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「指の皮がむける」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「指の皮がむける」という見落としがちな小さな症状。その手指の異変が病気のサインである可能性もあります。ここでは、指の皮が剥ける病気や対処法をMedical DOC監修医が紹介します。

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「指の皮がむける」症状で考えられる病気と対処法

指の皮がむける症状で考えられる病気は、乾燥により皮膚のバリア機能が低下して起こるものや、洗剤やシャンプーなどの刺激によるものやアレルギー性のもの、水虫などのカビや菌の感染やストレスなどさまざまあります。原因を探り、適切な対処を心がけましょう。

指の皮が剥けて痛い場合の原因と治し方

手のひらや指に赤み、乾燥、皮が剥け、痛み、かゆみがある症状が当てはまります。手荒れを伴うこともあります。
原因となる物質に触った所に症状が現れた際には、原因となった物質を取り除く努力をしましょう。肌を清潔に保ち、洗った後はハンドクリームやワセリンなどで保湿して、掻かないようにしましょう。
このような場合、接触皮膚炎が疑われます。接触皮膚炎とは、皮膚に何らかの物質が触れ、それが刺激やアレルギーの反応となって炎症を起こしたものです。「かぶれ」とも呼ばれます。接触皮膚炎には、刺激性接触皮膚炎と、アレルギー性接触皮膚炎があり、刺激性接触皮膚炎の多くは洗剤やシャンプーなどの刺激が原因となります。アレルギー性接触皮膚炎の原因は、化粧品やジェルネイル、洗剤、染毛料、医療介護関係者のゴム、ラテックス、消毒薬、植物、指輪などの金属アクセサリーなどが挙げられます。また、紫外線が発症に関係することもあります。
症状がひどくなっている、日常生活に支障がある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

指の皮がむけるが痒みや痛みを伴わない場合の原因と治し方

指や手の皮がフケのように剥がれ落ちてきますが、かゆみをあまり伴わない症状が当てはまります。
まずは、手洗い、入浴後によく乾燥させることが大切です。
このような場合、手の水虫である手白癬が疑われます。手白癬はカビの一種である白癬菌に感染して起こる病気です。足の水虫は強いかゆみを伴うことが多いのですが、手の水虫はかゆみを伴わない、あってもあまり強くないという特徴があります。
感染する病気ですので早めに皮膚科を受診しましょう。

指先の皮が剥けてひび割れがあり痛む場合の原因と治し方

利き手の親指、人差し指、中指などの指先から皮膚が乾燥し皮がむけ、赤みを帯びて硬くなり、ひび割れがあるなどの症状が当てはまります。冬場に症状がひどくなる傾向があります。
まずは、保湿をこまめにすることが重要です。ハンドクリームやワセリンなどを外用しましょう。寝る前に保湿クリームを多めに塗ってサランラップで覆っておくといいでしょう。水仕事をするときは木綿の手袋をした上にゴム手袋をして作業をしましょう。
このような場合、手湿疹、進行性指掌角皮症が疑われます。水仕事などにより手の皮膚の皮脂膜が失われ、皮膚のバリア機能が低下したところに刺激が加わることで症状が現れるとされています。20-40代の女性、特に主婦、美容師、調理師などに多く見られ、主婦湿疹と呼ばれることもあります。アトピー性皮膚炎の人や、乾燥肌の人に起こりやすいといわれています。
症状がひどくなっている、日常生活に支障がある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

指の皮が丸く剥けてかゆい場合の原因と治し方

指や足の皮が薄く、まるくむける、かゆい、水疱ができるなどの症状のことを指します。夏に症状が悪くなる傾向があります。
まずは、手洗いや入浴後によく乾燥させることが大切です。剥けた皮を無理に剥がさないようにし、汗排出を促す尿素軟膏を外用するのもいいでしょう。ステロイド外用剤は有効ですが、医師の管理のもと外用する方がいいでしょう。
このような場合、汗疱(かんぽう)が疑われます。皮膚の中に汗が詰まって炎症を起こす病気です。手足に汗をかきやすい体質の人に多く見られ、夏や季節の変わり目などによく症状が現れます。かゆみが出ない場合もあります。症状が改善しない場合には、皮膚科を受診しましょう。

膿があり、指の皮がむける場合の原因と治し方

手のひらや足の裏に水ぶくれや膿が繰り返しできるの症状のことを指します。かゆみを伴うことも多く、膿はしばらくすると茶色っぽいかさぶたになり、剥がれ落ちます。胸のあたりの関節痛や腰痛を伴うこともあります。
まずは、乾燥しないほうがいいので、保湿をしましょう。ワセリンなどを塗りましょう。
このような場合、掌蹠膿疱症が疑われます。掌蹠膿疱症とは、手や足の裏などに水ぶくれや膿疱が繰り返しできる病気です。30-50代の女性に多く見られます。原因ははっきりとは解明されていませんが、喫煙や金属アレルギーとの関連があると考えられています。菌は入っていないため人に感染することはありません。改善しない場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「指の皮がむける」症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

