「片耳だけ音が響く」のは「突発性難聴」や「中耳炎」が原因?医師が徹底解説!
片耳だけ音が響くのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
磯野 志真(医師)
「片耳だけ音が響く」症状で考えられる病気と対処法
音が響くように聞こえる感覚は誰しも一度経験したことがあるかと思います。短時間で改善すればほとんど問題ないですが、長期間症状が続くと、聞こえの質を悪化させるだけでなく、気になってしまい日常に支障をきたす方もいらっしゃいます。本記事で一緒に学んでいきましょう。
片耳だけ音が響く症状で考えられる原因と治し方
片耳だけ音が響く症状の特徴として、自分が出した声が頭の中で響いたり割れたりきこえる「自声強調(じせいきょうちょう)」や、人の話し声や人混みなどの騒音、皿などの接触音などに苦痛を感じる「聴覚過敏(ちょうかくかびん)」があります。中耳・内耳・脳の障害が原因としてあげられ、ストレスや精神疾患がきっかけとなる場合もあります。症状の程度に個人差はありますが、苦痛が強いと日常生活に支障をきたすことがありますので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「片耳だけ音が響く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
片耳だけ音が響く症状のほかに、難聴・耳鳴り・めまいがある場合は、耳鼻咽喉科へ
片耳だけ音が響く症状のほかに、難聴・耳鳴り・めまいがある場合は突発性難聴などの内耳障害や脳の障害の可能性があります。早めに治療を開始しないと上記の症状が改善せず残ってしまうこともあるため、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「片耳だけ音が響く」ときのセルフチェック法
- ・片耳だけ音が響く以外に症状のせいで強いストレスを感じたりやうつ状態になっている場合
- ・片耳だけ音が響く以外に難聴や耳鳴り、耳の詰まった感じ(耳閉感)、めまいがある場合
「片耳だけ音が響く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「片耳だけ音が響く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
突発性難聴
突発性難聴は、突然片方の耳の聞こえが悪くなり、片方の耳閉感・耳鳴り、時折めまいや片耳だけ声が響く症状も伴う原因不明の病気です。ストレスや過労などがあると起こりやすいことがわかっています。聴力を回復させるには、速やかに治療を開始することが重要なので、発症したらすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。ステロイドという炎症をつよく抑える薬や、内耳の血流を良くする薬を併用して加療を行います。
中耳炎
鼓膜より奥の「中耳」で炎症がおきたものを「中耳炎」といいます。中耳炎にはいくつか種類があり急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎などがあり、いずれも声が響く症状が起こります。
【急性中耳炎】
鼻と中耳は「耳管(じかん)」という管でつながっていますが、風邪などにかかって鼻の中にいる病原体が耳管を経由して耳の中に感染すると膿がたまり急性中耳炎が起こります。急性中耳炎では、耳痛・難聴・耳閉感の症状がおこります。治療は抗菌薬の内服、必要があれば鼓膜を切開して膿を出します。
【滲出性中耳炎】
急性中耳炎が長引き、膿が長期間たまっている状態を滲出性中耳炎といいます。子供に多い病気であり、子供は順応性が高いので難聴などの症状が出ないことがあります。治療としては、鼓膜を切開したりチューブをいれたりして膿を出します。治療には数年かかる場合もあります。
【慢性中耳炎】
急性中耳炎・滲出性中耳炎が改善せず長引くと慢性中耳炎に移行してしまいます。慢性炎症により鼓膜に穴が開き聞こえが悪くなり、耳から膿が出てくる耳だれという症状が何度も起こります。治療には抗菌薬の点耳薬を使いますが、鼓膜の穴を閉じる手術を行う場合もあります。
聴覚過敏
音に対しての感度が亢進し、日常の生活音などが刺さるように、聞こえ苦痛を伴う状態を「聴覚過敏」といいます。とくに、人の話し声や人混みなどの騒音、皿などの接触音などに不快を感じるのが特徴です。ストレスやうつ病などの神経精神疾患が引き金となり、中耳・内耳・脳の障害をきたし、聴覚過敏の状態になるといわれています。症状の程度や治療方針は人により異なり、精神科を紹介されることもあります。まずは耳のチェックのために一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳管開放症
前述した「耳管」には、のどと耳の圧力を調整するはたらきがあり、食物を飲み込んだときやあくびのときに耳管は開き、すぐに閉じるのが正常です。しかし、耳管開放症では耳管が常に開放しているため、自分自身の声が響いて聞こえたり、耳の詰まった感じを自覚したりします。原因としては、ストレス、ダイエットや全身性の病気により急激に体重が減少することで、耳管周囲の脂肪が減り、常に耳管が開いている状態になってしまうことが挙げられます。症状が気になって仕方がない方は、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。その後、原因となる疾患がある場合は専門の診療科へ紹介することもあります。
急性低音障害型感音難聴(ALHL)
急性低音障害型感音難聴(以下ALHL)は主に低い音が突然聞こえなくなる病気で、症状としては難聴・耳閉感・耳鳴り、声が響く症状などが挙げられます。ALHLの病態は内リンパ水腫という「内耳のむくみ」が起こっていると考えられています。難聴・耳鳴・耳閉感・めまいの程度が強い場合は早めに耳鼻科を受診しましょう。治療薬には内リンパ水腫を改善する薬や、内耳の循環を良くする薬を使用します。難聴が重度の場合は突発性難聴の治療に準じて、ステロイドを用いることもあります。
「片耳だけ音が響く」ときの正しい対処法は?
