「頭の片側が痛い」のは「くも膜下出血」や「脳腫瘍」が原因?医師が徹底解説!
頭の片側が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が原因・考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
佐々木 弘光(医師)
「頭の片側が痛い」原因と対処法
頭の片側が痛くて、仕事や日常生活でお困りになられたことはありますか。原因はたくさんありますが、ここではどんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。
頭の片側が痛い原因と対処法
頭の片側が痛い場合、よく見られるのは片頭痛などの明らかな原因のない頭痛です。一方、脳腫瘍やくも膜下出血などの脳の中の病気が原因となる危険な頭痛もあります。強い頭痛を自覚したら、できるだけ体への負担を減らして安静にしましょう。脳神経外科や脳神経内科などの、専門性の高い外来への受診が考えられます。
頭の片側がズキズキと痛い原因と対処法
頭の片側がズキズキと痛む患者さんの中には、「ドクドクと脈打っている」や「ガンガンと叩かれている」と表現される方もおられます。このような場合、多くは片頭痛の可能性が考えられます。20代女性に多く、思春期から発症する場合もあります。月に平均1~4回程度の頭痛発作を繰り返し、日常生活に支障をきたします。生活背景が影響していることが多く、ストレスや睡眠不足が引き金になります。また飲酒や喫煙、月経周期やホルモンバランス、経口避妊薬の内服なども一因とされています。発作の前兆として、「目の前がキラキラする」や「ギザギザしたものが見える」といった閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる症状を自覚する場合もあります。他にも肩凝りが原因で起きる緊張型頭痛が合併していることもあります。発作が生じたら刺激を避けて安静にし、市販の鎮痛薬などを内服しましょう。また脳神経内科・脳神経外科、頭痛外来クリニックなどを受診しましょう。
頭の片側のこめかみが痛い原因と対処法
片頭痛の他にも群発頭痛や三叉神経痛といった病気が原因で、こめかみが痛むという症状を自覚される方もおられます。群発頭痛は20~40歳代の男性に多く、こめかみ、目の奥がえぐられるような痛みが一定期間に集中して起こります。発作は数分~数時間程度で、涙や鼻水が止まらない場合もあります。喫煙や飲酒、睡眠不足などが発作を悪化させる原因といわれているので、生活習慣の見直しも大切です。三叉神経痛は顔面の感覚を司る三叉神経に障害が起き、電気が走るような痛みを自覚します。原因不明の場合や帯状疱疹という皮膚の病気の後遺症として生じる場合、稀に脳腫瘍が原因となっている場合もあります。これら以外にも、鼻づまりが原因で生じる急性副鼻腔炎(蓄膿症)や虫歯による炎症の波及などでもこめかみが痛くなることがあります。いずれにしても、我慢せずに脳神経内科・脳神経外科、頭痛外来クリニックなどを受診しましょう。また頭痛に加えて発熱や鼻水などがみられる場合は内科や耳鼻咽喉科への受診も考えられます。
頭の片側が痛く、吐き気も伴う原因と対処法
先ほどご紹介した片頭痛や群発頭痛も吐き気やめまいを伴うことがありますが、ここではくも膜下出血や脳動脈解離、脳腫瘍といった頭の中の病気が原因で起きる危険な頭痛について説明します。危険な頭痛の特徴として、「突然の強い頭痛」が挙げられます。患者さんは「突然背後からバットで殴られたような痛み」、「今まで経験したことのない強い痛み」と言われることもあります。また「吐き気やめまいがする」、「手足の力が入らない」、「呂律が回らない」といった全身症状を認める場合も要注意です。もし危険な病気が原因の頭痛であれば、その場で意識を失うこともあります。まずは刺激を避けて安静にし、躊躇せず、すぐに救急病院を受診しましょう。そしてこれらの病気は、大きな病院の脳神経外科や救命センターが対応する場合がほとんどです。
「頭の片側が痛い」の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「頭の片側が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
くも膜下出血
脳動脈瘤とよばれる脳の血管にできたこぶが破裂し、脳内で出血する病気です。脳動脈瘤ができる原因ははっきりわかっていませんが、女性や家族歴(血縁者にくも膜下出血を起こした人がいる)、過剰飲酒、喫煙、高血圧などが破裂や増大リスクといわれています。厄介なことに、脳動脈瘤は破裂するまで症状を出しにくく、本人も気づきません。そのため脳ドックで頭のMRIを撮ったら、たまたま見つかったということも多くあります。また脳動脈瘤は自然に消えることはなく、飲み薬でも治療できません。従って、見つかった場合は専門の脳神経外科で未然に破裂を防ぐような手術が検討されます。そしてもし破裂して、くも膜下出血になると、手足の麻痺などの後遺症を残し、最悪の場合、死に至る可能性のある危険な病気です。脳神経外科で緊急手術(開頭手術によるクリッピング術やカテーテルによるコイル塞栓術)を行い、動脈瘤が再び破裂しないようにする必要があります。
脳動脈解離
脳動脈解離とは脳の血管の壁が裂け、出血したり血管が詰まったりする病気のことです。椎骨動脈と呼ばれる血管に生じることが多く、突然の頭痛で発症します。高血圧や喫煙、頭や首への強い衝撃などが原因です。入院して安静を保ち、血圧を下げる内科治療などを行います。また出血に対して緊急手術を行う場合もあります。血管が詰まると脳梗塞を引き起こし、手足の麻痺やしびれ、しゃべりにくさなどの後遺症が残る場合もあります。この病気も緊急性が高く、脳神経外科や脳神経内科で治療します。
脳腫瘍
脳の中にできもの(脳腫瘍)ができて、脳が押さえつけられてしまうと、頭痛を生じることがあります。脳腫瘍には様々な種類があり、手足の麻痺、しゃべりにくい、視野が欠けて見えにくいという症状のほか、痙攣を生じたり、意識を失ったりする場合もあります。種類にもよりますが、必要に応じて脳神経外科で手術が検討されます。
脳出血
頭の中の血管が破れて脳の中に出血する病気です。突然の頭痛と、手足の麻痺やしびれ、しゃべりにくい、意識を失う、などの全身症状を伴うことが多くみられます。頭の中の異常な血管の発達によって生じるもやもや病や脳動静脈奇形といった特殊な原因によるものもありますが、一般的に最も多い原因は高血圧です。従って、不摂生や睡眠不足、運動不足などを避けることが予防につながります。脳神経外科や脳神経内科で治療され、緊急手術が必要な場合もあります。
「頭の片側が痛い」時の正しい対処法は?
