「鼻の下が赤くなる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
鼻の下が赤いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
後藤 和哉(医師)
「鼻の下が赤い」症状で考えられる病気と治し方
鼻の下が赤いという症状には様々な疾患が考えられます。湿疹やニキビのように多くの方が経験する疾患もありますが、なかには難治性の疾患もあり、生活習慣の見直しが必要な場合もあります。可能性のある疾患についてご紹介したいと思います。
鼻の下が赤く治らない症状で考えられる原因と治し方
鼻の下の赤みが治らない場合はアザや酒さの可能性があります。鼻の下にできる赤いアザの場合は、新生児から乳児初期にできる正中部母斑というものがあります。この部位の正中部母斑は生後1年半以内にほとんどが自然に消えるため治療の必要はありません。診断についてはお近くの皮膚科、形成外科、小児科を受診してください。
また、酒さは鼻の下だけにできるわけではないのですが、顔全体が赤くなる赤ら顔といわれる状態や、鼻の下では毛細血管が浮き出てみえたりする状態が慢性的に続き、難治性の疾患です。寒暖や飲酒、刺激物の摂取で悪化することが多く、重症化すると皮膚がゴツゴツ盛り上がり、目にまで症状がでることがあります。悪化因子をさけることが大切ですが、症状に応じて内服薬、外用薬、レーザーなどの治療が可能です。皮膚科や形成外科を受診ください。いずれも詳細は後述します。
鼻の下が赤くヒリヒリする症状で考えられる原因と治し方
ヒリヒリとした痛みに続いて水疱が数個、鼻の下・口周りにできる場合は口唇ヘルペスの可能性があります。ストレスや疲れを契機に出現することがあるため休息と抗ウィルス薬内服や外用薬にて治療をします。口唇ヘルペスは自然軽快しますが、内服薬を早めに使うことで症状のある期間の短縮につながりますので、お困りの際にはお近くの皮膚科を受診ください。
感冒時や花粉症の時期など、鼻汁(はなみず)がたくさんでる場合には、鼻をかむ回数が増え、鼻水との接触、摩擦、乾燥で肌が赤くヒリヒリすることがあります。鼻をかむ際にはティッシュで強くこすらないこと、かんだあとにワセリンなどで皮膚の保護をすることをおすすめします。
鼻の下が赤くかゆい症状で考えられる原因と治し方
鼻の下が赤くかゆい場合は、湿疹やかぶれの可能性があります。詳細は後述しますが、湿疹の中でも皮脂の分泌が活発な部分にでる脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)の可能性があります。かぶれの場合は鼻の下に接触する化粧品などが原因となる場合が多いですが、近年ではマスクの着用時間が長く、マスクとの摩擦などによる刺激で湿疹ができる場合や、マスクでかぶれる方もおられます。
原因や刺激となるものを避けた上で、湿疹やかぶれに対しては弱めのステロイド外用薬を使用することがあります。お困りの際は皮膚科を受診してください。
鼻の下が赤くブツブツしている症状で考えられる原因と治し方
尋常性毛瘡や尋常性ざ瘡(ニキビ)の可能性があります。いずれも毛穴の部分に炎症を起こす毛包炎(毛嚢炎)の一種です。尋常性毛瘡(髭剃り負け)はカミソリなどで毛穴にできた小さな傷などがきっかけで黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などが感染し、毛穴に一致して膿やカサブタ、痛み、赤みを伴います。抗菌薬の外用や内服で治療を行います。
一方尋常性ざ瘡(ニキビ)は、10-30歳代までの青年期に多く、顔や背中、胸などの皮脂の分泌がさかんな部位にでき、毛穴に一致した白いポツポツや赤いブツブツができます。膿だまりができ炎症を起こすと痛みを伴います。ニキビ跡になることもあります。原因としては様々あり、ホルモンバランス、皮脂の分泌状態、毛穴のつまりやすさ、常在菌であるアクネ菌、毛包虫(ニキビダニ)による炎症、遺伝性の要因、食事、ストレス、化粧品などといった生活習慣があわさって発症すると言われています。外用薬を中心に治療を行い、炎症のおきているにきびには抗菌薬の外用薬や内服薬を使用することがあります。ですが、規則正しい生活、食事、化粧品(特に油分の強いコールドクリームやファンデーション)をさける、ゴシゴシこすらないなど外からの刺激をさける、洗顔、便通を整えるなどといった日常生活の改善が大切です。お困りの際は皮膚科を受診してご相談ください。
すぐに病院へ行くべき「鼻の下が赤い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
鼻の下が赤く水疱を伴って痛む場合や、鼻の下だけでなく顔全体が赤くなる症状の場合は、皮膚科へ
鼻の下が赤く、水疱を伴って痛む場合は口唇ヘルペスの可能性があります。
