もともと心臓、脳血管に負担がかかりやすい状態の方は特に注意が必要です。
急な血圧変化は、心臓や脳血管に大きな負担となるため、もともと心臓が弱っている、持病がある方はそれによって心臓や脳血管の重大な病気を引き起こしてしまう可能性があります。

ヒートショックの代表的な症状

ヒートショックによって血圧の急激な変化や心臓病、脳卒中などを生じると、様々な症状が出現します。

めまい、立ち眩み、失神

入浴などで体が急に温まることで、血管が急に広がるため、血圧が急激に低下します。
軽い症状の場合は、湯船から出てしゃがんで、症状が落ち着けばゆっくり動かしてもらう、といった対応で対処できることもあります。
症状が強いと、失神してしまうこともあるため、注意が必要です。
浴室内で失神すると、そのまま溺れてしまい、なくなってしまうことも少なくありません。

胸痛

急激な血圧の変化で、心臓に栄養を送っている血管(冠動脈)の血流障害が生じることで、急性心筋梗塞や狭心症などの危険な心臓疾患を発症してしまうことがあります。
典型的な心臓の血流障害の症状としては、胸の中心~左側の締め付けられる様な、押しつぶされるような強い胸痛であり、冷や汗を伴うような強い症状であり、左肩~顎や奥歯まで苦しくなる放散痛を伴う事も多いです。
数分で改善しないような強い胸痛の場合は、速やかな救急要請が必要となる、緊急性が高い状態となっている可能性が高いです。

動悸

心臓への負荷、血流障害などが引き金となって不整脈が出現すると、動悸症状が出現することがあります。脈が急に速くなる、脈のリズムが一定ではないなどの症状が出現している場合には、不整脈の可能性が高くなるため注意が必要です。
不整脈では動悸や胸の違和感を自覚することが多いですが、動悸以外に胸痛や強い呼吸苦症状を伴う場合には緊急性が高い可能性があるため、救急要請も検討が必要です。
強い動悸やめまい・ふらつき・失神等の症状がある際には、無理に動かず、横になって楽な姿勢を取り、速やかに救急要請をする必要があります。

息切れ、呼吸の苦しさ(呼吸困難感)

心臓への強い負荷がかかることで、心不全状態になることで生じることがあります。
それまでなかった息苦しさ、呼吸のしにくさが出現する際には注意が必要です。心不全は心筋梗塞や不整脈などの心疾患により引き起こされることが多いため、胸痛や動悸なども伴うこともありますが、高齢者では痛みが弱いことも多く、息切れのみが症状として出現することもあり得ます。
症状が強い、または持続する場合には緊急性が高くなりますので、救急外来の受診や救急要請を検討する必要があります。

強い頭痛

急激な血圧の変化で頭蓋内の血管が傷ついてしまうと、脳出血やくも膜下出血などの頭蓋内の出血を発症することがあります。その場合には強い頭痛が出現することが多く、手足が動かしにくいなどの麻痺症状を伴うこともあります。
特にくも膜下出血では、これまで感じたことがないくらい強い頭痛、バットで殴られたような強い頭痛といった表現がされるような、極めて強い頭痛を生じることが多いです。
急な強い頭痛が出現した際には、速やかな受診や救急要請を検討しましょう。

突然の麻痺症状

急激な血圧変化で、血管内の血流障害が生じることで、脳梗塞や脳出血などの脳卒中を発症することがあります。脳卒中では、障害を受けた脳の部位に応じた神経症状が出現するため、突然手足が動かしにくくなる、呂律が回らなくなるなどの異常な神経症状が発症することが多いです。
これらの症状が出現した際には緊急性が高くなりますので、至急受診か、救急要請が必要となります。

ヒートショックを発症しやすい状況・状態

基本的にヒートショックは、寒暖差が大きい環境で起こりやすくなるため、以下のような状況には注意が必要です。

冬の入浴中

特に寒暖差の大きい、冬場の入浴時に起こりやすいことが知られています。
暖かい居間から、暖房が十分効いていない風呂場へ移動し、脱衣することで体温が急激に低下し、急な体温の低下によって血圧は上昇します。
さらに、その後熱い風呂に入ると体温が急上昇し、血圧が急に低下します。このような血圧の急激な変化が、心臓や血管、脳に負担をかけることで、心筋梗塞や脳卒中などの病気を発症しやすくします。

冬のトイレ

古い家だと居間は暖かくても、トイレは暖房が効いていないことが多いです。
寒い中で、下半身を脱いで排便をしているときには、体温が急激に低下し、急な体温の低下によって血圧は上昇します。さらに排便時にいきむことで、血圧はさらに上昇をするため、心筋梗塞や脳卒中などの病気を発症しやすくします。

飲酒後、食後

冬場の、飲酒後や食後の入浴は注意が必要です。アルコールには血管拡張による血圧低下作用があり、食後では消化に血流が持っていかれるため血圧低下が起こりやすくなります。
食後・飲酒後の冬場の入浴は非常に危険が高くなるため、注意が必要です。

