「右のおしりが痛い」原因はご存知ですか？医師が徹底解説！

右のおしりが痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
弓場 智雄 医師

「右のおしりが痛い」症状で考えられる病気と対処法

痛みがお尻だけに限局しているなら、仙腸関節痛の可能性があります。その痛みがお尻からふとももの裏側まで繋がっているなら坐骨神経痛で、原因としては腰椎ヘルニアや腰椎すべり症、梨状筋症候群などが考えられます。また、女性の場合は子宮脱などでもお尻の痛みが出現します。ただし、痛みには関連痛といって原因となっている場所から広がって痛むこともあるため、一概には言えません。自分で判断せず医師の診察を受けることをお勧めします。

右のおしりが痛い症状で考えられる原因と治し方

お尻だけが痛いなら、筋肉や関節が原因の可能性が高いです。特に仙腸関節というお尻にある関節に炎症がおきると仙腸関節痛といって、お尻の痛みがでます。
考えられる原因の多くは、悪い姿勢や動作で起きる筋肉や関節の炎症、またそれが悪化した仙腸関節痛です。また女性の場合は子宮脱なども鑑別にあがります。前述のものよりは頻度はさがりますが、癌などの症状である可能性もあります。
治療には、ロキソニンなどの通常の痛み止めや仙腸関節ブロック注射、また姿勢や動作の改善を目的とした理学療法が効果的です。痛みがひどくて動けない場合や、夜眠れない場合には、整形外科、特に理学療法士のいる病院やクリニックを受診することがお勧めです。

右のおしりが痛く、腰痛も伴う症状で考えられる原因と対処法

右のおしりが神経にそってある程度広い範囲に痛みが出現することがこの症状の特徴です。
このような場合には、安静にして痛みがおさまる可能性があります。ロキソニンやカロナールといった一般的な鎮痛薬などを使用した保存的加療も多少効果があります。しかし、足の力が入りにくい、尿が出にくい、尿や便が漏れるといった症状がある場合は直ちに病院に行く必要があります。
この症状は、腰が原因の痛みである可能性があり、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などが考えられます。
症状の改善がない場合には、整形外科を受診するのがよいでしょう。また足の力が入りにくい、尿が出にくい、尿や便が漏れるといった症状がある場合は緊急で手術が必要となることもあり、ただちに病院を受診してください。

歩くと右のおしりが痛い症状で考えられる原因と治し方

歩行時に右のおしりがいたとき、歩き始めが痛い場合と、しばらく歩くと痛い場合があります。
症状を落ち着かせるためには、まずは座るなどして安静にしてください。それでも痛みが軽減しないようならはやめに病院を受診する必要があります。
考えられる主な原因として、歩き始めが痛い場合は前述の仙腸関節痛、歩いてしばらくすると痛くなる場合は脊柱管狭窄症などの腰椎が原因の可能性があります。
症状の改善がない場合には、整形外科を受診するのがいいでしょう。安静にしても痛みが良くならない場合はすぐに病院を受診してください。

右のおしりが痛くて歩けない症状で考えられる原因と治し方

歩けなくなるほどおしりに痛みが出ることもありますが、おしりの痛み以外にも尿や便のトラブルがある場合はすぐに病院を受診する必要があります。
歩けないほど強い痛みを感じた場合はすぐに病院を受診する必要があります。
考えられる原因として、重症の椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、仙腸関節痛などが挙げられます。
主な診療科は整形外科です。痛み以外にも症状がある場合はさらに急いで受診してください。

妊娠中で右のおしりが痛い症状で考えられる原因と治し方

妊娠中にお腹が大きくなるにつれて、おしりが痛いという症状がひどくなることが多いです。また痛みが足まで広がることもあります。
症状を落ち着かせるには、安静やストレッチが効果的な場合があります。
考えられる要因は妊娠に伴い体重増加から骨盤の靭帯が緩くなることであり、またそれが原因で坐骨神経を圧迫する場合があります。妊娠自体も体への負担も大きく、いろいろな痛みが現れやすくなります。
症状が改善しない場合には、妊婦検診を受ける際に相談したり、予約をはやめたりして産婦人科の先生に相談しましょう。

すぐに病院へ行くべき「右のおしりが痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

右のおしりが痛く、足の脱力、残尿や尿・便失禁などもみられる場合は、整形外科へ

足の力が入らなかったり、排尿や排便のトラブルも起こりえます。このような場合には、神経の圧迫が脊髄まで及んで、広範囲の神経に障害がでています。
具体的には、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症が悪化していることが考えられます。
主な診療科は整形外科です。場合によっては緊急手術が必要となります。なお、病院によって、手術は脳神経外科が対応する場合もあります。

「右のおしりが痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「右のおしりが痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)

