FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 耳・鼻・のど・肺
  4. 「耳に水が入った感じがする」のは「突発性難聴」が原因?医師が徹底解説!

「耳に水が入った感じがする」のは「突発性難聴」が原因?医師が徹底解説!

「耳に水が入った感じがする」のは「突発性難聴」が原因?医師が徹底解説!

耳に水が入った感じがするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

磯野 志真

監修医師
磯野 志真(医師)

プロフィールをもっと見る
東京慈恵会医科大学医学部卒業。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医師。東京医科歯科大学医学部附属病院(現・東京医科歯科大学病院)、横浜市立みなと赤十字病院、賛育会病院などでの勤務経験あり。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属。小児の難聴・中耳炎から、成人の頭頸部がんまで幅広く診療している。

目次 -INDEX-

「耳に水が入った感じがする」症状で考えられる病気と対処法

耳に水が入ったような感じがする症状は、誰しも一度経験したことがあるかと思います。すぐに改善する場合もありますが、なかなか改善しない場合は不快に感じて耳鼻咽喉科を受診される患者さんも少なくありません。耳に水が入ったような感じがする場合、外耳・中耳・内耳、いずれも原因で起こる場合がありますので、この記事で一緒に学んでいきましょう。

耳に水が入った感じがして痛い症状で考えられる原因と治し方

耳に水が入った感じがして痛い場合は、外耳炎や外耳道異物が考えられます。いずれも耳鼻科での診断と適切な処置・治療が必要なので、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳に水が入った感じがして響く症状で考えられる原因と治し方

中耳の空気圧の調整がうまくできない状態の耳管狭窄症や、加齢や体重減少で耳管が開き過ぎた状態の耳管開放症が原因として挙げられます。
耳管狭窄症は「耳抜き」をすることで一時的に症状が改善することもありますが、風邪や副鼻腔炎といった原因疾患が改善しない限りは症状が持続してしまうことがあります。
耳管開放症は、体重減少が原因である場合、この誘因となっている状況が治れば症状が改善することもありますが、加齢による場合は症状の改善があまり期待できないケースが少なくないのが現状です。
いずれの疾患も、耳に水が入った感じがして響く症状が気になる場合は、耳鼻咽喉科を受診してみてもいいかもしれません。

片耳だけ水が入った感じがする症状で考えられる原因と治し方

片耳だけ水が入った感じがする場合、片方の外耳炎・耳垢塞栓・外耳道物、片方の耳管機能の異常(耳管開放症・耳管狭窄症)、片方の中耳炎、内耳障害(突発性難聴・メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴)など、幅広い原因が考えられます。耳鼻咽喉科での診察と検査で原因を特定できることがほとんどですので、早めの受診をしましょう。

耳に水が入った感じがずっと続く症状で考えられる原因と治し方

耳に水が入った感じがずっと続く場合、滲出性中耳炎が原因であることが多いです。滲出性中耳炎とは、中耳炎がなかなか改善せず膿が長期間たまっている状態をさします。耳鼻科での投薬や処置が必要なことが多いので耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳に水が入った感じがして耳鳴りがする症状で考えられる原因と治し方

耳に水が入った感じがして耳鳴りやめまいがする場合、内耳障害(突発性難聴・メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴)が考えられます。症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。また、いずれもストレスなどが誘因となり発症する疾患なので、日常生活でストレスをためないように心がけましょう。

すぐに病院へ行くべき「耳に水が入った感じがする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

脳の障害を思わせる症状を伴う場合は、救急科・脳神経外科へ

耳の詰まった感じのほかに、難聴・耳鳴・めまいがある場合は耳鼻科を受診していただければ治療できることがほとんどですが、意識を失ったり、顔や手足のしびれを伴ったり、視界が二重にみえたり、まっすぐ歩けないなどの脳の障害を思わせる症状も伴っている場合は、脳梗塞・脳出血など頭の病変が原因である可能性があります。速やかに救急外来や脳神経内科や脳神経外科のある大きな病院を受診されることを強く推奨します。

受診・予防の目安となる「耳に水が入った感じがする」ときのセルフチェック法

  • ・耳に水が入った感じがする以外に耳の痛みがある場合
  • ・耳に水が入った感じがする以外に耳の聞こえにくさがある場合
  • ・耳に水が入った感じがする以外にめまいがある場合
  • ・耳に水が入った感じがする以外に意識消失、顔や手足のしびれ、視界が二重にみえる、まっすぐ歩けないなどの症状がある場合

