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「生理前におりものが増える」原因とは?何日前から増えるのかについても解説!

「生理前におりものが増える」原因とは?何日前から増えるのかについても解説!

生理前におりものが増えるとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

浅野 智子医師

監修医師
浅野 智子(医師)

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産婦人科医12年目、手術とお産と患者さんとの会話が好きな女医。市民病院や大学病院の勤務、個人病院の当直バイトなどで様々な経験を積む。日本産科婦人科学会専門医取得。

「生理前におりものが増える」これって病気?

おりものがなんかいつもと違うな、と感じてもその悩みをなかなか友人や家族には話しづらいですよね。そんなとき、是非この記事を参考にしてみてください。

まずおりものとは子宮や膣、外陰部のバルトリン腺などから出る分泌物のことで帯下(たいげ)ともいいます。膣は分泌物を外へ排泄すると同時に、外から細菌が入りやすい場所でもあるのです。
おりものは女性ホルモンと密接に関係しており、女性ホルモンの一種であるエストロゲンやプロゲステロンの働きにより膣粘膜でグリコーゲンが作られ、グリコーゲンは膣常在菌である乳酸菌の働きにより乳酸に変換されます。これにより膣内は細菌が繁殖しにくい酸性になり、外から入ってくる細菌の侵入を防いでいます。これを膣の自浄作用といいます。おりものがすこし酸っぱいにおいがすると感じたことはありませんか?それは膣内が酸性になっているためで、異常ではありません。
ここで大切なのは乳酸菌など膣の常在菌です。ビデや石鹸で洗いすぎると常在菌を洗い流し自浄作用が低下しカビが生える原因になったり(カンジタ膣炎など)、常在菌が増えすぎても膣炎を起こしてしまいます。おりものが増えると蒸れなどで不快に感じることもありますが、あまり神経質にならずにおりものと付き合っていきましょう。
豆知識として、性交渉後はなるべく早めに排尿することも大切です。性交渉により肛門付近の大腸菌などが膣や尿道に侵入し膣炎や膀胱炎を起こすことがあるからです。排尿とともにそれらの菌を流し予防してください。

次におりものと女性ホルモンの関係を見ていきましょう。女性ホルモンは月経周期の中で増えたり減ったりを秩序よく繰り返しており、それに伴いおりものも増減しています。
おりものも女性ホルモンも最も増える時期は排卵期で、子宮頸管粘液を増やして精子を侵入しやすくしています。おりものは卵白のように透明で、比較的さらさらしていて量が多くなります。乾燥するとパサパサして白色に見えることもあるでしょう。匂いはそれほどきつくありません。
生理前にも若干女性ホルモンが増えるためおりものは増えますが、排卵期ほど多くはなりません。月経2-3日前から白色のややパサパサした若干匂いのきついおりものが増え始め、出血が混じるようになり月経となります。

おりものの量はそれぞれの人の感じ方によっても変わるのですが、おりものシートに付く程度なら問題ない量といえます。おりものシートから漏れ出るほどの量なら病院で診察を受けることをお勧めします。

ここまでふつうのおりもののお話をしてきました。
おりものは月経周期のタイミングや年齢、女性ホルモンの状態、どんな病気が隠れているかでかなり変わってきます。
それぞれ詳しく解説していきますので、ご自分の状態と照らし合わせながら読み進めてくださいね。