坐骨神経痛とは、なんらかの原因で坐骨神経に障害を受け、その結果坐骨神経の支配領域に痛みがでる状態です。原因としては椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、梨状筋症候群が挙げられます。
治療法は、「神経障害性」の要素が強いため、プレガバリンやデュロキセチンといった神経の興奮を抑える薬が効果的です。また神経ブロック注射も効果的です。
安静にしても痛みが良くならない場合や、痛みで夜眠れない、日常生活に支障がある場合には病院受診を考慮しましょう。特に、整形外科や神経ブロック注射を得意とする麻酔科やペインクリニック科を受診するとよいでしょう。

仙腸関節障害

仙腸関節は関節という名前がついていますがほとんど動くことはなく、衝撃などが加わった際に数ミリ程度動いてクッションのような役割をする関節です。しかし、これも立派な関節であるため、場合によっては関節痛が起こります。この痛みの特徴としては、椅子に座るときに痛い方のお尻を浮かせる、動き始めが痛い、上向きや痛い方のお尻を下にして寝ることができずいつも同じ方向の横向きで寝るなどが挙げられます。
この痛みは「侵害受容性」の要素の強い痛みであるため、すぐに痛みを落ち着かせるためにはロキソニンやカロナールといった通常の痛み止めが効果的です。しかし、根本的な問題は仙腸関節に負担がかかるような姿勢や動作にあり、そこを改善することが必要です。自分では難しいようなら一度理学療法士がいるような整形外科を受診して、姿勢の評価とアドバイスを受けるといいでしょう。また神経ブロックを得意とする麻酔科やペインクリニック科の医師から仙腸関節へのブロック注射の治療を受けて痛みを取ることもできます。可能なら全身の検査を行うことができるような総合病院も一度受診し評価を受けることもおすすめです。

「右のおしりが痛い」ときの正しい対処法は？

禁忌がないなら市販薬を数回程度は飲んで大丈夫です。しかし痛み止めを習慣化してはいけません。常用すると必ず副作用がでます。痛みが良くならない場合は、すぐに病院を受診してください。
関節痛や筋肉痛といった『侵害受容性』の要素が強い場合はロキソニンやカロナール、湿布といった薬局で買える薬でも効果があります。坐骨神経痛など『神経障害性』の要素が強い痛みには効果がありません。神経障害性疼痛の薬は医師の処方箋がないともらえません。
痛みの原因にふさわしくない薬は飲んではいけません。どの薬を飲めば良いか迷った場合には、医師に相談してください。
貼り薬や塗り薬、冷却スプレーは、関節痛や筋肉痛といった『侵害受容性』の要素が強い痛みには効果的です。
温めたり冷やしたりすることは、それで痛みが緩和されるなら大丈夫ですが、悪化する場合もあります。その場合はすぐに中止してください。
早く治したいのであれば可能な限り早く原因をみつけて、それに適した対処をすることです。まずは医師に相談してください。応急処置をしても症状がおさまらない場合は、すぐに専門の医師の診察をうけてください。
日常動作や寝る時の姿勢は、病態やその人の普段の姿勢によって注意するポイントは様々です。やってはいけないこととしては、痛みがでる動作や姿勢です。そういった動きを避けてください。

「右のおしりが痛い」ときに効果的なストレッチ法は？

ストレッチやマッサージは、症状がよくなるなら受けて良いですが、悪くなることもあります。はじめは軽めにしてください。腰痛体操といった痛みに効果的なストレッチを組み合わせた体操があります。いろいろな種類があるので、一度やってみてご自身の体に合うようなら習慣化してみてください。
症状が改善するツボについては、原因によるので、一概には言えません。
予防のための運動は、痛くならない程度にはしたほうがいいです。ただしやりすぎや痛みがでる動作はいけません。重要なことはがんばらなくても続けられる運動を、基本的に毎日行う（習慣化する）ことです。

まとめ

痛みというものは一つとして同じ痛みはありません。それは体の原因もさまざまですが、痛みの感じ方やその時の置かれた環境なども密接に影響するからです。よって痛みの対処法もひとそれぞれ違います。また、痛みは徐々にひとの精神を蝕みます。それは人間関係や仕事、休みの日にも影響しはじめ、人間らしさを失うきっかけとなります。痛みもはやめに原因をみつけるほどはやくよくなりますし、効果的な対処法も多く存在します。一人で悩まず、一度専門家を受診して診察を受けることをお勧めします。

「右のおしりが痛い」で考えられる病気と特徴

「右のおしりが痛い」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

痛みの原因を調べることが最も重要で、骨や筋肉が原因であれば整形外科、内臓が原因であればそれぞれの専門家（例えば婦人科や消化器外科）が診療にあたります。頻度的には骨や筋肉が原因の場合が多いので、まずは整形外科への受診をお勧めします。

「右のおしりが痛い」と関連のある症状

「右のおしりが痛い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

「右のおしりが痛い」の他に、これらの症状が見られる際は、「椎間板ヘルニア」「仙腸関節痛」「坐骨神経痛」「腰椎すべり症」「悪性腫瘍」などの疾患の可能性が考えられます。痛みがひどい場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。