再根管治療は失敗するリスクが高い?根管治療が難しい理由や成功の可能性を高める方法も解説

過去に治療した歯の根元が痛み、「もしかして再根管治療が必要かな?」と不安に思ってはいませんか。
再根管治療はとても繊細な作業を必要とするため、失敗する可能性やリスクを懸念する方は少なくないでしょう。しかしながら、根元の痛みを放っておくと、抜歯のリスクが高まっていきます。
この記事においては、再根管治療の失敗リスクや根幹治療が難しい理由についての解説と、治療を成功させるためのポイントについてお伝えします。

監修歯科医師:
松浦 京之介(歯科医師)
目次 -INDEX-
再根管治療の基礎知識

再根管治療とはどのような治療ですか?
再根管治療がどのようなケースで行われるか教えてください
このケースの症状としては、歯の根元や歯茎の奥がズキズキと激しく痛んだり、歯茎が腫れて歯がぐらついたりといった症状があらわれます。一方で、神経がないためむし歯が進行しているときのような痛みは現れません。
強く噛んだ後にしばらく痛みが続いたり、痛みがおさまらなかったりする場合は、歯の根元が細菌に感染している可能性があります。
再根管治療は失敗することがありますか?
再根管治療は通常の根管治療よりも失敗率が高いですか?
再根管治療で失敗するとどうなるか教えてください
再根管治療の失敗を避ける方法

再根管治療の失敗を避ける方法を教えてください
治療の成功率を高めるために、患者さん自身でできることは限られています。そのため、以下の設備や治療法を提供している歯科医院を選ぶことが一つのポイントとなります。
歯科用CT
肉眼では見えない歯の根の状態を把握し、感染源を特定するのに役立ちます。これにより、病巣をピンポイントで治療し、歯へのダメージを抑えることが可能となります。
ラバーダム防湿
治療中に唾液や口腔内の細菌が患部に侵入するのを防ぐゴム製のシートです。これにより、治療中の再感染リスクを大幅に減らせます。
マイクロスコープ
治療部位を拡大して見ることができるため、精密な作業が可能です。これにより、感染源を徹底的に除去し、健康な歯質をできるだけ残すことができます。
保険診療と自費診療で失敗の確率は変わりますか?
- 上顎前歯:70%程度
- 上顎小臼歯:60%程度
- 上顎大臼歯:65%程度
- 下顎前歯:45%程度
- 下顎小臼歯:55%程度
- 下顎大臼歯:65%程度
- 智歯:70%程度
この内容から、保険診療による根管治療後の再発率は、治療を行う歯によって異なるものの45~70%と高い水準であることが指摘されています。
一方、自費診療については国内での明確なデータがありませんが、日本国内における自費診療での根管治療と同様の方法にて治療を行うアメリカで2007年に報告された調査結果があります。それによると、治療から4~6年の状態を追跡で、成功率が80~90%(失敗率が10~20%)程度であったとのことです。
こういったデータなどから、自費診療で行う治療は保険診療よりも失敗が低い可能性があると考えられています。
ただし、上記はどちらも20年ほど昔の調査結果であり、近年は保険適用の幅が広がっているほか、診療技術も向上しているため、それぞれの失敗率に必ずしも上記のような差があるとはいえません。保険診療と自費診療のどちらで治療を受けるかは担当の歯科医師とよく相談し、納得できる治療を受けるようにしましょう。
再根管治療で失敗した場合の対応

再根管治療は何度でも受けられますか?
再根管治療で失敗したら歯科医院を変えるべきですか?
再根管治療で失敗した場合はどのような治療の選択が可能ですか?
部分入れ歯
保険診療で作製でき、1〜2週間で完成するため、歯の欠損に対する治療のなかでも手軽に導入できる方法です。ほかの治療法を検討する間の一時的な選択肢としても有効です。
ブリッジ
抜歯した歯の両隣の健康な歯を削り、それを支えにして義歯を固定する方法です。部分入れ歯のように取り外す必要がないため、ご自身の歯に近い感覚で使えます。しかし、健康な歯を削る必要があり、その歯に負担がかかるため、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。
インプラント
顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に義歯を取り付ける方法です。見た目や噛み心地が天然の歯に近く、顎の骨の吸収を防ぐ効果も期待できます。ただし、治療費が高額になる傾向があり、治療期間もほかの選択肢より長くかかります。
編集部まとめ

再根管治療は、一度治療した歯の再感染時に行われ、デリケートな歯を扱うため、通常の根管治療より失敗リスクが高いのが現実です。しかし、歯科用CTやマイクロスコープ、ラバーダム防湿などの精密な設備や技術を持つ歯科医院を選ぶことで、成功率は大きく高まります。もし失敗しても、入れ歯、ブリッジ、インプラントといった選択肢があるので、歯科医師とよく相談し、よりご自身にあった治療法をみつけることが大切です。
参考文献




