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「脳梗塞」を予防する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?【医師解説】

 公開日:2025/04/04

Medical DOC監修医が脳梗塞を予防する可能性の高い食べ物・原因などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「脳梗塞」を発症した際に「食べてはいけない物」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「脳梗塞」とは?

脳梗塞とは、脳卒中のなかで血管が詰まることで発症する病気の総称です。
一般的に脳卒中は、突然の「顔のゆがみ」、「しゃべりにくい、ろれつが回らない」、「片側の手足がしびれる、力が入らない」などの症状を引き起こします。血管が詰まって発症する脳梗塞も同様の症状を引き起こします。
脳梗塞は、その原因に応じて、大きく3つに分類されます。心房細動や急性期心筋梗塞が原因で起こる「心原性脳塞栓症」、動脈硬化が原因で生じる「アテローム血栓性脳梗塞」と「ラクナ梗塞」です。それぞれの分類に応じて若干の違いがありますが、今回は脳梗塞と食事に注目してお話していきます。

脳梗塞を予防する可能性の高い食べ物

それでは、脳梗塞を食べ物で予防することはできるのでしょうか?これを食べておけば絶対に脳梗塞にならない食べ物は残念ながら、この世に存在しません。前述の原因となりえる食べ物を見ていただければ、どのような食べ物かを想定することはたやすいかと思います。脳梗塞を予防する可能性のある食べ物を見ていきましょう。

葉物野菜

葉物野菜は硝酸塩類(Dietary Nitrate)を含んでいます。これらの硝酸塩類は体内に吸収されると、一酸化窒素へ変換されます。一酸化窒素は、血流や血圧を良好にコントロールし、脳梗塞を予防する作用があるとされます。レタスやほうれん草などに豊富に含まれています。葉物野菜の中には、前述の緑黄色野菜も含まれます。ワルファリンを処方されているかたは、大量に摂らないように注意が必要です。

魚類

脂質のなかでも良質といわれるものの一つが、魚類に含まれるものです。エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれます。①血圧を安定させる、②炎症を抑える、③コレステロールを下げるなどの作用があり、複合的に脳梗塞のリスクを低減します。鮭や鯖、マスなどが良い食材です。注意点としては、脂質が豊富なのでカロリーが高めであることがあります。適量を摂るようにしましょう。

ナッツ類

脂質を含む食品のなかで、間食におススメなのがナッツ類です。ナッツにもオメガ3脂肪酸の一種であるαリノレン酸が含まれています。作用は前述の項と同様になります。クルミやアーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツなど気に入るものを補食しましょう。魚類同様に、摂りすぎるとカロリーオーバーになりやすいので注意が必要です。また、加工法も気にする必要があります。塩分が付加されていたり、油が使用されていたりすることがあります。さらに、味付きのものまであります。可能なら素焼きで無塩のものが良いでしょう。

カカオを含む食品

カカオにはフラビノイドを含んでおり、血圧を安定化させ、脳梗塞を含む心血管系のリスクを低減させるといわれています。カカオを含む食品の代表であるチョコレート、その中でもダークチョコレートは近年様々な効果が分かってきました。ダークチョコレートを摂取していると、2型糖尿病の発症リスクが下がります。さらに、脳梗塞を発症するリスクも低減させるといわれています。ナッツのほかに、ダークチョコレートを間食に摂ることは良い習慣といえます。

オリーブオイル

オリーブオイルは植物油として地中海沿岸で調理油としても、ドレッシングとしても幅広く使われています。ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化作用のある成分を多く含んでいます。そのため、以前から生活習慣病を予防する可能性が知られていました。特に脳梗塞を含む心血管疾患では、発症を予防するとともに、発症した際の死亡率を下げる作用も知られています。普段の調理に用いたり、市販のドレッシングをオリーブオイルに替えたりしてみましょう。無論、脂質ですので適量を摂取するようにこころがけましょう。

脳梗塞の主な原因

それでは、ここからは脳梗塞の原因について説明します。

心房細動

心房細動は心原性脳塞栓症という最重症の脳梗塞の原因となります。不整脈によって血液の流れが乱れ、血栓が形成され脳の血管につまり脳梗塞を引き起こします。症状としては脈の乱れ、動悸、気分不良、血圧低下などがあります。しかし、中には無症状の方もいるため注意が必要です。
無症状でも気づく方法は検脈です。首や手首などの動脈に指先を当ててドキドキという拍動を感じてください。一定のリズムを刻んでいればよいですが、リズムが乱れている場合は何らかの不整脈がある可能性があります。かかりつけの先生に相談しましょう。もしくは、循環器内科を受診ください。

