FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 胃・腸・肛門
  4. 『嘔吐で胃液しか出ない』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

『嘔吐で胃液しか出ない』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

『嘔吐で胃液しか出ない』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

胃液しか出ない嘔吐で、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

鶴 昌太

監修医師
鶴 昌太(医師)

プロフィールをもっと見る
2009年福岡大学医学部卒業。飯塚病院初期研修医、ERとICUを中心に約10年間勤務。救急専門医、集中治療専門医。飯塚病院退職後、離島・僻地医療に携わったあと、現在は二次病院のICUに勤務しつつ、慢性期病院の外来や病棟業務を行っています。急性期と慢性期の両方の視点から、最適な医療を提供できるよう心掛けています。

目次 -INDEX-

「嘔吐で胃液しか出ない」症状で考えられる病気と対処法

誰しもが一度は嘔吐を経験したことがあるでしょう。嘔吐の苦しさやきつさは、どんな人にとっても非常に辛いものですが、嘔吐時に身体はどのようなサインを発しているのでしょうか?特に胃液しか出ない場合、どのような原因が考えられ、どのように対処すれば良いのでしょうか?この記事で、詳しく解説します。

嘔吐で胃液しか出ない症状で考えられる原因と治し方

嘔吐の原因は、消化管の異常が最も一般的です。具体的には急性胃炎などが考えられますが、消化管以外の原因による嘔吐もあります。嘔吐で胃液しか出ない場合、アルコール過剰摂取、ストレス、薬の副作用などが原因となることがあります。
この症状の特徴は、嘔吐物が無色または黄色の液体で、食事をしていない場合でも嘔吐することです。繰り返し嘔吐する場合は、脱水症状を起こす可能性があります。症状を軽減するには、何も食べずに数時間安静にして休むことが重要です。喉が乾いてきたら、少量の水分をゆっくり飲みましょう。お腹が空いてきたら、お粥などを少しずつ食べましょう。脂っこい食べ物やアルコールは症状を悪化させる可能性が高いため、避けるべきです。
これらの処置を行っても症状が改善しない場合は、内科もしくは消化器内科のある病院を受診しましょう。嘔吐物に血が混じったり、便の色が黒く変化したりした場合は、出来るだけ早く受診するようにしてください。

嘔吐で胃液と血が出る症状で考えられる原因と対処法

吐いた胃液に血が混じっている場合、食道や胃から出血している可能性があります。考えられる病気としては、逆流性食道炎、マロリーワイス症候群、胃潰瘍などがあります。腹痛や胸焼けを伴うことがあります。
血が混じった嘔吐の原因としては、ストレス、アルコール、薬剤などがあります。まずできる対処法は、これらを避けることです。軽症の場合は内服薬のみで治療できることもありますが、重症の場合は内視鏡での治療が必要となる可能性があります。そのため、消化器内科がある病院を速やかに受診することをお勧めします。稀なケースでは、最も重度の場合に手術が必要となることがあります。吐いた血の量や色などの情報がわかれば、診断の手助けになりますので、覚えておくか、嘔吐物の写真を撮って病院で伝えましょう。

頭痛がして嘔吐で胃液しか出ない症状で考えられる原因と対処法

頭痛と嘔吐が同時に起こる場合、消化管ではなく、脳に何らかの異常があるかもしれません。
例えば脳出血、髄膜炎、片頭痛、脳腫瘍などが考えられます。すぐにできる対処法は、静かな場所で安静にすることです。
頭痛や嘔吐が改善しない場合や、意識がもうろうとしてきた場合などは、速やかに病院を受診しましょう。脳神経内科や脳神経外科、頭部CTが撮影可能な病院を選ぶことが望ましいです。

