「手の甲のかゆくないブツブツ」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!


監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
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「手の甲のかゆくないブツブツ」症状で考えられる病気と対処法
日々の生活の中で、手の甲など体表部分がかゆくないのにもかかわらず、ブツブツとした皮疹に気づくことがあります。 今回は、皮膚の表面が小さく盛り上がったブツブツの状態を認めた際に考えられる病気と対処法について解説していきます。手の甲のかゆくないブツブツの症状で考えられる原因と対処法
手の甲のかゆくないブツブツの症状で考えられる原因疾患として、「薬疹」が挙げられます。 薬疹とは、薬を内服したり注射したりすることによって生ずる発疹のことです。 薬を投与されたごく一部の人に認められるアレルギー性薬疹では、原因薬剤を内服し始めて1~2週間前後してから手の甲などにブツブツの皮疹が出現します。 薬疹の場合には、被疑薬や原因となっている薬剤を中止することが優先的な治療方法です。 心配であれば、早期的に皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。手の甲に透明のかゆくないブツブツがある症状で考えられる原因と対処法
手の甲に透明のかゆくないブツブツがある症状で考えられる原因疾患として、「汗疱(かんぽう)」が挙げられます。 汗疱は、手の甲や足の裏にできる皮膚の炎症であり、手の平や足底部に小さな水ぶくれができて、病変部が大豆大のサイズになることもあります。 水ぶくれができた周辺が白く濁ったあとに、皮膚の表面から角質が剥がれ落ちて、自然に治癒していきます。 軽症の場合は、特別な治療を施さなくても約数週間で治ります。 症状が悪化する、かゆみがひどくなる場合などには、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。手の甲に白いかゆくないブツブツがある症状で考えられる原因と対処法
手の甲に白いかゆくないブツブツがある症状で考えられる原因疾患として、「手足口病」が挙げられます。 手足口病は主に、夏季に流行するウイルス性の感染症であり、その原因ウイルスは「エンテロウイルス」や「コクサッキーウイルス」が代表例です。 罹患者のほとんどは小児ですが、まれに大人にも感染します。 症状としては、口腔内粘膜や手の甲、足底部などに水疱性の発疹が現れて、1~3日間発熱することがあり、水疱は、かさぶたにならずに1週間程度で治る場合が多く見受けられます。 一般的に、手足口病に対する特効薬はありませんが、口内炎に対して鎮痛薬で痛みを緩和する、あるいは粘膜保護剤の軟膏などが処方されることがあります。 症状が悪化すれば、小児科など専門医療機関を受診しましょう。すぐに病院へ行くべき「手の甲のかゆくないブツブツ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。皮疹が拡大して見た目が悪くなっている場合は、皮膚科へ
薬疹の中でも重症とされているものに、中毒性表皮壊死症、スチーブンス・ジョンソン症候群、あるいは薬剤性過敏症症候群という病態があります。 手の甲だけでなく全身に皮疹が広がって壊死を引き起こす重症薬疹の場合には、原因となっている薬剤を単純に中止しただけでは症状が改善せずに悪化することもありますので、早急に皮膚科を受診するなど確実に対応することが求められます。受診・予防の目安となる「手の甲のかゆくないブツブツ」があるときのセルフチェック法
- ・手の甲のかゆくないブツブツ以外に発熱症状がある場合
- ・手の甲のかゆくないブツブツ以外に皮疹が拡大する症状がある場合
- ・手の甲のかゆくないブツブツ以外に皮膚の壊死症状がある場合
「手の甲のかゆくないブツブツ」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「手の甲のかゆくないブツブツ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。手足口病
手足口病は、手掌部や足底部、口腔内などに小さな水ぶくれのような発疹(ほっしん)を引き起こす感染症のことです。 主に、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスに感染することによって発症する病気であり、小児を中心に夏季に流行する特徴があります。 手足口病の原因ウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、発熱などの症状を和らげるための対症療法が治療の主体となります。 心配であれば、小児科など専門医療機関を受診しましょう。薬疹
薬疹は、抗菌薬などの薬剤が原因で発症する発疹(ほっしん)のことであり、通常薬の成分に対するアレルギー症状として認識されています。 典型的な症状は、体や手足など全身の皮膚、口の中、眼球部などの赤い発疹であり、高熱やかゆみの症状が伴うこともあります。 薬疹の治療手段は、原因薬剤を速やかに中止することです。 通常の薬疹では、被疑薬を中止することで症状が改善する場合がほとんどです。 心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。汗疱(異汗性湿疹)
汗疱(異汗性湿疹)は、季節の変わり目などの時期に、手指や手の甲、足底部がかゆくなり小さな水ぶくれが左右対称に多発してできる病気です。 小さな水ぶくれが接合して、より大きな水ぶくれになることもあって、通常であれば数週間で水ぶくれは吸収されて、鱗屑になって剥がれ落ちていきます。 汗疱では症状が軽い場合、自然治癒が期待できることもありますが、炎症が生じてかゆみがひどい場合や水疱が大きい際には、薬物治療が検討されます。 心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。「手の甲のかゆくないブツブツ」の正しい対処法は?
