「性欲がなくなる」原因はご存じですか?考えられる病気について医師が解説!

性欲がなくなるとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
阿部 一也(医師)
目次 -INDEX-
「性欲がなくなる」原因と対処法
性欲の低下は、一時的な場合もありますが病気が隠れていることもあります。ここからは、性欲がなくなる原因やその対処法について解説します。
【男性】性欲がなくなる原因と対処法
男性の性欲が低下すると、通常よりも性行為や性的な空想への興味や関心が減退するといった症状がみられます。不幸や苦痛を伴う場合もあります。男性の5人に1人は、性欲の減退を経験するともいわれています。
考えられる原因としては、ストレスや疲労、ホルモンバランスの乱れ、加齢などがあります。特に、中高年の男性の場合には男性更年期障害も原因となります。
また、がんや慢性腎臓病、慢性的な痛み、糖尿病、頭痛、心臓病、高プロラクチン血症、高血圧などの病気による場合もあります。また、特定のタイプの高血圧治療薬や、うつ病の治療薬、抗精神病薬が性欲を低下させる場合があります。
性欲低下に悩んでいる場合には、かかりつけ医や、主治医に相談してみましょう。
ご自身でできる対処法としては、定期的な運動やアルコールを控えるなどの健康的なライフスタイルにすることがあります。
【女性】性欲がなくなる原因と対処法
一生のうちに、多くの女性が性欲低下を経験します。女性の性欲低下の原因として、妊娠や出産、授乳などのステージでのホルモンの変化や精神的なストレスが原因となることが多いです。特に、閉経期や更年期には、卵巣でのエストロゲンの産生が減少し、性欲が低下することがあります。子宮内膜症や月経前症候群(PMS)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科的な疾患も性欲に影響することがあります。また、うつ病や産後うつなど性欲低下の原因となります。
性欲低下の原因となる病気として、バセドウ病や糖尿病などがあります。
対処法としては、ストレス管理のために日記の記録や運動、瞑想などのセルフケアや、主治医への相談などがあります。
【20代~30代の男性】性欲がなくなる原因と対処法
若年層の性欲低下の原因としては、人間関係の問題やストレス、不安、うつ病などが挙げられます。対処法としては、十分な睡眠を確保し、趣味や運動でストレスを発散することがあります。症状が続く場合には、泌尿器科や精神科を受診すると良いでしょう。
【20代~30代の女性】性欲がなくなる原因と対処法
若年女性の場合、妊娠や出産、授乳といったライフステージ上のプロセスの際に性欲低下が生じることがあります。また、ストレスや、ピルの服用なども原因となります。子宮内膜症、月経前症候群(PMS)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科疾患が性欲に悪影響を及ぼす原因となることもあります。さらに、性行為に対する不安も性欲低下に繋がる可能性があります。
自分でできる対処法として、生活習慣改善でホルモンバランスを整えることがあります。その他、ヨガやマインドフルネスなど自律神経を整えることなども良いでしょう。
また、婦人科での相談や必要に応じてカウンセリングを受けることも検討してみましょう。
「性欲がなくなる」が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「性欲がなくなる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
更年期障害
更年期障害は、女性、男性ともに性欲低下の原因となります。
閉経前と閉経後のそれぞれ5年を合わせた10年間(一般的には45~55歳とされます)を更年期と呼びます。この時期には、女性の場合には女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が大きく変化することで、さまざまな症状が現れます。体のほてりや突然の発汗、疲れやすさ、イライラ感、気分の落ち込みなどがみられます。これらの症状をまとめて、更年期障害といいます。性欲の低下がみられる場合もあります。
男性の場合には、40歳代以降で男性ホルモンが緩やかに減少します。これによって、女性と同じような症状や、男性の場合では性欲低下に加えて性機能の症状もみられます。
女性の場合には婦人科外来、男性の場合には泌尿器科の受診をおすすめします。
うつ病
うつ病では、気分の落ち込みや何をしても楽しめないなどの精神症状と、疲れやすさ、食欲や性欲の低下といった体の症状が現れます。これらの症状のために日常生活に支障が生じている際には、うつ病の可能性があります。