鼻の下だけでなく顔全体に次第に赤くなる場合は酒さだけでなく、薬疹やウィルス疹など他の疾患の可能性も考慮する必要があります。このような場合は早めの皮膚科の受診をおすすめします。
受診・予防の目安となる「鼻の下が赤い」ときのセルフチェック法
- ・鼻の下が赤い以外に顔全体が赤い症状がある場合
- ・鼻の下が赤い以外に水疱ができて痛い症状がある場合
- ・鼻の下が赤い以外に膿を伴ったぶつぶつがある場合
- ・鼻の下が赤い症状が治らない場合
「鼻の下が赤い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「鼻の下が赤い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔、胸、脇、背中(肩甲骨のあたり)など、皮脂の分泌の活発な部分(脂漏部位)にできる慢性的な皮膚炎です。皮膚の常在菌であるマラセチアが原因のひとつとして関与しているといわれています。症状には、赤み、かゆみ、フケ、乾燥した皮膚があげられます。乳児期と思春期以後の成人にできやすいといわれています。治療の基本は、石鹸やシャンプーをつかって洗顔、洗髪をしっかり行うことにより皮脂の分泌の活発な部位を清潔に保ちます。規則正しい生活をして生活リズムを整えることも大切です。お困りの際は皮膚科を受診してください。弱めのステロイドの外用薬で治療をします。また、思春期以後のフケがでるようなタイプでは抗真菌薬の外用や市販の抗真菌薬を含んだシャンプーを使用することがあります。
酒さ(赤ら顔)・酒さ様皮膚炎
酒さとは、赤ら顔とも言われることがありますが、顔が全体的に赤くなったり、毛細血管が拡張しはっきりした赤い線としてみえたりといったことが数ヶ月以上続く疾患です。
中高年の顔面、とくに鼻部によくでき、痤瘡(ニキビ)のようなぶつぶつや膿のようなものが混じることがあります。 悪化すると特に鼻の毛穴がみかんの皮のようにごつごつと盛り上がるような状態になることがあり、目の周囲の腫れや結膜炎や角膜炎などもおきる場合があります。かゆみやほてりを感じることがあります。慢性の経過をとり,治りにくい疾患です。原因は現時点では不明ですが、日光、精神的ストレス、ニキビダニ(毛包虫)、寒暖や飲酒、刺激物の摂取などの関与が言われており、これらで悪化しやすいです。よって、刺激の強い食べ物の摂取や、長時間日光にあたること、ストレス、飲酒を避けるよう努めることが大切です。
治療として外用治療や内服療法もありますが、毛細血管が拡張した部位にはレーザー治療があり、ごつごつもりあがった鼻の症状にはレーザー療法だけでなく凍結療法や整容的手術が行われることもあります。皮膚科を受診してください。レーザー治療が必要な方はレーザー治療を取り扱われている皮膚科や形成外科を紹介される場合があります。
また酒さ様皮膚炎(ステロイド誘発性皮膚炎)というステロイドの外用薬を顔面に長期に使用することで酒さのようになる状態(副作用の一種)があります。ステロイド外用薬の不適切な使用(例えば体に塗るはずの強めのステロイドを間違って顔面に長期にぬっていたとか、市販薬や家族に処方されたステロイド薬を自己判断で使用していた、通院をせずに病院で一度処方された薬をよくなった後も自己判断で塗り続けたなど)の場合が多いですが、ステロイドを長期外用をすると皮膚がうすくなり毛細血管が拡張しやすくざ瘡(ニキビ)も生じやすくなります。ステロイドを外用すると一時的に毛細血管がしまるため赤みはよくなりますが、酒さ様皮膚炎は塗り続けると悪化しますので、基本的にはステロイド外用薬の中止が必要です。しかも、ステロイド外用薬を長期に使用していた場合は、急に中止するとリバウンドといって外用していた部分に赤み、はれ、ただれなどが数週から数ヶ月続くことがあります。その期間を耐えられる場合はそのまま軽快していきますが、辛い症状が続きますので、外用しない事が治療なのですが、外用するとよくなるステロイドを再び塗りたくなってしまいます。リバウンドの可能性や、治療には時間がかかるとご理解いただいた上で、皮膚科を通院しながら治療をされることをお勧めします。リバウンドを軽減させるため、ざ瘡(ニキビ)の治療に準じた治療を行いながら、他の薬剤を併用しステロイドの外用薬を徐々にやめていく必要があります。
正中部母斑
正中部母斑は、新生児期から乳児初期にかけてできるアザの一種で、眉間、額の真ん中、上まぶたの内側、人中(鼻の下の溝)、うなじなどにみられる境界がはっきりせず色むらのある平らな赤みです。正中部母斑は生後1年半以内にほとんどが自然にきえるため治療の必要はありません。ですが、うなじに生じた正中部母斑はウンナ母斑と呼ばれ、その半数は消失しませんので、生後1年半様子をみて消えなければレーザー治療を検討します。診断については近くの皮膚科、形成外科、小児科で可能ですが、レーザー治療となるとアザの治療を専門にされている病院を受診されることをお勧めします。
「鼻の下が赤い」の正しい対処法は?
