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「急にむせる咳」は何が原因?考えられる病気や対処法を解説!

「急にむせる咳」は何が原因?考えられる病気や対処法を解説!

急にむせる咳が起きるとき、身体がどんなサインを発している?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「急にむせる咳」で考えられる病気と対処法

急にむせる咳が出る場合、さまざまな原因が考えられます。考えられる原因と対処法について順番に解説します。

コロナによる急にむせる咳で考えられる原因と治し方

新型コロナウイルス感染症の代表的な症状に、咳があります。発症直後からあらわれるケースもあれば、熱や頭痛などがおさまった後も咳が続くケースも珍しくありません。基本的には、安静やこまめな水分補給など、一般的な風邪の咳と対処法は同じです。
ただし、咳が長引いたり呼吸困難を伴ったりする場合は、肺炎を起こしている場合もあります。早めに内科や呼吸器内科を受診しましょう。

乾燥による急にむせる咳で考えられる原因と治し方

空気が乾燥していると気道も乾燥し、喉がイガイガして急に咳き込むことがあります。室内の湿度が低下している時期や、エアコンの使用時にもよく起こります。乾燥が原因の場合、加湿をする、水分をとる、飴をなめるなどして喉の潤いを保つのがおすすめです。加湿器を使用したり、洗濯物を部屋に干したりするのもよいでしょう。
軽度であれば自宅で様子を見ても問題ありませんが、症状が続く場合は内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

花粉症による急にむせる咳で考えられる原因と対処法

花粉症では、鼻汁や涙、くしゃみなどが特徴的です・花粉症で急にむせる咳が出るのは、以下の原因が考えられます。

  • 鼻水がのどに落ちて湿った咳が出る(後鼻漏)
  • アレルギー反応によってもともとの喘息・咳喘息が悪化して乾いた咳が出る
  • 花粉によって喉の粘膜が刺激され、過敏になって咳が出る

晴れて風の強い日は花粉が飛散しやすいため、外出を控え、外出時はマスクやメガネを着用しましょう。また、花粉が付きにくいツルツルとした素材の服を選ぶのも効果的です。
花粉症は、セルフケアに加えて抗アレルギー薬が有効です。ただし市販の抗アレルギー薬で効果が不十分な場合は、症状に応じた診療科を受診しましょう。何科を受診するか悩む場合、鼻の症状が主であれば耳鼻咽喉科、咳が続く・つらい場合は呼吸器内科がお勧めです。

誤嚥による急にむせる咳で考えられる原因と対処法

人のからだには、呼吸の「気管」と食べ物を通す「食道」があり、通常は別々に機能しています。しかし、何らかの原因によって気管に食べ物や唾液が入ってしまうと、押し出すために「むせ」が生じます。誤嚥したものが気管の手前で止まれば喉の違和感や声がれ程度で済みますが、奥まで入ると激しい咳が出ます。誤嚥を繰り返すと、肺に細菌が入りこみ「誤嚥性肺炎」のリスクが高まるため、注意が必要です。誤嚥を疑う場合、食事を中断して前かがみの姿勢で軽く咳を促します。背中をゆっくりとさするのもよいでしょう。症状が頻繁に起こる、咳が出にくくて吐き出せない、発熱が見られるなどの場合は、早めにかかりつけ医や耳鼻咽喉科で相談しましょう。

心因性咳嗽による急にむせる咳で考えられる原因と対処法

原因不明の咳が長引くのは、心理的な要因によって起こる「心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)」の場合があります。睡眠中には起こらず休日をはじめとするリラックスした状況でも起こりにくいのが特徴です。心因性咳嗽は小児でみられることが多くみられます。心因性咳嗽と考えられる場合、深呼吸を意識する、静かな環境でリラックスするなどの対処が有効です。原因がはっきりしない咳が続く場合、かかりつけの内科で相談してみましょう。必要に応じて心療内科や呼吸器内科に紹介されます。

すぐに病院へ行くべき「急にむせる咳」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

息苦しさやゼーゼー音がある症状の場合は、呼吸器内科へ

呼吸が苦しい、胸が締めつけられる、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が聞こえるなどの場合は、喘息発作や気管支炎などによって気道が狭くなっている可能性があります。放置すると呼吸困難に陥るおそれがあるため、早めの受診が必要です。とくに夜間や早朝に悪化する、安静時にも息苦しいと感じる場合は、速やかに呼吸器内科を受診してください。症状の悪化が激しいなら、救急外来の受診も検討しましょう。

咳が止まらずに発熱や強いだるさがある症状の場合は、内科へ

咳が長く続き、発熱や全身のだるさを伴う場合は、ウイルスや細菌による感染症の可能性があります。代表的な病気は、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、肺炎などです。これらの病気は早期に診断し、必要な治療を始める必要があります。とくに高齢の方や基礎疾患のある方は症状が急速に悪化するリスクが高いため、早めの内科受診をおすすめします。

食事や水分で頻繁にむせる症状の場合は、耳鼻咽喉科へ

飲食のたびに頻繁にむせたり咳き込んだりする場合は、食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥」が起きている可能性があります。とくに高齢の方は加齢や神経疾患によって嚥下機能が低下しやすく、誤嚥を放置すると口腔内の細菌が肺に入り「誤嚥性肺炎」を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。誤嚥を繰り返す、声のかすれ、飲み込みにくさが続く場合は、早めに耳鼻咽喉科で嚥下機能の評価を受けましょう。