生理前におりものが増える・色が異なる症状で考えられる原因と対処法

お話ししたように月経前におりものが増えることは特に問題ありません。
診察をお勧めするのは、おりものシートから漏れ出るほどの大量なおりものが生理周期に関係なくある場合です。色は灰色、濃黄色、膿が混ざって緑色、出血が混ざって赤~ピンク色などが異常です。魚が腐ったようなアミン臭を特徴とする異臭がする場合、腹痛、かゆみがある場合も異常で、クラミジアや淋病といった性感染症(STD)や細菌性膣炎になっている可能性があります。がんなど悪性疾患が隠れている可能性もあります。またご高齢の方では子宮留膿腫といって子宮の中に膿がたまり、それが膣から排出されるとおりものの異常として見つけることができます。
気になる方はデリケートゾーンを清潔にするため、肌に合った下着やおりものシートを使用しましょう。また不快感からビデなどで洗浄したくなりますが、膣の常在菌も洗い流されてしまうのでほどほどにしておきましょう。
緊急度は低く休日や夜間に受診するほどではありませんが、早めに産婦人科を受診しましょう。ちなみに婦人科でもおりものの診察はできます。
行う診察は、おりものを目で見る視診、おなかを軽く押して痛みを見る触診(内診)、おりものの採取、膣または腹部からの超音波検査、がんの検査など症状に合わせた診察を行います。

妊娠中におりものが増える症状で考えられる原因と対処法

妊娠中は女性ホルモンが増えるのでおりものも増えますが、ふつうの月経周期のおりものと変わりません。しかし妊娠中は膣内の常在菌が弱くなってカビが生えやすく、カンジタ膣炎になりやすい状態です。症状は「白いパサパサの大量のおりものがでて、とてもかゆい」とか、「熱を持って痛がゆい」とおっしゃる方もいます。妊婦さんによっては前回妊娠時もカンジタになっていたり、風邪をひいて抵抗力が弱ったときにカンジタになるなど繰り返し発症している方もいらっしゃいます。カンジタのおりもののことを教科書的にはカッテージチーズ様とか酒かす様と表現したり、白い消しゴムカスのようで特徴的です。おりものを採取して検査をすることで診断確定となります。治療はおりものを取り除き膣内へ薬をいれたり、外陰部の皮膚のかゆみを抑えるために塗り薬を処方します。
妊娠中のカンジタは赤ちゃんには影響はありませんが、分娩時にカンジタが治っていないと赤ちゃんが産道感染しますので、早めに治しましょう。妊婦検診時に担当医に伝えてみてください。
カンジタは常在菌の一種のため、パートナーの治療は必要ありませんし、カンジタを持っていても無症状なら治療の必要はありません。

すぐに病院へ行くべき「生理前におりものが増える」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

おりものの量が増える、変色する、においが強い、腹痛やかゆみがある場合は、産婦人科へ

これまでお話ししてきたようなおりものの量、色、におい、腹痛やかゆみといった症状があれば早めに産婦人科を受診してください。もしSTDであった場合は治療せず放置するとパートナーにも感染させてしまいますし、さらに長期間放置すると子宮外妊娠や不妊症の原因にもなります。

受診・予防の目安となる「生理前におりものが増える」ときのセルフチェック法

  • ・生理前のおりものが大量である場合
  • ・生理前のおりものが異臭を放つ場合
  • ・生理前のおりものが変な色に変わっている場合
  • ・生理前におりものが増える以外に腹痛がある場合
  • ・生理前におりものが増える以外にかゆみがある場合

「生理前におりものが増える」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「生理前におりものが増える」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

※生理前におりものが増えるだけなら正常ですので、これを特徴とした疾患はありません。

クラミジア感染症

クラミジアトラコマティスという病原体に感染しておこる病気で、STDでは最もよく見かける感染症です。感染から約3週間後に発症します。女性の場合ほとんど症状がないため放置されやすいですが、おりものが増えたり、おなかの中へ感染が広がると腹痛、不正出血、性交痛があり、長期間感染していると子宮外妊娠や不妊症の原因となります。早く産婦人科を受診しましょう。
おりものを採取し検査をします。治療は内服薬で、約3週間後に再検査で治療効果を確認します。
もしクラミジア感染症になった場合、必ず本人とパートナーが同時に治療してください。性交渉はコンドームをしていても禁止です!!治療後に再検査で陰性が確認できてからにしましょう。

淋菌感染症

淋菌(りんきん)という細菌の感染症でSTDの一種です。女性では症状が軽く放置されやすいですが、子宮頸管炎になると膿のようなおりものが増えたり、かゆみ、性交痛、尿道から膿が出たりします。早く産婦人科を受診しましょう。おりものを採取し検査を行い、治療は点滴で行うことが多いです。クラミジア感染症と同様にパートナーと同時に治療をしましょう。

「生理前におりものが増える」ときの正しい対処法は?