様々な原因がありますので一概にはいえませんが、まず水疱ができて痛む場合はヘルペスの可能性があり、人にうつす可能性もありますので初めてご経験の方は、自己判断せず皮膚科の受診をお勧めします。
いずれの疾患でも、外からの刺激や摩擦は症状を悪化させやすいので、物理的な刺激を避けることをお勧めします。体温が上昇したときに毛細血管が開きやすくなり、赤みが増しますので、症状のあるうちは長時間日光を浴びる、サウナや激辛料理などの刺激物の摂取も避けるのがよいでしょう。尋常性ざ瘡(ニキビ)では特に言われていますが、どの疾患であっても、治癒力、免疫力に影響するので規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスの緩和は大切です。
様々な可能性がありますので、治りにくい場合、お困りの際はお近くの皮膚科を受診されることをお勧めします。
「鼻の下が赤い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「鼻の下が赤い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
鼻の下が赤いのですがどうすれば治りますか?
後藤 和哉 医師
様々な原因や疾患が考えられますので、一度皮膚科を受診されることをお勧めします。
鼻の下が乾燥して赤いときは市販の塗り薬を使用していいですか?
後藤 和哉 医師
明らかに乾燥が原因で赤みがでている場合は、保湿剤が有効です。市販でも入手可能ですので試していただいても良いと思います。ただ、湿疹やかぶれに乾燥が伴っている場合は、保湿剤の使用だけでなく、ステロイド外用薬の使用や原因を取り除く必要があります。
鼻の下が赤いのはニキビや吹き出物でしょうか。
後藤 和哉 医師
ぶつぶつや膿を伴う場合はその可能性がありますが、その他にもヘルペス、酒さ、湿疹、接触皮膚炎(かぶれ)など様々な可能性があります。お困りの際は皮膚科を受診されることをお勧めします。
鼻周り・鼻の下の赤みが治らない症状は皮膚科で治療できますか?
後藤 和哉 医師
治療内容によっては形成外科など他院を紹介される場合もございますが、まずはお近くの皮膚科を受診してご相談ください。
新生児の鼻の下が赤いときは病院に行った方がいいですか?
後藤 和哉 医師
正中部母斑の可能性があります。気が付かれたときに一度皮膚科(や小児科、形成外科)を受診して診断を受けてください。正中部母斑は1歳半頃までに自然軽快すると言われています。
まとめ
鼻の下が赤いという症状には様々な疾患が考えられます。自然軽快する正中部母斑から酒さのように難治性のものもあり、ヘルペスのように人にうつすものもあります。鼻の下が赤くて治らない場合やつらくてお困りの際は自己判断されずに、まずはお近くの皮膚科を受診されることをお勧めします。
「鼻の下が赤い」症状で考えられる病気
「鼻の下が赤い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
自然に治る場合もありますが、治りづらい病気や人に感染してしまう病気まで幅広く考えられます。
「鼻の下が赤い」に似ている症状・関連する症状
「鼻の下が赤い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 赤くてぶつぶつしている
- 赤くて痛い
- 血管が浮き出た様な赤み
- 赤くてかゆい
- 赤くてカサカサしている
- 赤くて膿がでてくる
- 顔 赤い斑点
- 目の周りが赤い
- 赤い斑点 かゆくない
- ストレスで湿疹
- かぶれ
「鼻の下が赤い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「湿疹」「脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)」「酒さ」「酒さ様皮膚炎」「尋常性ざ瘡(にきび)」「尋常性毛瘡」「接触皮膚炎(かぶれ)」「口唇ヘルペス」「正中部母斑」などの疾患の可能性が考えられます。顔全体が赤い場合や、水疱ができて痛い場合、膿を伴ったぶつぶつがある場合、鼻の下が赤い症状が治らない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
・アザとホクロ(日本皮膚科学会)