「動悸がする」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
動悸がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
佐藤 友哉(医師)
北海道の地方中核病院での勤務を経て、2021年4月からはフリーランスで活動している。
日本循環器学会循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医の資格を有する。
「動悸」で考えられる病気と治し方
動悸とは、一般に「脈が抜ける」、「脈が速くなる」、「心臓がドキドキ強く打つ」といった症状を指します。
不整脈といって心臓が普段とは違うリズムで脈を打っているためにこれらの症状が起こることもあれば、心臓自体はいつも通り脈を打っているのに、強く打っているように感じてしまうこともあります。
脈が抜ける症状で考えられる原因と治し方
動悸の原因は様々ですが、まずは脈が抜けるという症状に関してお話します。
ときどき一拍、ポンと脈が抜けるのは、健康な方でも起こります。
期外収縮という小さな不整脈が一拍入ると、リズムが乱れ、脈が抜けてしまいます。多少頻度が増えることはありますが、概ね1日に1000回から2000回起こっていたとしても、あまり心配はありません。
ただ、期外収縮が連発している場合や、もともと心臓が元気でない方は、注意が必要です。
そのため、症状が気になるようであれば循環器内科の受診をお勧めします。
コーヒーや栄養ドリンクなどのカフェイン摂取を控える、十分な睡眠時間を確保する、アルコールを控えることで改善することもあります。
脈が速くなる症状で考えられる原因と治し方
次に脈が速くなる症状についてお話します。
本来、心臓は一定のリズムで1分間に60回から100回くらいの心拍数で動いていますが、何もしていないのに突然120回以上の速さになる場合、そしてある一定の時間でピタッと治まる場合、これは不整脈が始まって、そして止まった可能性が高いです。
また、脈が速くなっている間、完全に脈のリズムがバラバラであるときは心房細動という不整脈の疑いがあります。心房細動は放っておくと心不全や脳梗塞を引き起こすこともある病気ですので、循環器内科を受診するようにしましょう。
心臓がドキドキ強く打つ症状で考えられる原因と治し方
次に心臓がドキドキ強く打つ症状に関してお話します。
これは心臓が原因のこともありますが、それ以外が原因であることも多いです。
例えば、バセドウ病といって、甲状腺のホルモンがたくさん出てしまう病気になると、脈が速くなり、さらに心臓が強く打っているように感じます。
また、インフルエンザや新型コロナ等、感染症で熱が出ているときにも同様に感じます。
他には自律神経といって心臓の心拍数を調整している神経が過敏になっている場合や、更年期障害による症状ということもあります。
この場合は不整脈とは違って、脈が抜けたり、リズムがバラバラになったりはしません。
いずれにしてもまずは循環器内科を受診し、心臓に原因がないかを確認するのが良いでしょう。
すぐに病院へ行くべき「動悸」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
胸の痛みや失神を伴う動悸の場合は、循環器内科へ
動悸に加えて胸の痛みや失神(意識を失って倒れる)を伴う症状の場合は注意が必要です。
この場合は心筋梗塞や命に関わる不整脈の可能性もありますので、すぐに循環器内科を受診するようにしましょう。
受診・予防の目安となる「動悸」のセルフチェック法
まずは動悸が起こっているときの脈拍数を確認してみましょう。
血圧計で血圧とともに出てくる数字が脈拍数です。
また、自分で手首に反対の手をあて、脈拍数を数えることもできます。
15秒間に何回打っているかを数え、それを4倍することで脈拍数になります。
安静にしているのに脈拍数が100回以上であれば、異常と捉えられるため、循環器内科を受診するのが良いでしょう。
100回以下でも、めまいがする、動くと息切れがする、休んでも症状が治まらないという場合は循環器内科を受診してください。
「動悸」が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「動悸」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
不整脈
不整脈とは脈が本来の一定のリズムではない状態を指します。
脈が速くなる場合や遅くなる場合、脈が乱れる場合があります。
不整脈の種類によって治療が必要なものもあれば、経過観察可能なものもあります。
不整脈の種類を正確に診断するためには、不整脈が出ている間の心電図を撮る必要があります。症状が持続する場合は循環器内科を受診しましょう。
心不全
心不全とは心臓が弱ってしまい、働きが落ちている状態です。
心臓は血液を全身に運ぶポンプの役割をしているため、心臓の働きが悪くなると、息苦しさや息切れ、疲れやすさ、むくみなどが現れます。
心臓の筋肉が弱ってしまっている場合や、心臓の周囲の血管が狭くなり栄養がもらえていない場合、不整脈による頻脈で心臓が疲れている場合など、様々な原因があります。
動くと動悸・息切れがひどい場合や急にむくみが出ていたという場合は循環器内科を受診しましょう。
バセドウ病
バセドウ病とは自己免疫疾患の一つで、自分の免疫が自分の甲状腺を標的として攻撃してしまうことで、甲状腺ホルモンが過剰に放出され、甲状腺機能亢進を引き起こす病気です。
代表的な症状に動悸や体重減少、手の震えなどがあります。
バセドウ病の専門科は内分泌内科になりますが、動悸の症状であれば、まずは循環器内科を受診するということで問題ないかと思います。
「動悸」の正しい対処法は?
