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再根管治療は失敗するリスクが高い?根管治療が難しい理由や成功の可能性を高める方法も解説

 公開日:2025/08/15
再根管治療は失敗するリスクが高い?根管治療が難しい理由や成功の可能性を高める方法も解説

過去に治療した歯の根元が痛み、「もしかして再根管治療が必要かな?」と不安に思ってはいませんか。
根管治療はとても繊細な作業を必要とするため、失敗する可能性やリスクを懸念する方は少なくないでしょう。しかしながら、根元の痛みを放っておくと、抜歯のリスクが高まっていきます。
この記事においては、再根管治療の失敗リスクや根幹治療が難しい理由についての解説と、治療を成功させるためのポイントについてお伝えします。

松浦 京之介

監修歯科医師
松浦 京之介(歯科医師)

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歯科医師。2019年福岡歯科大学卒業。2020年広島大学病院研修修了。その後、静岡県や神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務。2023年医療法人高輪会にて勤務。2024年合同会社House Call Agencyを起業。日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会の各会員。

再根管治療の基礎知識

再根管治療の基礎知識

再根管治療とはどのような治療ですか?

根管治療とは、一度根の治療を受けた歯が再び細菌に感染してしまった際に行われる治療です。
根管治療には、初めての治療で神経を取り除く抜髄と、すでに神経が死んでいるか、以前に抜髄された歯の根の内部から細菌を除去する感染根管治療があります。再根管治療は、過去に治療した歯の根元に潜む細菌を再度徹底的に除去する治療で、感染根管治療にあたります。

再根管治療がどのようなケースで行われるか教えてください

根管治療は抜髄などで治療を行った歯の内部で、再度細菌の感染が広がってしまったケースで行われます。
このケースの症状としては、歯の根元や歯茎の奥がズキズキと激しく痛んだり、歯茎が腫れて歯がぐらついたりといった症状があらわれます。一方で、神経がないためむし歯が進行しているときのような痛みは現れません。
強く噛んだ後にしばらく痛みが続いたり、痛みがおさまらなかったりする場合は、歯の根元が細菌に感染している可能性があります。

再根管治療は失敗することがありますか?

根管治療は、残念ながら失敗する可能性があります。さらにいえば、一度目の根管治療に比べて、根管治療の方が失敗のリスクが高まります。 根管治療は、細い歯の根のなかに処置を行うため、どれだけ注意を払っても歯の根が割れてしまう可能性はゼロではありません。特に、一度神経を抜いた歯は健康な歯よりも強度が低下し、欠けやすくなっています。そのため、治療中のわずかな機械の振動などでも歯が欠けたり、ひびが入ったりして、修復が困難になることがあります。

再根管治療は通常の根管治療よりも失敗率が高いですか?

根管治療は、通常の根管治療よりも失敗のリスクが高くなります。これは、根管治療を行った歯は、根管拡大などによって歯がもろくなりやすいからです。そのため、再根管治療では、最初の治療時よりも歯がさらにデリケートな状態になっており、治療中に歯の根が割れてしまう可能性が高まります。通常の根管治療以上に繊細な処置が求められるのです。

再根管治療で失敗するとどうなるか教えてください

根管治療での主な失敗リスクとして、歯の根元が割れることがあげられます。
歯の根元が割れると、歯の修復が難しい状態となり、抜歯が必要になるケースも考えられます。抜歯をすると、その部分の骨が痩せてしまい、顎の骨の強度が落ちるほか、周辺の歯への負担が大きくなって新たなお口の中のトラブルの原因となったり、歯並びへの悪影響につながったりと、ネガティブな影響が起こります。
そのため、抜歯後は部分入れ歯やブリッジ、インプラントなどで歯を失った箇所を補う治療を行うことが一般的です。

再根管治療の失敗を避ける方法

再根管治療の失敗を避ける方法

再根管治療の失敗を避ける方法を教えてください

根管治療の成功は、精密な診断と徹底した感染源の除去にかかっています。
治療の成功率を高めるために、患者さん自身でできることは限られています。そのため、以下の設備や治療法を提供している歯科医院を選ぶことが一つのポイントとなります。

歯科用CT

肉眼では見えない歯の根の状態を把握し、感染源を特定するのに役立ちます。これにより、病巣をピンポイントで治療し、歯へのダメージを抑えることが可能となります。

ラバーダム防湿

治療中に唾液や口腔内の細菌が患部に侵入するのを防ぐゴム製のシートです。これにより、治療中の再感染リスクを大幅に減らせます。

マイクロスコープ

治療部位を拡大して見ることができるため、精密な作業が可能です。これにより、感染源を徹底的に除去し、健康な歯質をできるだけ残すことができます。

保険診療と自費診療で失敗の確率は変わりますか?

