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「ひょう疽(爪周囲炎)」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

 更新日:2023/03/27
「ひょう疽(爪周囲炎)」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

指先に起こる病気の一つにひょう疽(爪周囲炎)というものがあるのをご存じでしょうか。この病気は私たちにとってとても身近なものです。

指先にできたささくれが赤く腫れあがりズキズキと痛みだしたり、爪の縁が化膿したりといった経験はありませんか。

実はこれらの症状もひょう疽(爪周囲炎)という病気の可能性があるのです。

身近な病気であるからこそ、ひょう疽(爪周囲炎)とはどのようなものか知っておきたいですね。

今回はひょう疽(爪周囲炎)の症状・原因・治療法などに関するさまざまな疑問について解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

ひょう疽(爪周囲炎)の症状と原因

整えられた爪

ひょう疽(爪周囲炎)はどのような病気でしょうか?

ひょう疽(爪周囲炎)とは爪の周りに炎症が起こる病気のことです。何らかの原因で爪の周りにできた傷から細菌が入り込み、腫れ・強い痛みなどを伴う炎症を起こします。
手足の指は日常動作でよく使う部位であり外傷を負うリスクが高いです。そのうえ細菌はあらゆる所に存在しているため、手足の指先に傷があると細菌が入り込みやすいのです。
私たちにとって身近な病気であるといえるでしょう。

症状を教えてください。

ひょう疽(爪周囲炎)の症状として代表的なものは、腫れ・ズキズキとした強い痛み・化膿です。初期の段階では赤みを帯びた腫れと痛みだけですが、進行すると患部に膿が溜まり痛みもより一層強くなります。
ものに触れない・歩けない・眠れないほど痛みが強くなることもあるのです。指の構造は特殊で症状が深い所まで進行しやすいため、更に進行すると骨や腱にまで炎症が達し、非常に治りにくくなってしまうこともあります。

発症する原因は何でしょうか?

ひょう疽(爪周囲炎)は、爪の周りについた傷から細菌が入り込むことで発症します。特にひょう疽(爪周囲炎)の原因となりやすい細菌が黄色ブドウ球菌であり、傷口に感染すると化膿を伴う炎症を引き起こすことが特徴です。
黄色ブドウ球菌は人の皮膚・自然界などに広く存在しています。細菌はほんの些細な傷からでも入り込んでくるため、爪周りについた傷を放置することでひょう疽(爪周囲炎)の発症リスクもあがるのです。

ひょう疽(爪周囲炎)になりやすい人の特徴を教えてください。

ひょう疽(爪周囲炎)は誰にでも発症する可能性がある病気ですが、特に爪周りが傷つきやすい人はひょう疽(爪周囲炎)になりやすいといえるでしょう。
爪周りの傷の原因として、ささくれ・巻き爪・陥入爪・深爪・爪を噛む癖などが挙げられます。これらの症状・癖がある方は特に注意が必要です。
また水仕事を頻繁に行う人・指しゃぶりをする乳幼児では、指先が頻繁に湿った状態になり傷つきやすくなるため発症しやすいです。
そのほか、土には細菌が多く存在するためガーデニング・畑仕事などで土をよく触る人も発症のリスクが高くなります。

ひょう疽(爪周囲炎)の受診と治療

指に絆創膏を貼る

ひょう疽(爪周囲炎)の疑いがある場合は何科を受診すれば良いでしょうか?

ひょう疽(爪周囲炎)は主に皮膚科で診察しています。そのほか陥入爪・巻き爪など爪のトラブルからひょう疽(爪周囲炎)が疑われる場合には、形成外科・整形外科での受診も可能です。
腫れがひどい・痛みが強いなど皮膚の炎症が特に気になる方は皮膚科を受診すると良いでしょう。爪のトラブルからひょう疽(爪周囲炎)が疑われる場合は、皮膚を傷つける原因である爪の治療をしないことには患部の改善も難しくなります。
形成外科・一部の整形外科では陥入爪・巻き爪など爪の治療も行っており、皮膚科同様、抗生物質(化膿止め)などの処方もしてもらえるのです。

どのような治療を行うのでしょうか?

基本的には抗生物質(化膿止め)・痛み止めの処方・患部を冷やすなどで様子を見ますが、場合によっては患部の切開など処置が必要になることもあります。
また発症の原因が爪のトラブルにある場合には、爪が皮膚を傷つけないよう爪の治療も行います。
症状の進行具合や発症の原因によって治療方法が異なるため、診察を受ける際に医師と相談して適切な治療方法を決めると良いでしょう。

重症化した場合は特別な治療が必要ですか?