「耳に水が入った感じがする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳に水が入った感じがする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

外耳炎

耳の穴から鼓膜の手前までの細い部分を外耳といい、ここでの炎症を外耳炎といいます。耳かきなどで外耳に傷を作った場合に細菌が入り炎症を起こしてしまうことが原因です。高齢者や糖尿病などの免疫力の低下している方はカビが原因となることもあります。耳の詰まった感じに加え、耳の中の腫れや痛みを伴うことが多いので、症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。抗生剤の点耳薬を耳に入れて治します。炎症がひどい場合は耳の処置を行うこともあり、しばらく通院を要する場合もあります。

外耳道異物・耳垢塞栓

外耳に綿棒の先や昆虫、小さなおもちゃなどが迷入するのを外耳道異物、外耳に耳垢がつまってしまうことを耳垢塞栓といいます。
いずれも症状としては耳の詰まった感じを自覚することが多く、前者のうち、昆虫が入ってしまった場合は虫自体の動きによる外耳道の痛みがあります。外耳道異物や耳垢塞栓は耳鼻科でなければ診断・処置をすることが難しく、適切に対応しないと外耳道や鼓膜を傷つける場合があるので、耳鼻咽喉科を速やかに受診して除去してもらいましょう。

滲出性中耳炎

鼓膜より奥の中耳で炎症がおきたものを中耳炎といいますが、なかなか炎症が収まらず膿が長期間たまっている状態を滲出性中耳炎といいます。症状としては、耳の詰まった感じや難聴を自覚することが多いですが、子供に多い病気なのでこのような症状を訴えないことが多く、耳鼻咽喉科に他の症状で受診して偶発的に見つかったり学校健診で指摘されたりして初めて診断に至ることがあります。治療としては、鼓膜を切開したりチューブをいれたりして膿を出します。治療には1~2年かかる場合も少なくないです。

耳管開放症

耳と鼻の奥をつなぐ管が存在し、これを耳管といいます。耳管には耳と鼻の圧力を調整するはたらきがあり、食物を飲み込んだときやあくびのときに耳管は開いてすぐに閉じるのが正常ですが、耳管開放症では耳管が常に開放しているため、自分自身の声が響いて聞こえたり、耳の詰まった感じを自覚したりことがあります。原因としては、ストレスやダイエット、全身性の病気により急激に体重が減少することで、耳管周囲の脂肪が減り、常に耳管が開いている状態になってしまうことが挙げられます。症状が気になって仕方がない場合には、まずは耳鼻咽喉科を受診していただき、その後原因となる疾患がある場合は、各科への治療を紹介することもあります。治療には漢方薬が使用されることもあります。

耳管狭窄症

風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が原因となり、鼻と耳をつなぐ耳管が腫れ、中耳の空気圧の調整がうまくできない状態を耳管狭窄症といいます。耳管狭窄症はいわゆる「耳抜き」をすることで一時的に症状が改善することもありますが、原因疾患が改善しない限りは症状が持続してしまうため、耳鼻咽喉科にて原疾患の治療を受けましょう。多くは薬物を用いて治ることが多いですが、改善がない場合、鼓膜に空けた小さな穴にチューブを入れる「鼓膜チューブ留置術」を行うこともあります。

メニエール病

耳の詰まった感じに加え、めまい・難聴・耳鳴などの症状を何度か繰り返す病気です。内耳のリンパ液が過剰で水ぶくれ状態になってしまっていることがメニエール病の病態ですが、その原因としてストレス、脱水などがいわれています。症状が軽く食事や水分がとれれば、安静にすることで自然に治ることもありますが、症状が強く出ている場合、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。治療は内耳の水ぶくれを改善させる薬などを内服すれば2-3週間で症状が改善することが多いです。再発を起こしやすい病気であるので、原因となるストレスを抱えないような日常生活を心がけましょう。

突発性難聴

突然片方の耳の聞こえが悪くなり、耳の詰まった感じや耳鳴り、めまいを伴う原因不明の病気です。ストレスや過労が原因で起こりやすいといわれています。耳の症状を改善させるには、すこしでも早く治療を開始することがとても重要なので、発症したらすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。ステロイドという炎症を抑える薬や内耳の血流を良くする薬を使用して治療します。

急性低音障害型感音難聴(ALHL)

20~30歳の若年女性におこりやすい、低い音が聞こえにくくなる病気で、耳の詰まった感じや耳鳴の症状が出現します。ALHLはメニエール病と同じく原因はストレスなどが関与しているといわれています。症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。治療はメニエール病と同様、内リンパ水腫を改善する薬を使用することが多いです。

「耳に水が入った感じがする」ときの正しい対処法は?

