「頭痛と吐き気」がする原因はご存じですか？対処法についても医師が徹底解説！

頭痛と吐き気がする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が原因・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「頭痛と吐き気がする」原因と対処法

頭痛と吐き気は、多くの人が一度は経験する身近な症状です。 これらの症状は、単なる疲れやストレスからくる一時的なものから、脳の病気や命に関わるような深刻な病気のサインである可能性まで、その原因はさまざまです。普段からよく経験する「いつもの頭痛」と、すぐに病院に行くべき「危険な頭痛」を自分で正しく見分けるのは難しいこともあります。この情報が、頭痛と吐き気が起こる仕組み、自分でできる対処法、そして病院に行くべきタイミングを知るヒントになれば幸いです。

頭痛と吐き気がする原因と対処法

頭痛に吐き気を伴う症状は、片頭痛 のように比較的よくある頭痛発作で見られる一方で、脳の重い病気によって引き起こされる場合もあります。 片頭痛は、頭痛の中でもよく見られるタイプの一つで、発作が起きると光や音に敏感になったり、吐き気や実際に吐いてしまうことも多く、日常生活に支障が出るほど強い痛みが特徴です。特に女性に多く、生理周期が影響して症状が悪化しやすいことが知られています。 一方、緊張型頭痛は、頭を締め付けられるような痛みが特徴ですが、通常は吐き気や実際に吐くことはありません。そのため、頭痛に吐き気がある場合は、緊張型頭痛よりも片頭痛の可能性が高いと言えるでしょう。また、頭痛と吐き気が同時に起こる場合、脳の圧力が高まるような状態、例えば脳腫瘍 や脳出血 などでは、吐き気をコントロールする脳の場所（嘔吐中枢）が刺激されて吐き気や吐く症状が出ることがあるため、注意が必要です。 対処法ですが、頭痛と吐き気があるときは、まず体を休めて、光や音などの刺激を減らすことが基本です。静かで暗い部屋で横になり、可能であれば頭を少し高くして休むと良いでしょう。片頭痛の場合は、痛む側のこめかみや首筋を冷やすと、血管の広がりが抑えられて楽になることがあります。こまめに水分を摂りながら、我慢できない痛みには市販の鎮痛薬を使っても構いません。ただし、鎮痛薬を使いすぎると、かえって慢性的な頭痛を引き起こす薬物乱用頭痛（薬剤の使用過多による頭痛）になることがあるため注意が必要です。もし頭痛が週に2回以上あり、そのたびに薬を飲んでいる場合や、痛みがどんどん強くなっている場合は、早めに脳神経内科や脳神経外科を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。 もし明らかに普段とは違う激しい頭痛や、手足のしびれ、言葉が出にくいなどの神経症状を伴う場合は、命に関わる可能性もあるため、ためらわずに救急外来を受診してください。

【男性】頭痛と吐き気がする原因と対処法

男性が頭痛と吐き気に悩む場合、片頭痛のほかに群発頭痛も原因として考えられます。 片頭痛は男性にも起こりますが、女性に比べると少なく、原因もストレスや睡眠不足、お酒の飲みすぎなど、日頃の生活習慣によるものが中心です。 群発頭痛は20代から40代の男性に多く見られる非常に激しい頭痛で、目の奥をえぐられるような痛みが特徴です。群発頭痛では、涙が出たり、鼻水が出たりする自律神経症状を伴いますが、吐き気を伴うことは片頭痛ほど多くありません。しかし、痛みが非常に強烈なため、発作中にじっとしていられず、不安を感じたり、軽い吐き気を覚える患者さんもいます。 男性の場合、慢性的な頭痛の原因として、先ほど触れた緊張型頭痛や、副鼻腔炎（鼻の奥にある空洞に炎症が起きる病気）による頭痛も考えられますが、これらはほとんどの場合、吐き気を伴いません。そのため、「頭痛＋吐き気」という組み合わせであれば、男性でもまず片頭痛の発作を疑います。実際にズキズキと脈打つ頭痛に加えて吐き気がする場合は、可能であれば静かな場所で休み、額やこめかみを冷やすなど、片頭痛への対処を試みましょう。市販の鎮痛薬が効くようであれば服用して様子を見ても構いません。ただし、これまでに経験したことがないような激しい頭痛や、意識がぼんやりする、手足のしびれや麻痺（体が動かしにくくなること）を伴うといった危険な症状を感じた際は、ためらわずに救急車を呼ぶことが大切です。高血圧の男性では、非常に高い血圧の状態（高血圧性脳症）によって頭痛と吐き気が引き起こされる場合もあり、この場合も緊急の治療が必要になります。特に吐くことを伴う激しい頭痛は、脳出血など脳卒中の初期症状の可能性がありますので、速やかに脳神経外科や救急科を受診してください。

