「横隔膜が痛む」のは筋肉や内臓の異常のサイン?考えられる病気を医師が徹底解説!

横隔膜が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
関口 雅則(医師)
目次 -INDEX-
「横隔膜が痛い」原因と対処法
横隔膜は、胸腔と腹腔を分ける筋肉性の膜で、呼吸や内臓の働きに深く関わっています。横隔膜が痛む場合、筋肉疲労や内臓疾患、ストレスなどさまざまな原因が考えられます。ここでは、横隔膜が痛む原因と対処法、さらに何科を受診すべきか、詳しく解説します。
横隔膜が痛い原因と対処法
横隔膜の痛みは、深呼吸や咳、体をひねる動作、運動中などに現れやすく、鋭い痛みや重苦しい痛みなど人によって感じ方が異なります。運動中ならペースを落とし、腹式呼吸やストレッチ、必要に応じて温める・冷やすなどの対処が有効です。
原因は筋肉痛やストレス、自律神経の乱れだけではありません。胃炎や胃潰瘍、胆嚢炎、膵炎、腎臓疾患などの内臓疾患、気胸や胸膜炎などの呼吸器疾患もあります。さらに、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患、肋間神経痛など多岐にわたります。受診時は症状に応じた診療科を選び、痛みの部位・強さ・持続時間・他の症状を詳しく伝えることが大切です。激しい痛みや意識障害、呼吸困難など緊急性が高い場合は、すぐに救急科を受診してください。
横隔膜の左側が痛む原因と対処法
横隔膜の左側が痛む場合、胃・膵臓・脾臓・腎臓など左側の内臓疾患が原因となることが多いです。胃炎や胃潰瘍、膵炎、脾腫、腎盂腎炎、腎結石などが考えられます。筋肉疲労や肋間神経痛、ストレスによる自律神経の乱れも原因となり、まれに横隔膜下膿瘍が起こることもあります。
原因に応じて消化器内科、腎臓内科、整形外科など適切な診療科を受診し、激しい痛みや発熱、嘔吐など緊急性が高い場合は速やかに救急科を受診してください。受診時は、痛みの部位や強さ、持続時間、他の症状を詳しく伝えることが大切です。
横隔膜の右側が痛む原因と対処法
横隔膜の右側の痛みは、肝臓や胆嚢、十二指腸など右側の内臓疾患(肝炎、胆嚢炎、胆石症、十二指腸潰瘍など)や、筋肉疲労・肋間神経痛、横隔膜下膿瘍などが原因となることがあります。安静や温める・冷やす、マッサージなどで症状が和らぐこともありますが、肝臓や胆嚢の病気が疑われる場合は消化器内科、筋肉痛や肋間神経痛は整形外科、激しい痛みや発熱など緊急性が高い場合は救急科を受診してください。
受診時は、痛みの部位や強さ、持続時間、他の症状を詳しく伝えることが大切です。
横隔膜の真ん中が痛む原因と対処法
横隔膜の真ん中(みぞおち付近)の痛みは、胃・食道・心臓など複数の臓器が原因となることが多く、痛みの感じ方は「圧迫感」「チクチク」「ズキズキ」など人によって異なります。安静や深呼吸、腹式呼吸で症状が和らぐこともあり、筋肉痛や炎症の場合は温冷療法も有効です。原因には胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎、狭心症・心筋梗塞、膵炎、ストレスや自律神経の乱れによる心因性疼痛など多岐にわたります。受診は症状に応じて消化器内科や循環器内科、緊急時は救急科が推奨され、痛みの詳細を医師に伝えることが大切です。
ストレスで横隔膜が痛む原因と対処法
ストレスによる横隔膜の痛みや不快感は、自律神経の乱れによって筋肉の緊張や内臓機能の低下が起こることが原因です。心因性疼痛として、検査で異常がなくても痛みが続く場合もあります。まずは内科や消化器内科で身体的な異常がないか検査し、ストレスや心因性の痛みが疑われる場合は心療内科への受診も検討してください。受診時は、痛みの特徴やストレスの有無などを詳しく伝えることが大切です。
すぐに病院へ行くべき「横隔膜が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
激しい痛みが持続する場合や意識障害がある場合は救急科へ
横隔膜の痛みで激しい痛みが続く場合や意識障害、冷や汗、呼吸困難、発熱、嘔吐、下痢などが同時に現れた場合は、心筋梗塞や急性膵炎、胆嚢炎、横隔膜下膿瘍、胃潰瘍穿孔、腸閉塞など重篤な病気の可能性があるため、緊急に医療機関を受診してください。
まずは救急科への受診が推奨されます。受診時は痛みの強さや持続時間、他の症状を詳しく伝えることが適切な診断・治療につながります。胸やみぞおちの激しい痛み、意識障害などは特に緊急性が高いため、速やかな対応が重要です。
「横隔膜が痛む」症状の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「横隔膜が痛む」に関する病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
横隔膜下膿瘍