親指と人差し指の内側に手荒れのような症状がある場合は、膠原病内科、皮膚科へ

親指と人差し指の内側の皮膚に手荒れのような丘疹が見られる症状が当てはまります。そのほかには、まぶたが赤くなりむくむ、両手の指の関節の背側に赤い丘疹がある、背中から両肩にかけてショールを羽織ったような赤みがあるなどの症状が現れることもあります。
このような場合は、皮膚筋炎が疑われます。皮膚筋炎とは筋肉と皮膚に炎症が起き、筋肉に力が入りにくくなったり疲れやすくなったり、痛んだりする病気です。進行すると歩行困難や呼吸困難に陥ることもあります。女性に多く、小児期(5~14歳)と成人期(35~64歳)に多く見られます。原因は不明ですが、自己免疫異常やウイルス感染、悪性腫瘍との関連が考えられています。
重大な病気が隠れている可能性もあるため、早めに皮膚科、膠原病内科に受診しましょう。

「指の皮がむける」症状が特徴的な病気・疾患

汗疱(かんぽう)

汗疱とは汗の出口のところで炎症が起こる病気です。手のひらや指に水疱ができたり、赤くなったりし、その後皮が剥けていきます。かゆみを伴うこともあります。
治療は、炎症を抑制するステロイド外用薬、表面の角質を軟化させ汗の排出を促す尿素軟膏やヘパリン類似物質を外用することもあります。
一ヶ月程度で自然に治ることが多いのですが、なかなか治らない場合や日常生活に支障がある場合、皮膚科を受診しましょう。また、汗疱は手の水虫とも症状が似ています。水虫は感染する病気ですので、疑わしい場合は早めに医師に相談したほうがいいでしょう。

進行性指掌角皮症(しんこうせいししょうかくひしょう)

進行性指掌​とはいわゆる手荒れのことで、皮膚が乾燥して剥がれ落ち、硬くなったりひび割れたり、皮が剥けたりします。水仕事をよくしたり、紙幣をよく扱ったりするために指先が乾燥し刺激が加わり発症すると考えられています。
対応策としては、手袋を着用して指先を直接刺激しないようにしましょう。水仕事の際にはゴム手袋などを着用して洗剤に触れないようにしましょう。手洗いや水仕事の後はハンドクリームや保湿剤を頻繁に塗りましょう。
医療機関での治療法としては、皮膚に潤いを与えるへパリン類似物質や炎症を抑えるステロイド外用薬を外用することもあります。
痛みがある場合は、皮膚科を受診しましょう。

大人と子供の見逃してはいけない「指の皮がむける」症状

同じ「指の皮が剥ける」症状でも、大人と子供では原因や想定される病気が全く違います。
ここでは、大人と子供の「指の皮が剝ける」症状に対する注目度や緊急性の違い、病院へ行くべき目安について紹介します。

子供の指の皮がむける場合

40度近い熱が5日以上続く、手足の先が腫れる、発疹がある、目や唇や舌が真っ赤になる、リンパ節が腫れる、指先から皮膚がポロポロとむけるなどの症状がある場合は緊急性が高いです。
このような症状がある場合には、川崎病の疑いがあるため、すぐに小児科を受診しましょう。
川崎病は、4歳以下に多い病気で、高い熱と発疹が続いた後、心臓に血液を送る冠動脈に動脈瘤の後遺症が残ることがあり、心筋梗塞や心筋炎のリスクが高くなります。原因は不明です。動脈瘤の後遺症がある場合は血栓ができるのを予防するため入院や通院が必要となります。

大人の指の皮がむける場合

ピンク色の発疹が手のひらや足の裏にあり皮がむける、陰部にしこりや腫瘍ができるなどの症状がある場合は緊急性が高いです。
このような症状がある場合、梅毒の疑いがあります。手に症状がある場合は皮膚科を、陰部に症状がある場合、男性は泌尿器科、女性は婦人科をすぐに受診しましょう。
陰部や口などにしこりがある、股のリンパ節が腫れる、手のひら、足の裏、体全体にピンクの発疹があるなどの症状がある場合は病院に行きましょう。
梅毒は、梅毒トレポネーマという病原菌が原因で起こる感染症で、性的な接触などによってうつる病気です。男性では20-50代、女性では20代に多く見られます。早期の薬物治療で完治が可能ですが、放置すると脳や心臓に重大な合併症を起越すこともあります。母子感染する病気なので、妊娠している人はすぐに治療する必要があります。

水虫は足だけの病気じゃない!手に現れる水虫の症状

水虫は足にかかる病気と思われがちですが、手や爪が水虫になることもあります。水虫はカビの一種である白癬菌が繁殖して起こる病気で、足が水虫になっている人は自分の足を手で触ることにより手に水虫が感染することもあります(手白癬)。
手白癬の症状は、皮膚が分厚くなり、白い角質がポロポロと剥がれ落ちてくるという特徴があります。かゆみはないか、あっても強くないことがほとんどです。
水虫になった場合、皮膚の角質が剥がれてきますが、この症状は手荒れなどでも起こるもので、見分けるためには、皮膚科を受診して、剥がれた皮膚の中に水虫菌がるかどうか顕微鏡で検査することが必要です。自分で水虫かどうかを確かめることは難しいので、皮膚科を受診するのがいいでしょう。

「指の皮がむける」ときに使用しても良い市販薬は?

