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「急性心不全を発症しやすい人の特徴」はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/26

急性心不全で突然死する前兆にはどんな症状がある?Medical DOC監修医が急性心不全で突然死する前兆・原因・発症しやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「急性心不全で突然死する前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

「急性心不全」とは?

「心不全」とは「なんらかの心臓機能障害、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果として、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現して、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されています。
心臓には、全身の筋肉や臓器に血液を送る「ポンプ」としての機能があります。
具体的には、肺で酸素を受け取った血液を心臓から全身に送り、さらに全身を巡った血液を心臓に戻して再び肺に送る機能を有しています。
このポンプ機能が何らかの原因でうまく働かず、体にさまざまな症状をもたらす状態を「心不全」といいます。
さらに、この心不全が突然起こる、あるいは症状が急激に悪化して、突然死する恐れがあるのが「急性心不全」と呼ばれる状態です。
急性心不全は心筋梗塞などの病気が引き金となり、ポンプ機能が急速に低下して息苦しさや動悸、食欲不振、むくみなどの症状をもたらします。
急性心不全の多くは、虚血性心疾患や高血圧などの慢性疾患が原因であるため、まずはこれらの病気の改善を図ります。
急性心不全のなかには、たとえ血圧などバイタルサインが保たれている状態でも、急速に病状が進行して、心原性ショックや心停止に至り、突然死するケースも少なくありません。
そのような場合には、救命処置を優先し、呼吸困難や臓器うっ血(心臓内に血液が溜まっている状態)の改善を図る処置を緊急的に行う必要があります。

急性心不全を発症しやすい人の特徴

塩分の取りすぎ

急性心不全を引き起こす生活内容の特徴としては、日常の食生活において塩分の摂取を過剰に取り込んでいる場合が挙げられます。
血液中に塩分が増えてしまうと、血圧が必然的に上がり、血圧が高い状態が続くと血管壁はその圧力に耐えようとして生理的に厚く硬くなってしまい動脈硬化が進行します。
ラーメンやうどんなど麺類の汁を飲み干していると自然と塩分過多になって高血圧など生活習慣病を発症して、急性心不全を発症しやすくなると考えられます。
一方で、普段から調理法を工夫して塩を使う代わりに、酢やレモンなどを活用して塩分制限をしている場合には心不全を罹患しにくいと考えられます。
また、野菜や海藻から日常的にミネラルやビタミン群を摂っている人は心不全を発症しにくいと言われています。

運動不足

急性心不全の発症を予防するためには、食生活における対策と並んで、習慣的な運動が効果的です。
例えば、ウォーキングなど有酸素運動を1回当たり30分程度、週に3~4回と無理のない範囲で実践していて、肥満体形になっていない方は心不全を発症しにくいと考えられます。
現代では自動車のある生活が当たり前になり、駅やショッピングモールなどの公共施設にエスカレーターやエレベーターがあるのが常識になっていますが、よく歩くことは健康維持の基本となります。
歩行時に筋肉を使えば使うほど基礎代謝が上がり、血液の循環がよくなって動脈硬化を予防することに繋がりますので、普段からなるべくエスカレーターやエレベーターには乗らずに階段を上り下りするように心がけましょう。

すぐに病院へ行くべき「急性心不全で突然死」

ここまでは急性心不全で突然死について紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

日常動作で苦しさが出現する場合は、循環器内科へ

心不全の重症度の分類には、身体所見に基づいたNYHA(ニーハ:New York Heart Association:ニューヨーク心臓協会)作成のものが広く用いられていて、Ⅰ度~Ⅳ度に分けられます。
Ⅰ度では、心疾患はあるが、身体活動に制限はなく、日常的な身体活動では、著しい疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じない場合です。
Ⅱ度は、軽度ないし中等度の身体活動の制限がありますが、安静時には症状は出ずに、日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じるレベルです。
Ⅲ度においては、高度な身体活動の制限がありますが、安静時には症状は出ず、通常以下の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる場合が該当します。
Ⅳ度は、心疾患のため、いかなる身体活動も制限され、安静時にも心不全症状や狭心痛があり、わずかな労作でこれらの症状が増悪する状態を意味しています。
重度の症状を認める際には、できるだけ早く循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「急性心不全」のセルフチェック法

