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「特定の指だけ荒れる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

特定の指だけが荒れる・指荒れの症状を治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

後藤 和哉

監修医師
後藤 和哉(医師)

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大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て京都大学医学研究科、天理よろづ相談所、皮膚科医。

「特定の指だけ荒れる」症状で考えられる病気と対処法

特定の指だけ荒れる場合は、湿疹や接触皮膚炎(かぶれ)や水虫(真菌感染)の可能性があります。日常的に多くの方が経験されることなので、これらの病気について予防法を踏まえてご紹介します。

特定の手の指だけ荒れる症状で考えられる原因と対処法

このような場合、皮脂欠乏症や湿疹、接触皮膚炎(かぶれ)の可能性があります。特に素手で水仕事を多くされている方では、直接水や洗剤に触れることが多いために皮膚が乾燥して皮脂欠乏症になりやすく、皮膚のバリアが弱ってしまうので、日常生活や仕事での刺激が繰り返し加わると湿疹や接触皮膚炎を起こします。皮膚のバリアが低下している状態で、特定の手の指にこのような刺激、負荷が加わると特定の手の指だけが荒れる(湿疹になる)という症状になります。刺激とは例えば硬いフタの開け閉めが多い、重い荷物を手で持つ事が多いなどこういった日常で繰り返し行う物理的刺激でも湿疹を誘発・悪化させている可能性があります。治療及び予防は、まず皮膚のバリアを改善させるために可能なら素手での水仕事をやめていただくこと、手洗いの回数を減らすことです。水仕事は手袋の着用をして行っていただくことをお勧めします。それで改善されない場合は保湿剤やステロイド含有の塗り薬で治療します。ただし、ゴム手袋のゴムの成分であるラテックスや、内部に付着している粉にアレルギーがある方もおられますので、その際はビニル手袋や粉の付着していない手袋をお使いください。

また、金属アレルギーのある方では指輪をつけている指にかぶれ(接触皮膚炎)を生じることがしばしばあります。原因となる指輪をはめない事が治療予防になります。ステロイド含有の塗り薬で治療します。どの金属にアレルギーがあるのか調べる場合には皮膚科でパッチテストをして調べることになります。

また、真菌(カビ)感染が原因で皮膚が荒れる事があります。水仕事をしていてふやけた指の間や絆創膏をしてふやけた部分にできやすく皮膚カンジダ症が起きている場合があります。抗真菌薬の塗り薬を使いますが、カビはジメジメしたところを好みますので、やはりこの場合も皮膚が湿った状態になる水仕事や手洗いを減らす工夫が必要です。

一度なんらかのきっかけでできた湿疹やかぶれを放置し、かきむしることで慢性化して部分的に症状が悪化することがあります。症状がでたらなるべく早く皮膚科を受診していただき、慢性化しないようにしてください。

特定の足の指だけ荒れる症状で考えられる原因と対処法

足の場合も湿疹、接触皮膚炎(かぶれ)と水虫(足白癬や足カンジダ症)の可能性があります。
足の場合は洗いすぎることはほとんどないので乾燥性の湿疹は少ないですが、足の指(趾)は趾の長さによっては、一本の趾だけ靴に当たる可能性があり、靴擦れから傷や湿疹、かぶれになって荒れることがあります。その場合は、趾先は当たらないけれど、しっかりと紐やバンドで足の甲がとめられて靴の中で足がずれないような靴を調整する必要があります。また革靴だと「クロムなめし」という金属による処理がされていることがあり、クロムによる金属アレルギーの方は革靴を履くことでかぶれることがあります。その他靴の成分(ゴムなど)でかぶれることもあります。

また、人から感染するものとして水虫があります。最初は一本の趾だけに症状があってもまわりの皮膚に広がっていきます。糖尿病の方や高齢者、免疫の落ちた方などでは、水虫の傷が原因になって蜂窩織炎という皮膚の細菌感染症につながる場合がありますので、よくあることだからと放置せず皮膚科で診断治療を受けるようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「特定の指だけ荒れる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

