FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 皮膚・爪・髪
  4. 「手の皮がむける」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「手の皮がむける」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

SY0291 手の皮剥ける

「手の皮がむける」という見落としがちな小さな症状。その手指の異変が病気のサインである可能性もあります。ここでは、指の皮が剥ける病気や対処法をMedical DOC監修医が紹介します。

「手の皮がむける」症状で考えられる病気と対処法

多くの人が「手の皮」がむける、という症状を経験したことがあると思いますが、その原因はさまざまです。今回はこの症状の原因や対応について解説していきます。

手の皮がむけてかゆい場合の原因と治し方

手の皮がむけてかゆい、赤みがあるような状態のことを指します。このような場合の多くは、手に湿疹・皮膚炎を起こしています。一度かゆくなると、ひっかく→皮膚炎の悪化→もっとかゆくなる→ひっかく→という負のスパイラルに陥り、治りづらくなります。
普段から手の洗いすぎに注意し、刺激の弱い石けんを使う、ハンドクリームをこまめに塗る、手袋を着用して洗い物をする、などを留意しましょう。
手の皮がむけてかゆい場合に考えられる病気は、手湿疹、アトピー性皮膚炎、手白癬、カンジダ性指間びらん症、異汗性湿疹、疥癬、金属アレルギー、凍瘡、などが挙げられます。
緊急性は乏しい症状ではありますが、治りにくい場合には皮膚科を受診しましょう。接触する物質へのアレルギー検査が必要になる場合もあります。

手の皮がむけるがかゆくない、白く皮がむける症状の原因と治し方

かゆみが無いけれども手の皮がむける、白っぽい皮がむけることがあります。赤みが見られることはないかもしれません。
すぐにできる対処法は、こまめにハンドクリームを塗ることです。手の乾燥による状態であれば、効果的です。
手の皮がむけるがかゆくない場合は手白癬や乾燥、膠原病などが考えられます。
皮膚科を受診して、真菌(カビ)の有無を検査することが勧められます。もし真菌がいなければ、基本的にスキンケア中心の対応となります。指の側面の皮がむける場合、稀に皮膚筋炎という膠原病の一症状であることがありますので、改善が乏しい場合や他の症状を合併している場合は精査が必要です。

手の皮がむけて痛い場合の原因と治し方

指の爪の周囲の皮がむけて痛みや赤みがあり、膿が出ることもあります。
膿がひどい場合は、ガーゼで患部を覆ってください。
手の皮がむけて痛い場合は、手湿疹、凍瘡、ひょう疽(細菌性、ヘルペス性)などが考えられます。
皮膚科を受診して、細菌やウイルス感染症かどうかを診断してもらうのが良いと思います。

すぐに病院へ行くべき「手の皮がむける」症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

赤みや痛みが強い、熱がある、排膿が多い場合は、皮膚科へ

局所的に赤みや痛みが強い、熱がある、排膿が多い場合は、感染症を合併している可能性が考えられます。また、膿疱が目立ち爪の変形を伴う場合は、稀に膿疱性乾癬という重篤な病気の一症状のこともあります。市販薬を使用して様子を見ていても改善する見込みはありませんので、皮膚科を受診しましょう。

「手の皮がむける」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、手の皮に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他の身体部位に症状が現れる場合があるのかなど、病気について気になる事項を解説します。

汗疱(かんぽう)

汗疱とは、手掌、足底に限局して小さな水疱が多発する病気です。手背や足背まで拡大することもあり、かゆみを伴います。季節の変わり目に悪化するとされ、多くは原因不明です。金属アレルギーを伴うこともあります。
治療は、ステロイド剤の外用が有効です。また、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬の内服を使用することもあります。また、サリチル酸ワセリンや尿素軟膏を併用することもあります。皮膚炎が強く浸出液や赤み、かゆみが強い状態が数週間続く場合は、皮膚科を受診しましょう。

進行性指掌角皮症(しんこうせいししょうかくひしょう)