耳に水が入ったような感じや耳の詰まった感じがする場合、まずは一度耳抜きをして対処をしてもいいかもしれません。風邪などでおこる耳管狭窄症が原因である場合、一時的に症状の改善が期待できます。それでも改善しない場合、耳鼻科を受診しましょう。上記のとおり、耳に水が入ったような感じや耳の詰まった感じがする場合は外耳・中耳・内耳と原因が広範囲にわたることが多いので、すこしでも早く治したい場合は専門科で診断をつけてもらうことが第一優先になります。自分で耳掃除など耳を触りすぎてしまうと、かえって増悪(悪化)することもあるので、まずは受診をお願いします。

「耳に水が入った感じがする」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳に水が入った感じがする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳に水が入った感じがするときの治し方を教えてください。

磯野 志真 医師磯野 志真 医師

まずは耳抜きで対処をしてもいいかもしれませんが、改善がない場合、上記のとおり、原因は外耳・中耳・内耳と原因が広範囲にわたることが多いので、すこしでも早く治したい場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳に水が入った感じがするのですがストレスでしょうか。

磯野 志真 医師磯野 志真 医師

耳に水が入った感じがするほかに耳鳴りやめまいも伴う場合、ストレスが原因となって起こるといわれている、内耳障害(突発性難聴・メニエール病・急性低音障害型急性感音難聴)が発症している可能性が高いです。ストレスをためないような日常生活を心がけてみましょう。

風邪が原因で耳に水が入った感じがすることはありますか?

磯野 志真 医師磯野 志真 医師

風邪が原因で耳に水が入ったような感じがすることはあり、おそらく耳管狭窄症であると考えます。風邪の他にも副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が原因となることがあり、いずれも原疾患の治療で症状は改善をすることが多いです。

耳に水が入った感じがするのは漢方で治りますか?

磯野 志真 医師磯野 志真 医師

耳管開放症の場合、加味帰脾湯(かみきひとう)を使用する場合もあります。また、メニエール病の場合、柴苓湯(さいれいとう)を使用することがあります。効果は個人差がある印象ですので、主治医の先生と相談してみましょう。

耳に水が入って抜けないときの対処法を教えてください。

磯野 志真 医師磯野 志真 医師

プールやお風呂などで耳に水が実際に入ってしまった場合は、入ってしまった方の耳を下に頭を傾けて何回かその場でジャンプすると抜けることもあります。改善がない場合、数時間程度様子をみてもいいかもしれませんが、改善しない場合は、他の病気が隠れている可能性もあるので、耳鼻咽喉科を受診してみましょう。

まとめ

耳に水が入ったような感じがする場合、原因は外耳・中耳・内耳と原因が広範囲にわたることが多く、診断と治療は耳鼻科にて行われる必要があります。耳に水が入ったような感じの症状が持続すると気になって仕方がないという患者さんは少なくないです。一日でも早く治したい場合は耳鼻科を受診し、原因を突き止めてもらいましょう。

「耳に水が入った感じがする」症状で考えられる病気

「耳に水が入った感じがする」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

脳神経系の病気

耳に水が入ったような感じがする場合、原因は外耳・中耳・内耳と原因が広範囲にわたることが多いので、早く治したい場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。脳の障害を疑うような症状がある場合は、速やかに脳神経外科・救急科を受診しましょう。

「耳に水が入った感じがする」に似ている症状・関連する症状

「耳に水が入った感じがする」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「耳に水が入ったような感じがする」に加え、上記のような症状を伴っている場合は、「耳垢塞栓」「外耳道異物」「外耳炎」「滲出性中耳炎」「耳管開放症」「耳管狭窄症」「メニエール病」「突発性難聴」「急性低音障害型感音難聴(ALHL)」「脳梗塞」「脳出血」などの可能性があります。症状が診断に直結することが多く、また、随伴症状の有無によって治療薬が追加されることがあるため、耳鼻咽喉科を受診した際には医師に伝えてください。