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「爪に黒い線」ができる原因をご存知ですか?医師が摂取を薦める3つの栄養素も紹介!

爪に黒い線ができるとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedical DOC監修医が爪に黒い線ができる症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 礼司 医師

監修医師
伊藤 礼司 医師(松江市立病院)

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2013年香川大学医学部卒業。
島根大学医学部附属病院初期研修修了後、整形外科勤務、2018年に島根大学医学部附属病院皮膚科入局、2021年から松江市立病院にて一般皮膚科診療に従事。
日本医師会認定産業医。卒後臨床研修指導医。緩和ケア研修修了。

「爪に黒い線」ができる症状で考えられる病気と対処法

爪に黒い線ができる症状で考えられる病気には、ケガや圧迫などが原因の爪下の内出血や黒い色素(メラニン)増加によるもの、爪下のほくろなど、爪自身に原因があるものと、貧血や内臓の病気など爪以外の原因で生じるものがあります。中には皮膚がんの初期症状であることもあり、大変注意が必要です。症状から考えられる病気とその対処法についてお伝えします。

爪に黒い線ができる症状の原因と治し方

爪自身が原因で爪に黒い線ができる場合には、爪にできたほくろ(良性のもの)が原因の場合が多いですが、メラノーマという皮膚がん(悪性のもの)の可能性も考えられます。
ほくろは、メラニン色素を作る色素細胞が変化してできる細胞のかたまりです。医学的には色素性母斑や母斑細胞母斑と呼ばれます。爪の根元にほくろができると、爪に縦の黒い線が現れます。生まれてから間も無くできたもの、子供の頃にできたものは、次第に消えることが多いと言われています。
しかし、褐色調の薄い色調が徐々に幅が広くなる、あるいは色が濃くなり、特に爪の輪郭を超えて広がる場合は、メラノーマ(悪性黒色腫)というほくろのがんである可能性があります。メラノーマは非常に悪性の強いがんで、早期の治療が必要です。子供には生じにくく、思春期以降、特に60代70代が最も生じやすい年代です。爪の黒い線に濃淡が現れる、幅が広くなるなどの変化があれば、危険信号です。定期的にチェックして疑わしい場合はすぐに皮膚科を受診しましょう。

爪に黒い線が薄くできる症状の原因と治し方

爪に黒い線が薄くできる場合は、爪甲縦条などの可能性が考えられます。

爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)・爪甲縦裂症(そうこうじゅうれつしょう)

爪甲縦条とは、爪にできる縦の筋で、50歳代くらいから目立つようになります。老人性変化の一つとして見られることが多く、爪の表面にもともとある縦の筋が、加齢などにより水分が不足すると目立って見えるようになり、症状が現れます。進行すると爪甲縦裂症という爪が縦に割れやすい状態となります。
対処法は、乾燥を防ぐためハンドクリームやネイルオイルを使い保湿することや、洗い物をするときにゴム手袋を使用することなどです。栄養をしっかりとり、爪の原料となる肉や魚などのタンパク質を積極的に摂取することも重要です。爪甲縦条は老化現象の一種と考えられており、緊急性は高くありませんが、気になる場合は皮膚科を受診するといいでしょう。

足の爪に黒い線ができる症状の原因と治し方

足の爪に黒い線ができる場合、爪にできるほくろやケガによるものの可能性のほか、爪白癬(爪みずむし)の可能性も考えられます。

爪白癬(つめはくせん)・爪水虫

爪白癬とは、カビの一種である白癬菌に感染して起きる病気で、日本では10人に1人(約1100万人)が罹患していると推定されていて、日常的な疾患です。
爪が濁って見える、爪が分厚くなるなどの症状が一般的ですが、爪に黒い線や色素沈着ができることもあります。ただ、爪が濁る原因は白癬以外にも多々あり、見分けることが難しいので、皮膚科を受診し、顕微鏡検査で確認してもらうことが最も確実です。
爪白癬は他の人に感染する病気なので、タオルやスリッパの共用は控えましょう。放置すると感染が他の爪に広がったり、他の人に感染したりしてしまうため、白癬の可能性がある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

爪に黒い線ができて痛みを伴う症状の原因と治し方

爪に黒い線ができて痛みを伴う場合、爪下血腫の可能性が考えられます。

爪下血腫(そうかけっしゅ)

爪下血腫とは爪の下に出血が起きている状態です。爪の上に物を落としたり、長時間の歩行やスポーツが原因となることもあります。何も治療をしなくても数ヶ月から半年程度で改善することが多いです。痛みがひどい場合は、針などで爪の表面に穴を開け、溜まった血液を除去する治療法もあります。痛みが激しい場合や、爪の変形がある場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は皮膚科です。

すぐに病院へ行くべき「爪に黒い線」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

爪の黒い線が広くなった場合は、皮膚科へ

爪の黒い線の幅が広くなった、濃淡が混じっている、黒い色が爪の根元や近くの皮膚に染み出している、などがすぐに病院を受診すべき症状の特徴です。
このような場合は、メラノーマ(悪性黒色腫)という皮膚のがんの可能性が考えられます。

