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かくれ冷え性とはなんですか? 低体温による体への影響を医師が解説

 更新日:2023/03/27

冷え性は、顔などの上半身に冷えが生じるタイプや、足先などの体の末端に生じるタイプなどいくつかのタイプがあります。最近では、体の表面はあたたかくても内臓に冷えが生じている「かくれ冷え性」の方も多いようです。今回は、かくれ冷え性や冷え性による低体温の影響について工藤先生に詳しく話を伺いました。

工藤 孝文 医師

監修医師
工藤 孝文(医師)

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みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。 
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

「かくれ冷え性」とは?

「かくれ冷え性」とは?

編集部編集部

かくれ冷え性とはどんな状態なのか教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

実は、冷え性とは正式な病名ではありません。一般的には、血流が悪く全身に体温を運ぶ血液が十分に循環できないために、手足や体幹などに冷えが生じている状態のことを冷え性と呼びます。また冷え性にも、顔などの上半身に冷えが生じるタイプや手足などの体の末端に冷えが生じるタイプなど、いくつかのタイプがあります。その中でも、「かくれ冷え性」は内臓に冷えが生じるタイプの冷え性を指し、「内臓型冷え性」とも呼ばれます。このタイプの冷え性は、手足は暖かいのにお腹が冷えていたり、二の腕や足の付け根付近に冷えを感じたりするのが特徴です。

編集部編集部

かくれ冷え性になってしまう原因などはあるのでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

体質が原因の場合には、生まれつき寒暖差などで血管が収縮しやすい人などにみられることがあるようです。また、生活習慣が原因の場合には、日頃から冷たい飲み物や食べ物をよく食べる人や、筋肉量が少ない人などにみられることもあります。ほかにも、お腹の手術をした人や自律神経が乱れている人などに生じる傾向があります。

編集部編集部

かくれ冷え性では、どのような症状が見られるのでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

かくれ冷え性では、主に体幹(体の中心部)の血流が悪く冷えが生じているため、腹痛や下痢などの症状がよくみられます。また、どんな臓器も血流が悪いと正常に機能できないため、頭痛や不眠、免疫力の低下などの症状がみられることもあります。

編集部編集部

冷え性は全身の不調に繋がるということでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

そうですね。冷えは血流が悪い状態なので、全身へのさまざまな影響が考えられます。単に冷え性と放置せずに、しっかりと対策を取ることが必要です。

低体温による影響とは?

低体温による影響とは?

編集部編集部

冷え性の場合、普段から低体温気味という方もいらっしゃるかと思います。そんな低体温についても詳しく教えてください。

工藤 孝文 医師工藤先生

低体温にも具体的な定義はありません。一般的には35.5℃以下の場合を低体温と捉える意見が多いようです。また、冷え性の人が必ずしも低体温であるということはありませんが、長期間冷え性を放置した結果、低体温になってしまうということは考えられます。ほかにも、無理なダイエットや運動不足による筋肉量の低下、ホルモンの異常などが原因で低体温を生じることもあります。

編集部編集部

低体温になると、体にどのような影響が生じるのでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

具体的には、慢性的な頭痛や肩こり、風邪や感染症などにかかりやすいなどの影響が考えられます。また、関節リウマチや甲状腺の病気を発症する恐れや、女性の場合には生理が止まってしまったり、不妊の原因になったりすることも考えられます。本来、人間は体の内部の中枢温が37℃前後の体温を保つことで、内臓が正常に機能できるようになっています。そのため、日頃から体温が35.5℃以下だと、全身の内臓が正常に機能できないため、さまざまな影響が生じる恐れがあります。

編集部編集部

低体温が、病気や不妊などの原因になることもあるのですね。

工藤 孝文 医師工藤先生

はい、低体温が続くと、全身の細胞組織や内臓に必要な酸素や栄養素が十分に行き届かず、さまざまな病気を引き起こす要因となります。そのため、冷え性と同様、早めに対策を取ることが重要です。

冷え性や低体温の予防のためにできること

冷え性や低体温の予防のためにできること

編集部編集部

かくれ冷え性や低体温を予防するためにできることはあるのでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

日常的に体温を下げない工夫を取り入れたり、筋力を維持するために適度な運動を行ったりすることが大切です。体を冷やさないよう、エアコンを使用する際にはお腹にタオルケットなどを一枚掛けて保温すると良いでしょう。また、室温も不必要に下げすぎないように気を付けてください。ほかにも、暑い夏場や忙しい時期などはシャワーだけという方もいらっしゃるかもしれませんが、40℃くらいのお湯に10分程度つかるだけでも体温を上昇させる効果が期待できます。運動に関しては、ウォーキングやスクワットなどの有酸素運動や、無理のない範囲での筋トレなどが効果的です。

編集部編集部

食生活で気をつけるべきポイントはありますか?

工藤 孝文 医師工藤先生

通年に関して言えることですが、冷たい食べ物や飲み物は摂りすぎないように注意が必要です。飲み物はなるべく常温のものや温かいものを選び、食事では生姜や根菜類、発酵食品などを取り入れることで冷えの予防に効果が期待できます。

編集部編集部

では、既に冷え性や低体温が慢性化している場合はどうしたらいいのでしょうか?

工藤 孝文 医師工藤先生

かくれ冷え性の方の場合には、夏場であっても体を冷やしすぎないようプラス1枚羽織れる物を持ち歩くといいでしょう。また、生活習慣の改善や運動などを行っても冷えが改善しなかったり、逆に悪化したりするような場合には、冷えの原因となるような病気が隠れているかもしれません。そのような場合には、一度医療機関を受診してみることも検討しましょう。

編集部編集部

受診する際の目安などはありますか?

工藤 孝文 医師工藤先生

冷えや低体温の明確な受診の目安はなく、ご自身が症状をつらいと感じたり、頭痛や月経異常があったりする場合には、一度受診することをおすすめします。何か病気が隠れていないか調べるための検査や生活習慣改善の指導、漢方薬の処方などが行われます。

編集部まとめ

かくれ冷え性は、体の表面が暖かくても内臓などの体幹が冷えている状態であり、慢性化することで低体温につながる可能性もあるということがわかりました。放置することで、全身にさまざまな影響が生じる恐れもあるため、「冷え性かも?」と感じていらっしゃる方や平熱が35℃台という方は、食事や運動などの生活習慣を改善し、日頃から体を冷やさないよう注意が必要です。

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