【女性】頭痛と吐き気がする原因と対処法

女性に頭痛と吐き気の症状が見られる場合、最も多い原因は片頭痛です。実際、日本人の片頭痛を経験する割合は約8.4%ですが、女性は男性の約3.6倍も片頭痛が起こりやすいことが報告されています。女性の体の中にある女性ホルモン（エストロゲン） の周期的な変動が片頭痛に影響し、生理の前後で症状が悪化する方が多く見られます。片頭痛が起こる仕組みは、広がった脳の血管が三叉神経 （顔の感覚や運動を司る神経）を刺激して痛みを引き起こし、同時にその刺激が吐き気をコントロールする場所にも伝わるため、吐き気が生じると考えられています。そのため、生理周期や排卵に伴うホルモン量の低下で片頭痛が引き起こされた場合、ひどい頭痛とともに吐き気や実際に吐くことを伴うことがあります。 女性特有の原因としては、月経関連片頭痛（生理の前後で症状が出る片頭痛）が代表的です。この場合、ピル（経口避妊薬） の服用やホルモン療法で症状が改善するケースもあります。また、妊娠初期にもホルモンバランスが急激に変化することで片頭痛が悪化することがありますが、妊娠中は気軽に鎮痛薬を使うことができないため注意が必要です。一方、妊娠高血圧症候群 （いわゆる子癇前症）は、妊娠後期に起こりやすい危険な病気で、高血圧に伴って激しい頭痛や吐き気、むくみ、見え方の異常などの症状が現れます。妊娠中の方でこれらの症状がある場合は、夜間でもすぐに産婦人科を受診してください。 対処法については、基本的な頭痛への対処は男性の場合と同じですが、女性の場合は生理周期や妊娠との関係にも目を向けましょう。生理前後に頭痛と吐き気がひどくなる方は、婦人科で低用量ピルについて相談したり、頭痛専門医に片頭痛を予防する薬を処方してもらうことで、症状を管理できる可能性があります。妊娠中で軽い頭痛であれば、まずは十分な休息と水分補給を心がけ、冷やすなど、薬を使わない和らげ方を試してみてください。妊娠中期以降で血圧が高めだと言われている方が、我慢できない頭痛や吐き気を感じた場合は、早めに担当の医師に相談し、安全な治療法を受けましょう。

頭痛と吐き気とめまいがする原因と対処法

「頭痛・吐き気・めまい」が同時に起こる場合、原因として考えられるものは非常に多岐にわたります。まず挙げられるのは片頭痛です。片頭痛の患者さんの中には、発作時に強いめまい（ぐるぐる目が回るような回転性のめまい）を感じる方もおり、(前庭性片頭痛）」と呼ばれるタイプでは、めまいと吐き気が主な症状となることがあります。片頭痛の発作では、体を動かすと痛みや吐き気が悪化するため、バランス感覚が乱れてふらつきを伴うこともあります。次にメニエール病などの耳の奥（内耳）の病気でも、激しい回転性のめまいに伴って吐き気や吐くことが起こり、その最中に頭痛を感じる場合があります。メニエール病は30代から50代に多く、めまいと同時に耳鳴りや聞こえにくさ（難聴）が出現するのが特徴です。この場合、頭痛自体は耳の病気によって二次的に起こるものですが、症状が激しいときは、脳卒中との区別が必要になるため注意が必要です。 脳梗塞 や脳出血など、脳卒中のうちでも、小脳や脳幹と呼ばれる脳の部位に問題が起きた場合には、「頭痛・吐き気・めまい」の三つの症状が現れることがあります。例えば小脳出血では、突然の激しい頭痛と吐くことに加え、バランス感覚が失われることによるめまいやふらつきが典型的です。脳幹部の脳梗塞でも、頭痛とめまい・吐くことに加えて、手足の麻痺や、物が二重に見える（複視）などの神経症状が見られることがあります。これらは緊急の治療が必要な状態です。特に「今まで経験したことがない激しいめまいと嘔吐を伴う頭痛」で歩けないような場合は、ただの貧血や耳のめまいではなく、脳卒中の可能性を考えて、すぐに救急車を呼んでください。 一方で、比較的軽い原因として起立性低血圧（急に立ち上がったときに一時的に血圧が下がる状態）や貧血も挙げられます。立ちくらみや貧血では、脳への血液の流れや酸素の供給が一時的に少なくなるため、軽い頭痛とめまい、吐き気を感じることがあります。ただし、症状は一時的で、横になって休めば改善するのが普通です。熱中症でも、気温の高い場所で体温の調節がうまくできなくなると、頭痛・めまい・吐き気が生じます。この場合、体を冷やすことと、水分・塩分を補給することが何よりも重要な対処法です。いずれの場合も、まずは安全な場所で安静にし、吐くことがあるときは、喉に詰まらせないように横向きの姿勢（回復体位）を取るようにしましょう。症状が改善しない場合や、意識がぼんやりしている場合には、速やかに病院を受診してください。