手の甲のブツブツ症状の落ち着かせ方として、手の乾燥と刺激を避ける生活習慣を実践することが必要です。 例えば、日々の生活で水仕事をする時はゴム手袋をして、出来る限り乾燥するのを避けて、クリームなどで手の保湿を心がけるようにしましょう。 汗疱は、症状が現れたら早めに対策して、小さな水ぶくれがあって掻痒感がない場合には、水仕事を控えて、手洗いや入浴後にタオルでしっかり乾かすようにしてください。 できるだけ高温多湿の状態を避け、室内は除湿や換気を行うとともに、こまめにハンカチなどを利用して汗を拭きとることも重要です。 手の甲にぶつぶつなど湿疹がある際には、症状が軽くてかゆみなどの症状が乏しい場合は適度な手洗いとヒルドイドローションなどの保湿剤を塗ることで対処できます。 水ぶくれが多発してかゆい場合は、早急に皮膚科を受診し、ステロイド(外用)やかゆみを改善させる内服薬を用法用量に従って服用しましょう。 水ぶくれを破ると二次的な皮膚炎や感染症を引き起こすことがあるので、刺激を避けて清潔を保ちましょう。 万が一、感染症を合併した際には、ステロイド外用薬を使用するとさらに症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。 日常生活では、手足が蒸れるような外的環境を避けて、手洗いを行う生活を心がけることで症状の再発を回避できる場合もあります。 手の甲にぶつぶつがある場合に、湿布や貼り薬、冷却スプレーなどを使用してさらに皮膚が荒れて炎症を引き起こすことも懸念されるので、使うべきかどうかを事前に専門医などに相談することをお勧めします。 手荒れの予防対策は、外部からの保湿効果だけではなく日々の栄養摂取によって身体の内側からケアすることも意識すると良くて、皮膚の潤いや新陳代謝を保つためにタンパク質やビタミン、亜鉛などの栄養素を補給することを推奨します。 早く治したい時や応急処置をしても症状が収まらない場合は、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。「手の甲のかゆくないブツブツ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「手の甲のかゆくないブツブツ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
手の甲のかゆくないブツブツは何科の病院に行けばいいですか?
甲斐沼 孟(医師)
手の甲にぶつぶつができた時には、手足口病や薬疹、汗疱などが原因として考えられますので、小児科や皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。
かゆみのない発疹が手の甲にぶつぶつ出る原因は何でしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
かゆみのない発疹が手の甲などに出来る原因としては、手の乾燥、手足口病などの感染症、服用薬に伴う薬疹、汗疱などが挙げられます。
突然手の甲にかゆくない水疱ができたのですが手湿疹でしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
手湿疹とは、何らかの外的刺激やアレルゲンに接触することによって、手に生じる湿疹のことであり、基本的にはかゆみを伴う水疱や苔癬化など様々な形態の皮疹がみられる病気です。かゆくない水疱の場合には、汗疱などが考えられます。
ストレスが原因で手の甲に痒くないブツブツが出ることはありますか?
甲斐沼 孟(医師)
医学的には、ストレス反応によって直接的に手の甲にかゆくないブツブツが出る可能性は乏しいと考えられています。ただし、皮膚にブツブツができると、ストレスに伴ってイライラして身体を掻く、自分で手指を掻きむしる行動によって症状を悪化させる場合も想定されます。
まとめ
一般的に、皮膚に関するトラブルには、「手指や手の平の部分に湿疹やぶつぶつができる」こともあり、症状が悪化すると患部が赤くただれてしまうこともあります。 皮膚の疾患は日常生活に支障をきたすこともあり、一刻も早く治したいですね。 手の甲などにかゆくないブツブツを見た際には、手足口病や薬疹、汗疱などが原因として考えられます。 セルフケアをしても症状が良くならない場合には、専門医療機関を受診しましょう。 今回の情報が参考になれば幸いです。「手の甲のかゆくないブツブツ」症状で考えられる病気
「手の甲のかゆくないブツブツ」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。小児科の病気
「手の甲のかゆくないブツブツ」に似ている症状・関連する症状
「手の甲のかゆくないブツブツ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。関連する症状
- 皮疹が拡大する
- 発熱する
- 皮膚が壊死する
- 手の甲 赤い斑点 かゆくない
- 腕に赤い斑点 かゆくない
- 赤い斑点 かゆくない
- 手のひらに透明のぶつぶつ
- ストレスで湿疹
- 手の皮がむける
- 湿疹・発疹
【参考文献】
・薬疹(重症)(日本皮膚科学会)