「膵臓がんの生存率」はご存知ですか?【医師監修】
膵臓がんとは、どのような特徴のあるがんなのでしょうか。治りにくく、治療が難しいというイメージがあるかもしれません。
膵臓に発生するがんであることはわかっていても、特徴や余命についてなど詳しいことはわからないという場合もあります。
この記事では、膵臓がんの痛みが出る場所についてを中心に、どのような病気なのか・初期症状・生存率について解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「膵臓がんを発症すると感じる痛みの場所」はご存知ですか?初期症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
膵臓がんとは?
膵臓がんは、多くは膵管という場所で発生し、ほとんどが腺がんです。膵臓にがんが発生したとしても、小さいうちは無症状であることが多いです。このため早期での発見が難しいといわれています。
70〜80%の患者さんでは発見されたときにはがんが進行してしまっていて、手術が選択できないため治りにくく、治療が難しいイメージがあります。また、ほかのがんに比べて再発率が高いことも治療が難しいといわれる一因です。
ほとんどは腺がんという組織型
膵臓がんの組織型はほとんどが腺がんで、その割合は90%以上に及びます。腺がんとは体を構成する上皮組織の腺組織から発生するがんです。残りの10%未満は希少な膵がんに分類され、さらに10種類以上の組織型に分類されています。
膵管に発生することが多い
膵がんの90%以上は、膵臓の中の膵管に発生します。これを膵管がんといい、通常膵臓がんといわれているのはこの膵管がんのことです。膵臓がんは消化器に発生するがんの中でも治りにくいがんの1つです。
発生率は胃がん・大腸がんなどほかのがんと比べて3分の1程度と低いですが、国内のがんの死亡原因では5位になっています。このことからも膵臓がんは治療の難しいがんであるイメージがあります。
膵臓の周りのリンパ節や肝臓に転移しやすい
膵臓がんは、がんが小さいうちは症状がほとんどないにもかかわらず、膵臓の周りのリンパ節や肝臓に転移しやすいです。周りの組織にがんが転移することで、お腹の中でがんが散らばって転移し腹膜播種が起こってしまうこともあります。
腹膜播種が起こると手術でがんを取り切ることが難しくなってしまうため、治療方法が限られてしまいます。このことも膵臓がんの治療が難しいとされる原因になっているのです。
膵臓がんの生存率は?
膵臓がん全体の5年生存率は、11.8%です。病期ごとに生存率が異なるので、ステージ1〜4の生存率を以下に示します。
- ステージ1:49.4%
- ステージ2:20.8%
- ステージ3:5.8%
- ステージ4:1.5%
膵臓がんは、早期発見が難しくがんが進行してから発見される人が多いです。発見されて診断がついた段階で手術を受けることができる患者さんは20%程度です。手術ができても、再発してしまうことが多く、術後の5年生存率は20〜40%といわれています。しかし膵臓がんは切除できれば完治することもあります。
早期発見・早期治療が予後にかかわってくるので、気になる症状があれば医療機関で相談をすることが重要です。
膵臓がんの痛みの場所についてよくある質問
ここまで膵臓がんの痛みが出る場所・初期症状・生存率などについて紹介しました。ここでは「膵臓がんの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膵臓がんの痛みとほかの病気の痛みを見分ける方法はありますか?
甲斐沼 孟(医師)
膵臓がんの痛みには、腹痛・腰痛・左の背部痛・左肩への放散痛があります。症状が進行すると痛みが持続することが多いです。しかし、ほかの病気と全く異なる痛みというわけではなく、痛みだけで見分けることは困難です。気になる症状があるときには医療機関を受診し相談しましょう。
痛みと並行してあらわれる症状があれば教えてください。
甲斐沼 孟(医師)
- 黄疸
- 体重減少
- 食欲不振
- 全身倦怠感
- 下痢
患者さんが気になる症状があり、受診したことがきっかけで膵臓がんが見つかることが多いです。このような症状があらわれたときには、医療機関で相談してみましょう。
編集部まとめ
今回の記事では、膵臓がんで痛みが出る場所はどのような部位かということを中心に、膵臓がんの特徴・初期症状・生存率などについて解説しました。
膵臓がんは特徴的な初期症状が少なく、症状が出ない人もいます。このため発見が遅れて治療が限られてしまう場合もあるのです。
早期発見・早期治療を行うことによって、手術でがんを切除することができれば完治することもある病気です。
ご自身またはご家族で気になる症状・異変があるという人は、1人で悩まずなるべく早く医療機関に相談してください。
膵臓がんと関連する病気
「膵臓がん」と関連する・似た症状が出る病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腹部や背中に急激な痛みが出るときには急性膵炎、慢性的な痛みが出るときには慢性膵炎の可能性もあります。
また、膵臓がんになると糖尿病を発症したり、糖尿病が急激に悪化したりすることがあるので注意が必要です。
膵臓がんと関連する症状
「膵臓がん」と関連している・似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 腹痛
- 背部痛
- 腰痛
- 黄疸
- 体重減少
- 食欲不振
- 腹部膨満感
- 全身倦怠感
- 下痢
これらは膵臓がんに特有の症状ではありませんが、膵臓がんの症状として出ることがある症状です。