女性で頭痛と吐き気とめまいがする原因と対処法

女性で頭痛・吐き気・めまいが同時に起こる場合、先ほど述べた原因に加えて、女性特有の要因も考えられます。まず、妊娠初期のつわりでは、ホルモンの変化によって強い吐き気やめまいが起こりやすく、その期間に頭痛が起こることもあります。妊娠中は血圧の変動や貧血も起こりやすいため、軽いめまいや頭痛は珍しくありません。しかし、「妊娠中の激しい頭痛・吐き気・めまい」は、妊娠高血圧症候群のサインである可能性があり、特に注意が必要です。見え方の異常（ぼやけて見えたり、チカチカする感じ）や、体全体のむくみを伴う場合は危険なサインですので、夜間でも迷わず産科・婦人科へ連絡してください。 女性はめまいを起こす病気もやや多い傾向があります。例えばメニエール病は女性にやや多く、仕事や家事に忙しい30代から40代の女性に発症が見られることがあります。繰り返すめまい発作に吐き気を伴い、発作後に片頭痛のような頭痛が引き起こされるケースも報告されています。また、更年期 に入ると、自律神経のバランスが崩れることで、頭痛やめまい、吐き気が起こることがあります。更年期の頭痛は一時的なものが多いですが、日常生活に支障が出る場合には、婦人科でホルモン補充療法 などを相談すると良いでしょう。 対処法については、前述の通り安静と水分補給が基本ですが、女性の場合は貧血が隠れていることも多いため、鉄分補給も意識してください。生理の量が多い（月経過多）などで貧血気味の方は、普段から鉄剤を飲んだり、食事で鉄分を摂取したりし、症状がひどいときは医師に相談しましょう。妊娠中で頭痛薬が使えない場合、濡らしたタオルでこめかみを冷やすといった薬に頼らない和らげ方が勧められます。さらに、めまいが強い場合は無理に動かず横になってください。嘔吐が続いて水分も摂れないときは点滴が必要になるため、早めに産科や内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「頭痛と吐き気がする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然の激しい頭痛や神経症状を伴う場合は、救急科・脳神経外科へ

「頭痛と吐き気」があるとき、次のような危険な症状が見られたら直ちに病院を受診してください。

• 突然激しい頭痛が起こった場合：いわゆる「雷に打たれたような頭痛」は、くも膜下出血の可能性があります。吐くことやめまいを伴い、今まで経験したことのない痛みなら要注意です。
• 意識障害（もうろうとする、呼びかけに反応しない）がある場合：脳出血などで脳の圧力（脳圧）が上がっている可能性があります。
• 手足の麻痺やしびれ、言語のもつれが出現した場合：脳梗塞など脳卒中のサインです。頭痛と吐き気に加えて、片側の手足が動かしにくい、言葉が出にくい場合は、緊急性が高いです。
• けいれん発作が起きた場合：脳腫瘍や脳炎、重い頭のけが（頭部外傷）で見られます。頭痛中に体が硬直したり、ガクガクとけいれんする発作が起きたら、救急受診が必要です。
• 高熱や頸部の硬直を伴う場合：髄膜炎に典型的な症状です。高い熱と、首が動かせないほどの強いこわばりを伴う頭痛・吐き気は、放置すると危険です。

以上のような症状がみられたら「たかが頭痛」と軽視せず早急に医療機関へ行きましょう。

「頭痛と吐き気がする」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭痛と吐き気がする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

片頭痛

脈打つような強い頭痛発作で、吐き気や実際に吐くことを伴うことが多い、よくあるタイプの頭痛です。光や音に過敏になり、体を動かすと痛みが悪化するため、動けなくなるほどつらくなることがあります。女性に多く、ストレスや睡眠不足、生理などが頭痛を引き起こすきっかけになります。