二日酔いで胃液しか出ない嘔吐をした症状で考えられる原因と対処法

アルコールが体内に入ると、肝臓でアセトアルデヒドという物質に代謝されます。このアセトアルデヒドが二日酔いの症状を引き起こします。二日酔いの症状には吐き気、頭痛、胃痛、倦感感、意識障害などがあります。
通常、アセトアルデヒドはさらに代謝され、無毒な物質になった後に呼吸や汗、尿を通じて体外に排出されます。しかし、アルコールを過剰に摂取すると肝臓がアセトアルデヒドを代謝しきれず、血液中の濃度が上昇し、二日酔いの症状が現れます。また、アルコールによる直接的な胃粘膜へのダメージも、二日酔いの原因となります。
対処法としては、まずは飲酒を止め、可能な限り水分補給を行うことが重要です。水分を摂ることでアセトアルデヒドの血中濃度が低下し、症状が緩和されます。症状が改善傾向であれば、必ずしも病院受診は必要ありません。ただし、吐き気が強くて水分摂取ができない場合や、頭痛が非常に強い場合、症状が数時間以上持続する場合は、内科の病院を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「嘔吐で胃液しか出ない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

症状 考えられる疾患 受診すべき科
激しい頭痛、意識障害、けいれん 脳出血、髄膜炎 内科、もしくは神経内科
激しい腹痛、大量吐血、黒色便 胃潰瘍穿孔、腹膜炎、虫垂炎 内科、もしくは消化器内科
発熱、悪寒、体の震え 感染症、虫垂炎 内科、もしくは消化器内科

受診・予防の目安となる「嘔吐で胃液しか出ない」ときのセルフチェック法

  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に激しい頭痛や意識障害、けいれんを伴う場合
  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に激しい腹痛や大量の吐血、黒色便を伴う場合
  • ・嘔吐で胃液しか出ない以外に発熱や悪寒、体の震えを伴う場合
  • ・症状が長く続き、安静にしても改善しない場合
  • ・脱水症状があり、吐き気が強くて水分を摂取できない場合

「嘔吐で胃液しか出ない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「嘔吐で胃液しか出ない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

虫垂炎(盲腸)

虫垂は、大腸の入り口にある盲腸の先についている管状の突起です。お腹の中の右下あたりに存在し、この虫垂に感染を起こしている状態が虫垂炎、いわゆる盲腸です。虫垂炎を起こすと、みぞおちや臍の周りに腹痛が生じ、時に胃液しか出ない嘔吐を伴い、痛みの場所がだんだんお腹の右下に移動します。手術の適応となる場合が多く、軽症であれば抗菌薬のみで治療することもあります。治療が遅れ虫垂が破れると、菌や炎症物質がお腹の中にばら撒かれ、腹膜炎という重篤な状態になります。
虫垂炎を疑う症状があれば、できるだけ速やかに消化器内科または外科を受診しましょう。確定診断はCTで行う場合が多く、CT撮影できる病院がよいです。

胃潰瘍

『潰瘍』とは、皮膚や粘膜が深く傷ついている状態を意味します。胃は、胃酸という強い消化作用を持つ酸を分泌しています。胃酸の役目は食べたものを溶かして消化することですが、自分の胃粘膜まで溶かしてただれさせてしまうことがあり、これが胃潰瘍です。ストレスやピロリ菌感染により、胃粘膜を防御する働きが弱まることで起こることが多いです。食後にみぞおちのあたりや背中が痛くなり、胸やけがでることが多いです。
 対処法としては、まずできる限りストレスを減らすようにしましょう。痛みが強い時は、胃酸の分泌を促進するようなもの(酒、たばこ、コーヒー、脂っこいたべもの、辛いたべもの)を控えましょう。症状が改善しない場合は消化器内科を受診しましょう。胃酸の分泌を抑える薬で治療を行い、内視鏡検査で潰瘍の程度を評価し、ピロリ菌陽性であれば除菌療法を行います。出血量が多い場合は内視鏡で止血術を行う場合もあります。

急性胃腸炎

急性胃腸炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こる、胃腸の粘膜の炎症です。「お腹の風邪」と言われることもあります。腹痛、嘔吐、発熱、下痢などが症状です。感染以外には、ストレスや薬、アレルギー、食べ物が原因となります。
対処法は、おかゆなどの消化によいものを食べて、適切に水分を摂取することです。これだけで良くなることも多いですが、嘔吐や下痢が続くと脱水症状を起こすので、そのような場合は内科を受診しましょう。吐き気止めや整腸剤で対症療法を行い、必要に応じて点滴をします。