足趾の荒れだけでなく足やすねに熱を持った赤み、痛みが広がる場合は、皮膚科へ

足趾が荒れていたところから足やすねに赤く広がり熱をもって痛む場合は蜂窩織炎という細菌感染症の可能性がありますので、速やかに皮膚科を受診してください。入院治療になることも多いので、その際は総合病院の皮膚科を受診することをおすすめします。

受診・予防の目安となる「特定の指だけ荒れる」ときのセルフチェック法

  • ・特定の指だけ荒れる以外に手全体や足全体に症状が広がってくる場合
  • ・特定の指だけ荒れる以外に治りにくい症状がある場合
  • ・特定の指だけ荒れる以外に痛みの症状がある場合
  • ・特定の指だけ荒れる以外に膿の症状がある場合

「特定の指だけ荒れる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「特定の指だけ荒れる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

手荒れ(手湿疹・主婦湿疹)

手荒れは、手や手指にカサカサとした乾燥や赤み、小さな水疱、ひびわれ、じゅくじゅくしたりかゆみを伴う状態で医学的には手湿疹といいます。家事や仕事(飲食店、美容院、病院、介護施設など)で手洗いが多い、洗剤をよく使う方に多く「主婦湿疹」や「進行性指掌角皮症」と呼ばれることもあります。近年ではアルコール消毒をすることが増えたため、それによる乾燥で湿疹を生じる方が増えています。水や洗剤などにより皮膚表面の水分や皮脂が減少し、皮膚のバリアが低下するため、アレルギー物質に接触したり、物理的に摩擦されるなど様々な刺激を繰り返すことにより、引き起こされます。皮膚のバリアが低下し湿疹が続いている状況では細菌や真菌、ウィルス感染を起こすこともありますので、早めの治療が大切です。ステロイド含有軟膏で治療しますが、水仕事の際は手袋を着用するなど、水や洗剤の使用頻度を減らす工夫が必要です。

かぶれ(接触皮膚炎)

かぶれ(接触皮膚炎)には、刺激(毒性)によって誰もがかぶれる刺激性とアレルギー性の2つの接触皮膚炎があり、いずれも、原因物質が接触する部位に一致して発赤や水疱、かゆみなどの湿疹ができます。
刺激性接触皮膚炎には様々な原因がありますが、頻回の手洗いなどにより皮膚のバリア機能が低下して、石鹸やシャンプーによる接触皮膚炎が増えています。アレルギー性は、指輪などの金属、植物、食物、ゴム製品、毛染め、湿布、衣類、洗剤などが原因になります。問診と視診である程度診断がつきますが、診断を確定するために、パッチテストを行う場合があります。治療、再発予防には原因との接触を断つことが基本ですが、できてしまった湿疹にはステロイド含有軟膏を外用します。皮膚科を受診して診断と治療をうけてください。

皮脂欠乏症

肌の乾燥が進み、皮膚表面が毛羽だった状態になったものを乾皮症(皮脂欠乏症)といいます。原因としては、加齢や洗いすぎ、冬は衣類による静電気、空気の乾燥などによって生じます。夏でも長時間クーラー下で過ごすことで乾燥することがあります。冬はすねにできることが多いですが、体をナイロンタオルなどでゴシゴシ擦ることでも体全体に生じえます。手指の場合は、手洗いの頻度が多く、特に洗剤やお湯を使うことで皮脂が落ちてしまい乾燥しやすくなります。その状態では皮膚のバリア機能が低下しているため、外からの刺激により湿疹が生じてしまい、皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)になりやすくなります。
皮脂欠乏症では失った潤いを補うために保湿剤の使用も行いますが、基本的にはなるべく水を触らないなど乾燥の原因を断つことが重要です。難治性の場合、湿疹ができた場合には皮膚科を受診することをお勧めします。

