熱はないのに頭が熱いのは水分不足が原因?医師が考えられる病気や対処法を解説!
熱はないのに頭が熱いとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が頭が熱くて発熱ではない症状で考えられる原因や病気の可能性、何科を受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
井林 雄太 医師(田川市立病院)
2017年九州大学大学病院別府病院免疫・代謝額講座助教。現在は田川市立病院勤務。
日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医、日本内科認定医。日本内科学会、日本内分泌学会、日本糖尿病内科学会などの各会員。
「熱はないのに頭が熱い」症状で考えられる病気と対処法
熱はないのに頭が熱いという症状は、額が熱いという状態を指します。風邪かもしれないと熱を測ってみても熱がない時にどのような病気が関わっているケースがあるのか、病院受診を行う必要があるのかを解説していきます。
大人が熱はないのに頭が熱い症状の原因と治し方
大人の方で、体温を測っても熱はないのに、頭が熱い、だるさやほてり、のぼせを感じる症状を指します。
このような場合、熱中症や甲状腺機能亢進症などが疑われます。
熱中症(ねっちゅうしょう)
熱中症は、夏に起こりやすい病気で脱水症状などが現れます。水分を飲んで休むことや、衣類を薄くして体や頭を冷やす事で回復する場合もあります。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
甲状腺機能亢進症は、首の根元にある甲状腺から甲状腺ホルモンが多く分泌する病気です。脈が速くなる、汗が多く出る、手足が震えるといった多彩な症状が出現し、熱い感じを自覚することもあります。症状が改善しない場合には、内科を受診することをお勧めします。
1~2歳までの赤ちゃん・新生児が熱はないのに頭が熱い症状の原因と治し方
新生児から2歳までの子供が、体温を測っても熱はないのに頭や額、身体が熱いという症状を指します。このような場合、うつ熱などが疑われます。
うつ熱
うつ熱は、新生児から2歳までの子供の場合に、体温の調整が未熟な状態で体温の放射がうまくいかないために起こります。熱くても説明できないため、環境調整(掛物を薄くする、部屋の温度を調整する)を行うことで、改善することが期待できます。
子供が熱はないのに頭が熱い症状の原因と治し方
子供が、体温を測っても熱はないのに、頭全体が熱いことがあります。これは、体温の調整をしている脳の中枢が過剰に働いて頭の熱をあげている状態が考えられます。
水分が不足していると頭を熱くして体温を上げようとするため、水分を十分摂取することが大切です。水分が不足している状態が続くと脱水によって尿の出が不十分となり、尿路感染症を発症する可能性があります。尿路感染症は尿に細菌が繁殖するために熱が上がります。症状がつらい場合には小児科への受診をお勧めします。
すぐに病院へ行くべき「熱はないのに頭が熱い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
普段とは異なる声をかけても反応が鈍い場合は、小児科・内科へ
新生児や1~2歳の場合に顔色が悪い、機嫌が悪い、ミルクを飲まない、機嫌が悪い、ずっと泣いているなどの症状がある場合は、早めに小児科を受診しましょう。
3歳以上~大人の場合、声をかけてもぼんやりしている、しゃべりにくい、手足が動きにくい場合は、子供であれば細菌性髄膜炎、大人であれば脳卒中といった緊急の対応が必要な場合があるので、すぐに救急外来を受診しましょう。
「熱はないのに頭が熱い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「熱はないのに頭が熱い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺から甲状腺ホルモンが多く出ることで発症します。症状は多彩で、脈が通常よりも速くなったり、汗を多くかいたり、手の指が震えたりします。甲状腺ホルモンの役割は子供の成長を促し、代謝の亢進を促します。子供は落ち着きがなくなり、身体の代謝が上がるので、熱はないのに頭が熱い症状となります。過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを抑える治療が必要になるため、症状が長く続く場合には内科や内分泌内科へ受診することをお勧めします。
中耳炎(ちゅうじえん)
中耳とは耳の鼓膜から鼓膜の奥にある鼓室という場所です。中耳炎はこの中耳で起こる炎症です。耳の周りが痛くなり、耳が塞がれたような聞こえにくさや、耳垂れや、頭が熱い症状になります。1歳半検診や2~3歳児検診で難聴を偶然発見される場合もあります。新生児~1歳児の子供の耳は狭いので拡大耳鏡を使って耳の奥にある鼓膜の腫れや赤い事を確認し採血も行い診断します。耳鼻咽喉科を受診する事をお勧めします。
「熱はないのに頭が熱い」ときに飲んでも良い市販薬・漢方は?
そもそも市販薬は発熱がない時に飲んでも効果がありません。ただし、熱はないのに頭が熱い場合に風邪の前触れである場合もあります。鼻水やインフルエンザに漢方薬の「麻黄湯(まおうとう)」が効果的であることは知られています。また、頭痛があるけれども子供がうまく表現しにくいために「頭が熱い」と表現する場合もあります。その場合は漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」は効果があるかもしれません。腎臓の機能が悪い場合や、心臓疾患がある場合、子供の場合は量の調整が必要ですから内科や小児科の先生とよくご相談ください。
「熱はないのに頭が熱い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱はないのに頭が熱い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
体温を測ると熱はないのに頭が熱い場合、病院にかかるべきでしょうか?
井林 雄太 医師
子供の場合は頭の熱さがあっても様子を見ているとそのまま熱さが取れる場合もあります。どうしても困った場合は一人で悩まずは医師にご相談してみてもいいでしょう。
頭が熱っぽくてだるいのに熱はないのはなぜでしょうか?
井林 雄太 医師
熱がないのは、体温を調節している脳の中心にある視床下部という場所で調節機能が働いているからです。新生児から1~2歳といった子供の頃は調節機能が未熟なために、子供の体温の変動の幅が大きく、頭が熱っぽくなりやすくなります。
子供のおでこが熱いのに熱はないとき、薬を飲ませたほうが良いですか?
井林 雄太 医師
子供の平熱は35.0~37.4度とされています。外気の影響を受けやすいので、環境を調整する(掛物を薄くし、風通しを良くする)ことをお勧めします。様子を見ている中で気になる他の症状(ぐったりしている、食欲がなく水分もとれないなど)が現れた場合には小児科で相談していただくことをお勧めします。
まとめ
熱はないのに頭が熱いという症状は周りからはわかりにくいため、こまめに様子を観察して他の状態をあわせ持っているかどうかも確認しましょう。
実際には風通しを良くするなど環境を整える事で改善する場合も多いのでが、もし改善しない場合には、医師に相談してください。
「熱はないのに頭が熱い」で考えられる病気と特徴
「熱はないのに頭が熱い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
体温計では発熱が認められなくても、感染症の前兆であることやホルモンバランスの異常などいろいろな病気が隠れていることがあります。
「熱はないのに頭が熱い」と関連のある症状
「熱はないのに頭が熱い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「熱はないのに頭が熱い」症状の他に、これらの症状がある場合「熱中症」「甲状腺機能亢進症」「うつ熱」「尿路感染症」「細菌性髄膜炎」「中耳炎」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。