「夜だけ熱が出る」のは「マイコプラズマ肺炎」や「関節リウマチ」が原因?
夜だけ熱が出るとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
久高 将太 医師
「夜だけ熱が出る」症状で考えられる病気と対処法
朝や昼には体調がよく熱もないのに、夕方から夜になると熱が出てしまう症状で困ってしまう時があると思います。健康な人でも生理的には夕方に熱は上がりやすいのですが、治療が必要な病気が隠れている場合もあります。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。
夜だけ熱が出るのが続く症状で考えられる原因と対処法
夜だけ熱が出てしまう症状が辛い場合、市販の解熱薬などを試してみると良いでしょう。生理的に夕方は熱が上がりやすいので、病気ではない可能性もありますが、ウイルス性の急性上気道炎、いわゆる風邪にかかっている可能性もあります。
基本的には緊急性はありませんが、長く熱が続く場合には一度内科へ受診することをお勧めします。
夜だけ微熱が出る症状で考えられる原因と対処法
夜だけ微熱が出てしまうという症状がある場合、全身状態が良ければ解熱剤は使わずに、早めに就寝して休むことをお勧めします。
このような場合には自律神経失調症を疑います。この病気は交感神経と副交感神経のバランスが悪くなり様々な症状が出てくる病気です。
緊急性はないので、症状が続きストレスを感じる場合には心療内科などへ一度受診すると良いでしょう。
夜だけ熱が出て咳も出る症状で考えられる原因と対処法
夜だけ熱が出て咳も出るような症状がある場合、市販の解熱薬や咳止めを試してみるのも良いでしょう。
また、このような症状が継続する場合にはマイコプラズマ肺炎などを疑う時があります。これはマイコプラズマという細菌による感染症です。若い人に発症しやすく、乾いた咳が特徴的です。
抗菌薬による治療が必要なので、内科や呼吸器内科に受診することをお勧めします。
大人や女性で夜だけ熱が出る症状で考えられる主な原因と対処法
大人や女性で夜に熱が出てしまう症状がある場合、市販の解熱薬や早めに就寝して休息をとって様子をみるのも良いでしょう。
熱が継続している場合には関節リウマチなどの膠原病を考える場合があります。これは免疫の異常により関節に炎症が起こり関節の痛みや腫れ、発熱などの全身症状を引き起こす病気です。
緊急性はないので日中に膠原病・リウマチ科に受診することをお勧めします。
中学生や高校生で夜だけ熱が出る症状で考えられる主な原因と対処法
中学生や高校生など夜だけ熱が出るような症状がある場合、休息をしっかり取って経過を見てみるのも良いでしょう。
しかし学生年代でストレスが強いような場合には心因性発熱と言ってストレスが原因で熱が出るような病気を発症している可能性があります。
ストレスが強く熱を繰り返しているような場合には心療内科へ一度受診することをお勧めします。
子どもで夜だけ熱が出る症状で考えられる主な原因と対処法
小学生以下の子供で夜だけ熱が出るような症状を指します。月齢の小さい乳児でない限り、熱のみの場合には緊急で受診が必要な場合は少ないので、まずは市販の解熱薬などを試してみると良いでしょう。
子供の熱の原因は様々ありますが、中耳炎は熱以外の症状が出づらいこともあり注意が必要です。
熱が継続する場合には、かかりつけの小児科に受診することをお勧めします。
高齢者で夜だけ熱が出る症状で考えられる主な原因と対処法
高齢者の場合には若年者のように症状が典型的ではないことが多いため、幅広い疾患を鑑別する必要があります。膠原病を中心としながらも感染症などを丁寧に鑑別する必要があります。特に基礎疾患がある場合やステロイド等の免疫抑制薬を内服している場合には早期にかかりつけ医に相談しましょう。夜間であれば救急外来にかかりましょう。これら基礎疾患がなく全身状態が良好な場合には市販薬を使用しながら経過観察が可能ですが、3日以上持続する場合には近くのクリニックへ受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「夜だけ熱が出る」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
生後3ヶ月未満の発熱の場合は、小児科へ
生後3ヶ月未満の乳児が発熱した場合には、細菌感染が原因となっていることが多いため、緊急の受診が必要となります。夜であってもかかりつけの小児科、もしくは救急病院に連絡して受診するようにしましょう。
夜だけ熱があり、さらに咳が続き呼吸が苦しい場合は、内科へ
