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「頭痛が続く」原因はご存知ですか?命にかかわる頭痛の特徴も医師が解説!

「頭痛が続く」原因はご存知ですか?命にかかわる頭痛の特徴も医師が解説!
頭痛が続く時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が原因・頭痛の種類・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「頭痛が続く」原因と対処法

頭痛は片頭痛などの病気がなくとも、発熱時や多量の飲酒後などでみられることがあり、ほとんどの人が経験したことのある症状だと思います。一方で頭痛の原因には冷たいものを食べた時などに出現する放置しても問題のない頭痛から、くも膜下出血や脳内出血などの命に関わる重篤な病気まで様々なものがあり、頭痛が続く場合にはこのまま様子を見ていてよいのか不安になることもあるかと思います。 ここでは頭痛が続く場合に考えられる病気や対処法についてご紹介いたします。

頭痛が続く原因と対処法

頭痛が続く原因には、くも膜下出血、脳内出血、脳炎・髄膜炎、脳腫瘍、脳動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などさまざまなものがあります。また、一酸化炭素中毒やカフェイン中毒など生活環境が原因で頭痛が起こることもあります。 数年以上前から同じような頭痛を繰り返している場合の多くは、片頭痛や緊張型頭痛など命に危険のない頭痛です。しかし、これまでに経験が無いような強い頭痛、バットで殴られたような突発的な強い頭痛、普段と様子が異なるなど意識変容を伴う頭痛、手足の麻痺やしびれを伴う頭痛では命に危険が及ぶ頭痛の可能性があるため、早急に医療機関に受診が必要です。 数年以上前から繰り返している頭痛である場合には、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの鎮痛薬の服用などで対処することも可能です。一方で、頭痛が頻回にある、市販の鎮痛薬では痛みの改善が不十分である場合には脳神経内科や頭痛外来を受診しましょう。 また、灯油式のストーブや暖炉を使用している部屋に滞在すると頭痛がでるなど、特定環境下で頭痛が出現する場合には、環境要因による頭痛を疑いましょう。

頭をぶつけた箇所の頭痛が続く原因と対処法

頭をぶつけた場所の頭痛が続く場合には、硬膜下血腫や外傷性クモ膜下出血の可能性があります。急性硬膜下血腫や外傷性クモ膜下出血では外傷時に痛みが強く、時間をかけて頭痛は改善していきますが、慢性硬膜下血腫では外傷時の痛みはそれほど強くなくとも、頭痛が時間と共に悪化してくる場合があります。また、ぶつけた場所に傷があり、縫合処置を行なった場合にはその傷の影響で痛みが強くなることもあります。 痛みの増悪や随伴症状がない場合には痛み止めなどで様子を見てもよいですが、痛みが徐々に悪化する場合や歩行時のふらつき、認知機能低下、意識変容などを伴う場合には医療機関を受診しましょう。

毎日頭痛が続く原因と対処法

普段から頭痛があり、毎日のように頭痛が出現する場合には片頭痛や緊張型頭痛が疑われます。片頭痛では光や音、匂いなどで症状の増悪が見られることがあり、暗く静かなところで安静に過ごすことで症状がやや改善することがあり、緊張型頭痛では肩や頸部のストレッチをすることで症状が改善することがあります。また、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの内服で症状の軽減が得られることも多いです。片頭痛に関しては薬物による予防治療も有効であり、鎮痛薬を要するような頭痛が月に3回以上出現する場合には、脳神経内科や頭痛外来への受診を検討してください。

頭痛の種類

頭痛は、くも膜下出血や脳炎などの病気の一症状として出現する頭痛と、頭痛を繰り返すこと自体が主な問題である頭痛に大別されます。ここでは代表的な一次性頭痛についてご説明します。

片頭痛

片頭痛とは日本人の12-13人に1人の頻度でみられる頭痛で、特に20-40歳台の女性に多く、30代の女性では約5人に1人が罹患しているといわれています。未成年者においても小学生で3.5%、中学生で5%、高校生で9.8%が罹患していると言われており、多くは医療機関へは受診せずに市販の痛み止めなどで対処されていることも少なくありません。 ズキンズキンとした拍動性の頭痛を繰り返すこと、頭痛発作時には光や音、臭いなどの外的な刺激で頭痛が悪化することが特徴的な症状です。頭痛前に視界に暗点が出現するなどの視覚異常が見られたり、気圧の変化で頭痛が悪化したり、女性では月経に合わせて頭痛が悪化したりすることがあります。 市販の痛み止めなどで日常生活に支障がない場合には、医療機関への受診は必要ありません。しかし、片頭痛は治療により頭痛の出現頻度や発作時の痛みの強さの軽減が期待できるため、片頭痛発作の頻度が月に2回以上、もしくは日常生活に支障がある頭痛が月に3回以上ある場合には医療機関への受診を検討してください。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は約5人に1人の頻度でみられる非常に頻度の多い頭痛です。後頚部や頭全体を締め付けられるような持続的な頭痛が多く、痛みの程度は日常生活に支障が出ない程度と比較的軽いことが多いです。頭痛の起こる原因は不明点も多いのですが、僧帽筋や側頭筋などの頭蓋周囲筋の筋緊張の亢進・筋痛が関与していると言われており、ストレッチなどの理学療法やリラクゼーション、鍼灸などの非薬物療法も予防治療として有用です。