機能性ディスペプシア

ディスペプシアとは、消化不良を意味するギリシャ語です。胃に炎症や潰瘍などの明らかな異常がないのに、胃痛や胃もたれ、腹部膨満感などを生じる病態を機能性ディスペプシアと言います。2013年に正式な診断名として認可された新しい病気です。ストレス、睡眠不足、疲労などにより、胃の機能が低下したり、胃酸が多く分泌されることが原因で起こります。

自分でできる対処法は、ストレスの解消など、生活習慣の改善です。機能性ディスペプシアの診断は、超音波や内視鏡の検査で異常がないことを確認することが必要ですので、消化器内科を受診しましょう。症状によって、腸の動きを改善させる薬や、胃酸の分泌を抑える薬を使用します。

膵炎

膵臓は、お腹の上の方にある臓器で、胃の後ろ側にあります。食べ物を溶かす消化酵素や、血糖値を下げるインスリンを分泌する臓器です。膵炎は膵臓に炎症が起きた状態で、上腹部痛や背部痛、嘔気、発熱を起こします。原因としては、アルコールと胆石が最も多いです。状態が悪化すると、血圧が下がり、意識障害を起こすなど、危険な状態になります。
痛みの位置が胃に近いこともあり、症状のみでは胃炎と間違われることもあります。診断には超音波検査、CTが必要になりますので、消化器内科を受診しましょう。飲酒歴、胆石の治療歴がある人は特に注意してください。自分で対処するのは難しく、入院のうえで絶食、点滴投与などを行います。

「嘔吐で胃液しか出ない」の正しい対処法は?

1. 症状の落ち着かせ方:
数時間安静にして休むことが大切です。喉が乾いてきたら、少量の水分をゆっくりと飲みましょう。お腹が空いてきたら、お粥などの消化しやすい食事を少しずつ摂りましょう。脂っこい食べ物やアルコールは避けましょう。
2. 症状別の対処方法と注意点:
・嘔吐で胃液しか出ない場合: アルコール過剰摂取、ストレス、薬の副作用などが原因となることがあります。水分補給や休息、消化しやすい食事を摂ることが重要です。
・嘔吐で胃液と血が混じる場合: 食道や胃からの出血の可能性があるため、早急に医師の診察を受ける必要があります。
・頭痛がして嘔吐で胃液しか出ない場合: 脳に異常がある可能性があるため、神経内科や脳神経外科の受診が必要です。
・二日酔いで胃液しか出ない場合: アルコールの摂取過剰による二日酔いの症状であり、休息と水分補給が重要です。もちろん飲酒は控えてください。
3. 吐いた後の正しい対処法:
口をすすいでリフレッシュしましょう。まだ吐きそうな場合、仰向けに寝ると、吐物を誤嚥する可能性があるので、横向きに寝るか座って休みましょう。
4. 市販薬の使用について:
症状によっては市販薬の使用が適している場合もありますが、副作用や適応症状に注意が必要な場合もあり、医師や薬剤師の指示に従った方が安全です。市販薬を使用する場合は、記載されている正しい用法・用量を守りましょう。
5. 体を温めたり冷やしたりしたほうが良いのか:
一般的には温かい飲み物や温めた布でお腹を温めることが快適に感じる場合が多いですが、個人の好みや体調により冷やす方が良い場合もあります。
6. おすすめの食事や飲み物はあるか、水分補給のポイント:
胃を刺激しない、消化しやすい食事を摂ることが重要です。お粥やうどん、ゼリーなど柔らかい食品がおすすめです。水分補給も欠かさず行いましょう。少量ずつ飲み、こまめに摂ることがポイントです。
7.睡眠やストレス緩和やリラックスのアドバイス:
十分な睡眠をとることで回復力が高まります。ストレスを溜めすぎないような適切なストレスケアや、リラクゼーションの方法を取り入れることが大切です。自分に合った方法を見つけましょう。
8. 早く治したい時はどうしたら良いのか:
症状が長く続く場合や、自分で応急処置をしても改善しない場合は、医師の診察を受けましょう。医師に症状や経緯を詳しく伝え、適切な診断と治療を受けることが重要です。

