「鼻血」がでる原因はご存知ですか?医師が止め方も徹底解説!
鼻血が出る時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
森崎 剛史 医師
「鼻血」で考えられる病気と治し方
鼻血はほとんどの方が経験したことがあるのではないでしょうか。鼻をかんだりこすったりしたときに多少ポタポタと鼻血が出ても、それ以降でなければごく普通のことです。しかし、鼻血を頻繁に繰り返すようであれば血管が傷つきやすい状態になっていたり、鼻のまたは全身の病気が隠れていることがあります。どのような病気があるのか見ていきましょう。
鼻血で考えられる原因と治し方
鼻血は、鼻の粘膜の表面近くを通っている血管が破れたとき、鼻や副鼻腔の中に鼻血がでやすいポイントができてしまったときなどに起こります。さらに、いったん出血したあと血をとめるはたらきが弱くなっている場合や、血圧や出血部分が大きく出血の勢いが強い場合にはなかなか出血が止まらず命に関わることもあります。後にも記載しますが、粘膜表面の血管から出血するポインはほとんど決まっていて、キーゼルバッハ部位といって、小鼻を両サイドから片手でつまむようにするとちょうど圧迫できる場所になっています。鼻血がでたらまずは鼻をつまんで圧迫しけつを試みましょう。また、鼻血が垂れるのがいやで上を向いてしまうと、のどに流れてきて飲み込んでしまいます。血を飲み込み続けると胃に溜まって悪心・嘔吐を引き起こし余計にしんどくなるので、うつむき気味にして洗面器などに出すように対応しましょう。鼻血は耳鼻咽喉科で診察してもらえます。
鼻血が止まらない・よく出る症状で考えられる原因と治し方
鼻血が30分以上出続けている、また30分以内でも、毎日のように鼻血がでるようなときには、鼻の中にポリープ状の非常に出血しやすい腫瘤ができていることがあります。血管が増殖した血管腫や、血管の壁が薄く膨らんだ状態など、様々な腫瘤をまとめて、出血性鼻茸(しゅっけつせいはなたけ)とよびます。出血したときにはまずは指で鼻を両脇から軽くつまんで圧迫止血します。それでも止まる様子がないときには夜間でも救急外来などを受診しましょう。耳鼻咽喉科が開いている時間帯であれば耳鼻咽喉科が最適です。電気焼灼などで治療することが多いです。
ストレスによる鼻血で考えられる原因と治し方
ストレスや疲れは血圧を高めます。鼻血の患者さんが併せ持つ持病では、高血圧が最も多いと言われています。これは、急に血圧が上がることが鼻血の原因となることだけでなく、高血圧が続いていると動脈硬化が進行して血管の壁がもろくなり破れやすくなることも関係しています。突然の鼻血はまずは鼻をつまんで圧迫止血し、それでも止まる様子がないときには耳鼻咽喉科を、夜間でも救急外来などを受診しましょう。慢性的なストレスを抱えないこと、自宅で血圧をこまめに測定して規則正しい生活習慣に気をつけること、に注意しましょう。
鼻からレバー状の血の塊が出る症状で考えられる原因と治し方
レバー状の血の塊は血餅といって、血管から外にでた血液が自らの力で固まっている状態です。血餅ができるのは、出血を止めるために必要な、元から備わっている大切なはたらきが正常に作用していることを示しています。どのような原因で鼻血がでていても、血液が固まろうとしているときには血餅がでます。自然に鼻血が止まったあとに血餅が出ていくこともありますし、じわじわと出血が続いているときには血餅が次から次へと出てくることになります。出血も含めてどの程度の量の血餅がでたのか、たとえばコップ一杯分など、病院を受診された際には伝えられるようにするとよいです。
片方だけ鼻血を繰り返す症状で考えられる原因と治し方
細胞のもつ生まれ変わりのサイクルになんらかのスイッチが入って細胞が異常な勢いで増えるようになった塊を腫瘍といいます。鼻や副鼻腔の細胞からも腫瘍が発生することがあり、良性・悪性を問わず、非常に血流が良くて血が出やすい腫瘍となることがあります。鼻副鼻腔腫瘍は鼻づまりと鼻血を起こすことが特徴です。また、この鼻づまりと鼻血は両鼻ではなく、多くは腫瘍ができている側に起こります。このような症状がある場合はお近くの耳鼻咽喉科で診察をうけましょう。
子供の鼻血で考えられる原因と治し方