うつ病の原因はまだはっきりとわかっていません。しかし、ライフスタイルの急激な変化や人生の大きな出来事、精神的あるいは身体的ストレスなどが考えられています。
うつ病かなと思った際には、心療内科や精神科を受診すると良いでしょう。また、内科的な疾患やそれに対する治療がうつ状態の原因になることもあります。そのため、何らかの治療をすでに受けている場合には、主治医に相談しましょう。
バセドウ病
バセドウ病は自己免疫疾患の一つです。20〜30歳代の女性に多くみられます。
甲状腺刺激物質(TRAb)が作られ、このTRAbによって甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
症状としては、動悸や体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどが典型的です。甲状腺は大きく腫れ、眼球が突出するといった症状も見られます。女性の場合には、月経過少や無月経、性欲の減退、不妊にも繋がります。性欲の減退に加えて、これらのような症状がある際には内分泌内科を受診しましょう。
糖尿病
糖尿病は、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインスリンの働きが不十分になり、血糖値が高くなってしまう病気です。インスリンの分泌低下や、インスリン抵抗性(効果が十分に発揮できない)が原因となります。糖尿病になっても初期の段階では症状のことも多いです。しかし、血糖値が高い状態が続くと、喉の渇きや体重減少、疲れやすくなるといった症状が現れます。また、糖尿病の女性の半数以上に性欲の低下がみられるという報告もあります。男女の違いとして、女性の場合はより精神的な性的満足感の低下、男性は性に関する身体的な障害が多いようです。
糖尿病は、適切に血糖値をコントロールすることで通常通りの生活を送ることも可能です。予防のためには、適正体重に保つために定期的な運動や健康的な食事を摂ることが大切です。また、血糖値の異常を健康診断などで指摘された場合には、放置せずに内分泌内科や糖尿病内科を受診するようにしましょう。
アジソン病
アジソン病とは、副腎の機能が低下してしまう病気のことです。
原因不明の場合には特発性といいます。感染症などが原因となっている場合もあります。副腎皮質ホルモンの分泌が低下し、さまざまな症状が現れます。疲れやすさ、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧といったものがあります。その他、男性の場合は性欲低下がみられる場合もあります。性欲低下以外にもこうした症状が見られる場合、一度かかりつけ医や内科を受診するようにしましょう。
「性欲がなくなってきた」時の正しい対処法は?
性欲がなくなってきたと感じる場合、まずは以下のようなことに気をつけてみましょう。
- 規則正しい生活を送る
- 運動習慣を身につける
- ストレスをためない
- アルコールを控える
しかし、症状が続く場合や、性欲低下によって強い苦痛を感じる場合には、かかりつけ医や主治医に相談してみましょう。実は何らかの病気が隠れていたり、薬の副作用であったりする可能性もあります。
「性欲がなくなる」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「性欲がなくなる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
女性は何歳から性欲がなくなっていきますか?
阿部 一也医師
女性の性欲低下は、性的な活動が始まる年齢であればいつからでも起こりえます。例えば、妊娠や出産、授乳、更年期障害などが女性特有の性欲低下の原因となります。症状が強い場合には、医療機関での相談をためらわないようにしましょう。
まとめ
性欲がなくなる原因は多岐にわたります。しかし、適切な対処をすることで改善が見込める場合もあります。日常生活の改善や医療機関の受診を通じて、早期対応を目指していきましょう。
「性欲がなくなる」で考えられる病気
「性欲がなくなる」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
泌尿器科系の病気
腎臓内科系の病気
膠原病内科系の病気
精神科系の病気
性欲低下の原因は、ストレスなどの他にもこうした病気やその治療の影響の可能性もあります。症状が続く場合には、医療機関での相談を検討しましょう。
「性欲がなくなる」に似ている症状・関連する症状
「性欲がなくなる」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらは、直接的に性欲の低下の原因となる、あるいは性欲が低下するような病気の症状としてみられることがあります。放置せずに、医療機関での相談を検討しましょう。