夜間に発熱があり、さらに咳が続く場合にはマイコプラズマ肺炎や他の肺炎など医療機関で治療が必要な場合があります。呼吸が苦しく感じる場合にはすぐに近くの医療機関に連絡して受診相談をするようにしましょう。
受診・予防の目安となる「夜だけ熱が出る」ときのセルフチェック法
- ・夜だけ熱が出る以外に関節痛の症状がある場合
- ・夜だけ熱が出る以外にストレスを強く感じるような症状がある場合
- ・夜だけ熱が出る以外に咳や呼吸困難といった症状がある場合
- ・夜だけ熱が出る以外に耳を痛がったり気にするような症状がある場合
「夜だけ熱が出る」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「夜だけ熱が出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
風邪
風邪は様々な種類のウイルスが原因となって発症する急性上気道炎です。症状の特徴は咳・咽頭痛・鼻水・発熱・倦怠感など様々な症状が同時期に現れることです。
基本的には風邪に対する治療薬は存在しないため、症状を緩和するような薬を使って症状を和らげて治るのを待ちます。
症状が辛く食事が取れない場合や新型コロナウイルス・インフルエンザウイルスの検査をしたい場合などには内科へ受診すると良いでしょう。
心因性発熱
心因性発熱はストレスが原因となって発症する体温上昇のことを指します。ストレス反応による自律神経の一種である交感神経が亢進して体温上昇につながるとされています。
解熱剤は効かないため原因のストレスを和らげることが必要となり、症状が継続する場合には心療内科へ受診して治療を開始することが必要となります。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマ(M. pneumoniae)という細菌が原因となって発症する若年者に多い肺炎です。典型的にはゆっくりとした乾いた咳で発症し、頭痛や咽頭痛などの症状も引き起こします。治療法は抗菌薬の投与です、
咳が続いて熱がある場合には一度内科へ受診して検査をしてみると良いでしょう。
中耳炎
中耳炎は細菌が原因となって発症する耳の感染症です。風邪で鼻水がたくさん出たりした後に発症したりすることがあります。症状の特徴は発熱、鼻水、耳痛です。程度によって抗菌薬を投与するかどうか決めるので、医療機関への受診が必要です。
耳鼻咽喉科、もしくは小児の場合は小児科などへ受診してください。
関節リウマチ
関節リウマチは免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節痛や発熱などを引き起こす病気です。症状の特徴は「朝のこわばり」といって朝に目立つことが多いです。
治療の選択肢は豊富にあるので専門医でよく相談することが必要です。
主な診療科は内科、特にリウマチ膠原病内科です。
溶連菌感染症
主にA群溶血性連鎖球菌による感染を指します。頻度の多い咽頭炎・扁桃炎の他にも皮膚・軟部組織感染症をはじめ様々な感染症の原因となります。症状はそれぞれの感染巣において炎症症状(発赤、腫脹、熱感、痛み)を呈します。咽頭であれば咽頭拭い液による迅速抗原検査が可能です。抗菌薬が必要となるため、近くの内科を受診しましょう。
アデノウイルス感染症
アデノウイルスは多くのタイプがあるため、様々な症状が現れます。一般的な感冒をはじめ、嘔吐・腹痛・下痢をきたす胃腸炎、結膜炎と咽頭痛をきたす咽頭結膜熱、充血・痒みの強い流行性角結膜炎などです。一般的にアデノウイルスに対する特異的な治療はないため、症状を和らげる治療が主となります。感染力が強いため、食器やタオルなどの物を患者と共有しないことが重要です。
食事、飲水ができない場合や視力低下などの症状がある場合には内科、眼科を受診しましょう。
川崎病
川崎病に関して今現在も明確な原因は特定できていません。4歳以下の乳幼児に多く、中程度の血管に炎症をきたし様々な症状を呈します。高熱、両目の充血、イチゴのようにぶつぶつした舌、全身の発赤疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れの6つのうち5つ以上の症状があれば川崎病の診断となります。免疫グロブリンやアスピリンといった専門的治療が必要となるため、上記症状が揃う場合には早期に小児科を受診しましょう。一過性であっても後に合併症を起こすことがあるため、自然に症状が軽快しても一度は小児科医の診察を受けることが望ましいでしょう。
「夜だけ熱が出る」ときの正しい対処法は?