まず大切なのはどのような頭痛かということです。「今まで経験したことのない突然の頭痛」、「手足に力が入らない、しゃべりにくい、嘔吐やめまいがするなどの全身症状を伴う頭痛」は、くも膜下出血や脳動脈解離などの危険なサインかもしれません。様子を見ずに、一刻も早く専門病院を受診しましょう。
一方で、片頭痛や群発頭痛といった脳の中に明らかな原因がない頭痛も、日常生活に影響してしまうことが多々あります。その場合は、まず頭痛発作の予防が大切です。身体的・精神的なストレスや睡眠不足、不規則な食生活などによる低血糖や脱水などは発作の原因となります。従って、普段から朝食をしっかり摂って日中の低血糖や脱水を避け、十分な睡眠時間を確保して、規則正しい生活を心掛けることが大切です。またアルコール(特にワイン)や喫煙、さらにチーズ、チョコレート、ナッツ類といった食品も片頭痛を誘発することがあるので、摂取を控えることも予防につながります。さらに肩凝りが原因で起こる緊張型頭痛と呼ばれる頭痛が併発している場合もあり、運動習慣や頭痛体操と呼ばれる筋肉の緊張をほぐすストレッチなどが予防につながります。
しかしそれでも発作が出現する場合、市販のバファリン®やカロナール®といった頭痛薬を服用しても構いません。我慢や無理はせずに、まずは速やかに発作の症状を断ち切ることが大切です。また吐き気やめまいなどの頭痛以外の諸症状に対しても、市販の制吐薬や漢方によって緩和させることが大切です。その他、片頭痛では光や音への過敏性も問題です。テレビや太陽の光がいつも以上に強く感じるなどの症状がある場合、サングラスや帽子で遮光したり、大勢の人が集まる騒がしい場所などは避けたりして、身体的な負担を減らしましょう。そして速やかに脳神経外科や脳神経内科、頭痛外来クリニックで相談しましょう。片頭痛や群発頭痛の発作を抑える薬がありますし、新しい片頭痛薬も開発されてきています。また三叉神経痛やその他の原因が見つかる可能性もあります。
「頭の片側が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭の片側が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
頭の側頭部が痛いのですが、原因や疾患について教えてください。
佐々木 弘光(医師)
片頭痛や群発頭痛といった明らかな原因のない頭痛やくも膜下出血や脳動脈解離といった危険な頭痛まで、様々な種類があります。危険な頭痛は突然起こり、手足の麻痺、呂律困難、激しい嘔吐など全身症状を伴うことが多いです。また繰り返す頭痛発作の場合にはストレスや寝不足などの生活習慣が影響している場合があります。まずは専門である脳神経外科や脳神経内科、頭痛外来クリニックなどを受診しましょう。そしてあなたの頭痛がどのように起きて、どんな痛み方をするのか、他にどんな症状があるのか、また日常生活への影響はどうなのか、といったことを教えてください。原因特定のための必要な検査を行い、適切な薬剤や治療法を提供します。
まとめ
ここまで「頭の片側が痛い」症状について詳しく解説してきました。最後になりますが、頭痛はお薬だけでなく、個人の生活習慣に寄り添った予防も大切になります。お悩みの場合は、脳神経外科・脳神経内科や頭痛外来クリニックにぜひ相談してください。また危険な頭痛というのは突然起こり、強烈な痛みや全身症状を伴います。少しでもおかしいと感じたら自己判断せず、すぐに病院を受診しましょう。
「頭の片側が痛い」で考えられる病気
「頭の片側が痛い」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 髄膜炎
- 側頭動脈炎
頭痛の性状によって考えられる病気は異なります。その中でも、「今まで経験したことのない突然の頭痛」「手足に力が入らない、しゃべりにくい、嘔吐やめまいがするなどの全身症状を伴う頭痛」などの場合には緊急性がありますので、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
「頭の片側が痛い」に似ている症状・関連する症状
「頭の片側が痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 頭の片側がしびれる
- 片眼の奥が痛い
- 後頭部から肩が痛い
- 肩がつる
上記のような症状が継続し改善しない場合には、早めに医療機関への受診をお勧めします。