膿が溜まるほど症状が進行している場合には、膿を出すために患部を切開する処置が必要になります。
爪の周りが化膿しているのであれば患部を切開するだけで済みますが、爪の下が化膿した場合には膿を出すために爪を取り除くこともあるのです。
手術をするとしばらく指先が不便になり日常生活にも支障が出てしまうため、ひょう疽(爪周囲炎)が疑われる場合は早めに病院を受診するなどで対処することをおすすめします。

ひょう疽(爪周囲炎)は完治しますか?

症状の進行具合によって処置方法は異なりますが、抗生物質(化膿止め)・痛み止めを使いながら様子を見ることで次第に症状が治まり完治に至ります。その間、患部の清潔・保護・保湿を徹底し症状が悪化しないように努めることで完治への手助けになるでしょう。
また疲れや睡眠不足があると抵抗力が落ちて回復も遅くなってしまうため、なるべく疲れをためずに睡眠も摂るようにすることもポイントです。
ひょう疽(爪周囲炎)は発症しやすい病気である分、予防を徹底することも大切なのです。

ひょう疽(爪周囲炎)の予後と放置するリスク

女性の手

ひょう疽(爪周囲炎)が完治するまでの期間を教えてください。

症状が軽い場合には一週間程度で腫れ・痛みが引き完治します。また膿が溜まるほど進行したひょう疽(爪周囲炎)であっても、切開してきちんと排膿すれば同程度の期間のうちに完治が見込めるでしょう。
爪の下の排膿・爪のトラブルの治療を行うために爪を切除した場合は元の状態に戻るまでに時間がかかり、完治するまでにも長い期間を要します。
通常爪は3か月程度で再生しますが、爪を切除した範囲・箇所により再生までにかかる期間が異なるため、完治までの期間にも差があります。

自然に治ることもあるのでしょうか?

患部が少し赤くなる程度の軽症であれば自然に治ります。しかし、細菌が入り込み炎症を起こせば自然には治りづらく治療が必要です。
原因である細菌を除去しなければいつまでも炎症が起きたままになってしまいます。
症状が軽い場合には抗生物質(化膿止め)が配合された軟膏の塗布・飲み薬の服用、症状が進行して膿が溜まっている場合には切開して排膿するなど治療を行うことをおすすめします。

ひょう疽(爪周囲炎)を放置するリスクを教えてください。

ひょう疽(爪周囲炎)を放置していると日常生活に大きく支障を来してしまう恐れがあります。膿が溜まるほど放置すれば手術が必要になり、術後はしばらく指を使えなくなるため日常生活で不便を強いられるでしょう。
また炎症が骨や腱にまで達するほど放置してしまった場合は非常に治りにくくなるため、長期間強い痛みに悩まされることになるのです。痛みで物を触る・歩くことが難しくなる場合もあります。
ひょう疽(爪周囲炎)が疑われる場合は放置せず、症状がひどくなる前に病院を受診するなどで対処するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ひょう疽(爪周囲炎)は性別や年齢に関係なく、誰にでも発症し得る身近な病気です。強い痛みや腫れなどの症状があり、日常生活に支障を来すため少し厄介な病気でもあります。
小さな傷が原因だからといって放置していると重症化することもあるため、ひょう疽(爪周囲炎)が疑われる場合は病院で診察を受けるなど早めに対処するようにしてください。また手の場合は毎日の手洗い・ハンドケア、足の場合は歩きやすい靴を選び陥入爪・巻き爪など爪のトラブルを作らないことで、ひょう疽(爪周囲炎)の予防にもなります。
日頃から手足の清潔・保湿を意識してひょう疽(爪周囲炎)を予防し、健康な手足を保ちましょう。

編集部まとめ

手のお手入れをする女性
今回はひょう疽(爪周囲炎)に関するさまざまな疑問について解説しました。

指先のささくれなど誰にでも起こる症状から発症してしまうため、ひょう疽(爪周囲炎)はとても身近な病気であるということが分かります。

小さな傷が腫れたくらいだと軽く考えていると後に重症化して日常動作に支障が出てしまう場合があるので、放置せず早めに病院を受診するなどの対処が必要です。

手足は日常のあらゆる場面で使用する部位ですから、指先にトラブルがあるとストレスを感じやすくなるものです。手洗い・保湿剤などを利用して手足の保護に努めましょう。

この記事の監修医師