「喉が白い」のは「扁桃炎」や「咽頭炎」が原因?医師が対処法も徹底解説!
喉が白いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
「喉が白い」症状で考えられる病気と対処法
「喉が白いけど大丈夫?」と不安に思ったことのある方は多いかもしれません。喉が白くなる病気にはいくつか種類があります。ここではどのような病気があるのか、どう対処すればよいのかを見ていきましょう。
喉の奥が白い症状で考えられる原因と治し方
痛みはなく喉の奥が白い場合は、膿栓ができている可能性があります。膿栓とは扁桃の表面に空いた穴に見られる白い塊のことです。「臭い玉」とも呼ばれており、潰れると強い臭いを放ちます。扁桃の表面にある穴に食べ物のカスや細菌の死骸などがたまることが膿栓のできる原因です。ほとんど症状がないこともありますが、喉の違和感や口臭の原因になることがあります。自然に膿栓が取れることもありますが、気になる場合は専門の機器を使って取り除いてもらいましょう。膿栓があるからといって、何か病気があるわけではありません。緊急性はないため、気になる時に耳鼻咽喉科を受診してもらえれば大丈夫です。
喉が白くて痛みがある症状で考えられる原因と対処法
喉が白くて痛みがある場合は、急性咽頭炎の可能性があります。急性咽頭炎とは、のどの粘膜やリンパ組織に炎症が生じた状態のことです。ウイルス感染によってよく起こります。喉が白くなっているのは、急性咽頭炎の症状が進行して白い膿が付着しているためです。喉の痛みのほかに、咳や痰、発熱などの症状が見られることもあります。症状を落ち着かせるためには、空気の乾燥を避けて適切な湿度を保つのが効果的です。喫煙している方は禁煙してください。緊急性はありませんので、日中に内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
喉が白くて腫れている症状で考えられる原因と対処法
喉の奥が白くて腫れがある場合、急性扁桃炎である可能性が考えられます。扁桃炎とは、扁桃腺にウイルスや細菌が感染して炎症を起こすことで発症する病気のことです。風邪と似たような症状が見られますが、腫れとともに喉が痛いと感じることが多いでしょう。急性扁桃炎の症状がひどくなると、膿が出てくるためそれが白く見えます。唾を飲み込むのがつらいほど喉の痛みが強く出ることも少なくありません。喉が白くなったり痛みが出たりするほか、発熱や頭痛、倦怠感などが見られることもあります。症状がつらい場合は市販薬の解熱鎮痛剤を服用しても構いません。空気が乾燥していると症状が悪化しやすくなるので、湿度を保つようにしましょう。必ずしも緊急性が高いとは言えませんが、悪化すると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を併発する可能性があるため、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
喉が白くて膿がある症状で考えられる原因と対処法
喉が白くて膿がある場合は、伝染性単核球症が考えられます。伝染性単核球症とは、EBウイルスの初感染によって起こる感染症です。このほか、サイトメガロウイルスやヒトヘルペスウイルス6型なども原因となります。EBウイルスが原因の場合は、感染して4~6週間ほど経ってから痛みや発熱などの症状がみられることが一般的です。喉に白い膿が大量に付着し、強い痛みを生じます。治療は対症療法が中心です。解熱鎮痛剤を使用して痛みや発熱を抑えることが多いでしょう。症状が重い時期は安静にすることも大切です。一般に予後が良いといわれていますが重症化することもあるため、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
子どもの喉が白い症状で考えられる主な原因と治し方
子どもの喉が白い場合は、急性扁桃炎の可能性があります。急性扁桃炎とはウイルスや細菌が感染することで起こる病気です。咽頭が赤く腫れ、扁桃に白い苔のようなものが付着します。急性扁桃炎は、子どもではよくみられるものです。喉の強い痛みや発熱などがおもな症状です。喉が痛くて飲食が難しくなりがちですが、脱水を避けるために水分はこまめに摂るようにしてください。感染力が強いため、兄弟や親子でうつるのを防止するためにおもちゃやタオルの共用は避けましょう。痛みが強い場合は市販薬の解熱鎮痛剤を服用しても構いません。緊急性はあまり高くありませんが、脱水を起こしそうな場合は早めに小児科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「喉が白い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
喉が腫れており白い膿がついている場合は、耳鼻咽喉科へ
喉に腫れがあり、白い膿がついている場合は耳鼻咽喉科を早めに受診しましょう。とくに問題ないこともありますが、そのまま放置しておくと慢性扁桃炎になったり肝臓や脾臓が肥大して破裂したりすることがあります。伝染性単核球症の場合は、重症化すると気道閉塞や肺炎、無菌性髄膜炎などを引き起こすこともあるので注意しなければなりません。喉に腫れがあり白い膿がある場合は耳鼻咽喉科を受診することが一般的です。かかりつけの内科や小児科がある場合はそちらを受診してもよいでしょう。受診時は、いつからどのような症状が出ているのか、飲食はできているかなどを伝えるとスムーズに診察してもらえます。
受診・予防の目安となる「喉が白い」ときのセルフチェック法
- 喉が白い以外に脱水症状がある場合
- 喉が白い以外に膿も見られる場合
- 喉が白い以外に疲労感がある場合
