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「大腸がん手術後の症状」はご存知ですか?お腹の張りはステージいくつかも解説!

 公開日:2025/02/21

Medical DOC監修医が大腸がんの術後の症状などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「大腸がん」を発症すると「お腹にどんな張り」を感じる?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

プロフィールをもっと見る
佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「大腸がん」とは?

大腸がんとは、大腸の内側にある粘膜から発生した腫瘍です。腺腫という良性の腫瘍が悪性化したものと、正常粘膜から直接がんが発生する場合の2通りあります。腺腫から発生したものが多いです。大腸がんは、現在罹患数で第一位の非常に多いがんであり、近年増加傾向にあります。

大腸がん手術後の症状

手術は最大限の注意をはらって治療をしても、ある一定の割合で術後の合併症が生じることがあります。術前の状態や術式、患者さんの状態によりリスクは異なります。手術を受ける際に、心配な場合にはまず主治医に確認をしましょう。ここでは、一般的に起こりうる術後の合併症について解説します。

出血

手術により出血することもあり、出血量が多い場合には輸血を行うこともあります。また、術後に出血をきたす場合、再手術で出血を止めることもあり得ます。

縫合不全

腸管のつなぎ目から便が腹腔内に漏れることを縫合不全といいます。周囲に感染や炎症が拡大し、腹膜炎が起こり、発熱や腹痛などの症状が出ます。炎症が軽度の場合には、食事を一旦やめて点滴治療で治療を行い、腹膜炎の症状がある場合には再手術で腹腔内を洗浄し、吻合部より上流の腸管に一時的な人口肛門を作成することもあります。

吻合部狭窄・腸閉塞

これらの症状は、術後少し時間が経過してから起こることもあります。手術後に吻合部が狭くなることが原因です。症状は便通異常や腹痛などです。この場合には内視鏡での治療や再手術を行うことで吻合部を広げる処置を行います。
手術後に腸の動きが悪くなったり、腸管に狭窄が生じたりして腸が詰まった状態が、腸閉塞です。この時には、おなかの張りや嘔吐、嘔気などを伴います。腸閉塞が起こった場合には、治療は食事を中止して点滴治療で腸管を休ませることです。また、鼻からのチューブでたまった胃液や腸液を排出すると症状が改善します。しかし、保存的な治療で症状が治まらない場合には手術を行うこともあります。

大腸がんを発症し張りを感じる場合のステージ分類とは?

お腹の張りのみでステージを分類することはできません。まず、おなかの張りの原因について調べる必要があります。
腫瘍が大きくなることで腸管が狭窄し便が詰まりかけ、腹痛やおなかの張りが起こることもあります。この場合には、ある程度腫瘍が大きくなっている可能性は高いです。しかし、大きさのみではステージは分類できません。大腸がんの深達度や周囲へのがんの広がり方がどの程度か詳しく検査をし、ステージを分類します。
腹水が貯留することでおなかの張りを感じる場合、腹膜播種が原因であればステージはⅣと分類されます。ステージⅣではがんが広汎に広がっているため、手術では取り切れないことが多く、化学療法や放射線を併用して治療を行うことが多いです。ここでは、ステージⅣについての詳しい解説を行います。

ステージIV

ステージⅣは肝転移や肺転移などの血行性転移がある、もしくは腹膜播種がある状態です。この場合には、便秘や腹痛などの局所の症状以外に転移した部位に伴う症状がみられます。
肺転移であれば、咳や血痰、脳転移であれば手足のしびれやふらつき、骨転移であれば転移した部位の痛みなどです。腹膜播種の場合には、腹水が溜まることで腹部の張る感じや痛み、腸管運動が低下するために嘔気が起こることもあります。
ステージⅣの治療としては、転移巣と原発巣がともに外科的切除可能であれば手術が第一選択です。転移巣もしくは原発巣が手術でとり切れない場合には、手術に薬物療法や放射線療法を組み合わせます。この治療の方針は、病巣、転移巣の状態や全身状態により異なります。まず主治医に確認をしましょう。

「大腸がんとお腹の張り」についてよくある質問

ここまで大腸がんとお腹の張りの関係性などを紹介しました。ここでは「大腸がんとお腹の張り」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします

大腸がんを発症するとお腹が張る原因について教えてください。

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんを発症することで、便の通りが悪くなり、便のつまりから腹痛やおなかの張りを感じる方もいます。また、大腸がんが進行し、腹膜播種という腹腔内にがんが散らばった状態となると、腹水が生じておなかが張ることもあります。しかし、おなかが張る原因は大腸がんだけではありません。おなかが張るようになったら自己判断せず、まず消化器内科を受診して相談しましょう。

まとめ お腹の張りを感じたら消化器内科へ!

お腹の張りを感じた場合、大腸がんなどの大きな病気が潜んでいるかもしれません。もちろん、おなかが張るのは大腸がんのみではありませんが、大腸がんはもともと症状が出にくい病気です。気になる症状があった場合には、早めに消化器内科を受診することが重要です。
お腹の張りなどの症状があったら、消化器内科を受診しましょう。

「大腸がんとお腹の張り」と関連する病気

「大腸がんとお腹の張り」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

おなかの張りを感じるときに、多くは消化器系の病気が隠れています。原因を調べるためにまず消化器内科を受診しましょう。一部腹水などは、消化管以外の病気に伴うこともあります。肝硬変や婦人科系疾患などです。自己判断せずに、受診して相談することが大切です。

「大腸がんとお腹の張り」と関連する症状

「大腸がんとお腹の張り」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

おなかの張りに上記のような症状があった場合には、大腸がんの可能性もあります。まず消化器内科を受診して相談しましょう。

この記事の監修医師

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