音が響く症状が短時間で改善する場合や、めまいや難聴などの他の症状を伴っていない場合、少し自宅で様子をみてもいいかもしれません。長時間症状が続いて気になる場合や早く治したい場合、この症状に対して有効な市販薬はあまりないので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、上記のようにストレスが関与しているといわれている疾患が原因としても挙げられるので、ストレスを解消して休息や睡眠を十分にとりましょう。
「片耳だけ音が響く」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「片耳だけ音が響く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
自分の声が片耳だけ響いて聞こえるのは突発性難聴なのでしょうか?
磯野 志真 医師
突発性難聴が原因のこともありますが、その他にも中耳炎や耳管開放症、ALHLなども原因として考えられます。原因疾患により大きく治療は異なるので耳鼻咽喉科を受診しましょう。
音が片耳だけボワボワ響いて聞こえたらすぐ耳鼻科に行くべきですか?
磯野 志真 医師
短時間で改善する場合は様子をみてもいいですが、早く治したい場合や耳の症状がストレスになって気分が落ち込むようなことがあれば、はやめに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
片耳だけ音が響くのですがただの風邪でしょうか?
磯野 志真 医師
風邪に随伴して症状がある場合は、急性中耳炎を発症しているかもしれません。耳鼻咽喉科を受診しましょう。
片耳だけ音が響くのは自然と治りますか?
磯野 志真 医師
短時間で自然に軽快する場合もあります。めまいや難聴など他の症状を伴っていない場合は自宅で少し様子をみてもいいかもしれません。
まとめ 片耳だけ音が響くときは中耳や内耳の病気のみならず、ストレスや精神疾患が原因になることもある
自分の声が響くという症状は人によってはかなり不快感を伴う症状です。原因は中耳や内耳の病気だけでなく、ストレスや精神疾患などが起因することもあるので、耳鼻咽喉科での検査治療のみならず、精神科でのカウンセリングなどが必要になる場合もあります。この症状がある場合は、耳のチェックのためにまずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「片耳だけ音が響く」症状で考えられる病気
「片耳だけ音が響く」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻咽喉科の病気
- 中耳炎(急性中耳炎・滲出性中耳炎・慢性中耳炎)
- 耳管開放症
- 突発性難聴
- 急性低音障害型感音難聴(ALHL)
- 聴覚過敏
耳鼻咽喉科を受診して原因を検査してもらうと良いでしょう。
「片耳だけ音が響く」に似ている症状・関連する症状
「片耳だけ音が響く」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 耳が詰まった感じ
- 耳鳴り
- めまい
- 耳から液体がでる(耳垂れ)
- ストレス
- 気分が落ち込む
- 耳 詰まった感じ 片方
- 耳の中でポコポコ音がする
- キーンとした耳鳴りがずっと続く
- 耳の奥が痛い
「片耳だけ音が響く」症状の他にこれらの症状がある場合でも「急性中耳炎」「滲出性中耳炎」「慢性中耳炎」「耳管開放症」「突発性難聴」「急性低音障害型感音難聴(ALHL)」「聴覚過敏」などの疾患の可能性が考えられます。症状がある場合一度耳鼻科を受診しましょう。