サウナ

最近「サ活」として流行っているサウナですが、やっていることはヒートショックの繰り返しですので、リスクがある方は注意が必要です。熱いサウナに入り、その後冷たい水風呂に入る、という行為は血圧の急降下と急上昇を繰り返してしまいます。
特に高齢者で、高血圧や心血管疾患・脳疾患などの持病がある場合には細心の注意が必要となります。
飲酒後は控える、短時間にする、入る前にしっかり水分をとる、主治医に確認しておく、一人で入らない、といったことに注意する必要があります。

ヒートショックを発症した場合の対処法

無理に動かない

症状が立ち眩みや軽いめまいの場合には、転倒に注意して、その場に座り込むことが有効です。可能であれば横になるとよいでしょう。軽症の場合には、安静にしているだけで改善してくることが多いです。休んでいても改善しないようなめまいや、胸痛や麻痺、呼吸苦などの症状がある際には速やかに救急要請を検討する必要があります。

救急要請、心臓マッサージ

心筋梗塞や危険な不整脈を起こしてしまった場合、失神などでおぼれてしまった場合には心肺停止となってしまうこともあります。
呼びかけても意識がない、呼吸が弱い場合には速やかに救急要請が必要です。
意識がない場合には、心臓マッサージも必要となります。
心臓マッサージは、以下のように行います。
① 倒れている人の胸の真ん中に手のかかとの部分を重ねてのせ、肘を伸ばしたまま真上から強く(胸が約5センチ程度沈むまで)押します。
② 押した後には瞬時にその力を緩めますが、手が胸の真ん中から離れないよう、ずれないようにします。これを1分間に100~120回の速さで繰り返し続けます。
③ もしAEDを持ってこられるならば、装着して、電気ショックができるようにすることも重要です。

溺れないようにする

意識を失うと浴槽内でおぼれてしまうので、浴槽で動けなくなっている、意識を失っている場合にはすぐにお湯を抜いて、可能であれば浴槽から出して横にしてあげるとよいでしょう。同時に、救急要請も検討する必要があります。

ヒートショックの予防法・対策

発症すると非常に怖い病気も引き起こしてしまうヒートショックですが、適切な対処をすることで発症の予防につながることもあります。

脱衣所や浴室を暖める

脱衣所や浴室に暖房を設置して、入浴前に暖めておくと、急な温度変化を防ぐことができます。ほかにも、
①お湯を張るときはシャワーで溜める(蒸気が発生するので温まりやすくなる)。
②入浴前には風呂のフタを開けておく
といった対応も有効です。

飲酒後、食後の入浴を避ける

飲酒後や食後は血圧が低下しやすくなるため、入浴は避けましょう。

気温が下がる前に入浴する、湯の温度を下げる

夜遅い時間では外気温が下がるため浴室の温度も低下するので、日没前の入浴をするのも一つの方法です。
また、熱いお湯に入るのも血圧の変化を起こりやすくするため、40℃未満くらいの温度に設定し、長時間入浴しないなどの対策も有効です。

声掛けをする、時々様子を確認する

高齢者やリスクがある人が入浴しているときには、定期的に声をかけたり、様子を見てあげることも有効です。

「ヒートショックになりやすい人」についてよくある質問

ここまでヒートショックになりやすい人について紹介しました。ここでは「ヒートショックになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ヒートショックは若い人でも発症することはあるのでしょうか?

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

リスクとしては高齢者よりは低いですが、若い人でも起こす可能性はあり得ます。特に飲酒後や食後には起こりやすくなるため、若い人でも注意が必要です。

ヒートショックは自律神経の乱れと関連しているのでしょうか?

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

自律神経が乱れている状態は、ヒートショックを起こしやすくするとする報告もあります。
十分な睡眠や休養を取る、リラックスすることで、自律神経の調子が落ち着きやすくなり、ヒートショックのリスクを下げる作用も期待されます。

編集部まとめ

ヒートショックは特に高齢者では、命にかかわる状態となることもある、非常に危険な状態です。ただ、適切な対策をとることでリスクを下げることはできるため、今回の記事を通して正確な知識を持ち、寒い冬の間にヒートショックを起こさないような対策をとっていただき、皆さんが健康に過ごしていただければと思います。

「ヒートショック」と関連する病気

「ヒートショック」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳血管疾患の病気

急激な気温の変化によって血圧が変動し、血管に負担がかかり上記のような心臓や脳の病気を引き起こす可能性があります

「ヒートショック」と関連する症状

「ヒートショック」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • めまい、ふらつき
  • 失神
  • 胸痛
  • 息切れ、呼吸困難
  • 頭痛
  • 麻痺症状

心臓病や脳卒中で見られるような症状が出現します。このような症状が続く場合には、すぐに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師