2005年9月から2006年12月に東京医科歯科大学で行われた調査において、根管治療を行った歯にX線透過像(むし歯の再発)が発現した割合が下記であったと報告されています。
  • 上顎前歯:70%程度
  • 上顎小臼歯:60%程度
  • 上顎大臼歯:65%程度
  • 下顎前歯:45%程度
  • 下顎小臼歯:55%程度
  • 下顎大臼歯:65%程度
  • 智歯:70%程度
この内容から、保険診療による根管治療後の再発率は、治療を行う歯によって異なるものの45~70%と高い水準であることが指摘されています。 一方、自費診療については国内での明確なデータがありませんが、日本国内における自費診療での根管治療と同様の方法にて治療を行うアメリカで2007年に報告された調査結果があります。それによると、治療から4~6年の状態を追跡で、成功率が80~90%(失敗率が10~20%)程度であったとのことです。 こういったデータなどから、自費診療で行う治療は保険診療よりも失敗が低い可能性があると考えられています。 ただし、上記はどちらも20年ほど昔の調査結果であり、近年は保険適用の幅が広がっているほか、診療技術も向上しているため、それぞれの失敗率に必ずしも上記のような差があるとはいえません。保険診療と自費診療のどちらで治療を受けるかは担当の歯科医師とよく相談し、納得できる治療を受けるようにしましょう。

再根管治療で失敗した場合の対応

再根管治療で失敗した場合の対応

再根管治療は何度でも受けられますか?

根管治療は複数回受けられますが、何度でも受けられるわけではありません。
根管治療は行うたびに歯が削られ、脆くなっていくため、再根管治療での失敗リスクが高まっていきます。根管治療が成功したとしても、2回から3回程度が限度といわれており、それ以上の回数になると高確率で失敗するため、どうしても再根管治療が必要になった場合には万が一抜歯となったときにどうするかの治療計画も考えておくのが得策です。

再根管治療で失敗したら歯科医院を変えるべきですか?

根管治療では、どんなに注意深く行っていても失敗する可能性はあります。そのため、失敗したからといって歯科医院に問題があるとは限りません。
根管治療で失敗した場合は、その原因について歯科医院にしっかりとした説明をしてもらい、納得できれば継続し、そうでない場合は歯科医院を変えることも検討してもよいでしょう。
より再根管治療を慎重に行いたい場合は、治療を受ける前にセカンドオピニオンなどを利用したうえで歯科医院を選ぶのもよいでしょう。

再根管治療で失敗した場合はどのような治療の選択が可能ですか?

根管治療が失敗に終わった場合、残念ながらその歯を残すことは難しく、多くの場合抜歯をすることとなります。抜歯後、失われた歯の機能を補うための治療法はいくつかあります。

部分入れ歯

保険診療で作製でき、1〜2週間で完成するため、歯の欠損に対する治療のなかでも手軽に導入できる方法です。ほかの治療法を検討する間の一時的な選択肢としても有効です。

ブリッジ

抜歯した歯の両隣の健康な歯を削り、それを支えにして義歯を固定する方法です。部分入れ歯のように取り外す必要がないため、ご自身の歯に近い感覚で使えます。しかし、健康な歯を削る必要があり、その歯に負担がかかるため、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。

インプラント

顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に義歯を取り付ける方法です。見た目や噛み心地が天然の歯に近く、顎の骨の吸収を防ぐ効果も期待できます。ただし、治療費が高額になる傾向があり、治療期間もほかの選択肢より長くかかります。

編集部まとめ

編集部まとめ

根管治療は、一度治療した歯の再感染時に行われ、デリケートな歯を扱うため、通常の根管治療より失敗リスクが高いのが現実です。しかし、歯科用CTやマイクロスコープラバーダム防湿などの精密な設備や技術を持つ歯科医院を選ぶことで、成功率は大きく高まります。もし失敗しても、入れ歯、ブリッジ、インプラントといった選択肢があるので、歯科医師とよく相談し、よりご自身にあった治療法をみつけることが大切です。

この記事の監修歯科医師