群発頭痛

群発頭痛は1000人に1人程度とその他の一次性頭痛と比較すると頻度は低い頭痛で、20-40台の男性に多く発症します。痛みの程度は強く、片目の奥の眼が開けられないほどの激しい痛みに加え、痛みと同側の結膜充血や流涙、鼻汁、発汗などの症状が出現します。発作が頻回に出現する群発期があり、一度発症すると未治療では同様の症状が数週間〜数か月続きます。アルコール飲料やヒスタミンが増悪因子として知られており、群発期には飲酒は必ず避けましょう。 ロキソプロフェンなどの市販の痛み止めは効果が乏しく、頭痛の軽減には一部のトリプタン製剤や酸素吸入などが有効と考えられています。このような症状が出現した場合は脳神経内科または頭痛外来を受診しましょう。

命にかかわる頭痛

これまでに経験が無いような強い頭痛、バットで殴られたような突発的な強い頭痛、普段と様子が異なるなど意識変容を伴う頭痛、手足の麻痺やしびれを伴う頭痛が見られた場合にはくも膜下出血や脳卒中、脳炎、脳腫瘍などの命に関わる頭痛の可能性があるため、早急にCT検査やMRI検査が可能な脳神経内科や脳神経外科のある病院を受診してください。 硬膜外血腫や硬膜下血腫などでは頭痛出現から数時間〜数日後に麻痺や意識変容が出現することがあります。特に転倒や頭部打撲などの外傷後は、受傷後に時間をあけて症状の悪化がないかについても注意しましょう。

命にかかわらない頭痛

随伴する症状がなく、日常生活に支障がない程度の頭痛や数年以上前から繰り返している頭痛、飲酒後など原因が明確な頭痛などは命に関わる可能性は低く、安静や市販の痛み止めの服用などで様子を見ても問題ないことがほとんどです。 ある程度原因がはっきりしている場合でも、インフルエンザ罹患時の発熱に伴う頭痛など感染症を背景とした頭痛では髄膜炎・脳炎に移行する場合があるため、発熱や頭痛が続き、認知機能低下や意識障害なども出現した場合には医療機関を受診しましょう。また、飲酒後の頭痛であっても転倒して頭部打撲などをしている場合には硬膜下血腫などの外傷による頭痛の可能性もあるため、頭痛が続く、認知機能低下や意識障害を伴う場合には医療機関を受診してください。

「頭痛が続く」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭痛が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。 ここではMedical DOC監修医が、「頭痛が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

くも膜下出血

くも膜下出血は頭蓋骨と脳の間の3つの膜(硬膜・くも膜・内膜)のうち、くも膜と軟膜の間のくも膜下腔に出血することで発症する病気です。脳動脈瘤の破裂が主な原因であり、バッドで殴られたような突然の強い頭痛で発症します。比較的頭痛が軽い症状 (警告頭痛)が前兆として現れることがありますが、全ての人に現れるとは限りません。脳動脈瘤が一旦破裂してひどい頭痛を起こした後に、再び破裂すると重症化してしまうため、突然の強い頭痛があれば、早急に脳神経外科や頭部CTなどが撮影可能な総合病院を受診してください。

脳動脈解離

動脈は内膜・中膜・外膜の三層構造で構成されていますが、脳動脈解離は何らかの原因で脳動脈の内膜に亀裂が入り、そこから血流が流入することで発症します。原因は不明であることが多いですが、頸部の強い回旋や外傷などの動脈への外的刺激が原因となる場合やMarfan症候群やEhlers-Danlos症候群など、遺伝的に結合織が弱いことが要因になることもあります。 脳動脈解離を発症すると脳動脈の内腔が狭くなったり、弱くなった壁が破裂したりすることで脳梗塞や脳出血を併発することがあるため、症状が頭痛のみであっても脳動脈解離では入院での経過観察が必要です。また、弱くなった壁が時間と共に風船のように膨らんで、時間をかけて動脈瘤(解離性動脈瘤)を形成することもあります。 普段と異なる頭痛がある場合や痛みの場所が移動する場合、麻痺などの神経症状を伴う場合には脳神経外科に受診してください。

脳腫瘍

脳腫瘍では周囲を圧迫して頭蓋内圧を上昇させることなどにより、頭痛が出現することがあります。頭蓋内圧は早朝起床時に高くなりやすく、脳腫瘍による頭痛では早朝起床時に最も痛みが強く、午前中に徐々に軽快することが多いです。また嘔気を伴うことも度々あります。脳腫瘍では周囲への圧迫により腫瘍の場所に応じた症状(認知機能/高次機能の障害、麻痺、めまいなど)が出現することも多く、頭痛や嘔気に加え、精神症状、神経症状などがみられた場合には脳神経外科を受診してください。

