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「膵臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

 公開日:2023/10/13
「膵臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

膵臓がんの症状とは?Medical DOC監修医が膵臓がんの症状・初期症状・末期症状や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

「膵臓がん」とは?

膵臓は胃の後ろ側にある細長い形をした臓器で、食物を分解する消化液の分泌や、血糖値を下げるインスリン、血糖値を上昇させるグルカゴンなどのホルモンを作る臓器です。この膵臓に「がん」が発生してしまうのが膵臓がんです。膵臓がんは数ある癌の中でも早期に発見することが難しく、症状が出現している場合にはがんが進行している場合も多く見られます。この記事では膵臓がんの症状について解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

膵臓がんの代表的な症状

膵臓がんは進行することによりさまざまな症状を出してきます。ここからは膵臓がんの代表的な症状について解説していきます。

腹痛

膵臓がんではがん細胞が徐々に増殖していき、大きくなります。がんは周囲の組織や神経を侵食するように大きくなっていくため、進行にともないお腹の痛みを起こします。お腹の痛みは、慢性的であり、安静でも改善することがなく、夜間の痛みや、時に激痛であることもあります。市販薬であるアセトアミノフェンやロキソプロフェンの内服で痛みが和らぐことがありますが、根本的な治療ではないため、早めに検査を受けて治療を開始することが必要です。病院を受診する時には、ご自身の経過、持病、飲んでいる薬などを聞かれるので、あらかじめまとめておくようにすると良いでしょう。初めて受診するときはかかりつけの病院か、詳しい検査ができる総合病院の消化器内科の受診がおすすめです。

食欲不振

膵臓がんが進行することによって、徐々に食欲が低下していきます。これはがんによって膵臓が正常に機能しなくなり、消化液である膵液の分泌が低下してしまうためです。さらにがんが大きくなることによって胃や十二指腸、大腸などの消化器官を圧迫することも要因の1つです。食欲が低下している場合、無理に食べると胃もたれや消化不良を起こしてしまいます。そのため、脱水症にならないように水分や液体の栄養剤を飲むなどの対策をとり、早めに医療機関を受診するようにしましょう。食欲不振以外に腹痛などの症状があるときは、消化器内科の受診がおすすめです。

腰や背中の痛み

膵臓はお腹の後ろの方にある臓器なので、がんが進行すると腰や背中の痛みを起こすことがあります。背中の痛みの原因として、背骨や筋肉による腰痛、尿管結石などの病気が多いのですが、膵臓がんの痛みはこれらの痛みとは発症の仕方や痛みが異なります。まず尿管結石では腎臓にできた石が尿を排出する経路である尿管に落下することによって痛みを起こします。そのため急に痛みを起こすことが特徴です。また通常の腰痛は、筋肉や関節、背骨が原因であるため、何かの拍子にぐきっと痛みが生じたり、動作で痛みが悪化することが特徴です。一方で膵臓がんの背部痛は慢性的に経過し、改善することがありません。また、徐々に痛みが悪化していき、安静時や夜間にも痛みを起こすことが一般的です。背部痛を感じた最初の頃は市販のアセトアミノフェンやロキソプロフェンの内服で経過をみても大丈夫ですが、痛みが長引く場合には整形外科だけではなく、内科も受診して詳しい検査を受けることをお勧めします。

黄疸

黄疸(おうだん)とは血液中のビリルビンという成分が上昇して、眼球結膜(いわゆる“白目”の部分)や身体が黄色くなる症状です。ビリルビンは古くなった赤血球から肝臓で生成されて、胆管を通り、十二指腸に排出されます。ビリルビンが正常に排泄されることで、便が正常な黄色になります。膵臓がんの初期には黄疸は出現しません。しかし、がんが進行して排泄する経路である胆管が詰まってしまうと、排泄できなくなったビリルビンが血液中に溜まってしまい、黄疸が出現してしまいます。黄疸は外見の異常だけではなく、だるさや皮膚のかゆみなどの症状が出現します。黄疸になってしまった場合、ご自分で対処することは不可能で、はやめに病院を受診して処置を受ける必要があります。病院での処置はいろいろありますが、内視鏡を使って、胆管がつまっている部分を拡張させる処置が一般的です。黄疸がある場合には、他にも肝臓や胆嚢の病気が考えられるので、消化器内科を受診するようにしてください。

体重減少

膵臓がんが進行すると、胃、十二指腸、大腸などの周辺の臓器を圧迫して、食欲不振になり、体重が減少してしまいます。また、膵臓は消化液である膵液を分泌しており、膵臓がんで膵液が減ってしまい、消化吸収がうまくできなくなることも1つの要因です。目安として6ヶ月で5%以上の体重減少があると病的とされるため、短い期間で数kgも体重が減っている場合には早めに病院を受診して検査を受けることがおすすめです。

糖尿病の発症

膵臓がんによって糖尿病が発症することがあります。膵臓は血糖値を下げる働きがあるホルモンであるインスリンを分泌しています。膵臓がんによってインスリンを分泌する機能が低下してしまうと、血糖値を下げることができなくなり糖尿病を発症してしまいます。糖尿病は膵臓がんの約6〜8割に合併し、多くの方は数年のうちに膵臓がんと診断されています。もちろん、糖尿病の患者さんは多いので、全ての方が膵臓がんというわけではありません。しかし、生活習慣病が特にないのに糖尿病になったり、突然、血糖値が上昇してきた場合には、膵臓がんの可能性も考えて検査を受けることがおすすめです。糖尿病の治療は代謝内科(糖尿病内科)で治療することがほとんどなので、心配があるということを医師にしっかりと伝えることが大切です。