夜だけ熱が出て身体がしんどく感じる場合には、まずは市販の解熱薬などを試して様子をみるのも良いでしょう。アセトアミノフェンが主成分のタイレノール®︎などは安全性が高くお勧めです。しかし小児の場合は市販薬よりは処方薬の方が安全なので、基本的には小児で熱が続く場合には小児科に受診して処方薬をもらうようにしましょう。
また咳が長引いたり耳が痛かったり呼吸が苦しかったりする場合には、市販薬で様子を見ずに医療機関に早めに受診することをお勧めします。
熱が出ている時には食欲がない時も多いので、お粥やうどんなど消化の良く柔らかいものを食べてみるのが良いでしょう。またフルーツなどを摂取してビタミンを補充するのも重要です。
高熱でなく、全身状態が良好な場合には入浴などもしていいですが、長風呂をして身体に負担をかけないように気をつけてください。
ストレスや感染症のどちらが原因になっていてもしっかりと睡眠を取り休息を得ることが一番大切です。テレビやスマートフォンなどの画面をあまり見ずに早めにベッドに入り就寝するようにしましょう。
「夜だけ熱が出る」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「夜だけ熱が出る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
夜だけ熱が出るのはストレスが原因でしょうか。
久高 将太 医師
ストレスが原因で熱が出る心因性発熱という病気があります。ストレスを強く感じる場合には心療内科などの医師に相談すると良いでしょう。
夜になると熱が出て一晩で下がるのを繰り返すのは病気でしょうか?
久高 将太 医師
ウイルス性の感染症や細菌感染症、自己免疫疾患など様々な原因が考えられます。一度医療機関に受診することをお勧めします。
夜だけ熱が出るのは何日くらい続くと病院に行くべきですか?
久高 将太 医師
一般的にウイルス性上気道炎は数日程度で治癒します。3日以上熱が続く場合には、医療機関に受診することをお勧めします。
子どもが夜だけ熱が出るのですが保育園に行ってもいいですか?
久高 将太 医師
機嫌もよく、食欲もあり朝には熱が下がっているのであれば基本的には問題ないと思いますが各々の保育園の規定をよく確認し、保育士さんと相談してから登園すると良いでしょう。
コロナウイルス(Covid-19)の場合も夜だけ熱が出ますか?
久高 将太 医師
COVID-19でも夜間のみの発熱がありえます。気道症状がなく発熱のみを呈する場合もあるため、COVID-19が流行している場合には検査を推奨いたします。
まとめ
夜だけ熱が出るという症状の背景には、感染症やストレスなどさまざまな病気が隠れている可能性があります。症状が継続して身体がしんどく感じる場合には、無理せずに早めに医療機関に受診することをお勧めします。
「夜だけ熱が出る」症状で考えられる病気
「夜だけ熱が出る」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器系の病気
- マイコプラズマ肺炎
- 急性上気道炎
耳鼻科系の病気
膠原病系の病気
体温は一定ではなく、健康な人でも生理的には夕方に熱は上がりやすいという特徴があります。ただし、発熱が続いたり他の症状も見られるようであれば受診を検討しましょう。
「夜だけ熱が出る」に似ている症状・関連する症状
「夜だけ熱が出る」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「夜に熱が出る」症状の他にこれらの症状がある場合も「マイコプラズマ肺炎」「心因性発熱」「自律神経失調症」「中耳炎」などの疾患の可能性が考えられます。症状が辛い場合にはなるべく早く医療機関への受診をお勧めします。