以上が「嘔吐で胃液しか出ない」症状に対する正しい対処法の一般的な指針ですが、個人の状態によって異なる場合があります。症状が続く場合や心配な場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。何科に行ったらよいかわからない場合は、救急病院の受診を検討してください。

「嘔吐で胃液しか出ない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「嘔吐で胃液しか出ない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃液しか出ないのに吐いてしまう症状はすぐ病院に行くべきですか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

胃液しか出ない嘔吐は、一般的には軽症であることが多いです。それでも原因がはっきりしない場合や症状が長く続く場合は、医療機関を受診することをおすすめします。特に以下の場合には速やかに医師の診断を受けるべきです。
・嘔吐物や便に血が混じっている場合
・強い腹痛や発熱、体の震えなど、胃液しか出ない嘔吐以外の症状が現れている場合
・意識レベルが低下したり、激しい頭痛やめまいがある場合

吐き気がして嘔吐しても胃液しか出ません。対処法を教えてください。

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

しばらくの間、食事と水分の摂取を控えて休むこと。数時間は絶食し、水分補給は少量ずつゆっくりと行います。お腹が空いてきたら、お粥など消化のしやすい食事を少しずつ摂取します。脂っこい食べ物やアルコールは避けましょう。

胃液しか出ない嘔吐はストレスが原因なのでしょうか?

鶴 昌太 医師鶴 昌太 医師

胃液しか出ない嘔吐の原因はさまざまです。ストレスが関与することもありますが、他にもアルコール過剰摂取や薬の副作用などが原因となることがあります。嘔吐が続く場合や心配な場合は、医師に相談し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

まとめ 胃液しか出ない状態で嘔吐してしまうときは軽症の場合が多い

・胃液しか出ない嘔吐は、一般的には軽症の場合が多いです。ただし、嘔吐が続く場合や、他の症状が現れる場合は、医療機関を受診することが重要です。
・胃液しか出ない嘔吐が起きた場合は、しばらくの間、食事と水分の摂取を控えて休むことが大切です。数時間の絶食を行い、少量ずつゆっくりと水分補給を行いましょう。また、消化のしやすい食事を摂ることや、脂っこい食べ物やアルコールの摂取を避けることも重要です。
・水分補給は胃液しか出ない嘔吐でも重要です。喉が乾いたら少量の水分をゆっくりと摂るようにしましょう。ただし、一度に大量の水分を摂取するのではなく、少量ずつ摂ることがポイントです。吐き気が強くて水分を飲めない、水分を飲んでも吐いてしまう場合は無理して飲まず、もう少し休んで様子を見るか、医療機関を受診してください。

上記の対処法で胃液しか出ない嘔吐による症状を和らげることができます。しかし、症状が長く続く場合や心配な場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
個人の状態によって異なる場合がありますので、医師のアドバイスを受けることが大切です。適切に対処し、早い回復を目指しましょう。

「嘔吐で胃液しか出ない」症状で考えられる病気

「嘔吐で胃液しか出ない」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

消化器科の病気

婦人科の病気

泌尿器科の病気

代謝・内分泌科の病気

  • 糖尿病性ケトアシドーシス

脳神経内科・脳神経外科系の病気

多くの場合には消化管の異常が考えられますが、ストレスなどの精神的な問題を含め、いろいろな疾患が影響することもあります。

「嘔吐で胃液しか出ない」に似ている症状・関連する症状

「嘔吐で胃液しか出ない」と関連している、似ている症状は816ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「嘔吐で胃液しか出ない」症状の他にこれらの症状がある場合でも「心筋梗塞」「心不全」「急性胃炎」「胃潰瘍」「虫垂炎」「膵炎」「妊娠」「子宮内膜症」「尿路結石」「糖尿病性ケトアシドーシス」「脳出血」「頭部外傷」「てんかん」「髄膜炎」などの疾患の可能性が考えられます。激しい頭痛や意識障害、けいれんを伴う場合や、激しい腹痛や大量の吐血、黒色便を伴う場合、発熱や悪寒、体の震えを伴うなどの場合には、早めに医療機関を受診しましょう。