高血圧症

ここからは生活習慣病の話が続きます。まずは高血圧症です。
高血圧症は字の通り血圧が高くなっている状態が続いている状態です。血圧が高いと血管への負担が増え、動脈硬化が進行します。また、心臓にも負担になるため高血圧を放置していると前述の心房細動も発症しやすくなります。血圧が上がったり下がったりを繰り返すこともよくないとされます。そのため、血圧を安定して適切に保つことが必要になります。

脂質異常症

脂質異常症は血液中の脂質のバランスが崩れた状態を指します。特にLDLコレステロールは一般に悪玉コレステロールとも呼ばれます。LDLコレステロールが高くなると、余分なコレステロールは血管の壁に溜まってきます。徐々に増えてくるとプラークといわれる粥のようなものとなります。このように動脈硬化が進行し、脳の血管にも起こることで脳梗塞の原因となります。
前述の食事に気を付け、それでも改善がない場合は内服薬で治療をしましょう。最近では注射剤で治療を行うこともあります。

糖尿病

生活習慣病の中でも重要なものが糖尿病です。糖尿病は、暴飲暴食や飲酒などの生活習慣で発症すると思われがちですが、遺伝的要素や環境因子などが複雑に絡み合って発症します。糖尿病では常に血糖が高い状態にあります。そのため全身の動脈硬化が進行します。脳の血管が狭窄したり、閉塞したりすると脳梗塞の原因となります。
糖尿病を発症してすぐは無症状のこともあります。しかし、進行してくると耐え難いのどの渇き、それに伴い水分を多量に摂るなどの症状が出現します。時に体重が減ってくることもあります。このような症状が出てきた場合は、代謝内科や糖尿病科を受診しましょう。

喫煙

タバコは健康を気にする上で避けるべき嗜好品です。タバコに含有されているニコチンや一酸化炭素などは、血管を収縮させ血圧を高めます。動脈硬化が進行するだけでなく、血栓という血の塊が形成されやすくなってしまいます。さらに、喫煙者では心房細動も発症しやすくなります。総じて、脳梗塞の原因となります。健康的な生活のためにも禁煙をしましょう。難しい場合は禁煙外来を受診して専門的な治療を検討してください。

「脳梗塞で食べてはいけないもの」についてよくある質問

ここまで脳梗塞で食べてはいけないものなどを紹介しました。ここでは「脳梗塞で食べてはいけないもの」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳梗塞の再発を防ぐ食べ物について教えてください。

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

日本人にとって取り入れやすいものとしては和食です。和食は低脂質でバランスに優れます。魚類も多いので取り入れてみてはいかがでしょう。

脳梗塞の予防や治療中の際に、納豆を食べてはいけないのでしょうか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

ワルファリンを飲んでいなければ制限する必要はありません。

脳梗塞を発症しやすい性格はありますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

脳卒中の危険因子となるような性格の特性として、神経症傾向が高いことが可能性としてあげられます。神経症傾向とは、気分屋で緊張しやすいというものです。

編集部まとめ

直接脳梗塞の原因になったり、予防したりする食品はありません。ただし脳梗塞は食生活や生活習慣と深く関わります。少しずつ整えていき、健康的な生活を心がけましょう。

「脳梗塞」と関連する病気

「脳梗塞」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 心房細動
  • 卵円孔開存症
  • 下肢静脈血栓症

脳神経外科の病気

脳神経内科の病気

一般内科の病気

脳梗塞に関連する病気は多岐にわたります。主に生活習慣病や心血管に関係するものが多いです。

「脳梗塞」と関連する症状

「脳梗塞」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 言葉が出にくい
  • ろれつが回らない
  • 顔がゆがんでいる
  • しびれる
  • 片側の手足が動かしにくい
  • 意識が悪い
  • 様子がおかしい
  • 歩けなくなった

このような症状がある場合、または何か気になることがある場合には脳神経内科へご相談ください。

この記事の監修医師

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