メラノーマ

メラノーマは、皮膚のメラニンという色素を作る色素細胞ががん化した病気です。体のほかの場所へがんが飛んで行ってしまう、いわゆる転移のスピードが早く、抗がん剤が効きづらく、非常に悪性の強いがんです。早期発見と早期治療の開始が大変重要ですので、疑わしい場合はすぐに皮膚科を受診しましょう。

「爪に黒い線」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「爪に黒い線ができる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アジソン病(副腎皮質機能低下症・指定難病83)

アジソン病とは、副腎皮質の機能が低下し、副腎ホルモンという重要なホルモンが不足してしまう病気です。左右の腎臓の上部にある副腎の皮質と呼ばれるところから分泌されるホルモンは血圧や体内の塩分をコントロールし、これが不足すると、全身倦怠感や筋力低下、体重減少、嘔吐、下痢などのほか、皮膚に黒ずんだ斑点が現れることが知られています。爪に色素沈着が起きると何本もの複数の黒い線ができます。結核などの感染症が原因となることがあります。
急性副腎不全を引き起こすと命に関わる病気です。不足する副腎ホルモンを補充する治療が必要です ので、疑われる症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。

よく「爪に黒い線」ができるときに気をつけたい生活習慣

爪に黒い線ができる原因はさまざまですが、栄養不足や貧血が原因の場合は食生活を見直してみることが大切です。爪の原料であるタンパク質を摂取すること、貧血気味の場合は鉄分を摂取することが大切です。
黒い線が加齢などによる水分不足が原因の場合は、ハンドクリームやネイルオイルを使って保湿をするといいでしょう。冷え性などの血行不良も爪の状態を悪化させることが知られています。体を冷やさないようにし、お風呂上がりや保湿をした後に指先をマッサージすると血行が促進される効果が期待されます。

「爪に黒い線」ができるときに飲んでも良い市販薬・サプリメントは?

爪に黒い線ができる原因が爪の乾燥の場合は市販薬の使用が可能でしょう。
白色ワセリンは高い保湿効果があります。積極的に摂った方がいい栄養素としては、爪はタンパク質の一種であるケラチンでできているため、爪の状態を改善させたい場合は、タンパク質がおすすめです。また、ビタミンEには血行を促進させ新陳代謝を促す効果が、ビタミンCにはコラーゲンを生成し鉄の吸収を助ける働きがあります。これらの栄養素も併せて摂取しましょう。
爪白癬(爪みずむし)が原因の場合、市販薬の中で効果が認められているものはありません。みずむしの市販薬は販売されていますが、足や体のみずむしの薬で、爪白癬に有効な成分とは異なります。爪白癬にかかった場合は、皮膚科に相談しましょう。

「爪に黒い線」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「爪に黒い線」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

爪に黒い線があるのですが、何科にかかるべきでしょうか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

爪に黒い線がある場合、主な診療科は皮膚科です。爪の黒い線は、皮膚のがんであるかどうかを確かめることが最も重要です。皮膚科で原因がわからない場合は内科などを紹介される可能性もあります。

子供の爪に黒い線ができるのは栄養不足でしょうか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

子供の爪に黒い線ができる原因には栄養不足も考えられますが、爪のほくろや内出血、アジソン病、悪性腫瘍など様々な可能性があります。子どもの爪に黒い線ができるのは比較的よく見られるものですが、中には治療が必要な病気もあるため一度医療機関を受診されることをお勧めします。

爪に黒い線ができた場合、治療で消すことはできますか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

爪に黒い線ができた場合、治療で消すことができるかどうかは原因によります。原因が爪のほくろである場合は、手術で切除できる可能性があります。

爪に黒い線があるのは老化と関係がありますか?

伊藤 礼司 医師伊藤 礼司 医師

爪に黒い線ができるのは、老化による爪の水分低下が原因となることもあります。ただ、爪水虫や皮膚のがんの可能性などもあります。爪が分厚くなったり黒い線が幅広くなったりなど症状に変化が現れた場合は注意が必要です。

まとめ

爪に黒い線ができる場合、本当に注意が必要なのはほくろのがんであるメラノーマの可能性です。幅が広くなる、色の濃淡が現れる、爪が変形する、または黒い色の部分が爪を超えて広がるなどの症状が併せて現れた場合は特に注意が必要です。できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。

「爪に黒い線」で考えられる病気と特徴

「爪に黒い線ができる」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

多くの皮膚疾患は日常でありふれたものですが、その種類は非常に多岐にわたり、症状も多彩です。迷ったときは自己判断せず、皮膚科医のいる医療機関を受診するようにしましょう。

「爪に黒い線」と関連のある症状

「爪に黒い線ができる」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「爪に黒い線ができる」症状の他に、これらの症状がある場合も、「メラノーマ」「爪甲縦条」「色素生母斑」「爪白癬」「アジソン病」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られている場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

この記事の監修皮膚科医