横隔膜下膿瘍は、腹腔内の臓器や組織の炎症に伴い、横隔膜の下に膿がたまる感染症です。この病気では発熱や腹痛、呼吸困難などの症状が現れることがあります。治療には抗生物質の投与や膿の排出を目的としたドレナージが行われ、場合によっては手術が必要となることもあります。発熱や腹痛、呼吸困難が続く場合は受診の目安となり、消化器内科や外科、緊急性が高い場合には救急科への受診が適切です。
胃炎・胃潰瘍
胃炎や胃潰瘍は、胃の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気であり、主にストレスやピロリ菌感染が原因となります。治療には薬物療法や生活習慣の改善が一般的に用いられ、痛みが強い場合や症状が持続する場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。受診の際には消化器内科が適切です。
胆嚢炎・胆石症
胆嚢炎や胆石症は、胆嚢に炎症や結石が生じる病気であり、主に右上腹部の痛みや発熱、黄疸などの症状を引き起こします。治療には抗生物質による薬物療法や手術が行われ、激しい痛みや発熱、黄疸が現れた場合は速やかに医療機関を受診することが推奨されます。受診の際には消化器内科や外科が適切です。
肋間神経痛
肋間神経痛は、肋骨に沿って走る神経が痛む病気であり、帯状疱疹や姿勢不良などが主な原因となります。治療には鎮痛剤の使用やストレッチが効果的で、痛みが強い場合や症状が持続する場合には医療機関への受診が推奨されます。受診の際には整形外科や内科が適切です。
心筋梗塞・狭心症
心筋梗塞や狭心症は、心臓に十分な血液が届かなくなる病気であり、関連痛としてみぞおちや横隔膜付近にも痛みが現れることがあります。これらの病気は緊急治療を要するため、激しい痛みや冷や汗、呼吸困難といった症状がある場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。受診の際には循環器内科や救急科が適切です。
「横隔膜が痛む」ときの正しい対処法は?
横隔膜の痛みが筋肉痛や軽度の場合、市販の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や冷感タイプの貼り薬・冷却スプレー、ストレッチ・マッサージなどで症状が緩和されることがあります。ただし、胃が弱い方は薬の服用に注意が必要です。
痛みの種類によっては温める・冷やすなどの対処も有効ですが、激しい痛みや発熱、嘔吐などの症状がある場合は市販薬に頼らず速やかに医療機関を受診してください。安静や生活習慣の見直しも重要で、応急処置をしても症状が改善しない場合も医療機関を受診しましょう。
「横隔膜が痛む」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「横隔膜が痛む」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
横隔膜のほぐし方はありますか?
関口 雅則医師
横隔膜をほぐすには、腹式呼吸(お腹を膨らませるように深く息を吸い、ゆっくり吐く)や呼吸筋ストレッチが効果的です。これにより横隔膜の柔軟性や可動性が高まり、呼吸が楽になります。直接手で横隔膜をほぐす方法は推奨されていませんが、呼吸法を日常的に行うことで十分な効果が期待できます。
まとめ
横隔膜が痛む原因は多岐にわたり、筋肉痛や内臓疾患、ストレスなどさまざまです。軽度の痛みは安静やストレッチで改善することもありますが、激しい痛みや他の症状を伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。自分の体からのサインを見逃さず、正しい対処を心がけましょう。
「横隔膜が痛い」で考えられる病気
「横隔膜が痛い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
神経系の病気
「横隔膜が痛い」症状は、狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患、胃炎・胃潰瘍・胆嚢炎・膵炎・横隔膜下膿瘍などの消化器疾患、気胸や胸膜炎などの呼吸器疾患、肋間神経痛など神経系の病気など、多くの臓器や組織の異常が関わる可能性があります。痛みが続く場合や他の症状を伴う場合は、早めに医療機関で詳しい診断を受けましょう。
「横隔膜が痛い」に似ている症状・関連する症状
「横隔膜が痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「横隔膜が痛い」と似ている症状には、背中や肩、みぞおち、脇腹の痛みなどがあり、これらは消化器・呼吸器・筋骨格系などさまざまな病気が関与している可能性があります。痛みが続く場合や他の症状を伴う場合は、早めに専門の医療機関で相談しましょう。