脳出血

脳出血は高血圧などが原因で脳実質内に出血することで発症する病気です。少量の出血では頭痛のみの場合がありますが、多くの場合には突然の頭痛に加えて、吐き気、麻痺などの神経症状、意識障害などが合わせて出現します。発症時には血圧が上昇していることも多く、時間と共に出血が増大して症状を悪化させることも多いため、症状が頭痛のみであっても入院での経過観察が必要です。突然の頭痛を自覚した場合には、早急に脳神経外科に受診してください。

髄膜炎・脳炎

髄膜炎や脳炎は感染症や免疫の暴走などにより、脳やその周りに炎症を起こす病気です。原因はさまざまで、ウイルスや細菌、真菌などの感染症が原因となる場合や免疫の異常で抗MOG抗体や抗NMDA受容体抗体などの病原性のある抗体が過剰産生されることが原因となる場合などがあります。 特に感染症などでは発熱による頭痛と区別が困難な場合もあり、我慢できる程度の頭痛のみの症状であれば市販の痛み止めなどで経過をみてもよいですが、発熱などのその他の要因がないにも関わらず頭痛が続く場合、経時的に頭痛が悪化する場合、物忘れが悪化する、怒りっぽくなるなど普段と様子が異なる場合、痙攣などがみられた場合などは、早急に脳神経内科を受診してください。

「頭痛が続く」時の正しい対処法は?

頭痛の原因となる病気には、命にかかわるものや重度の後遺症を残すものが含まれています。普段は頭痛がない方の頭痛や、普段の頭痛とは異なる頭痛、突然の頭痛、吐き気などの随伴症状を伴う頭痛では、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来などに受診し、原因を調べることが重要です。 市販の痛み止めで我慢ができる程度の比較的軽い頭痛の場合や、普段の頭痛と同じような痛みを繰り返している場合、発熱時や飲酒後など原因がはっきりしている場合には、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの市販の痛み止めなどを用いて様子をみることは問題ありません。しかし、痛み止めを使用しても痛みの改善が乏しい場合や月に10回以上薬を飲むなど頭痛が頻回に出現する場合には脳神経内科や頭痛外来への受診を検討してください。 軽い頭痛が続く場合には、首や肩回りのストレッチや適度な運動、生活リズムを整え、しっかりと睡眠をとることが有効な場合があります。また、お酒を控える、ストレスを避けることも有効なことがあるため、普段から頭痛がよくある場合には普段の生活にも注目してみましょう。

「頭痛が続く」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭痛が続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭痛が何日続いたら病院を受診するべきでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

突然の頭痛や意識障害や麻痺などの随伴症状を伴う頭痛では、頭痛症状がみられる日数で受診の必要性を区切ることは難しいです。国際頭痛分類第3版では、無治療の場合の頭痛の持続時間は、片頭痛では72時間以内、緊張型頭痛では7日以内とされており、それ以上に頭痛が続く場合には病院に受診するのが良いと思います。

一週間頭痛が続く原因について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頭痛が強くなったり、弱くなったり(消失したり)する場合には、緊張型頭痛や片頭痛の可能性があります。痛み止めを服用している間にのみ症状が軽減するなど、頭痛が持続的に継続する場合、あるいは増悪する場合には硬膜外血腫や脳腫瘍、髄膜炎・脳炎などの可能性があります。

くも膜下出血を発症すると頭のどこに痛みを感じますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

くも膜下出血では頭全体に痛みが出現し、意識障害などの症状も出現しますが、軽症の場合には多くで後頭部や後頚部に痛みがみられます。痛みが軽い場合には肩こりや緊張型頭痛と似たような症状のこともありますが、無治療では短期間に再発して重症化する可能性もあります。急に後頭部や後頚部に痛みが出現し続く場合には脳神経外科や脳神経内科、頭痛外来を受診しましょう。

まとめ

頭痛の有病率は数人に1人と非常に多いですが、そのほとんどは緊張型頭痛や片頭痛など、放置していても問題とならない頭痛です。一方で、「突然の頭痛」「普段と異なる頭痛」「数日~数週間かけてだんだんと増悪する頭痛」「毎朝起床時に出現する頭痛」などでは、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎、脳腫瘍など、軽症の場合や発症初期での痛みはそれほど強くない場合でも放置すれば命にかかわるような頭痛もあります。 本記事をお読みいただき、注意すべき頭痛かもしれないと感じた場合には、脳神経外科や脳神経内科、または頭痛外来を受診するようにしましょう。

「頭痛が続く」で考えられる病気

「頭痛が続く」から医師が考えられる病気は12個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

耳鼻咽喉科の病気

頭痛の原因となる病気はたくさんありますが、頭痛の種類によって治療方針は変わります。主に頭の病気が原因となりますが、頭以外の病気の存在がないことも踏まえて診断していきます。

「頭痛が続く」に似ている症状・関連する症状

「頭痛が続く」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • めまいがする
  • 肩こり
  • 性格が変わった
  • 物忘れが増えた
  • うまく歩けない
  • うまく話せない
  • 手足が動かない
頭痛の他にも何か症状があれば、診断の手掛かりとなることがあります。受診する際には、頭痛がどのような時に起こるのか、どのような症状が出るのか、などのような頭痛の特徴を医師に相談してください。
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