「喉が白い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「喉が白い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
急性扁桃炎
急性扁桃炎は、扁桃にウイルスや細菌が感染して炎症を起こし、喉が腫れたり光熱が出たりする病気です。首のリンパ節が腫れたり舌に真っ赤なぶつぶつが出たりすることもあります。原因となるウイルスや細菌としては次のものが代表的です。
- アデノウイルス
- EBウイルス
- 単純ヘルペスウイルス
- 溶連菌
- ブドウ球菌
- インフルエンザ菌
- 肺炎球菌
急性扁桃炎になった場合は、風邪を引いた時と同じで安静にしましょう。安静にしておけば1週間程度で自然治癒することもあります。医療機関を受診した場合は、解熱鎮痛剤や抗生物質を使って治療が行われることが多いでしょう。喉の痛みが強く、脱水を起こしそうな場合は、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診してください。
急性咽頭炎
急性咽頭炎とは、喉の粘膜やリンパ組織に炎症が起こった状態のことです。ウイルスや細菌感染が原因となって発症します。原因となるウイルスや細菌としては、次のものが代表的です。
- パラインフルエンザウイルス
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス
- 連鎖球菌
- インフルエンザ菌
急性咽頭炎が疑われる場合は、まず安静を保ちましょう。可能であれば、水分摂取も行ってください。ウイルスが原因であれば自然治癒することも少なくありません。細菌が原因の場合は抗生物質を使用して治療を行います。喉の痛みが強く脱水が心配される場合は、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
伝染性単核球症
伝染性単核球症は極度の疲労感や発熱、喉の痛みやリンパ節の腫れなどが見られる病気です。ほとんどがEBウイルスの感染によって起こります。サイトメガロウイルスやアデノウイルス、単純ヘルペスウイルスやA型肝炎ウイルスなども原因の一つです。1ヶ月間程度と長い潜伏期間の後、症状が現れます。伝染性単核球症に対する特別な治療法はないため、対症療法を行うことが基本です。最初の1~2週間は症状が重く出やすいため安静にしてください。重症化する可能性もあるため、喉の痛みや腫れに加えて発熱や疲労感がある場合は、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「喉が白い」の正しい対処法は?
喉が白いときは、喉に炎症が起きている可能性があります。症状を緩和させるには喉の酷使を避け、空気が乾燥しないように湿度を適度に保つことが大切です。喉の痛みが強いときは、市販薬の解熱鎮痛剤を服用して様子を見るのもよいでしょう。ただし、強い疲労感があったり脱水になったりしている場合は、無理に市販薬に頼らず早めに内科や耳鼻咽喉科を受診してください。早く治したいときは、受診して薬を処方してもらうのも良い方法です。自宅で応急処置をしても症状が治まらない場合は、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。症状に合わせた処置を行ってもらえることがあります。
「喉が白い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「喉が白い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
喉が白くても痛みや腫れがなければ放置しても大丈夫ですか?
丸山 潤(医師)
痛みや腫れがない場合は放置していても問題ないことがあります。ただし、感染症を起こしていることもあるので、できれば耳鼻咽喉科を受診しましょう。
喉が白いのですが有効な市販薬はありますか?
丸山 潤(医師)
喉が白いのを治す薬はありません。ただし、市販薬の解熱鎮痛薬を使うことで喉が痛いのは抑えられます。
喉が白いのは自然治癒しますか?
丸山 潤(医師)
自然治癒する場合もありますが、症状によっては重症化することも考えられます。1週間ほど経っても症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診してください。
まとめ 喉が白いのは急性扁桃炎や急性咽頭炎の可能性あり
喉が白いという症状が出ている場合は、急性扁桃炎や急性咽頭炎などの病気が考えられます。どちらも強い喉の痛みが出るため、飲食が困難になることが少なくありません。脱水を起こすこともあるため、症状が気になるときは早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「喉が白い」症状で考えられる病気
「喉が白い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
歯科系の病気
- 口腔カンジダ症
喉が白いだけなら様子見で改善することもありますが、痛みが強かったり倦怠感もあったりする場合は症状がさらに悪化することもあるので注意しましょう。
「喉が白い」に似ている症状・関連する症状
「喉が白い」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 口の中が白い
- 口に白いできものがある
「喉が白い」という症状の他に、これらの症状がある場合には、「急性扁桃炎」「急性咽頭炎」「伝染性単核球症」「口内炎」「口腔カンジダ症」などの疾患が考えられます。口の中全体が白かったり、白いできものができていたりするような症状がある場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。