今までお伝えしてきたように、月経前におりものが増えるのは特に問題ありません。皮膚に刺激のない下着やおりものシートをこまめに変えて対応しましょう。
タンポンの使用は下着が汚れず快適なこともありますが、排出されるはずのものをためてしまい不衛生になることも考えられます。長期間の使用はやめましょう。常在菌を減らさないためにも洗浄もほどほどに。
また大豆などに多く含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た作用を持っていることが分かっていますので、普段から摂取するよう心がけるといいですね。
月経前はおりものだけでなく月経前症候群(PMS)の症状に悩まされる方も多いです。生活リズムや食生活、ピルなど改善方法はありますので、産婦人科医に相談してみてください。

「生理前におりものが増える」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理前におりものが増える」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

生理前におりものが増えるのはなぜでしょうか?

浅野 智子医師浅野 智子(医師)

女性ホルモンの影響でおりものが増えますが、ふつうのことです。

一般的に生理何日前からおりものが増えるのでしょうか?

浅野 智子医師浅野 智子(医師)

月経2-3日前から増えることが多いようです。

生理前におりものが異常に増えるとき病院に行くべきですか?

浅野 智子医師浅野 智子(医師)

月経前一時的におりものが増えるだけで、色やにおいに異常がないなら問題なしとみてよいでしょう。しかし、心配であれば産婦人科を受診し診察を受けましょう。

生理前のおりものの性状にはどんな特徴がありますか?

浅野 智子医師浅野 智子(医師)

やや白く濁ったような、ねばねばしたおりものが多くなります。匂いは無臭であったり、すこし酸っぱいにおいがすることもありますがこれはふつうのことです。

妊娠の前兆はおりものの変化でわかりますか?

浅野 智子医師浅野 智子(医師)

妊娠の前兆に特有なおりものはありません。月経周期が規則的な方は生理が遅れることで気付きますし、周期が不規則な方は下腹部の違和感や体調の違和感、基礎体温などで気づくこともあるでしょう。また妊娠初期には少量の出血が出ることもあります。妊娠が分かったら早めに産婦人科を受診しましょう。妊娠中は女性ホルモンがたくさん出ているため、おりものも増えやすいです。

まとめ

おりものは月経周期によって変化しますし、なかなか人と比べたりできないものです。まずはふつうのおりものを知り、ご自身の体調のバロメーターの一つとして日ごろから気にかけてみてください。そうするとそこで変化にも気づきやすくなります。
また同じ病気でも、人により症状や程度は様々です。「まあ、いいや」と思ってしまう前に病院を受診することをお勧めします。

「生理前におりものが増える」症状で考えられる病気

「生理前におりものが増える」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

  • クラミジア感染症
  • 淋病
  • トリコモナス膣炎
  • 細菌性膣炎
  • カンジタ膣炎
  • 子宮頸がん(初期)

生理前におりものが増えることそのものは正常ですので心配はいりません。しかし、おりものの色や匂いなど性状が変化する場合には病気の可能性があるので、その場合には産婦人科医に相談してください。

「生理前におりものが増える」に似ている症状・関連する症状

「生理前におりものが増える」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「生理前におりものが増える」症状そのものは正常ですので心配する必要はありません。ただし、上記のような症状があって生理が始まると症状が治る場合には、「月経前症候群」の可能性が考えられます。これは女性ホルモンの増減が原因であり、ピルによって安定化することが可能ですので、早めに産婦人科を受診しましょう。