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「2型糖尿病」リスクは“コーヒーを1杯飲むごとに“低下 知られざる健康効果が研究で明らかに

 公開日:2025/02/27

オランダのロッテルダム大学医療センターらの研究グループは、大規模なコホートデータを用いて、コーヒーの摂取と2型糖尿病リスクの関連を調査しました。研究結果は、栄養学および臨床栄養などに関する研究を扱う学術誌「Clinical Nutrition」に掲載されています。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

研究グループが発表した内容とは?

オランダのロッテルダム大学医療センターらの研究グループが発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

オランダのロッテルダム大学医療センターらの研究グループは、イギリスバイオバンク(UKB)とロッテルダム研究(RS)という大規模なコホートデータを用いて、コーヒーの摂取と2型糖尿病リスクとの関連を調査しました。これまでの研究で、コーヒーの摂取が2型糖尿病のリスク低下と関連していることは示唆されていましたが、そのメカニズムは十分に解明されていませんでした。本研究では、C反応性タンパク質やアディポカインなどの炎症バイオマーカーが、この関連を媒介するかどうかを分析しました。

研究の結果、コーヒーを1日1杯多く飲むごとに、2型糖尿病の発症リスクは約4%低下することが明らかになりました。また、インスリン抵抗性の低下やC反応性タンパク質濃度の減少も観察されました。特に、インスタントコーヒーやカフェイン抜きのコーヒーを飲む人と比べて、フィルターコーヒーやエスプレッソなどの挽いたコーヒーを飲む人や非喫煙者では、その関連がより強くなっていました。さらに、C反応性タンパク質の低下がコーヒー摂取と2型糖尿病リスク低下の一部を媒介している可能性があることも示されましたが、その影響は限定的でした。

ただし、本研究にはいくつかの懸念点もあります。まず、観察研究であるため、因果関係を明確に示すことはできません。また、炎症バイオマーカーの測定対象が一部の参加者に限られていたことや、コーヒーの種類や遺伝的要因の影響が十分に考慮されていない点も課題として挙げられます。これらの点を補完するために、さらなる研究が必要とされています。

研究テーマになった疾患とは?

今回の研究テーマに関連する糖尿病について教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

糖尿病は、血糖値を調節するホルモン「インスリン」が十分に働かないことで、血液中の糖が増えてしまう病気です。高血糖の状態が続くと、血管が傷つき、心臓病や失明、腎不全などの合併症を引き起こすことがあります。糖尿病には主に1型と2型があり、1型はインスリンの分泌がほぼなくなるため、インスリン注射が必須です。

今回の研究テーマにある2型糖尿病は、インスリンの分泌低下や効果の低下によって血糖値が高くなる病気です。遺伝的要因に加えて、運動不足や食べ過ぎ、肥満などの生活習慣が関係するとされています。初期は無症状であることが多く、気づかないうちに進行し、放置すると腎臓病や神経障害、心血管疾患などの合併症を引き起こします。糖尿病の治療には食事・運動療法が基本で、必要に応じて薬やインスリン治療がおこなわれます。健康診断での早期発見と適切な管理が重要です。

研究内容への受け止めは?

オランダのロッテルダム大学医療センターらの研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

コーヒーを1日1杯飲むことで糖尿病のリスクが軽減されることが示唆されましたが、2型糖尿病を対象としていることには注意が必要です。もし、コーヒーを飲むことで糖尿病リスクを下げることができるなら、生活に取り入れやすい習慣であるため、今後のさらなる報告に期待が持てる研究結果であったと言えるでしょう。

編集部まとめ

今回の研究では、コーヒー摂取が2型糖尿病のリスク低下と関連する可能性が示されました。健康を維持するためには、バランスの取れた生活習慣を意識しながら、研究知見を柔軟に取り入れていくことが大切です。日々の食生活を見直し、健康を意識した選択を心がけていきましょう。

この記事の監修医師