カンジダ性指趾間びらん症 (指間カンジダ症)、カンジダ性爪囲炎

カンジダ性指趾間びらん症 (指間カンジダ症)は手の第3指(中指)と4指(薬指)の間に起こりやすく、赤くなったり「びらん」といって皮が剥けた状態がおきます。周りの皮膚は白くふやけた状態になるのが特徴です。細菌感染を合併すると軽い痛みやかゆみを 伴うこともあります。水仕事に従事する方がなりやすい疾患です。
カンジダ性爪囲炎 はカンジダ性指趾間びらん症と同様に、水仕事従事者に多い疾患です。第3指(中指)に起こりやすく、爪の周囲が赤く腫れます。 膿がでてくることもあり、爪が変形することもあります。難治性なことが多く、有効な抗真菌薬を使っても治癒までに数か月かかることがあり、再発しやすい疾患です。カンジダ症に間違って手荒れの薬であるステロイド含有軟膏を使用すると逆に悪化する場合が多いので、カンジダ症を疑う場合は皮膚科を早めに受診して診断治療を行うようにすることをお勧めします。

「特定の指だけ荒れる」ときの正しい対処法は?

まずは悪化因子がないか日常生活、仕事上の原因がないか考えてみることが重要です。手指の場合、水仕事や近年では手の消毒が原因であることが多いので、水仕事は手袋を着用して行う、手洗いの回数、消毒の回数を必要最低限にするなどの工夫をしてみてください。
乾燥に対しては保湿剤、湿疹やかぶれにはステロイド含有軟膏、水虫などの真菌症には抗真菌薬が有効です。
市販薬でも入手できますので、ご自分で試すこともできますが、難治性の場合や水虫を疑う場合、カンジダ症を疑う場合は、皮膚科を受診されることをお勧めします。

「特定の指だけ荒れる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「特定の指だけ荒れる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

左手の薬指だけが荒れるのは指輪の金属アレルギーでしょうか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

指輪をした後に悪化し、指輪の位置に一致して症状がでる場合、指輪による金属アレルギーの可能性があります。

指荒れが1本だけひどいのですが皮膚科を受診すべきでしょうか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

皮膚科の受診をお勧めします。

特定の指が荒れたときのセルフケアとして市販薬は有効ですか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

乾燥が原因の皮脂欠乏症では、市販の保湿剤が有効です。一度診断がついているなど明らかに湿疹やかぶれの場合、市販のステロイド含有軟膏が有効です。また、真菌症で特に足の水虫の場合、市販薬も有効なことがありますが、できれば、なにも塗らない状態で水虫かどうかの診断を皮膚科で一度はされておくことをおすすめします。というのも、一度でも抗真菌薬(水虫の薬)をぬってしまうと、水虫がまだ残っているにもかかわらず真菌検査をしても水虫が見つからず正確な診断ができないことがあるためです。水虫かどうかわからないうちに抗真菌薬を塗り続けて悪化した場合に診断治療のおくれにつながる可能性があるためです。

手や足の指が荒れやすい人の特徴を教えてください。

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

水仕事をよくする人、手足に刺激が加わることが多い人、アトピー性皮膚炎の方などです。

まとめ

特定の指だけ荒れる場合は、皮脂欠乏症や湿疹、接触皮膚炎(かぶれ)、真菌感染症の可能性があります。特に手指の場合は水仕事や手洗いが原因になることが多く、特定の指から手全体に症状が広がり慢性化しやすいので、早めの予防治療が大切です。ご自身でも予防と治療が可能ですが、お困りの際は早めに皮膚科を受診されることをお勧めします。

「特定の指だけ荒れる」症状で考えられる病気

「特定の指だけ荒れる」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

  • 手湿疹(主婦湿疹、進行性指掌角皮症)
  • 皮脂欠乏症
  • 接触皮膚炎(かぶれ)
  • カンジダ性指趾間びらん症(指間カンジダ症)
  • カンジダ性爪囲炎
  • 水虫(足白癬、足カンジダ症など)

中途半端な対応によって症状の改善に時間がかかることもあるため、皮膚科を受診してしっかりとした診断と治療を受けていただくことをお勧めします。

「特定の指だけ荒れる」に似ている症状・関連する症状

「特定の指だけ荒れる」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「特定の指だけ荒れる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「手湿疹」「主婦湿疹」「進行性指掌角皮症」「皮脂欠乏症」「接触皮膚炎(かぶれ)」「カンジダ性指趾間びらん症 (指間カンジダ症)」「カンジダ性爪囲炎」「水虫」などの疾患の可能性が考えられます。手全体や足全体に症状が広がってくる場合や、治りにくい場合、痛みや膿がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師