子供はかぜや花粉症、アレルギー性鼻炎で鼻をこすったり、鼻の穴をほじったりしがちで、この機会的な刺激がほとんどの子供の鼻血の原因です。機械的な刺激によって血管が破れやすい状態になっており、鼻をかんだり、顔を洗ったり、くしゃみをした拍子に鼻血が出やすくなります。鼻をかるくつまんで5〜10分でほとんどの場合止まりますので自宅での対応が可能です。それでも勢いが強く止まらない場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。アレルギー性鼻炎がある場合には、普段からしっかり治療して鼻をこすらないようにしておくことが大切です。
すぐに病院へ行くべき「鼻血」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
鼻血がとまらない場合は、耳鼻咽喉科へ
鼻血は正しい対処法をしっていれば自身で大抵適切に止められますが、勢いの強い鼻血を1時間以上止められない場合などは命に関わる失血になることがあります。特に、抗凝固薬といって、心臓、脳、末梢の血管で血液が固まらないようにするお薬を普段から服用している方や、健康診断で高血圧と言われながらも病院にかからずに高血圧を放置していた場合などは、自分で止血する力が出血の勢いに追いつかずに致命的な鼻血となることも警戒する方がよいでしょう。後述する鼻翼圧迫で30分しても鼻血が止まらないとき、抗凝固薬や未治療の高血圧があるときには、すぐに耳鼻咽喉科や救急外来への受診を検討してください。
受診・予防の目安となる「鼻血」のセルフチェック法
- ・健康診断で高血圧を指摘されている
- ・抗凝固薬を飲んでいる
- ・毎日のように鼻血がでる
- ・鼻づまりと鼻血を両方発症している
「鼻血」が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「鼻血」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
オスラー病
オスラー病の方は、血管の構造が先天的にもろい体質を持っておられます。遺伝することが知られています。全身の様々な臓器で通常より出血がおこりやすいですが、鼻血が最も多く、オスラー病の方のほとんどが鼻血で悩まされます。オスラー病の診断は特別な検査が必要ですので、診断をご希望の場合は難病情報センターのホームページから、診断可能な病院のリストを確認して受診するようにしましょう。初めて鼻血が出た場合、お近くの耳鼻咽喉科をまず受診します。その際にご家族でオスラー病の方がおられるようなら必ず申告するようにしてください。
上顎洞血瘤腫
片方の鼻から繰り返す鼻血、片方の頬が腫れるなどの症状があります。炎症、けがなどが原因で上顎洞(副鼻腔の1つ)で出血がおこり、空洞の中で出血や炎症の悪循環が起こって容易に出血する病変をつくってしまったものです。症状が当てはまる場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。CT検査では悪性腫瘍との区別がつきづらいので、手術で治療を兼ねて、腫瘍でないかどうかを確かめる必要がでてきます。
特発性血小板減少性紫斑病
この病気の原因まだはっきりとわかっていませんが、この血小板に対する自己抗体ができるために脾臓で血小板がどんどん破壊されてしまい、血小板が不足するという意見が多いようです。血小板は傷ついた血管を塞いで血を止めるはたらきがあるので、血小板が不足すると血が止まりにくくなります。鼻血が出やすくなるほか、全身の皮膚に内出血がところどころ出現する、便や尿に血がまじる、生理が止まりにくい、歯茎から血がでる、などの症状をおこします。ステロイド治療が行われることが多いです。お近くの内科を受診し、総合病院の血液内科などを受診するかどうかを相談しましょう。
ビタミンK欠乏症
ビタミンKは出血を止めるために血が固まる際に必要となります。このビタミンKが不足している場合には、鼻血が出やすかったりなかなか止まらないことになります。ビタミンKは肝臓の病気、腸の病気があると吸収されにくくなることがあります。また、腸内細菌がビタミンKを産生していますので、長期間にわたって抗生物質を服用していると必要な腸内細菌がいなくなってしまってビタミンK欠乏をおこすことがあります。鼻血以外にも血便、歯茎からの出血などがある場合はお近くの内科を受診し、相談するようにしましょう。
「鼻血」の正しい対処法・止め方は?
