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コーヒーを1日2杯以上飲む高血圧患者は狭心症や心筋梗塞などの「心血管疾患」死亡リスク2倍

 更新日:2023/12/21
重症高血圧患者 コーヒー1日2杯以上で心・血管疾患死のリスク2倍

大阪大学の研究グループは、重症高血圧患者におけるコーヒーと緑茶の影響を検討した結果、「コーヒーを1日に2杯以上飲む重症高血圧患者は、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが2倍になる」と発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大阪大学の研究グループによる発表内容とは?

今回、大阪大学の研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の研究は、大阪大学の研究グループが重症高血圧患者におけるコーヒーと緑茶の影響を検討したものです。研究グループは、対象を①至適・正常血圧「SBP(収縮期血圧):130mmHg未満かつDBP(拡張期血):85mmHg未満」、②正常高値血圧「SBP:130~139mmHgまたはDBP:85~89mmHg」、③グレード1「SBP:140~159mmHgまたはDBP:90~99mmHg」、④グレード2「SBP:160~179mmHgまたはDBP:100~109mmHg」+グレード3「SBP:180mmHg以上またはDBP:110mmHg以上」という4つのグループに分けました。

検証の結果、コーヒーを摂取していないグループに対する④の高血圧グループの心血管疾患死のハザード比は、コーヒー1日1杯以下で0.98、1杯で0.74、2杯以上摂取で2.05となりました。また、1日にコーヒー2杯以上摂取で有意な心血管疾患死リスクの上昇がみられましたが、1杯ではリスク上昇はみられませんでした。コーヒー摂取による心血管疾患死リスクの有意な上昇は、①~③のグループでは認められませんでした。さらに、緑茶摂取については、血圧のレベルにかかわらず心・血管疾患死リスクの上昇との関連は認められませんでした。

研究グループは「コーヒーの多量摂取は重症高血圧患者の心血管疾患死リスク上昇と関連していたが、高血圧でない者やグレード1の高血圧患者ではこの関連は認められなかった。一方、緑茶の摂取は血圧レベルにかかわらず血管疾患死リスク上昇と関連していなかった」「他国の重症高血圧患者に対するコーヒーと緑茶の影響を明らかにするために、さらなる研究が必要」と指摘しています。

心血管疾患とは?

心血管疾患について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

心血管疾患は、症状がないまま病状が進行して、症状が現れたときには重症となっており、時には死に至る危険性の高い病気です。具体的な心血管疾患としては、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、心臓弁膜症などの大動脈弁疾患、大動脈瘤などの大動脈疾患、心房中隔欠損症などの先天性疾患、不整脈、末梢動脈疾患などが挙げられます。心血管疾患は糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙者に多い病気です。

発表内容への受け止めは?

今回、大阪大学の研究グループが発表した内容について受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

重症高血圧患者の持つほかの合併症のバイアスによる影響はありますが、実際の臨床に沿った有用な研究であると考えます。今後、さらなる研究が進み、医療の進歩に一役買うことを期待します。

まとめ

大阪大学の研究グループが重症高血圧患者におけるコーヒーと緑茶の影響を検討した結果、「コーヒーを1日に2杯以上飲む重症高血圧患者は、心血管疾患死のリスクが2倍になる」と発表したことが今回のニュースでわかりました。今回の結果については研究グループもさらなる研究の必要性を指摘しており、今後の研究にも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師