  • ・胸痛症状がある場合
  • ・動悸症状がある場合
  • ・呼吸困難症状がある場合

急性心不全を予防する方法

生活習慣病の予防

心不全の主な原因としては、いわゆる生活習慣病全体です。
これらの病気によって、長い間、心臓に負担がかかったことで心臓の働きが弱くなってしまうので、きちんと治療を続けて心不全の原因となる生活習慣病をコントロールすることが、心不全の予防につながります。
心不全症状を事前に予防するには、心臓に負担がかかる病気をひとつひとつ予防し、心臓にダメージを与えないような生活習慣を心がけることが重要です。
例えば、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などの病気によって心不全状態に陥る人が増えています。
心不全は一度発症すると、否応なしに入退院をくり返し、だんだん悪くなり、健康寿命を縮めることに繋がります。
心不全は高血圧や動脈硬化などの生活習慣病によって引き起こされることが多いため、普段から食生活や運動習慣を整えて、疲れやストレスをためない生活を意識して続けていくことが大切です。
特に、喫煙や飲酒、塩分の取り過ぎなども心臓に負担をかけることになりますので、相当な注意が必要です。

食べ過ぎや飲み過ぎをしない

アルコールの飲み過ぎが心不全の原因となることがあります。
大量の酒類を控えることで、心臓の働きが劇的によくなる場合もあり、飲酒は心臓の負担になるということを認識して飲むにしても程ほどに抑えておくようにするのが心不全予防の大原則と考えられています。
心不全の場合は、食事や運動などの生活習慣管理に加えて、心不全の危険因子に対する病気を抱えている人では適切な薬物治療を実践する事により心不全の発症や再発を予防することが期待できます。
日頃から、節酒を心がけるとともに、バランスのよい食事を摂取する、便通を整える、そしてストレスと出来る限りうまく付き合って心不全を予防するように努めましょう。

運動と食事に気をつけて肥満を予防する

心不全の予防にあたっては、喫煙、過度な飲酒を避けることのみならず食事、運動などの生活習慣の見直し、そして体重管理が何よりも重要な観点となります。
特に、肥満に関しては、生活習慣病の大きな原因の1つであるため、適正体重を目指して栄養バランスの良い適量の食事をとり、適切な運動を行うことが求められています。
実際に適正な体重や必要な食事内容、勧められる運動量や内容などは、患者さん個々の背景や社会的状況、そして病状に応じて異なりますので、適宜かかりつけの医師やその他の医療スタッフに相談するようにしましょう。

「急性心不全で突然死」についてよくある質問

ここまで急性心不全で突然死などを紹介しました。ここでは「急性心不全で突然死」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性心不全で突然死する時、どんな症状が多いですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性心不全で突然死するケースとしては、胸痛など胸部症状を呈して、心筋梗塞を引き起こす場合が考えられます。心筋梗塞は、心臓を養う冠動脈という血管が突然ふさがり、冠動脈疾患を起こすことによって心筋の一部への血液供給が大きく減少し遮断されることで発症します。
生命に必須である心臓への血液供給が数分以上にわたって大きく減少するか中断されると、心臓の横紋筋の筋肉組織が壊死することに繋がります。
心臓のポンプ機能は、心筋が収縮と拡張を繰り返すことで維持されていますので、心筋梗塞を起こして心筋の一部が機能しなくなって死んでしまうと、ポンプ機能が正常に働かなくなって、さらに心不全状態を悪化させることになります。
特に、急性心筋梗塞では、同時に心室細動という危険な不整脈を合併しやすく、そうなった場合には、迅速で適切な治療の有無が生死を分けることになります。

編集部まとめ

心臓という臓器は全身に血液を送り出すポンプの役割として一日中、休むことなく働き続けています。
一般的に、心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める命に直結する病気と定義されています。
一言で心不全と言っても、原因や自覚症状は人によって多種多様です。
急性心不全は、虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症などさまざまな心臓の病気が原因となって起こります。
急性心不全になると、息切れや動悸、激しい咳、手足のむくみ、倦怠感、夜間の頻尿・多尿などの症状が現れて、最悪の場合には突然死する可能性があります。
急性心不全は年齢を重ねるごとに発症するリスクが上がるために、現代の高齢化が進む我が国においては年々発症者が増えている病気でもあります。
今後もさらに患者数が増加することが予想されていますので、急性心不全に伴って突然死しないために日常的に注意していきましょう。
心配な症状があれば、循環器内科など専門医療機関を受診しましょう。

「急性心不全で突然死」と関連する病気

「急性心不全で突然死」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

急性心不全の原因は慢性疾患がもともと存在していることが多いため、上記のような病気を悪化させないことが突然死を防ぐことにつながります。

「急性心不全で突然死」と関連する症状

「急性心不全で突然死」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛を自覚する
  • 動悸を引き起こす
  • 手足がむくむ
  • 呼吸困難

心不全の症状は、原因によって異なりますし、自覚症状も幅広くあります。気になる症状がある場合には、心不全の可能性も含めて検査を行うことをお勧めします。

この記事の監修医師