「急にむせる咳」の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「急にむせる咳」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アレルギー

アレルギーとは、花粉やハウスダスト、動物の毛など、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫が過剰に反応し、咳や鼻水、くしゃみ、皮膚のかゆみなどの症状が起こる状態です。
気道の粘膜が刺激されると、乾いた咳やむせるような咳が出ることがあります。代表的な治療法は、以下のとおりです。

  • 抗アレルギー薬(内服・点鼻・点眼)の使用
  • 吸入ステロイド薬の使用(咳や喘鳴がある場合)
  • 生活環境の見直し(こまめな掃除やマスクの使用)

咳が続く、日常生活に支障がある、症状の原因がはっきりしないといった場合には、耳鼻咽喉科やアレルギー科の受診を検討しましょう。呼吸器症状が強い場合は、呼吸器内科を紹介されることもあります。

気管支炎

気管支炎は、ウイルスや細菌による感染が原因で気管支に炎症が起こる病気です。風邪の延長として起こることも多く、咳や痰、胸の違和感、発熱などを伴うこともあります。症状を和らげるために鎮咳薬(ちんがいやく:咳止め)や去痰薬(きょたんやく:痰切り)、細菌感染を疑う場合は抗菌剤を使用します。1週間以上熱や咳が続く、痰が黄色や緑色になる、血が混じるなどの場合は内科や呼吸器内科を受診しましょう。

感染症以外の呼吸器疾患

呼吸器疾患には、細菌やウイルス感染以外が原因となって起こる以下のような病気もあります。

  • 気管支喘息
  • 咳喘息
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 気管支拡張症

治療には、吸入ステロイドや気管支拡張薬が用いられ、長期的な管理が必要となることも珍しくありません。放置すると、気道が慢性的に狭くなって治りにくくなる病気もあります。むせるような咳が慢性的に続く場合は、呼吸器内科の受診をおすすめします。

胃食道逆流症

胃食道逆流症は、胃酸が食道へ逆流し、胸やけや喉の違和感、空咳などが起こる病気です。気道への刺激が強い場合は、むせるような咳が出るケースもあります。治療には胃酸の分泌を抑える薬や生活習慣の改善(腹部を締め付けない、食べすぎや高脂肪食、アルコールなどを控える、就寝前は食べない)などが用いられます。また、肥満を解消すること、上半身をやや起き上がらせて寝ることの2点は、改善効果が高い生活習慣です。胸やけや酸っぱい液体が上がってくる感じが長引く場合は、内科や消化器内科を受診しましょう。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽とは、アレルギー反応が関与すると考えられている病気で、乾いた咳が続き、のどのイガイガ感を伴うのが特徴です。喘鳴や呼吸困難を伴わない点が喘息と異なり、中年女性に比較的多く見られます。喘息の治療でよく用いられる気管支拡張剤は効果が乏しく、抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬による治療が一般的です。3週間以上咳が続く、風邪薬で改善しない場合は、呼吸器内科やアレルギー科を受診しましょう。

止まらない「急にむせる咳」の正しい対処法は?

咳が止まらないときは水分をゆっくりと摂る、部屋の加湿を行う、安静に過ごすなどが基本の対処となります。乾燥で咳が悪化する場合は加湿や水分補給、湿った咳が出る場合は去痰薬や市販の風邪薬が有効な場合もあります。

咳の止め方は、原因に応じた治療を受けるのが確実です。市販薬で対応するのも一つの方法ですが、症状が長引いたり悪化したりする場合は、医療機関を受診しましょう。

応急処置で改善しない、咳が強まる、息苦しいといった症状があるときは、病気が隠れている可能性もあるため、早めに内科や呼吸器内科を受診してください。

「急にむせる咳」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「急にむせる咳」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

市販薬を飲んだり塗っても良いか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

市販の咳止め薬やのど飴、喉のスプレーなどは、一時的な症状の緩和に役立つことがあります。ただし、市販薬で対応しても症状が数日以上続く、咳が悪化する、発熱や息苦しさがあるといった場合は、自己判断を避けて医療機関を受診してください。持病がある方や妊娠中の方は、使用前に薬剤師や医師に相談するのが安全です。

急にむせる咳は予防できる?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

急な咳を完全に防ぐことは困難ですが、環境や体調の管理によってリスクを下げることは可能です。具体的な予防法を、いくつか紹介します。

・ 室内の湿度を保ち、喉を乾燥させないようにする
・花粉やハウスダストを避けるためにマスク着用やこまめな掃除をする
・食事中はよく噛んで飲み込むようにする

また、ストレスの蓄積や睡眠不足も咳のきっかけになることがあるため、規則正しい生活を意識することも大切です。

まとめ 激しい咳や1週間以上持続する咳は呼吸器内科へ

急にむせる咳は、乾燥やアレルギー、誤嚥、感染症など、さまざまな原因で起こります。多くの場合は一過性のもので、適切な対処によって症状は軽快しますが、なかには重い病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。咳が長引く、発熱や苦しさを伴う、夜間に眠れないなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。自己判断せず、症状の経過を観察しながら、必要に応じた診察や検査を受けましょう。

「急にむせる咳」症状で考えられる病気

「急にむせる咳」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器系の病気

耳鼻科系の病気

消化器系の病気

急にむせる咳が出て治まらない、息苦しさがある、何度も繰り返すなどの場合は病気が隠れている可能性があります。必要に応じて医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師