上にも述べたように、動悸といっても原因は様々です。
まずは循環器内科を受診し、検査、診断を受けるのが良いでしょう。
特に、不整脈や心不全といった病気が原因である場合は早い段階で適切な治療を受けることが重要です。
市販薬に関しては、大きな病気がない場合(単にストレスによる動悸であった場合など)であれば症状を抑えるのに効果的な場合もありますが、不整脈や心不全が起こっているときに市販薬を内服すると状態を悪化させてしまう可能性もありますので、安易な使用は危険です。
脈が抜ける期外収縮や、脈が乱れる心房細動などの不整脈に関しては、睡眠不足や精神的なストレス、コーヒーなどのカフェインの摂取が増悪(悪化)因子となりますので、十分な睡眠を取り、カフェイン摂取を控え、ジョギングや自転車などの有酸素運動を行うことで改善が期待できます。ただ、まさに不整脈が出ていて動悸がひどいときに運動するのは危険ですので、状態に併せて無理なく行いましょう。
「動悸」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「動悸」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脈を測ると速く動悸が気になります。何科の病院を受診すべきですか?
佐藤 友哉(医師)
循環器内科を受診してください。
緊張するとドキドキして動悸がするのは病気なのでしょうか?
佐藤 友哉(医師)
一般に健康な方でも緊張すると交感神経が優位になり、心拍数は上昇します。緊張したときのみの症状であれば問題ないでしょう。
食後に動悸がして息苦しいことがあります。治し方を教えてください。
佐藤 友哉(医師)
食後は胃に血液が集まるため、脳の血流が減少し、動悸や息苦しさを感じるのかもしれません。休むと改善し、その他に症状がない場合はあまり心配ないかと思います。
食べ過ぎには注意し、ゆっくりと食べるようにしましょう。
寝起きに心臓の鼓動を感じ、動悸がするのは危険ですか?
佐藤 友哉(医師)
朝は副交感神経から交感神経に切り替えるため、動悸がしているのかもしれません。寝起きのみで改善し、その他に症状がない場合はあまり心配ないかと思います。
動悸は更年期障害が原因ということは考えられますか?
佐藤 友哉(医師)
更年期障害が原因で動悸を感じる方は一定数います。ただ、あくまでも心臓や甲状腺などの他の原因がないことを確認してからの診断になりますので、症状がひどい場合や持続する場合は一度循環器内科を受診するのが良いかと思います。
まとめ
今回は動悸に関してお話しました。
原因はさまざまですが、この記事を読んで適切な理解が得られますと嬉しいです。
「動悸」で考えられる病気と特徴
「動悸」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科の病気
- 不安障害
- パニック障害
婦人科の病気
心臓そのものの問題が原因で起こる場合と、他の臓器の問題が原因で起こる場合とがあるため、症状が続く場合には専門医療機関で一度精査することをお勧めします。
「動悸」と関連のある症状
「動悸」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 心臓の鼓動を強く感じる
- 脈が抜ける
- 脈が速くなる
- 心臓がドキドキ強く打つ
- 胸が痛く感じる
- 胸がダクダクする
これらの症状がある場合「不整脈」「心不全」「貧血」「バセドウ病」「不安障害」「パニック障害」「更年期障害」などの疾患の可能性が考えられます。
動悸の症状がよく起こっている場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
・不整脈薬物治療ガイドライン(日本循環器学会)