進行性指掌角皮症とは、水仕事を行う人に多く発症する手の皮膚炎のことで、洗剤や水による接触皮膚炎(主婦湿疹)です。
治療は、ステロイド剤の外用で炎症を抑えつつ、尿素軟膏やヘパリン類似物質の外用による保湿で予防を行います。亀裂にバンドエイドなどは貼らない方がいいとされています。
赤みが強く浸出液が多い場合や、かゆみが我慢できない場合は、皮膚科を受診しましょう。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症とは、両側の掌や足の裏に膿疱が多発し、しばしば慢性化します。原因として、むし歯、歯科金属アレルギー、喫煙などが挙げられますが、原因不明の場合もあります。
治療は、ステロイド外用薬やビタミンD3軟膏などが用いられます。外用薬に反応が悪い場合は皮膚科を受診しましょう。

水虫

水虫といえば、足の裏の皮がむける(足白癬)イメージかもしれませんが、手や有毛部、爪にも生じることがあります(手白癬)。環境中に生息している真菌(白癬菌)がヒトの皮膚表面に生着し、感染することで発症します。
抗真菌薬を数週間外用し、局所の清潔を保つことでほとんどの場合は改善します。かゆみが治まらない場合には、皮膚科を受診しましょう。市販薬では効果が不十分であったり、薬剤自体にかぶれたりすることもあるので、病院の処方薬がお勧めです。また、通気性が良く蒸れにくい靴を履くことなども重要です。

大人と子供の見逃してはいけない「指の皮がむける」症状

同じ「指の皮がむける」という症状でも、大人と子供では原因となる疾患が異なることがあります。本章では、それぞれに特徴的な疾患について解説していきます。

子供や赤ちゃんの手の皮が剥ける場合

子供や赤ちゃんは、かゆみや痛みなどの症状をうまく訴えられない場合が多いので、よく観察しましょう。溶連菌感染や川崎病などを疑う場合には、先行する発熱や喉の痛み、舌のぶつぶつなどを伴っているかどうかを必ず確認してください。これらの症状を認める場合、すぐに小児科を受診してください。皮疹自体は皮膚科で診断をつける場合もありますが、最終的に小児科での対応が必要になることが多いと思われます。

大人の手の皮が剝ける場合

大人の場合はかゆみを伴う「手荒れ」の頻度が圧倒的に多くみられます。特に、主婦や水仕事などの業務を行う職種の人に多い症状です。
赤みや熱、排膿を伴う場合は感染の可能性があるため、早めに皮膚科を受診してください。
また、指の側面の皮がむける場合、皮膚筋炎という膠原病の一症状であることがあります。

「手の皮がむける」のはどうして?身の回りにある原因と治し方を解説

ここでは身の回りにある「手の皮がむける」症状の原因と対処法を紹介します。日常生活の中にある要因を少しでも取り除けるよう解説します。

ストレスや自律神経の乱れが原因で手の皮がむける場合

緊張や不安などのストレスがあると、その解消のために皮膚をむしってしまい、皮膚が傷つくことがあります。これにより手の皮がむけ、皮膚炎や瘢痕に至ることがあります。無意識で行うこともあるため、本人の意識に頼るだけでは簡単に解決しません。
また、交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、自律神経失調症という状態になり、さまざまな臓器に不調を来すことがあります。皮膚にもかゆみや赤みといった症状が出ることがあります。
皮膚の症状だけでは判断できませんが、ストレスの原因や不規則な生活などが背景にあり、その他の皮膚疾患が否定される場合にこれらの疾患が疑われます。このような場合は、一度心療内科・精神科を受診するのが良いでしょう。
診断に至れば、ストレスの原因から自分を遠ざけることや、認知行動療法、抗うつ薬などの薬剤、生活習慣の是正などによる対応が必要です。数週間の経過で手のかゆみや傷が治らない場合は皮膚科を受診してください。

アルコール消毒が原因で手の皮がむける場合

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、職場や商業施設など、いたるところでアルコール消毒薬の設置が進んでいます。アルコール消毒で手が乾燥し、皮膚バリアが破壊されてしまうため、手荒れで皮膚科を受診する患者数も増えています。消毒薬を使用した部位に限局した赤み、丘疹、水疱が見られ、かゆみを伴うことが特徴です。
アルコール消毒薬の使用を控えて、刺激の少ない石けんによる手洗いや、ハンドクリームの頻回の使用、などが推奨されます。数週間の経過で手のかゆみや傷が治らない場合は、皮膚科を受診してください。