膵臓がんの初期症状

膵臓がんの代表的な症状について解説してきました。しかし、膵臓がんは特有の症状に乏しく、無症状に進行することもあるので、早期に見つけることが難しいがんとされます。早期発見に重要な初期症状について解説していきます。

腹痛

膵臓がんの初発症状では最も多く認められます。ガイドラインでは32%の方の初発症状とされており、膵臓がんと診断される半年前からおよそ25%の患者さんで腹部の違和感の症状も認められます。軽度の腹痛であれば様子をみる方が多いと思いますが、慢性的な腹痛がある場合には消化器内科を受診することが勧められます。

黄疸

黄疸はビリルビンを排出する経路である胆管が狭くなり、ビリルビンが排出されないことで発症します。膵臓がんの初発症状の19%程度と報告されています。膵臓は膵頭部と膵尾部に分かれており、胆管は膵頭部にあるため、膵頭部に発生した膵臓がんで黄疸が起きる可能性が高くなります。黄疸が起きた場合、自然に改善する可能性は低く、できるだけ早めに消化器内科のある病院を受診して検査を受けることが必要です。

腰や背中の痛み

膵臓がんの初発症状として9%程度の方に腰や背中の痛みが見られます。膵臓がんは腹部の後ろ側に位置している臓器なので、腹部の痛みだけではなく腰や背中の痛みとして発症することがあるのです。腰や背中の痛みで多い病気は腰痛、尿管結石などの病気ですが、これらは安静時には痛くないことや突然発症することが特徴です。そのため、慢性的に背中が痛く、安静にしていても良くならない場合には膵臓がんを念頭において病院を受診することがおすすめです。

膵臓がんの末期症状

黄疸

初発症状の他に末期の症状としても黄疸が出現することがあります。がんが進行(ステージ2、ステージ3など)すると、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、近くや遠くの臓器、骨、リンパ節などに飛び火して増殖し、これを転移(ステージ4)と言います。膵臓がんは肝臓への血流が多いので、肝臓へ転移することが多いです。肝臓へがんが転移し、大きくなってくると黄疸が出現します。そのため、末期症状としても黄疸が見られるのです。

体重減少

がんが進行することによって膵液の分泌が少なくなるため、消化吸収の機能が低下します。また、周辺の臓器を圧迫することによって食欲も低下するため、末期になると体重が減少してしまいます。

お腹が膨れてくる

膵臓がんが進行すると腹膜という、腹部の臓器を包んでいる膜にがんが転移します。この状態を腹膜播種(ふくまくはしゅ)と言い、お腹の中に水(腹水)が溜まるがん性腹膜炎を起こしてしまいます。腹水によって、お腹の張りや食欲低下、腸管の機能が悪くなってしまうため、溜まっている水が多い場合には水を抜く処置を行う場合があります。お腹が膨れて苦しくなってきた時には、はやめにかかりつけの病院を受診して相談するようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「膵臓がんの症状」

ここまでは膵臓がんの症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急に黄疸が出現した場合は、消化器内科へ

腹痛や背部痛は膵臓がんの初発症状として多いものの、他の病気の可能性もあるので、特徴的な症状とは言えません。一方で、黄疸が出現してきた場合には膵臓がんの他に、胆嚢がん、肝臓がんなどの重症な病気を起こしている可能性が高くなります。そのため、眼の白目の部分や身体が黄色くなってきたと感じた場合には早めに消化器内科を受診して精密検査を受けることが勧められます。

受診・予防の目安となる「膵臓がん」のセルフチェック法

  • ・慢性的な腹痛がある場合
  • ・安静にしていてもよくならない背部痛がある場合
  • ・黄疸の症状がある場合

「膵臓がんの症状」についてよくある質問

ここまで膵臓がんの症状を紹介しました。ここでは「膵臓がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

膵臓がんの余命一ヶ月の症状を教えて下さい。

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

膵臓がんで余命一ヶ月と言われている場合、癌が大きくなり、他の臓器にも転移を起こしている場合がほとんどです。まず、膵臓がんが大きくなった場合には、お腹や背部の痛み、体重減少、食欲不振、黄疸などの症状を起こします。また、他の臓器に転移をしている場合には臓器別の症状を起こします。脳転移の場合には、四肢の筋力低下や麻痺、痺れ、頭痛などの症状があります。また肺転移であれば徐々に呼吸不全が進行していき、骨への転移では全身の痛みが起こります。これらにより最終的に衰弱し、食事や水分を摂ることが難しい状態になるのが、余命一ヶ月の症状となります。

膵臓がんは男性と女性で症状に違いはありますか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

一般的に、男性、女性という性差によって、膵臓がんの症状に違いはありません。性別に関係なく、膵臓がんが進行することによって、ここまでご紹介してきた腹痛、背部痛、食欲不振、体重減少、黄疸などの症状が出現します。

編集部まとめ

膵臓がんは特有の症状に乏しく、無症状で進行することが多いため、早期に発見することが難しいがんの一つです。初期の症状として腹痛や背部痛、黄疸、糖尿病、食欲不振などがあり、進行すると多臓器への転移、がん性腹膜炎などを発症してしまいます。早期発見のためには定期的な健診や人間ドックなどを活用して、異常や症状がある場合には早めに病院を受診するなどの自身の健康管理に努めることが重要です。

「膵臓がんの症状」と関連する病気

「膵臓がんの症状」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

婦人科の病気

膵臓がんの症状と関連する病気は以上のものがあります。膵臓がんは早期発見も難しく他の疾患の可能性も探りながら見つけるしかありません。
早期発見のためには定期的な健診や人間ドックなどを活用することが重要です。

「膵臓がんの症状」と関連する症状

「膵臓がんの症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

膵臓がんと関連している症状はこれらが挙げられます。膵臓がんは早期発見が非常に難しい病気ですので、複数該当する場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

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