1. Medical DOCTOP
  2. 歯科TOP
  3. コラム(歯科)
  4. 【糖尿病患者の歯科治療】 受診の際に気をつけること・注意点を歯科医が解説

【糖尿病患者の歯科治療】 受診の際に気をつけること・注意点を歯科医が解説

公開日:2022/12/19
【糖尿病患者の歯科治療】 受診の際に気をつけること・注意点を歯科医が解説

歯科医院を受診する人の中には、高血圧や糖尿病、心臓疾患などの持病がある人も多くいらっしゃいます。基本的に持病があっても歯科治療は受けられますが、受診の際にはいくつか注意しておきたいこともあるようです。そこで今回は「糖尿病」にスポットを当てて、糖尿病の人の歯科治療で気をつけたいことや治療を受けるメリットなどを、「いちやま歯科」の一山先生にお聞きしました。

一山 茂樹

監修歯科医師
一山 茂樹(いちやま歯科)

プロフィールをもっと見る
北海道大学歯学部卒業。北海道大学大学院歯学研究科修了。その後、北海道大学歯学部にて助手、講師を務める。1984年、北海道札幌市に「いちやま歯科」を開院。「患者様第一」を治療方針に、30年以上にわたり地域に密着した診療をおこなう。歯学博士。日本補綴歯科学会の会員。

治療にリスクはない? 糖尿病患者さんの歯科治療で注意すべきこと

治療にリスクはない? 糖尿病患者さんの歯科治療で注意すべきこと

編集部編集部

糖尿病の持病があっても、歯科治療は問題なく受けられるのでしょうか?

一山 茂樹先生一山先生

はい。糖尿病の人でも血糖のコントロールが良好であれば、健康な人と同じように歯科治療を受けることができます。ただし、そのときの病状や体調によっては、医科と連携して担当医に相談しながら治療をおこなうかの判断をする場合もあります。

編集部編集部

血糖のコントロールというお話がありましたが、具体的に「これぐらいであれば問題なく治療が受けられる」という目安はありますか?

一山 茂樹先生一山先生

血糖のコントロールを評価する目安に「ヘモグロビンA1c」という数値があります。この数値が7.0%以下であれば、歯科治療に問題はありません。また、歯石除去や抜歯など出血を伴う処置についても、ガイドラインでは「ヘモグロビンA1c6.9%未満または空腹時血糖が100~140mg/dl」を基準としています。一方で、ヘモグロビンA1cが8や9になってしまうと、医科の先生に相談して治療の可否を決めていく必要があります。

編集部編集部

血糖のコントロールが上手にできていないと、やはり歯科治療で心配なリスクなどがあるのでしょうか?

一山 茂樹先生一山先生

そうですね。糖尿病の人の場合、血糖値が高いと「感染を起こしやすい」「心臓血管系の障害」などの点がリスクでしょう。歯科治療は抜歯などの外科処置だけでなく、例えば歯石取りでも多少の出血はありますから、その傷口から感染した細菌が全身に巡るリスクがないとは言い切れません。したがって、歯科医院によっては治療前に簡易血糖値測定器で血糖値を確認する場合もあります。

編集部編集部

ほかにも、歯科治療で起こり得るリスクはありますか?

一山 茂樹先生一山先生

麻酔や治療によるストレスで血糖値が変動する場合もあるため、その点も十分配慮しながら治療をおこなう必要があります。

糖尿病患者さんが歯科治療を受ける際に気をつけること

糖尿病患者さんが歯科治療を受ける際に気をつけること

編集部編集部

お話しいただいた治療のリスクを踏まえて、糖尿病の人が歯科医院を受診する際に気をつけておきたいことを教えてください。

一山 茂樹先生一山先生

まず、自分が糖尿病とわかっているのであれば、必ずそのことを歯科医師に伝えるようにしてください。また、その際には「糖尿病連携手帳」など普段の血糖値がわかるものや「お薬手帳」なども持参するようお願いします。

編集部編集部

まずは自身が糖尿病であることを伝えることが肝心なのですね。

一山 茂樹先生一山先生

はい。これは糖尿病に限らず、ほかの持病を持っていても同じことが言えます。現在の健康状態を正しく伝えておけば、歯科医院側もそれを踏まえて治療体制を整えますし、必要に応じて医科と連携して治療を進めることも可能になります。したがって、患者さんが安心して歯科治療を受けるためにも「歯科医に伝える」という点だけは忘れないようにしてください。

編集部編集部

治療当日に気をつけておきたいことはありますか?

一山 茂樹先生一山先生

治療当日は血糖の変動を防ぐために空腹時は避け、治療前に必ず食事をとるようにしてください。また、インスリンや血糖値を下げる薬なども通常どおり服用していただくようお願いします。加えて、治療中に低血糖になった場合に備えて、ブドウ糖や飴、糖分を含む飲料などを持参しておくと安心です。

糖尿病患者さんが歯科治療を受けるメリット

糖尿病患者さんが歯科治療を受けるメリット

編集部編集部

糖尿病患者が歯科治療を受けると、どのようなメリットがありますか?

一山 茂樹先生一山先生

糖尿病の人は健康な人よりむし歯や歯周病になるリスクが高く、進行も早い傾向があります。これは血糖値が高くなると細菌に感染しやすくなることに加えて、唾液の量も減ってお口の中が乾きやすくなるためです。したがって、早い段階で歯科治療を受けておくことで、これらの疾患の重症化を防げるのがメリットとなります。とくに歯周病に関しては糖尿病と密接な関係があり、歯周病治療によって血糖コントロールが改善するというデータもあります。(※)

※糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2014
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_diabetes.pdf

編集部編集部

つまり、歯周病をしっかり治療すれば糖尿病の悪化も防げるわけですね。

一山 茂樹先生一山先生

歯周病は糖尿病以外にも、動脈硬化や心臓疾患、脳血管障害など、様々な病気との関連も近年は指摘されています。ここ最近では、アルツハイマー病の悪化に歯周病菌や歯周病菌が出す毒素が関係しているという研究報告もありました。(※)お口の健康を維持することは、結果的にこれら全身の病気の進行や悪化を防ぐことにつながることも知っていだたきたいと思います。

※歯周病菌のアルツハイマー様病態誘発に関与する原因酵素を特定
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/141/

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

一山 茂樹先生一山先生

今回は歯科治療に関する話でしたが、むし歯や歯周病はなる前に「予防する」ということが最も重要です。したがって、治療のときだけ受診するのではなく、異常がないときにも定期的に歯科医院を受診して、検査やクリーニングを受けることも忘れないようにしましょう。

編集部まとめ

糖尿病の持病がある人でも、血糖のコントロールが良好(ヘモグロビンA1c7.0%以下)であれば、通常どおり歯科治療は受けられるとのことでした。糖尿病の人の場合、むし歯や歯周病になるとすぐに進行してしまう可能性があるため、早い段階で治療を受けてこれらの病気の重症化を防ぐことが肝心です。なお、歯科医院を受診する場合は、自身が糖尿病であることを担当医に伝えて、現在の病状がわかる糖尿病連携手帳やお薬手帳などを必ず持参するようにしましょう。

医院情報

いちやま歯科

いちやま歯科
所在地 〒063-0003 北海道札幌市西区山の手3条4丁目1-12
アクセス 札幌市営地下鉄東西線「琴似駅」 徒歩10分
JR「琴似駅」 徒歩20分
診療科目 歯科