くも膜下出血病気・疾患

脳の血管の一部が膨らんだもの（脳動脈瘤）が破れて、脳を覆っている「くも膜下腔」という場所に血が出た状態です。突然始まる激しい頭痛が特徴で、しばしば吐き気・嘔吐や意識を失うことを伴います。発症時は「バットで殴られたような激しい頭痛」「人生で一番ひどい頭痛」と表現され、緊急の手術が必要です。

脳出血 病気・疾患

脳の中の血管が破れて出血する脳卒中の一種です。高血圧が主な原因で、頭痛と吐くこと、片側の手足の麻痺などが急に現れます。発症後すぐに治療を開始しないと命の危険が高まり、重い後遺症を残すことがあります。

脳腫瘍病気・疾患

脳にできる良性や悪性のしこり（腫瘍） です。脳腫瘍が大きくなり、頭の中の圧力（頭蓋内圧）が高まると、朝方に強い頭痛と吐き気（実際に吐くこと）で目が覚めることがあります。進行すると頭痛・吐き気に加え、片側の麻痺や視力障害、けいれん発作など、神経症状が現れます。

髄膜炎病気・疾患

脳を包む髄膜が感染症を起こす病気で、細菌やウイルスが原因です。発熱と頭痛、吐くことが典型的な症状で、首が硬直する（うなずく動作ができない）ほどの激しい痛みを伴います。細菌性の髄膜炎では進行が速く、命に関わるため、早期の治療が不可欠です。

「頭痛と吐き気がする」時の正しい対処法は？

頭痛と吐き気がある場合には、まず安静にして様子を見ることが基本です。無理に動かず、静かな場所で横になりましょう。可能であれば頭を高めにして寝ると、吐き気が和らぎます。また、片頭痛の発作であれば光や音を遮断することが大切なので、部屋を暗くし静かに休んでください。痛む部分を冷やすことも有効です。保冷剤や冷たいタオルをタオル越しに当てると、広がった血管が収縮し、痛みが軽減する場合があります。一方、緊張型頭痛で吐き気がない場合は、温めて血行を良くすると改善することがあります。 次に水分補給です。吐き気があるときは水やスポーツドリンクなどを少量ずつ飲み、体が水分不足になる脱水 を防ぎましょう。脱水症状は頭痛と吐き気をさらに悪化させるので注意してください。食事は無理に摂る必要はありませんが、血糖値が低い低血糖 が疑われる場合は、飴やブドウ糖のタブレットで補給しても構いません。 症状がつらい場合、市販薬の使用も検討します。頭痛に対しては市販の鎮痛薬（イブプロフェンやアセトアミノフェンなど）が有効です。吐き気が強い場合、ドラッグストアで購入できる酔い止め薬や胃腸薬（吐き気止めの成分が入っているもの）を一緒に使っても良いでしょう。ただし、頭痛薬を週に何度も使う状態が続く場合は、薬物乱用頭痛（薬剤の使用過多による頭痛）になるリスクが高まるため、医師に相談してください。 対処しても改善しない場合や、前述の危険な症状がある場合は、早めに受診することが重要です。頭痛日記をつけて、症状の経過や市販薬の効果を書き留め、医師に伝えると診断の助けになります。自分で判断して無理をせず、必要に応じて専門的な医療の力を借りるようにしましょう。

まとめ

頭痛と吐き気の組み合わせは、片頭痛のような日常的な頭痛から、脳出血のように緊急の治療が必要な病気まで、幅広い原因で起こります。まずは落ち着いて安静にし、症状の様子を観察しましょう。市販薬で和らぐような軽い症状であれば、過度に心配はいりません。 しかし、「危険な頭痛」のサイン（突然の激痛、神経症状、高熱など）を感じたら、一刻も早く病院を受診することが大切です。頭痛と吐き気があるときは無理をせず、必要に応じて専門の医師の診察を受けてください。

「頭痛と吐き気がする」で考えられる病気

「頭痛と吐き気がする」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 頭痛と吐き気を伴う症状をきたす病気はたくさんあり、日常的な頭痛や風邪、胃腸炎から、脳出血のように緊急の治療が必要な病気まで、幅広い原因で起こる可能性があります。

「頭痛と吐き気がする」に似ている症状・関連する症状

「頭痛と吐き気がする」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 突然の激痛、麻痺などの神経症状、高熱など危険な頭痛のサインがあれば、すぐに医療機関を受診するようにしてください。