鼻血が出る場所として一番多いのが、左右の鼻の仕切りである鼻中隔の比較的前の方にあるキーゼルバッハ部位という場所で、鼻中隔の左右どちらかの面から出ている事が多いです。この部分はちょうど左右両方の小鼻の部分(鼻翼)を人差し指と親指でつまむと圧迫できる場所です。口で呼吸することにはなりますが、10分前後こうして軽く圧迫し、そっと指を離すと鼻血が止まっていることが多いです。
よくある間違いで、鼻血が前に垂れてくるのをいやがって上を向いて待つという方法がありますが、鼻血が鼻の後方からのどにおちてきて胃に溜まってしまいます。気分が悪くなりますし、誤嚥(気管に入ってしまう)の可能性もありますので、上を向くのでなく前に軽くうつむいて、鼻血はなるべく飲み込まないようにしましょう。鼻をかむ時、洗顔、入浴時、運動時、これらはいずれも鼻血がでやすい場面となります。鼻血が出ているときや止まってすぐのときには再出血をおこしますので止まってから30分は控えるほうが無難です。また普段から鼻をかむ時、洗顔は優しい力で行う、入浴時や運動時には鼻をこすらないようにするなどに注意してください。鼻血が圧迫法で30分以上もすっきり止まらないときには耳鼻咽喉科を受診してください。
「鼻血」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「鼻血」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
鼻血が出たときの正しい止め方を教えてください。
森崎 剛史 医師
両方の小鼻を親指と人差し指でつまんで10分ほど軽く圧迫します。
突然、大量の鼻血が出るときはどう対処したら良いですか?
森崎 剛史 医師
耳鼻咽喉科で隠れた疾患がないかどうか相談しましょう。
片方の鼻から毎日鼻血が出るのは病気のサインですか?
森崎 剛史 医師
鼻、副鼻腔の疾患の可能性があります。
鼻をかむと鼻血が出やすいのは、病院で治療できますか?
森崎 剛史 医師
鼻血がでやすいポイントが明確であればレーザーや電気凝固で粘膜を部分的に焼灼する治療がありますが、効果が期待できる状態かどうかについては耳鼻咽喉科を受診して見てもらう必要があります。
鼻血の原因は大人と子供で異なるのでしょうか?
森崎 剛史 医師
子供の場合は鼻をこする、鼻をほじることによる鼻血が多いのが特徴です。
女性と男性で鼻血が出やすい人の原因は異なりますか?
森崎 剛史 医師
妊娠の有無で鼻血の出やすさは変わりますが、性別というよりは高血圧や糖尿病といった基礎疾患の有無による差が大きいです。
まとめ
鼻血は生活が不便になったり支障をきたすことも多いだけでなく、時には大量に出て失血により命に関わることもあります。また、重大な腫瘍などが原因として隠れていることもあります。ほとんどが粘膜のすぐ下の血管が傷ついて出血を繰り返しているだけですので心配はありませんが、繰り返すときには必ず耳鼻咽喉科で診察を受けるようにしましょう。
「鼻血」で考えられる病気と特徴
「鼻血」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
その他の病気
- 特発性血小板減少性紫斑病
- ビタミンK欠乏症
鼻の病気以外に、全身の病気で血が出やすくなっていることもあります。
「鼻血」と関連のある症状
「鼻血」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「鼻血」以外にもこれらの症状がある場合は「出血性鼻茸」「オスラー病」「ビタミンK欠乏症」「アレルギー性鼻炎」「上顎洞血瘤腫」「鼻副鼻腔腫瘍」などの疾患の可能性が考えられます。様子をみても改善しない場合は、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。