季節の変わり目や、乾燥する秋冬シーズンが原因で手の皮がむける場合

汗疱は、季節の変わり目に皮疹が悪化しやすいと言われています。また、秋冬シーズンでは空気が乾燥するため、手の皮膚表面の水分量も減少し、結果として外界の刺激を受けやすくなり手湿疹が生じます。
汗疱は手のひら、足の裏に限局して小さな水疱が多発する病気で、かゆみを伴います。
手湿疹は、最初に手や手指の乾燥が生じ、赤みや水疱、ひび割れが生じます。かゆみや痛みを伴います。
保湿剤やハンドクリームによるスキンケアを行い、炎症が強い場合はステロイド外用薬などによる治療を行います。手への刺激を避けるために、木綿の手袋とゴム手袋を重ねて着用して水仕事を行います。
かゆみや痛みが強い場合や、浸出液が多い場合は皮膚科を受診しましょう。

栄養不足が原因で手の皮がむける場合

栄養素の中でも、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)や亜鉛の欠乏などで手の皮がむけることがあります。
ナイアシン欠乏の状態をペラグラといい、手の甲や顔、などの露光部の光線過敏症を生じ、皮がむけ、赤みや水疱を伴います。ペラグラの代表的な3症状(3主徴)は、皮膚炎と下痢,認知症です。
亜鉛欠乏の状態では、四肢末端や爪の周囲の皮がむけることがあり、肢端陽性皮膚炎と呼ばれます。陰部や開口部の皮膚炎や、爪の変形や脱毛、下痢や嘔吐なども伴います。
ペラグラではニコチン酸アミドの投与で改善します。食事の改善や遮光も必要です。
亜鉛欠乏症では血清中、尿中の亜鉛濃度が低下しているため、輸液補助製剤や経腸栄養剤、酢酸亜鉛の内服などを行って亜鉛を補充します。
皮膚炎に加えて、下痢や認知機能の異常、脱毛などの症状を合併する場合は、すぐに皮膚科を受診してください。

「手の皮がむける」ときに使用しても良い市販薬は?

ハンドクリームや保湿剤なら市販薬であまり問題になりません。しかし、皮膚炎を起こしている状態では、市販薬の効果は不十分であるため、病院で処方を受けることをお勧めします。
サンホワイト®(ワセリン)やケラチナミンコーワクリームなどは副作用がほとんどなく、日々の手足のケアに適しています。皮がむけるだけの場合は上記の外用薬によるスキンケアが有効です。ただし、膿が多く痛みが強い場合は感染症の可能性があり、ステロイド含有軟膏の塗布で悪化することがあります。
真菌(カビ)の感染症では湿疹との区別が見た目では難しいため、ステロイド含有軟膏を塗布しても改善がない場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。

「手の皮がむける」症状で考えられる病気

「手の皮がむける」症状から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 湿疹
  • 皮膚炎
  • 多くは何らかの外来性物質による刺激などが原因で発症します。

  • 接触皮膚炎
  • 外界物質の刺激、あるいは外界物質に対するアレルギー反応によって発症します。

  • 汗疱
  • 多くの場合原因不明ですが、金属アレルギーの関与が指摘されています。季節の変わり目に悪化しやすいです。

  • 手白癬
  • 足にできる水虫(足白癬)の方が頻度は高いのですが、手にも「水虫」ができます。

  • 皮膚筋炎
  • 機械工の手とよばれる、人差し指側面の手荒れのような症状が特徴です。

  • ひょう疽
  • 細菌やウイルスが感染して爪甲周囲の炎症が生じます。

  • 掌蹠膿疱症
  • 喫煙、金属アレルギー、齲歯などが原因となって掌や足の裏に膿疱が多発します。

まとめ

一概に、手の皮がむけると言っても、その内情は実に多彩であることがおわかりいただけたかと思います。多くは緊急性が乏しいものですが、中には重篤な病気の初期症状であることもあります。手の皮がむけるという症状がなかなか治らない場合は、一度皮膚科専門医を受診して正確な診断を仰いでください。