市販薬は、一般の人が使うため安全性が考慮されており、軽い症状に使用することが想定されています。そのため原因が思い当たり、皮膚症状が軽めであれば効果的でしょう。
手荒れが原因の場合は、保湿をすることが重要です。ワセリンを塗ったり、ヘパリン類似物質を含む薬を塗ると乾燥を防ぐ効果が期待できます。
水虫が原因の場合は、保湿は逆効果となります。原因がはっきりと分からない場合は市販薬の使用は控え、皮膚科を受診しましょう。

日常生活でできる指の皮剥け・手荒れ・手指トラブルの予防方法

指の皮がむけたり、手が荒れたりする原因は、栄養不足やストレスなども考えられます。外からのケアだけでなく、バランスの良い食生活や睡眠をしっかりとることも大切です。

栄養不足が原因で指の皮がむける場合の治し方

体内の皮膚を作るタンパク質やビタミン類が不足すると、指先の皮膚が乾燥しやすくなったり、ささくれができたり、指の皮が剥けたりします。
タンパク質は皮膚や筋肉、血液などの材料になる栄養素です。肉や魚介類、卵、乳製品などに含まれます。ビタミンAは皮膚粘膜を正常に保ち、ニンジンや海藻類などに多く含まれます。ビタミンB6は肌の健康維持に役立ち、鶏肉やレバー、ニンニクに多く含まれます。
バランスの良い食事を心がけ、それでも改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。

ストレスが原因で指の皮がむける場合の治し方

ストレスがたまると自律神経やホルモンバランスが乱れたり、免疫力が低下したり、抹消血管の収縮による血行不良が引き起こされ、指の皮がむけることがあります。また、ストレスの発散方法として指の皮などの皮膚を自分でめくってしまう、皮膚むしり症という病気もあります。
対応策としては、ストレスを溜めない生活を心がけること、睡眠をよくとること、バランスの良い食事をとること、規則正しい生活リズムで暮らすことを心がけましょう。
自己管理のみで症状が回復するか様子を見て見ましょう。症状が良くならない場合は、皮膚科、あるいは、精神科・心療内科を受診しましょう。

季節・気温や湿度の変化、紫外線などが原因で指の皮がむける場合の治し方

紫外線や温熱、寒冷などが刺激になり炎症が起き、かゆみ、赤み、ブツブツ、水ぶくれなどの症状が現れ、指の皮がむけることがあります。
原因がはっきりしているのであれば、それを取り除くのが良いでしょう。紫外線が原因なら日光を浴びないよう手袋をするなど対策してみましょう。
原因を取り除くことで症状が緩和されるかみてみましょう。1〜2週間経っても症状がよくならない場合は皮膚科を受診した方がいいでしょう。

「指の皮がむける」症状で考えられる病気と特徴

「指の皮がむける」症状から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

全身性の病気

代謝異常も含め、皮膚症状が全身症状の一つとなって現れます。

  • 川崎病
  • 皮膚筋炎
  • 悪性リンパ腫

ウイルス感染症

ウイルス感染によって角化細胞の編成を生じて水疱を形成したり、腫瘍性変化を来したり、アレルギー反応によって全身性皮疹をきたすものがあります。

  • 手足口病

細菌感染症

毛包や汗腺など皮膚バリア機能の低下している部位や創部などから感染することがあります。

  • 伝染性膿痂疹
  • ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
  • 蜂窩織炎
  • 丹毒

真菌症

真菌による皮膚病変です。

  • 手白癬
  • 足白癬

性感染症

性交およびそれに準じる行為が主な感染経路です。

  • 梅毒

湿疹・皮膚炎

多くは何らかの外来性物質による刺激などの原因によって発症します。

  • 接触皮膚炎
  • 湿疹
  • 汗疱

角化症

皮膚の角質層が厚く硬くなる疾患のことです。

  • 尋常性乾癬
  • 魚鱗癬

嚢胞症

無菌性嚢疱が多発する病気です。

  • 掌蹠膿疱症

まとめ

指の皮がむける症状から考えられる病気は非常に多くありますが、症状自身は大変似ていて原因を探ることはなかなか難しいものです。また、いくつもの病気が併発していることも多くみられます。なかなか治らない手指の症状がある場合は、医療機関を受診することをお勧めします。